好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲作品72

ヴラディーミル・ユロフスキー指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
2014年1月22日 ロンドン,ロイヤル・フェスティヴァル・ホール,2015年9月3,4日 ロイヤル・アルバート・ホール(序曲)
LPO0096 (P)2017 LPO (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Mujsic

まだメディア発売前ですが,一足先にApple Mujsicで試聴しました。

ロンドン・フィル自主制作のベートーヴェンといえばクルト・マズア指揮の第1番,第4番がとても良かったのですが,このベートーヴェンも期待に違わずスピード感のある小気味よい演奏でした。この演奏におけるロンドン・フィルの編成がよくわからないのですが,大編成のサウンドながらとてもよく統率されていてアンサンブルにブレが見られず絞り込まれた編成のごとくビシッと決まっています。今後の録音にも期待します。

録音ですが,残響が少しあって楽器音にまとわりつき音離れが少し良くないのですが,個々の楽器は明瞭に録られており,残響感の割には音色に癖がないのが良い点です。私としてはもう少し残響の影響を減らしてすっきりと見通しよく録って欲しいのですが,これなら多くの人に受け入れられやすい録音だと思います。まずまずの好録音と言えると思います。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ナタン・ミルシテイン Nathan Milstein (Violin)
26 & 31 March 1954(Sonata No.1), 6 February 1956(Partita No.1), 27 December 1956(Sonata No.2), 23-24 March 1954(Partita No.2), 5, 16, 17 March 1956(Sonata No.3), 28 December 1955(Partita No.3), Studio A, 46th Street Studio, NY.
ZDMB 64793 2 3 (P)1955-66 (C)(P)1993 Angel Records(compilation and digital remastering) (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

恐ろしいほどにキレが良く,その潔さが痛快極まりなし! 変な言い方ですが,過剰なまでにコントロールが効きいたオーバーシュートする音楽表現が何とも言えません。 最も覇気のある充実した時期の巨匠の強烈な個性に圧倒される,ものすごく尖った演奏です。 リピートの省略が多いのが残念ですが,時代を思えば仕方なしですかね。

これは1回目の全集録音で,一般的には1973年の2回目の全集の方が評価が高いと思いますが, この1回目の録音も捨てがたいです。 私はむしろ1回目よりこちらの方が好きかもしれません。 ミルシテインの全盛期の魅力がこの全集に凝縮されていると思うのです。

録音はスタジオでのモノラル録音で,わずかに残響が感じられる曲もありますが,その影響はほとんどありません。 少し距離感があって,そのためにわずかに明瞭感,鮮明さが落ちているのが残念ですが, それでもこの時期のモノラル録音としてはかなり良好な状態と言えると思います。 演奏をストレートに生々しく伝えてくれる点を大きく評価しました。 好録音です。

もちろん1950年代半ばの録音なのでクオリティは良いとは言えませんし, マスターテープの問題と思われる音の曇りが感じられるところもあります。 古い録音なのでこれは仕方ありません。

この演奏は時々復刻はされているようですが,もしかしたら今は現役盤がないかもしれません。 入手困難ではないと思いますが...
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モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」,第12番,第14番
エドナ・スターン Edna Stern (Piano)
アリー・ファン・ベーク指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
ZZT100901 (P)2009 Zig-Zag Territoires (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。前エントリからのオーヴェルニュ室内管弦楽団つながり&ジャケ聴きです(^^;。

まず録音のコメントです。すっきりとした癖のない自然なサウンドが魅力の好録音です。残響が適度に抑えられ,見通しが良く,そこそこキレもあります。録音自体はあまり主張しませんが,演奏を邪魔せず音楽を素直に伝えてくれるこういう録音が良いのです。いつまでも音楽に浸っていたくなります。

そして演奏なのですが,端正で上品です。粒立ちの美しいタッチが印象的ですが,あくまでも控え目です。オーケストラも若干音の長さを短めに刈り込んで整然と見通しよく演奏し,ソロの美しさを引き出しています。良いと思います。
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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調 作品56「親愛なる声」(弦楽合奏版)
ロベルト・フォレス・ヴェセス指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
2016年5月3-6日 クレルモン=フェラン,オーヴェルニュ管弦楽団施設
AP139 (P)(C)2016 Little Tribeca (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicで試聴して演奏も録音も大変良かったので,今年の1月に試聴レビューしていました。ディスクを買うかずっと迷っていたのですが,やっぱりこれは手に入れておきたいということでAmazonから入手しました。Tower RecordsとHMVでは5月の発売になっています。今聴きながら書いているのですが,これはやっぱり買って正解の盤でした。



Apple Musicでの試聴です。Amazon.co.jpでは2月17日の発売になっていて,HMVやTower Recordsにはまだ出ていませんでした。

おぉ,これはなかなかイイぞ! 演奏自体は真っ当なスタンダード路線であり,アンサンブルは優秀で,丁寧でニュアンス豊かで美しい。シベリウスの弦楽合奏版は初めて聴きましたが,違和感なく聴けました。

録音ですが,特に特徴があるわけではありませんgな,欠点らしい欠点がなく,弦楽器の魅力を上手く捉えた好録音だと思います。低域から高域までレンジ感もありますし,楽器の質感の捉え方も標準的で良好です。残響もそれなりにありますが,マイナス要素にはあまりなっていません。

これはディスクを入手してじっくり聴いてみたくなりました。

(記2017/01/08)
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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
トーマス・ツェートマイアー指揮/スタヴァンゲル交響楽団
2015年 ノルウェー,スタヴァンゲル・コンサートホール
3816-2 (P)(C)2017 SSO Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon

近年指揮でも活躍しているというヴァイオリニストのツェートマイアーの指揮したブラームスの交響曲ということで聴いてみました。オーケストラの規模がよくわからないのですが,少し小さめの編成のように締まった小気味の良いスピード感のある演奏でした。指揮者の意思が行き渡りよく統率されていると思います。勢いがありながらフォルテでも粗くなったり飽和したりすることがなく余裕をもって鳴らしきっているところも良いと思います。

さて録音ですが,残響は多めですが,低域の響きが抑えられているためか,だらしなく響くことがなくドライで締まっています。ただやはり残響自体は多いため,見通しは良くありません。残響量の割には音色のバランスは整っているので,印象は悪くありません。もう少し残響を抑えてすっきりと見通し良くしてくれたらずっと良かったのではないかと思うのですが。少し甘いですが四つ星半です。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ミシェル・ロス Michelle Ross (Violin)
December 4 and 5, 2013; January 31 - February 2, 2014; March 19-21, 2014 at the American Academy of Arts and Letters, New York
TROY1662/63 (P)(C)2017 Albany Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.comApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 しなやかで伸びのあるフレージングが素晴らしい好演奏。 滑らかな音の移り変わり,音色の美しさも特筆できます。 技術的にも優れ,コントロールが隅々まで行き届いています。 これは出色の出来映えで,思わず聴き惚れてしまいます。

録音ですが,若干の響きのまとわりつきはあるものの,楽器音を適度な距離感でニュアンス豊かに捉えています。 弓が弦に触れる微妙な感触まで聴き取ることができます。 好録音です。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
モブセス・ポゴシアン Movses Pogossian (Violin)
December 21-23, 2015 and May 28-30, 2016, at the Recording Studio of the UCLA Herb Alpert School of Music
New Focus Recordings FCR178 (P)(C)2017 Movses Pogossian (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。全体に遅めのテンポで音楽が進行していきます(なのでCD 3枚組になっています)。 ところどころ大見得を切るようなところはありますが,どちらかといえば正統派の演奏であり, 技術的にもそこそこの安定感があり,ハーモニーも美しく,充実感があります。 正直言うと中にはテンポが遅すぎてちょっと退屈してくる楽章ないことはないのですが, 全体としては好印象でした。

録音ですが,スタジオでの録音のためか,残響は控え目であり,適切な距離感で, 弦の上を滑る弓の微妙なニュアンスも聴き取ることが出来る好録音です。 オーディオ的にはあまり魅力がない録音かもしれませんが, 地味でもこういう楽器の質感を大事にした録音が良いのです。

ポゴシアン氏はソ連出身のヴァイオリニストで,1986年第8回チャイコフスキー国際コンクール ヴァイオリン部門第7位の入賞歴があります。 現在はアメリカのUCLA Herb Alpert School of Musicのヴァイオリンの教授とのことです。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Concert Hall, Wyastone Estate, Monmouth, on 25-30 June 2012
CDA67955 (P)(C)2013 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品50
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Potton Hall, Dunwich, Suffolk, on 24-28 October 2014
CDA68122 (P)(C)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品54, 作品55
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Potton Hall, Dunwich, Suffolk, on 5-10 November 2015
CDA68160 (P)(C)2017 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

少し前に作品9,作品17,作品20を取り上げた続きです。全集に向けて録音されているのかはわからないのですが,現在作品番号順に作品55まで発売されています。演奏スタイルはこれまでの録音と変わらず一貫していますが,より大胆に変化を付ける表現が増えているようには思います。技術的にも上手いですし,響きの美しさも特筆できますし,ハイドンとしてはロマンティックで,かつ素直な表現にも好感を持ちました。今後の録音が楽しみです。

録音ですが,作品33と作品50は少し残響が気になるものの,音の透明感,輝き,伸びが感じられ,ストレスなく聴くことが出来る好録音です。一方作品54, 55はややマイクポイントが遠く,音色がくすみがちで楽器の質感も失われてしまっていますし,音場の広がり感も少し希薄です。そんなに悪くはないのですが,作品33, 50と同じ録音で統一して欲しかったところです。惜しいです。今後の録音が元に戻されることを切に希望します。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品9
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
St Paul's Church, Deptford, on 28-31 January and 2 February 2007
CDA67611 (P)(C)2007 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品17
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
St George's Brandon Hill, on 6-11 August 2008
CDA67722 (P)(C)2009 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品20「太陽四重奏曲集」
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
All Saints' Church, East Finchley, London on 6-10 September 2010
CDA67877 (P)(C)2011 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器での演奏。急速楽章は快活ですが,全体としては柔らかいタッチが印象に残ります。そして美しくロマンティックな節回し。気負いなく素直に表現していて好感が持てます。私の初期の弦楽四重奏曲のイメージを大きく塗り替えてくれました。特に作品17がこんなに魅力的な曲集だったのか!とちょっとうれしくなりました。おそらく全集を目指して作品9から順番に録音をしているのだと思いますが(2017年2月時点で作品55までリリース済み),これは楽しみです。

録音ですが,それぞれ異なる場所で録音されています。作品17が最も良く,残響を控え目に透明感ある美しい音で楽器音を捉えています。次いで作品9で,やや残響感は多めですが,直接音が主体で曇りのない音で録られています。作品20はやや残響が多めでマイクポイントも遠めであり,音色が少し曇っています。許容範囲ですが,作品17のように録ってくれなかったのが残念です。
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調作品131
ジュリアード四重奏団 Juilliard Quartet
録音:1960年3月、ニューヨーク、RCAビクター・スタ ジオ
好録音度:★★★★★
参考: Apple Music

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番ヘ短調作品95
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調作品135
ジュリアード四重奏団 Juilliard Quartet
録音:1960年4&10月、ニューヨーク、RCAビクター・スタジオ《★世界初CD化》
好録音度:★★★★★
参考: Apple Music

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シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調D.810「死と乙女」
シューベルト:弦楽四重奏曲第12番ハ短調D.703「四重奏断章」
ジュリアード四重奏団 Juilliard Quartet

録音:1959年2月、ニューヨーク、米国芸術文学アカデミー
好録音度:★★★★★
参考: Apple Music

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ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調
ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調
ジュリアード四重奏団 Juilliard Quartet
録音:1959年5月、ニューヨーク、 スタジオ”B”
好録音度:★★★★☆
参考: Apple Music

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ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第11番ハ長調作品61
ヴォルフ:イタリア風セレナード
ジュリアード四重奏団 Juilliard Quartet
録音:1959年5月、 ニューヨーク、スタジオ”B”《★世界初CD化》
好録音度:★★★★
参考: Apple Music

最初にお断りをしておきますが,拙ブログの以前からの読者様であれば「またか(^^;」と苦笑しながら読んでいただけると思うのですが,特に今回の録音評は「録り方,楽器音の捉え方」にフォーカスしたものであり,いわゆるオーディオ的クオリティの比率は低いとお考えください。

このリヴィング・ステレオのボックスシリーズは第3弾で,世界初CD化も多く含むそうです。上記のジュリアード四重奏団のディスクも2つが初CD化です。この中でベートーヴェンの第14番とシューベルトの死と乙女は,以前,TESTAMENTから発売されていたものを録音が素晴らしいということで紹介していました。

今回はApple Musicで試聴しました。CDと同じ音源かどうかは定かではありませんが,Apple Music上でのリリース日がいずれも2016年11月18日と,ディスクの発売日とほぼ同時期であることから同じ音源であろうと思われます。

この中ではやはりRCAビクター・スタジオで収録された1960年のベートーヴェンの2枚の録音が良いですね。第14番は音は痩せていて音色のバランスも崩れているものの,残響は皆無で適切な距離感で捉えられた楽器の生々しい質感が素晴らしく音楽がダイレクトに伝わってきます。好録音の良い見本です。第11番,第16番も録音の傾向は同じで,少し人工的な残響のまとわりつきが鬱陶しいものの,楽器音自体はシャープでキレがありこちらも演奏を存分に楽しむことが出来ます。

次に良いのが同じく1960年録音のシューベルトで,これも気になる残響は皆無と言って良く,極めてシャープでキレのよい録音です。音色のバランスはベートーヴェンよりも良いかもしれません。一方スタジオの録音現場の雰囲気,演奏者の存在感は希薄で,やや商品化された音づくりであり,これは善し悪しかなと思います。

ベートーヴェンの第14番とシューベルトの死と乙女はTESTAMENT盤に比べて今回のリマスターによって大幅に音質が改善され,音のヌケと解像感が良くなっています。特にシューベルトが格段に良くなっています。

ドビュッシー,ラヴェルとドヴォルザークは1959年の録音で,ベートーヴェン,シューベルトと比べるとクオリティ面でかなり落ちるため,基本的な録音の仕方は良いのですが,やはりだいぶ聴きづらくなってきます。これはちょっと惜しいですね。

とはいえ,ジュリアード四重奏団の録音がさらに良好な状態で復刻されたのは本当にうれしいことです。これはディスクで持っておきたいところですが,60枚組のセットなのでちょっと買うのをためらっています。分売してくれないですかね...

なおこの他のジュリアード四重奏団の演奏としては,エリオット・カーター,ウィリアム・シューマン,ベルク,ウェーベルンの作品のディスクが含まれています。

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Living Stereo - The Remastered Collector's Edition
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

で,最後にお決まりのいつもの愚痴です(^^;。それにしても,このRCAのリヴィング・ステレオやマーキュリーのリヴィング・プレゼンスなど,1960年前後という50年~60年も前にこれだけの素晴らしい録音をされていたというのが驚異的に思えてなりません。逆に,これらに比べて現代の録音はなんでこんなにつまらない,聴いていて全然面白くないのか,音楽の鼓動がまったく伝わってこないのか,腹立たしくなってきます。世界の多くの人々が名録音と認めるものがこれだけあるにもかかわらず,先人達の偉業から学ぶ気がまったくないとしか思えないです。残念なことです。
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番,大フーガ
エディング四重奏団 Edding Quartet
LPH 023 (P)(C)2016 OUTHERE (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

エディング四重奏団は,古楽オーケストラのシャンゼリゼ管弦楽団のトップ奏者で構成され,ピリオド楽器を使って演奏されているとのことです。終楽章は大フーガに置き換えられています。とても軽やかでスピード感がありキレの良い演奏を聴かせてくれます。アンサンブルも優秀です。特に混沌としがちな大フーガをサラッと弾いていてこんなに聴きやすい演奏はそんなにないと思います。ピリオド楽器であることがあまり意識されないのも良い点です。この演奏で他の曲も聴いてみたいです。

さて肝心の録音ですが,やや残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが,楽器音自体は比較的近い距離で録られているのか,ニュアンスが十分に伝わってきて,これならまだ許せると思いました。もっと残響を抑えてクリアに録って欲しいのは言うまでもありませんが。

なお,カップリングとしてNorthernlightの演奏によるピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調作品16が収録されています。
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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲,管弦楽組曲全曲
ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

1978年1月 ロンドン,キングズウェイ・ホール(管弦楽組曲),1980年5月 ロンドン,セント・ジョンズ・スミス・スクエア(ブランデンブルク協奏曲)
PROC-1964/6 (P)1978,1981 Decca Music Group Limited (国内盤)
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION +plus Vol.22
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records

タワーレコードの企画盤。マリナー氏2回目の録音で,ブランデンブルク協奏曲のソリストに,ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン),ミカラ・ペトリ(リコーダー),ハインツ・ホリガー(オーボエ),ジャン=ピエール・ランパル(フルート),ジョージ・マルコム(ハープシコード)などの名手を迎えた名盤。ブランデンブルク協奏曲の方は昔発売されていたディスクを持っていて一度レビューしています(→こちら)。今となっては古さも感じる演奏ですが,当時としてはこれがスタンダードだったのだと思いますし,モダン楽器での演奏としては今でも十分に楽しめる内容です。

録音も「アナログ録音末期の優秀録音」というだけあってシルキーで滑らか,残響は少しあるものの控え目であり,当時のフィリップス録音らしく個々の楽器の音を大事に扱い分離良く見通し良く録った好録音です。正直なところもう少し高域の伸び,輝き,透明感が欲しいところでちょっと地味な感じですけどね。ちょっとオマケですが四つ星半です。

久しぶりに聴きましたけど,なんだか懐かしくホッとしました。
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バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
ラース・ウルリク・モルテンセン指揮/コンチェルト・コペンハーゲン
2011年3月31日~4月3日 コペンハーゲン,ガルニソン教会
cpo 777 904-2 (P)2014 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。私の好みの録音の多いcpoレーベルということで試聴してみました。

ソリストはコンチェルト・コペンハーゲンのメンバーと思われます。数多あるバロック楽器によるバッハのヴァイオリン協奏曲のディスクの中では特に特徴があるというわけではありませんが,ソリストの腕前も確かであり,アンサンブルも良い優良な演奏だと思います。

録音ですが,残響はやや多めながら後方の空間にふわっと広がる感じで取り入れられていて,明瞭感や音色への影響は少なく良好と言えます。残響を取り入れるのならこんな風にして欲しいという見本になると思います。やはり私の好きな録音とは少し違いますが,この透明感と伸びのある綺麗なサウンドはなかなか良いと思います。好録音です。
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ハイドン:交響曲第6番「朝」,第7番「昼」,第8番「晩」
佐渡裕指揮/トーンキュンストラー管弦楽団
2015年10月~2016年5月 ウィーン,ムジークフェラインザール
TON2001 (P)(C)2016 Tonkunstler-Orchester (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

いつも参考にさせていただいているハイドン音盤倉庫での強力推薦盤であり,モダン楽器でのハイドンということで興味深く聴かせていただきました。これらの曲はあまり馴染みがないのですが,感想に関してはハイドン音盤倉庫のレビューに同意しますのでそちらをご覧いただければと思います(手抜きですみません(^^;)。

さて肝心の録音ですが,各曲の最後に拍手の入るライヴ録音なのですが,演奏中は全くそんなことがわからないまるでセッション録音のような録り方をされています。残響はすごく多くまた残響時間も長いため,豊潤な響きが堪能できます。その残響ですが,ある程度楽器の直接音とは分離感があって,残響量の割には楽器の質感が保たれ,音色への影響も少なめなので十分に許容範囲であり,残響を好まれる方であれば優秀録音と言えるのではないかと思います。

私自身はせっかくのライブ録音なので,もう少し残響を抑えた生々しい録音で聴きたく,好みの録音とはだいぶ方向性が違うと思いました。しかし,この録音であれば私でも許容できますし,音楽も残響にあまり邪魔されることなく楽しめますので,四つ星半の好録音評価といたしました。
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ベートーヴェン:交響曲全集
ジョージ・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団
1957年2月~1964年10月 クリーヴランド,セヴェランス・ホール
SICC 10224-8 (P)1965 (C)2016 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp

セル&クリーヴランド管弦楽団のベートーヴェンの交響曲全集は2013年に発売されたボックスセットを持っているのですが,ろくに聴かないうちにどこかにしまい込んでしまい,見つからないので...ちょっと(というかものすごく)高かったのですが,タワーレコードのこの新マスタリングの企画盤を手に入れて聴きました。

演奏はもう私がコメントするまでもないですよね。甘さのないキリッと引き締まった,そして推進力のある立派な演奏ですね。

古い録音なので録音の品質は時代相応というところは否めませんが,この“STEREORAMA”をジャケットに冠しているだけのことはあって,時代相応でマスターテープの歪みのせいかやや硬めの音質ではありますが,音の鮮明さなかなかのものです。弦楽器をサウンドの中心に据えた録り方も好ましいですし,直接音主体に質感高く捉えている点も良いと思います。1957年の第3番がやや残響が多めで品質的にも劣るのが残念ですが,その他の曲は良好です。

この名演奏が最良の状態で復刻されたことを喜びたいと思います。
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ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第3集
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
ヘルマン・ボイマー指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

Großer Sendesaal, NDR Hannover, February 24-27, 2015
cpo 777 847-2 (P)2016 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第1集第2集が良かったヴァイトハースのブルッフ,待望の第3集が発売されました!! 収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第3番ニ短調作品58
ヴァイオリンと管弦楽のための小協奏曲嬰へ短調作品84
ロマンス イ短調作品42

どれもほとんど馴染みのない曲ばかりです。これでこのシリーズは完結とのことです。力強く張りのある,そして情感豊かなヴァイオリンが素晴らしいです。第1番ばかりが有名なブルッフの協奏曲ですが,こうして聴いてみると,第2番,第3番は幾分渋いとはいえ,どちらも劣らぬ名曲と思います。もう少し演奏されたら良いのにと思いますね。

さて録音ですが,第1集第2集と変わらぬ好録音です。ヴァイオリンの透明感ある美しい音色が堪能できます。ソロが少々遠めで線が細くボディ感に欠けるところがあるので,もう少し寄ってしっかりと捉えて欲しい気はしますが,これでも十分に良好です。
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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
ベートーヴェン:ロマンス第1番ト長調作品40,第2番ヘ長調作品50
サルヴァトーレ・アッカルド Salvatore Accardo (弾き振り)
オルケストラ・ダ・カメラ・イタリアーナ
2005年2月 トリノ
FONE143SA (P)(C)2015 Audiophile Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。アッカルドの弾き振りとのことです。2005年ということですので,64歳の時の録音ですね。かつてのキレはないかもしれませんが,明るく艶やかな音色は健在,円熟した素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

録音ですが,ソロは少し響きを伴いながらも明瞭で細やかなニュアンスまで伝えてくれる好録音です。オーケストラはその後で自然な広がりを持って聴こえ,ソロとの対比,分離もきちんと取れていて,協奏曲の録音として好ましく,私でもまずまず納得できる出来です。
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リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
ジャナンドレア・ノセダ指揮/トリノ・レッジョ劇場管弦楽団
2015年4月13日 トリノ,レッジョ劇場
FONE148SA (P)(C)2015 Audiophile Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。今回は録音についてのみコメントします。

2015年トリノでのライヴ録音で,会場の雑音や,譜面をめくる音など演奏者の発する雑音なども入っています。最後に拍手も入ります。

それにしてもこの生録的超リアルサウンドは今どき本当に珍しいですね(オーディオ的優秀録音という意味ではありません,念のため)。残響は皆無と言っても良いくらいで,それぞれの楽器の音を生々しく捉えています。演出感ゼロ,私の好きなタイプの録音ですが,ちょっとこれは極端ですね(^^;。

そして,残念なことに全くヘッドホン聴取に向きません。例えばソロ・ヴァイオリンが左チャンネルに偏り過ぎて,ヘッドホンで聴くと極めて不自然に聴こえます。不自然なだけならまだしも気持ち悪いのがNGです。スピーカ聴取では問題ないにしてもこれはあまり良い編集状態とは言えません。せっかく面白い録音なのに,このマスタリング(またはマイクセッティング?)には首をかしげざるを得ません。もったいないです。
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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番,第3番
ヒース四重奏団 THE HEATH QUARTET
2015年12月
HMU907665 (P)(C)2016 harmonia mundi usa (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ヒース四重奏団は2002年に結成された英国の弦楽四重奏団ということでまだまだ若手ですが,英国を代表する四重奏団の一つとのことです。チャイコフスキーの弦楽四重奏曲といえばボロディン四重奏団の1979年の録音が大好きで今でもよく聴くのですが,この演奏があまりに良く,他の団体の演奏を聴いてもあまり良い印象のものがありませんでした。「これくらいやらないとこの曲は面白くないんだよ」というような印象を受けるのが多いのです(もちろんそんな思いで演奏していることはないと思いますが)。

さてこのヒース四重奏団の演奏ですが,実に誠実な演奏だと思います。同曲に対する敬愛の気持ちと謙虚さが感じられます。先に挙げたボロディン四重奏団の演奏との共通点があるように思います。気に入りました。

そして録音なのですが,残響を抑え直接音主体に捉えた明瞭な録音であり,各楽器の分離も良く,楽器の質感もそこそこ感じられます。音色に色づけがなく自然で美しいです。弦楽四重奏の録音としてかなり良いと思います。好録音です。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品33「ロシア四重奏曲」
アポーニー四重奏団 Appónyi Quartet
May 1993, DLF Köln, Sendesaal
ARS MUSICI 232160 (P)1993 Freiburger Musik Forum (C)2009 M.A.T. Music Theme Licensing Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

フライブルク・バロック管弦楽団のトップ奏者で編成されたアポーニー四重奏団によるハイドンのロシア史重奏曲集です。ボッケリーニの弦楽四重奏曲集が良かったので,このハイドンも聴いてみることにしました。バロック楽器による演奏です。

快活で明るく音楽の喜びに溢れた演奏ですね。技術的にも申し分なく,透明感のある美しい響きが素晴らしいと思います。

そして録音なのですが,わずかに残響を伴っているものの,直接音を主体にすっきりと響きを美しく捉えています。もう一歩寄って楽器の質感を強めに録ってくれていたら完璧だったと思うのですが,これでも十分に好録音です。

私が探した限りでは,アポーニー四重奏団の演奏はボッケリーニとこのハイドンしか見つけられませんでした。もう少し多くの録音を残してくれたら良かったのに,と少々残念です。
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ドヴォルザーク:交響曲全集,管弦楽曲集,レクイエム
イシュトヴァン・ケルテス指揮/ロンドン交響楽団
録音 1963~1970年,ロンドン,キングズウェイ・ホール
4830744 (P)2016 Decca (輸入盤) *Apple Musicでの試聴
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

Apple Musicでの試聴です。

一つ前のエントリーで取り上げた第8番,第9番を含む全集で,この12月中旬に発売になるようです。新たにオリジナル・マスターよりマスタリングされたもののようです。このセットはCD 9枚組で,さらにBlu-ray Audio(24bit/96kHz)が付いているとのことです。e-onkyoでハイレゾ音源の販売もあるようですね(めっちゃ高いですけど)。

このApple Musicで公開されているものは,この新マスタリングのものと思われます。試聴してみると,中低域のレンジ感が増し,鮮度や音色の自然さが改善されていることがApple Musicでも感じられました。マスターテープに起因すると思われる音の揺らぎも少し改善されているように思います。新マスタリングの効果は確かにあるようです。

う~ん,これは本当に入手しようか真剣に迷い始めました(^^;。
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ドヴォルザーク:交響曲第8番,第9番「新世界より」
イシュトヴァン・ケルテス指揮/ロンドン交響楽団
1962年2月(第8番),1966年11月(第9番) ロンドン,キングスウェイ・ホール
UCCD-4408 (P)2009 ユニバーサル・ミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ケルテスのドヴォルザークといえば,先日ウィーン・フィルとの新世界を取り上げましたが,この成功を受けて首席指揮者を務めていたロンドン交響楽団との全集録音を行ったとのことで,これはその全集の一部です。この全集もケルテスの代表的な録音として名高いと思いますが,力強くとても引き締まった推進力のある演奏で,これぞスタンダード!と言える素晴らしさですね。

そして録音ですが,ウィーン・フィルとの新世界には及ばないにしても,デッカらしいアナログ期の優秀録音ですね。各楽器の明瞭感,分離感が良く,質感も良く感じられます。無駄な響きのないキレのあるサウンドが快感ですね。好録音です。ごくわずかにマスターテープの劣化に起因すると思われる音の揺らぎが感じられますが,ほとんど気にならないレベルです。

全集を手に入れようか迷ってきました...
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チャイコフスキー:交響曲第1番,第2番,第5番
ワシリー・ペトレンコ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

ONYX 4150 (P)(C)2016 Royal Liverpool Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

速めのテンポでぐいぐいと押しまくる推進力のある演奏。硬派というか男性的というか,力強く甘さのない決然とした表現が良いと思います。

録音ですが,残響は控え目で,各々の楽器をしっかりと分離良く質感良く捉えているのが好印象です。ただ,演奏に比べて録音はややこぢんまりとしていてもう少しスケール感が欲しいですし,音色が硬く高域の伸び感が少し足りず,音色自体の魅力がやや欠けている感はあるのですが,タイトに引き締まったサウンドはなかなか聴き応えがあります。少々オマケですが,四つ星半評価です。

この12月に第3番,第4番,第6番のリリースが予定されていて,全集が完結するようです(→Tower RecordsHMV Onlineicon)。これは楽しみです。
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ベートーヴェン:交響曲第1番,第4番
クルト・マズア指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Southbank Centre's ROYAL FESTIVAL HALL, London, on 24 Nov. 2004(No.1), 27 Nov. 2004(No.4)
LPO-0093 (P)(C)2016 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

拍手の入るライヴ録音です。意外にも(失礼),コンパクトでシャープな小気味よい演奏でした。スピードのある演奏ですが,オーケストラも良く指揮に追従して乱れることなく克明に描き出していきます。これはなかなか良い出来ではないでしょうか。気に入りました。

録音ですが,ややデッドな音響で潤いに欠け,また少し高域の伸びが足りずわずかにモゴモゴする感じはあるものの,見通しが良く細部まで分離して聴き取ることができる好録音です。もう少しスカッと高域がヌケてくれて音の輝きと質感の豊かさがあると文句なしなのですが,これでもまずまず良好です。デッド気味なので一般にはあまり好まれないかもしれませんが,私は好きな方です。ロンドン・フィルの自主制作らしい音づくりですね。
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ベートーヴェン:交響曲全集
フィリップ・ジョルダン指揮/パリ・オペラ座管弦楽団
2014年~2015年 パリ・オペラ座(バスティーユ&ガルニエ宮殿)
109249 (C)2016 Arthaus Musik (輸入盤) Blu-ray Disc 3枚組
好録音度:★★★★(No. 1, 2, 3, 7),★★★★☆(No. 4, 5, 6, 8, 9)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これは端正で品のある演奏ですね。大仰なところがなく控え目ながら音楽は締まっていて,その流れには全く淀みがありません。主張の強くない素直な演奏なので印象が薄いとも言えますが,飽きの来ない,聴くほどに味わいが増していくような,長く付き合えそうな演奏かなと思いました。

録音ですが,2014年11月までに録音された第1番,第2番,第3番,第7番と,2014年12月以降に録音された残りの曲で少し印象が異なります。前者は音がやや詰まり気味で伸びと艶がなくうっすらと曇ったように感じられますが,後者はそういった欠点が解消されすっきりとしています。残響は控え目でライヴらしい演出感の少ない音響は好感が持てます。後者は特に音色も素直ですし,楽器の分離,見通しの良さと密度感のバランスも取れて充実感があり,欠点の少ない良好な録音と思いました。まあ前者もそんなに悪い録音ではなくそんなに差は大きくないのですが,後者の録音で統一されなかったのはちょっと残念です。

それにしても,Blu-ray 3枚でこのバカでかいパッケージはちょっと勘弁して欲しいです。箱の厚みが8cmもあり嵩張って邪魔でしょうがありません。ただでさえDVDやBlu-rayのパッケージは大きくて閉口しているというのに。最近の映像コンテンツのパッケージは肥大化しすぎてるように思います。豪華すぎるパッケージ,全然うれしくないです。
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Unplugged Deluxe Edition
エリック・クラプトン Eric Clapton
8122796366 (P)(C)2013 Viacom International Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

有名なディスクなので説明不要だと思います。オリジナルは1992年の発売とのことですので,すでに24年経っていますね。発売当時のディスクを持っていて,録音も良く愛聴していたのですが,リマスターと未収録音源が追加されているとのことで,買い直してみました。

音質は基本的にはオリジナルと大きくは変わりませんが,中低域の音の厚み,充実感がわずかに増している感じがしました。買い直すほどの価値があったかどうかは微妙なところですが,少なくともプラス方向への変化は感じられたので良しとします(^^)。

タグ : [★★★★☆]

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シベリウス:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲,他
レイフ・セーゲルスタム指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
ペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto (Violin)
1996年(Violin Concerto), 2002~04年(Symphonies) Finlandia Hall, Helsinki
ODE 1075-2Q (P)2005 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

セーゲルスタムは1990年代前半にデンマーク国立交響楽団と全集を録音していました(→こちら)。2回目の全集と思われます。前回の全集同様スケール感のある雄大なシベリウスですが,同時に繊細さも兼ね備え,全体の印象としては随分とオーソドックスにまとめたように思いました。私の聴きたいシベリウスの音楽が見事に再現されており,何の抵抗もなくすんなりと受け入れられました。オーケストラもベルグルンドの全集に比べると精度が上がっているように思いました。良い意味で裏切られた感があります。良い全集だと思います。

録音ですが,残響はあるものの控え目であり,そこそこ楽器の質感も感じられ,音色も自然で伸びがあります。すごく良いということはありませんが,欠点が少なく,鑑賞を阻害する要素もほとんどなく,オーケストラの録音としてまずまず良好だと思います。

この全集にはペッカ・クーシストがソロを務めるヴァイオリン協奏曲が併録されています。これについてはまた機会を改めて。
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ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集
ルーシー・ホルシュ Lucie Horsch (Recorder)
アムステルダム・ヴィヴァルディ・プレーヤーズ
2016年7月 アムステルダム,ゲラルドゥス・マイェッラ教会
4830896 (P)(C)2016 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲ハ長調RV.443が収録されているのでこれは聴かなければなりません! 同曲はミカラ・ペトリの素晴らしい演奏が私のリファレンスとなっており,特にフィリップス盤は録音も良くもう何百回聴いたかわかりません(→レビュー記事)。演奏者は17歳! どのような演奏を聴かせてくれるのか興味津々。

それでこの曲,なんでト長調って書いてるのかと思ったらソプラニーノじゃなくってソプラノで吹いているからなんですかね。テクニックの巧さ,安定感はさすがメジャーレーベルに登場するだけのことはありますし,音色の美しさも格別ですね。素直でかつ若々しく弾ける音楽が魅力的です。ミカラ・ペトリのように長く第一線で活躍出来る奏者に育って欲しいですね。それにしても...この曲はやっぱりソプラニーノで聴きたかった!

バックは小編成のバロックアンサンブルで,古楽の雰囲気が強く香ります。ヴィヴァルディなので当たり前と言えば当たり前なのですが,個人的にはもう少しモダンな感じで聴けたらうれしいのになぁと思ってしまうのはやっぱりミカラ・ペトリの印象が強すぎるからでしょうか。

さて録音ですが,少し残響は多めで楽器音に被り,わずかに音色を曇らせていますが,影響はそれほど大きくなく,リコーダーの透明感のある音色は十分に楽しめますし,バックの個々の楽器の質感もそこそこ感じられて印象は悪くありません。よくある古楽の優秀録音の録り方ですね。もちろんもう少し響きを抑えてクリアに録って欲しいのですけどね。
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ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年第1稿版)
シモーネ・ヤング指揮/ハンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団
2007年12月1-3日 ハンブルク,ライスハレ
OC629 (P)(C)2008 Oehms Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ご承知の通り,私はブルックナーとマーラーはほとんど聴きません。辛うじてこのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」は学生の時に演奏したことがあって親しみがあるという理由だけでたまに聴く程度です。ということで久しぶりにこの曲を聴いたのですが,この第1稿,よく知っている版と全然違うので戸惑いの連続でした。別の曲?と思うくらい違う楽章もありますね。確かに興味深いのですが,その後の版を聴いたあとでは,整理されてないというか,落ち着かないというか,やっぱり改訂後の方が良いかなと思いますね。

さて録音なのですが,ブルックナーの録音としては残響は抑え気味,マイクポイントは少し遠いのか楽器の質感は弱めですが,左右の広がり感,スケール感がそこそこあり,分離も悪くないので,全体のサウンドの作りの印象は良いです。音色も曇ったりせずバランスも良好です。私の好きな録音とは少し違うのですが,これならまあ良いかなと思います。

分売ではSACDハイブリッドでリリースされていましたが,つい先日CD版ですが実売4,500円程度で全集がリリースされたんですね(→Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online)。手に入れるかちょっと迷っています。でも手に入れても結局ろくに聴かずに終わってしまいそうな気もするし...(^^;
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
1998年8月 バーデン=バーデン,祝祭劇場
UCCD 2120 ユニバーサルミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
2015年6月16日,12月30日(くるみ割り人形) 2015年6月10日,9月29日(交響曲第4番)
MAR0593 (P)2016 State Academic Mariinsky Theatre (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ゲルギエフは1998年に全曲版を録音していましたが,17年ぶりに再録音されました。オーケストラは同じマリインスキー劇場管弦楽団。このくるみ割り人形はマリインスキー劇場の委嘱で作曲され,1892年に初演されたそうで,これはその125周年の記念として録音されたとのことです。

1998年の録音は全曲にも関わらずCD 1枚に収録されています。このテンポで本当にバレエが踊れるのだろうかというくらい速い曲もあり,全体にちょっと落ち着かない感じはあるものの,そういうことを抜きにして音楽そのものは推進力,勢いがあります。

一方今度の新しい録音はそれと比べると随分と落ち着いたテンポであり,音楽自体も角が取れて随分と柔らかく優しい印象を受けます。同じ指揮者,オーケストラの顔合わせとは思えないくらい変わっています。新しい録音の方が実際に踊るバレエ音楽として適切なんだろうな,と思います。実演を繰り返し積み重ねて作り上げられた音楽ということでしょうね。

さて録音ですが,1998年録音は残響控え目で個々の楽器の質感を比較的強めに捉え,明瞭でくっきりしています。質的には少し粗い気もしますし,やや音色が刺激的ですが,このような録り方なのでそう聴こえるのかもしれません。少し誇張された感はありますが,好録音です。

一方新しい録音の方ですが,ホールのちょうど中央あたりで聴いているような印象を受ける音場感を持った録音です(残響量はそれほど多くありません)。直接音と間接音のバランスが絶妙で,響きが音色に影響を与えているにも関わらず悪い印象を受けないのは,ホール感の自然さ故ではないかと。また音が滑らかで,いまどきの優秀録音という感じがします。録音レベルが少し低めであり,また,音場型の録音ということもあって,少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴けます。このような音場型録音は私の好みからは少し外れますし,音のヌケ,高域の伸びがもう少し欲しいとは思いますが,これならまあ良いのではないかと思います。

私の好みからすると演奏も録音も1998年の方が好きですかね。

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