好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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Unplugged Deluxe Edition
エリック・クラプトン Eric Clapton
8122796366 (P)(C)2013 Viacom International Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

有名なディスクなので説明不要だと思います。オリジナルは1992年の発売とのことですので,すでに24年経っていますね。発売当時のディスクを持っていて,録音も良く愛聴していたのですが,リマスターと未収録音源が追加されているとのことで,買い直してみました。

音質は基本的にはオリジナルと大きくは変わりませんが,中低域の音の厚み,充実感がわずかに増している感じがしました。買い直すほどの価値があったかどうかは微妙なところですが,少なくともプラス方向への変化は感じられたので良しとします(^^)。

タグ : [★★★★☆]

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シベリウス:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲,他
レイフ・セーゲルスタム指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
ペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto (Violin)
1996年(Violin Concerto), 2002~04年(Symphonies) Finlandia Hall, Helsinki
ODE 1075-2Q (P)2005 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

セーゲルスタムは1990年代前半にデンマーク国立交響楽団と全集を録音していました(→こちら)。2回目の全集と思われます。前回の全集同様スケール感のある雄大なシベリウスですが,同時に繊細さも兼ね備え,全体の印象としては随分とオーソドックスにまとめたように思いました。私の聴きたいシベリウスの音楽が見事に再現されており,何の抵抗もなくすんなりと受け入れられました。オーケストラもベルグルンドの全集に比べると精度が上がっているように思いました。良い意味で裏切られた感があります。良い全集だと思います。

録音ですが,残響はあるものの控え目であり,そこそこ楽器の質感も感じられ,音色も自然で伸びがあります。すごく良いということはありませんが,欠点が少なく,鑑賞を阻害する要素もほとんどなく,オーケストラの録音としてまずまず良好だと思います。

この全集にはペッカ・クーシストがソロを務めるヴァイオリン協奏曲が併録されています。これについてはまた機会を改めて。
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ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集
ルーシー・ホルシュ Lucie Horsch (Recorder)
アムステルダム・ヴィヴァルディ・プレーヤーズ
2016年7月 アムステルダム,ゲラルドゥス・マイェッラ教会
4830896 (P)(C)2016 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲ハ長調RV.443が収録されているのでこれは聴かなければなりません! 同曲はミカラ・ペトリの素晴らしい演奏が私のリファレンスとなっており,特にフィリップス盤は録音も良くもう何百回聴いたかわかりません(→レビュー記事)。演奏者は17歳! どのような演奏を聴かせてくれるのか興味津々。

それでこの曲,なんでト長調って書いてるのかと思ったらソプラニーノじゃなくってソプラノで吹いているからなんですかね。テクニックの巧さ,安定感はさすがメジャーレーベルに登場するだけのことはありますし,音色の美しさも格別ですね。素直でかつ若々しく弾ける音楽が魅力的です。ミカラ・ペトリのように長く第一線で活躍出来る奏者に育って欲しいですね。それにしても...この曲はやっぱりソプラニーノで聴きたかった!

バックは小編成のバロックアンサンブルで,古楽の雰囲気が強く香ります。ヴィヴァルディなので当たり前と言えば当たり前なのですが,個人的にはもう少しモダンな感じで聴けたらうれしいのになぁと思ってしまうのはやっぱりミカラ・ペトリの印象が強すぎるからでしょうか。

さて録音ですが,少し残響は多めで楽器音に被り,わずかに音色を曇らせていますが,影響はそれほど大きくなく,リコーダーの透明感のある音色は十分に楽しめますし,バックの個々の楽器の質感もそこそこ感じられて印象は悪くありません。よくある古楽の優秀録音の録り方ですね。もちろんもう少し響きを抑えてクリアに録って欲しいのですけどね。
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ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年第1稿版)
シモーネ・ヤング指揮/ハンブルグ・フィルハーモニー管弦楽団
2007年12月1-3日 ハンブルク,ライスハレ
OC629 (P)(C)2008 Oehms Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ご承知の通り,私はブルックナーとマーラーはほとんど聴きません。辛うじてこのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」は学生の時に演奏したことがあって親しみがあるという理由だけでたまに聴く程度です。ということで久しぶりにこの曲を聴いたのですが,この第1稿,よく知っている版と全然違うので戸惑いの連続でした。別の曲?と思うくらい違う楽章もありますね。確かに興味深いのですが,その後の版を聴いたあとでは,整理されてないというか,落ち着かないというか,やっぱり改訂後の方が良いかなと思いますね。

さて録音なのですが,ブルックナーの録音としては残響は抑え気味,マイクポイントは少し遠いのか楽器の質感は弱めですが,左右の広がり感,スケール感がそこそこあり,分離も悪くないので,全体のサウンドの作りの印象は良いです。音色も曇ったりせずバランスも良好です。私の好きな録音とは少し違うのですが,これならまあ良いかなと思います。

分売ではSACDハイブリッドでリリースされていましたが,つい先日CD版ですが実売4,500円程度で全集がリリースされたんですね(→Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online)。手に入れるかちょっと迷っています。でも手に入れても結局ろくに聴かずに終わってしまいそうな気もするし...(^^;
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
1998年8月 バーデン=バーデン,祝祭劇場
UCCD 2120 ユニバーサルミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
2015年6月16日,12月30日(くるみ割り人形) 2015年6月10日,9月29日(交響曲第4番)
MAR0593 (P)2016 State Academic Mariinsky Theatre (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ゲルギエフは1998年に全曲版を録音していましたが,17年ぶりに再録音されました。オーケストラは同じマリインスキー劇場管弦楽団。このくるみ割り人形はマリインスキー劇場の委嘱で作曲され,1892年に初演されたそうで,これはその125周年の記念として録音されたとのことです。

1998年の録音は全曲にも関わらずCD 1枚に収録されています。このテンポで本当にバレエが踊れるのだろうかというくらい速い曲もあり,全体にちょっと落ち着かない感じはあるものの,そういうことを抜きにして音楽そのものは推進力,勢いがあります。

一方今度の新しい録音はそれと比べると随分と落ち着いたテンポであり,音楽自体も角が取れて随分と柔らかく優しい印象を受けます。同じ指揮者,オーケストラの顔合わせとは思えないくらい変わっています。新しい録音の方が実際に踊るバレエ音楽として適切なんだろうな,と思います。実演を繰り返し積み重ねて作り上げられた音楽ということでしょうね。

さて録音ですが,1998年録音は残響控え目で個々の楽器の質感を比較的強めに捉え,明瞭でくっきりしています。質的には少し粗い気もしますし,やや音色が刺激的ですが,このような録り方なのでそう聴こえるのかもしれません。少し誇張された感はありますが,好録音です。

一方新しい録音の方ですが,ホールのちょうど中央あたりで聴いているような印象を受ける音場感を持った録音です(残響量はそれほど多くありません)。直接音と間接音のバランスが絶妙で,響きが音色に影響を与えているにも関わらず悪い印象を受けないのは,ホール感の自然さ故ではないかと。また音が滑らかで,いまどきの優秀録音という感じがします。録音レベルが少し低めであり,また,音場型の録音ということもあって,少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴けます。このような音場型録音は私の好みからは少し外れますし,音のヌケ,高域の伸びがもう少し欲しいとは思いますが,これならまあ良いのではないかと思います。

私の好みからすると演奏も録音も1998年の方が好きですかね。
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
ルドルフ・ブッフビンダー Rudolf Buchbinder (Piano)
2010年9月19日~2011年3月27日 ドレスデン,ゼンパーオパー
88697875102 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment Austria (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はピアノ曲は特定の曲を除いてほとんど聴いてきませんでした。ベートーヴェンのピアノ・ソナタもほとんど聴いてこなかった曲に入ります。特に理由はないのですが,ここらでちょっと聴いてみようかと思い(^^;,Apple Musicで新しめの録音で,演奏も録音も良さそうな全集を物色して選んだのがこの全集です。最近のApple Musicは曲名で検索しても対象が全ては出てこず,限られた中での選択でしたので,特に録音に関して満足が得られるものを選べたかというと必ずしもそうではないのが少々残念なところではあるのですが。まあ価格も安い部類に入るので良しとしました。

この全集は,およそ半年にわたって7回に分けて行われた全曲演奏会のライヴ録音とのことです。まだ全てを聴けてはいないのですが,テクニックのキレが素晴らしく,また比較的速いテンポで甘さを廃した淀みのない音楽が私の好みには合いそうでした。

そして肝心の録音なのですが,少し癖のあるホールの響きが付帯音としてまとわりつき音色に影響を与えてはいるものの,その影響は少なめで,芯のあるピアノの音色が良く伝わってきます。正直言うともう少し近めでクリアで透明感ある音で録って欲しかったところですが,まあストレスなく聴けるので許容範囲に入るかなとは思います。少し甘い評価ですが四つ星半です。7回に渡る演奏会のライヴということですが,統一感は確保されています。

探せばもっと気に入るものはあるだろうとは思いつつ,まずは曲をよく知るところからということで,この全集をしっかりと聴いてみようと思います。
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R. シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」作品35
R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
R. シュトラウス:「ばらの騎士」組曲
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団
2015年10月14,15日 東京,サントリーホール
SICC 19020 (P)2016 Sony Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ドン・キホーテのチェロはトルルス・モルク,ヴィオラは佐々木 亮が担当されています。P. ヤルヴィとN響のR. シュトラウス・ツィクルスは,ドン・ファン,英雄の生涯に続く第2弾ですね。R. シュトラウスはオーケストラの巧さが演奏の出来に直結すると思うのですが,そこはさすがN響です。ちょっと真面目すぎてもう少し茶目っ気があっても良いのかなとは思いますが,そこは指揮者の趣味ですかね(^^;。

録音ですが,ドン・ファン,英雄の生涯と同じ傾向の録音ではあるものの,今回の方が少し残響を抑えてすっきりとさせクリアになっているように思います。演出色が少なく音色も自然なところは好感が持てます。もう少し寄って質感を強めに出して欲しいというのと,ダイナミックレンジを広く取りすぎていて少し大きめの音量で聴かないと物足りなく感じられるというところでしょうか。基本的には良いと思うので,あと一歩頑張ってくれればと思います。次作にも期待!
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RE:IMAGINED (チェロと弦楽四重奏による演奏)
シューマン:チェロ協奏曲イ短調作品129
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調作品47「クロイツェル」
ズイル・ベイリー Zuill Bailey (Cello)/イン四重奏団 Ying Quartet
2014年10月12-16日 ヴァージニア州ボイス,ソノ・ルミナス・スタジオ
DSO-92204 (P)(C)2016 Sono Luminus (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

シューマンは演奏者自身による編曲,ベートーヴェンは編曲者不詳とのことです。シューマンのチェロ協奏曲はほとんど聴いたことがないのでコメントできないのですが,協奏曲と室内楽の折衷という感じですね。どちらかといえば協奏曲的かなと思います。一方ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタは,ヴァイオリン・パートをチェロで,ピアノを弦楽四重奏で,といった単純な編曲ではないようなので,原曲よりもずっと室内楽的な印象が強く新鮮です。どちらもそれぞれに特徴があって楽しめました。勢いのある覇気に満ちた演奏も良いですね。

そして録音なのですが,残響を抑え,オンマイクでそれぞれの楽器を極めて明瞭に捉えています。やや質感が強く濃すぎるとさえ思えますが,楽器の響きだけを純粋にタイトに捉えた録音は痛快です。ちょっとやり過ぎ感はあり,がちゃがちゃとうるさい面はありますが,間違いなく好録音です。こういう録音好きです。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76 「エルデーディ四重奏曲」 No.1-3
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
録音不明
(P)1993 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76 「エルデーディ四重奏曲」 No.4-6
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
録音不明
(P)1989 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

Apple Musicでの試聴です。

いつも参考にさせていただいてるハイドン音盤倉庫パノハ四重奏団のハイドン弦楽四重奏曲集作品55が取り上げられていて,ちょっと聴いてみようとApple Musicで検索してみたところ,作品76も録音されていることがわかり,まずこちらを聴いてみることにしました。

速めのテンポで音楽が全く淀みなく流麗に前に前に流れていくのが良いですね(前のめりすぎる?)。技術的なキレもあります。あまりにもあっさりと音楽が進んでいくのが逆に物足りなく感じられなくもないのですが,変に溜めが入ったり,いじくり回されたりしていない潔さが良いとも言えますね。結構気に入りました。他の演奏も聴いてみたくなります。

さて録音ですが,No.1-3とNo.4-6で少し差があります。前者の方は少し残響が多めでわずかながら音色がくすんでいて明瞭感,音の伸びが劣ります。一方後者は残響が控えめで前者よりもずっと音色がクリアで伸びがあり自然です。音像はどちらも少しこぢんまりしているので,もう少し左右の広がり感,立体感が欲しいところです。質感もほんのわずかに強めだったらなと思います。惜しい面もありますが,少なくとも後者は十分好録音です。スプラフォンは好きな録音が多いのですが,ちょっとばらつきがありますね。

これらのディスクはすでに廃盤になっているのか,少し入手しづらいようです。もったいないですね。Apple MusicやAmazonなどの音楽配信で聴けるのは有り難いことですね。
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チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74《悲愴》
フェレンツ・フリッチャイ指揮/ベルリン放送交響楽団
1959年9月 ベルリン
UCCG-51028 (P)1996 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これもドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiumからの1枚です。

この悲愴はランキング上位の常連盤なので興味を持っていたのですが,1950年代の録音ということもあって何となく今まで避けてきました。これもSHM-CDでHRカッティングな(^^;ディスクということで,この機会に聴いてみようと入手しました。

演奏時間が51分と結構遅めの演奏ですが,遅いという感じはありません。静かに込められた思いの強さが迫ってくる,ある意味凄まじい演奏ではないかと。良いと思うのですが少々しんどいですね。まあ曲自体がそうなので仕方ありませんが。

そして録音なのですが,1959年という古い録音なのでさすがに少々歪みっぽくクオリティ面で厳しいのは仕方ないところですが,曇りがなく意外にクリアですし,低域は薄いものの高域の伸びは不足なく,音色のバランスが崩れてわずかに癖があるもののそんなに気になりません。何より,残響を抑えて個々の楽器の音色をストレートに質感よく捉えているのが良いと思います。こういう録音は好きですね。好録音です。
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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1960年11月9-10日 ウィーン,ムジークフェラインザール
UCCG-51027 (P)1961 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

今月発売されたドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiumからの1枚です。

ムラヴィンスキーのチャイコフスキー後期交響曲集については,以前,一度レビューしていますが(→こちら),依然として私の中ではその圧倒的な存在感に変化はありません。この後期交響曲集はOIBPリマスターというリマスタリングが行われているとのことでした。その詳細はよく知らないのですが,今回,SHM-CDでHRカッティングという,これもよくわからない技術(^^; で原盤が作られたディスクということなので,後期の中で最も好きな第5番ということもあって,聴き比べてみました。

結果から申し上げると,わずかに鮮明さが増しているようには感じられるものの,その差は極小でした。これならまああえて買い直す必要はなかったかなと思います。でも買って聴き比べてみなければわからないことですけどね(^^;。

それにしてもこのムラヴィンスキーのチャイコフスキー交響曲第5番は何度聴いても心が揺さぶられます。演奏も素晴らしいですし,録音も素晴らしい。その素晴らしさについては前回のレビュー記事に書いているとおり「音楽のエッセンスが詰まった情報量の多い録音」です。音色は古びていますし歪み感も結構ありますが,この圧倒的な演奏・録音を前にして,そんな欠点はまったく問題ではないと思ってしまいますね。間違いなく好録音です。録音評価は今回少し上げました。
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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」,第5番「運命」,第6番「田園」,第7番,他
アンタル・ドラティ指揮
ミネアポリス交響楽団(第3番),ロンドン交響楽団(その他)
1957年(第3番),1962年(第5番,第6番),1963年(第7番)
PROC-1413/5 (P)1958,61,63,64 Decca Music Group (国内盤)
タワーレコード企画盤 アンタル・ドラティの軌跡 Vol.1
好録音度:★★★★(第3番),★★★★☆(第5番,第6番,第7番)
参考: Tower Records

タワーレコードの企画盤です。

ドラティはマーキュリーのリビング・プレゼンスの録音が多数あり,今までにもブラームスの交響曲全集チャイコフスキーの交響曲全集レスピーギのリュートのための古代舞曲とアリアチャイコフスキーのくるみ割り人形全曲,弦楽セレナーデ,を取り上げ,いずれも好録音として紹介してきました。

本ディスクも録音に関しては全く同様です。毎度申し上げていますが,1960年前後の録音なのでクオリティに関しては時代相応であり,また,いわゆるオーディオ的優秀録音とは違うということをあらかじめご了承ください。

この録音の魅力は,そのリアルな生々しさと自然な音色,鑑賞の邪魔になる残響を廃した引き締まったサウンドにあります。楽器の魅力,音楽の鼓動がストレートに,そして身体全体に迫ってきます。一人一人の奏者の存在が見えてくるような分離の良さも特長です。

これも何度も言っていることですが,このような素晴らしい録音のお手本があるのに,なんで現代の録音エンジニアはそれを無視するような録音ばかりするのでしょうかね。ほんと残念でなりません。

なおこの中で第3番は,弦楽器のマイクセッティングが今ひとつ良くないのか,パート全体の音ではなく,一部の奏者の音に偏っているような気がします。これは少々残念なところです。
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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
セーゲルスタム:交響曲第288番“Letting the FLOW go on...”
レイフ・セーゲルスタム指揮/トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
The Turku Concert Hall on 205 November 2015 & 4-7 January 2016
ABCD 390 (P)2016 ALBA classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ブラームスの4つの交響曲とセーゲルスタムの新作交響曲4曲を収録していくというプロジェクトの第1弾。ちょっと怖いもの見たさで聴いてみました。聴いてみると...予想に反して(^^; 意外にもきわめて真っ当な演奏でした。全体にゆったりしたテンポですが,音楽は緩むことなく充実した響きをオーケストラから引き出しています。特徴があまりないとも言えますが,癖のない中庸な演奏として良いのではないでしょうか。

セーゲルスタムの交響曲は...ノーコメントということでご勘弁を(^^;。

そして録音ですが,個々の楽器の音色を素直に,そして明瞭に質感良く捉えており,残響感はあるものの鑑賞の邪魔になるようなことはなく,トータルとしてよくまとまった好印象の録音です。低域から高域まで自然に伸びており,締まったサウンドが魅力です。少し甘いですが四つ星半です。
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フェスカ:弦楽四重奏曲全集 第1集
ディオゲネス四重奏団 Diogenes Quartett
Bayerischer Rundfunk, Studio 2, October 18-20, 2007, June 3-5, 2009, July 7-9, 2010
cpo 777 482-2 (P)2013 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

マイナーな弦楽四重奏曲を聴くシリーズ第12弾!!です(^^;。Apple Musicでの試聴です。秘曲の宝庫(^^;,cpoレーベルのディスクです。

フリードリヒ・エルンスト・フェスカ(Friedrich Ernst Fesca 1789-1826年)は,ドイツのヴァイオリニスト,作曲家。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のヴァイオリン奏者であり,ソロ・ヴァイオリニストとしても名を馳せていたようです。作曲家としては弦楽四重奏等の室内楽曲に優れた作品を残したほか,交響曲も3曲残しているようです(以上,Wikipediaより)。作品は古典的でメロディーラインが美しい佳作揃いのように思いました。マイナーですが,もう少し聴かれても良いのではないかと思いました。クロイツェル四重奏団の演奏も,技術的にも上手いですし,アンサンブルも問題なく,このマイナーな楽曲を楽しむに全く不足のないパフォーマンスを発揮しています。

録音ですが,やや残響を伴っていて音色に影響が多少あり,少し演出感もあるものの,各楽器は明瞭で質感も豊かであり,音に伸びもあります。弦楽四重奏の録音として標準的であり,欠点が少なく良くまとまっていると思います。個人的にはもう少しすっきりとした音で録って欲しかったと思いますが,十分に良好です。少々オマケですが四つ星半です。

本ディスクは3枚組で,第1番,第2番,第3番,第7番,第8番,第9番,第13番,第14番が収録されています。第1集とのことですが,続編はまだリリースされていないようです。これも頓挫したのでしょうか...これは完結して欲しいところです。

ディオゲネス四重奏団の公式Webサイトがあります。ディスコグラフィを見ると,先日取り上げたブルッフの弦楽四重奏曲集のほか,シューベルトの弦楽四重奏曲全集もあるようです。また,他にもマイナーな四重奏曲を録音しているようですので,それらもいずれ聴いてみたいところです。
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ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第2集
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
ヘルマン・ボイマー指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

Großer Sendesaal, NDR Hannover, March 31 - April 4, 2014
cpo 777 846-2 (P)2015 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第1集が良かったヴァイトハースのブルッフ,第2集も聴いてみました。収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
セレナーデ イ短調 作品75
アダージョ “イン・メモリアム” 作品65

ヴァイオリン協奏曲第1番は有名ですが,他の2曲は初めて聴く曲です。ヴァイトハースの演奏は第1集と同じく美しく情感に溢れています。奏者の個性が強く前面に顕れることはなく,ヴァイオリンの素晴らしさ,これらの曲の素晴らしさを素直に表現した普遍的な魅力を持った演奏ではないかと感じます。確かな実力を持った中堅ヴァイオリニストらしい好演奏だと思います。

録音も第1集と同様で,ヴァイオリンの美しい音色を堪能できますし,オーケストラとのバランスも適正範囲内です。残響感も適度であり,音色をくすませたり明瞭度を落としたりすることがありません。やはりもう少しソロにフォーカスして欲しいとは思いますが。

これは本当に第3集が楽しみです。
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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
イザベル・ファン・クーレン Isabelle van Keulen (Violin)
ハンネス・ミンナール Hannes Minnaar (Piano)
2014年8月30日~9月5日,ベルギー,メヘレン,Motormusic Studio
CC72650 (P)(C)2014 Challenge Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

オランダを代表するヴァイオリニストの一人,イザベル・ファン・クーレンが2014年に録音したベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集。比較的好みの録音が多いChallenge Classicsのディスクを物色していて見つけました。

モダン楽器による演奏ですが,大胆にピリオド的な奏法を現代的な感性で取り入れた極めて個性的な演奏と思いました。楽器を存分に鳴らし切るような弾き方ではなく,モダン楽器の良さをあえて殺しているようなところもあるので,モダン楽器が好きな私としては少し微妙でもどかしさを感じるところもあります。一般的な評価も大きく分かれそうな演奏です。とはいえ,もちろん技術的には優れていますし,一つのポリシーを貫いた演奏として楽しむことが出来ますね。

それで肝心の録音なのですが,ヴァイオリンもピアノも直接音を主体に透明感のある綺麗な音色で録られているのでかなり良い印象です。この点は期待通りで好録音と言えます。バランスとしてヴァイオリンが対等からやや弱めに感じられ,少し距離感もあるので,もう少し近寄って質感高く捉えてくれていれば文句なしだったのですが,惜しいところです。
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ブルッフ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集 第1集
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
ヘルマン・ボイマー指揮
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

Großer Sendesaal, NDR Hannover, June 24-28, 2013
cpo 777 833-2 (P)2014 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

バッハの無伴奏ヴァイオリンが素晴らしかったので他の演奏も聴きたくなり見つけたのがこのブルッフのディスク。収録曲は次の通りです。

ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調作品44
スコットランド幻想曲作品46
アダージョ・アパッショナート作品57

ヴァイオリン協奏曲第2番は第1番に比べるとずっと演奏される機会が少ない曲で,実は私も聴くのが初めてなのですが,作品としては別に劣っているわけでもなく,もっと演奏されても良いのではと思いました。そしてこのヴァイトハースの演奏は,期待に違わぬ美しく情感豊かな佳演だと思いました。技術的にも万全です。

録音ですが,協奏曲らしくソロ・ヴァイオリンを明瞭かつ美しい音色で捉えており,またオーケストラもソロを邪魔しない絶妙のバランスで,広がりとスケール感のある録り方で収められています。多少の残響感はありますが,悪影響は最小です。ヴァイオリン協奏曲の録音としてかなり良いと思います。個人的にはソロをもう少しフォーカスしても良かったのではないかと思うのですが,誇張のない自然なバランスなので,これでも十分納得できます。cpoレーベルの録音は比較的私の好みに合うものが多いと思います。

このディスクはブルッフのヴァイオリンと管弦楽のための作品全集のVol.1とのことで,続編として有名なヴァイオリン協奏曲第1番を収めたVol.2がすでに発売になっています。今後ヴァイオリン協奏曲第3番を収めたVol.3がリリースされるのではないかと期待しています。
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ハイドン:ピアノ・ソナタ集
エイナフ・ヤルデン Einav Yarden (Piano)
2015年12月3-5日 オランダ,スキーダム,ウエストフェスト教会
CC72742 (P)2016 Challenge Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているハイドン音盤倉庫で紹介されていたディスク(有り難うございます!)。録音が良いとのコメントに釣られて聴いてみました。演奏についてはハイドン音盤倉庫をご参考にしていただければと思います。収録曲は下記の通りです。

ピアノ・ソナタ第44番 ヘ長調 Hob.XVI:29
ピアノ・ソナタ第39番 ニ長調 Hob.XVI:24
ピアノ・ソナタ第40番 変ホ長調 Hob.XVI:25
ピアノ・ソナタ第41番 イ長調 Hob.XVI:26
ピアノ・ソナタ第46番 ホ長調 Hob.XVI:31
ピアノ・ソナタ第47番 ロ短調 Hob.XVI:32

ということで,今回は録音についてのコメントです。ピアノの楽器自体の響きを適切な距離感で明瞭に捉えた好録音です。残響感はほとんどなく,録音会場の響きが少しのっていて音色にわずかな色を付けていますが,気になるほどではありません。個人的にはもう一歩寄って録音会場の響きの比率を抑え,明瞭感と質感をもう少し強くして欲しかったとは思いますが。一般的にはこれくらいが受け入れられやすいのではないかと思います。

ということで,ピアノの美しい響きを楽しませてもらおうと思います。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲K. 387, K.465
モーツァルト:アダージョとフーガK. 546
シネ・ノミネ四重奏団 Quatuor Sine Nomine
Claves CD 50-9903 (P)(C)1999 Claves Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

シネ・ノミネ四重奏団のモーツァルトをもう一つ。ハイドンセットから2曲を収録しています。録音年は不明ですが,1990年代後半ではないかと思われます。Apple Musicでの試聴です。

活気があって情緒感豊かなのはベートーヴェンの中期弦楽四重奏曲集と同じです。演奏にキレがあり,アンサンブルも良いですね。この四重奏団の最も脂ののった充実した時期の録音の一つではないでしょうか。

そして録音なのですが,残響感がややあるものの,それぞれの楽器を質感良く捉えており,明瞭で音色も自然,高域の伸びもまずまず良好です。残響の影響で音色は少しくすんでいますが,十分許容範囲です。弦楽四重奏の録音としてかなり良い出来だと思います。

このディスク,廃盤になってから久しいようでやや入手しづらい盤です。Apple Musicで聴けるほか,Amazon.co.jpでもMP3で配信されています。このように廃盤のディスクが聴けるのは本当に有り難いことです。
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ホルスト:組曲「惑星」
佐渡裕指揮/NHK交響楽団
2005年6月27日 東京オペラシティ コンサートホール タケミツメモリアル
第21回<東京の夏>音楽祭2005におけるライヴ録音
AVCL-25509 (P)(C)2005 AVEX ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

この鳴りっぷりの良さ,ライヴとは思えない巧さはさすがN響です。そしてこの録音がまた良いのです。残響を抑えたややデッドな録音ですが,個々の楽器の質感をよく捉えており,キレの良い締まった,そしてスケールの大きいサウンドも良いです。演出感のない生録的な自然さも特長ですが,どこか吹奏楽コンクールの録音を聴いているような感じもあってクラシックの録音らしくないので,あまり評価されないかもしれません。私は好きですが。

これはなかなか楽しめました。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第5番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553346 (P)(C)2016 Deutschlandradio/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 抑制の効いた演奏ながら,緩急強弱を巧みに活かした表情豊かな演奏です。 透明感の高い音色の美しさ,和音の溶け合った響きの美しさ,隅々まで神経の行き届いた完成度の高さは本当に素晴らしいです。 これぞモダン楽器の表現力をフルに活用した,現代的に洗練された演奏と言えるのではないかと思います。 全集の完成が楽しみです。

録音ですが,わずかに残響を伴いながらも楽器音を邪魔するほどではなく, 明瞭さ,音色の自然さ,透明感などどれをとっても満足できるレベルで仕上げられています。 もう少し質感を強調しても良いかとは思いますが,これでも十分良いと思います。 第1弾の録音よりもずっと良いと思います。

本ディスクは,バッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作の第2弾。 以下に,2014年12月23日の第1弾のレビューを併記しておきます。

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番,第2番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
X 2012, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553320 (P)(C)2014 Deutschlandradio/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

音楽の流れが極めてスムーズで,和音の響きも大変美しく,フレージングもきめ細やかにコントロールされています。 卓越した技術と表現力で完成度の高い音楽に仕上げています。 主張の強い演奏ではありませんが,誇張のない自然さが魅力の素晴らしい演奏だと思います。

録音ですが,残響はやや多めで,音色を損なっていて,音楽性にあまり寄与していません。 それでも高域の伸び感はあり,まあ何とか我慢の範囲内ではあるのですが, 中低域の充実感がなく,実在感が希薄で質感に乏しいこぢんまりとした録音になってしまっています。 悪くはないものの,美しい音色を活かす透明感のある録音でないのが本当に残念でなりません。

ヴァイトハース氏は,アルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者。 バッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作の第1弾とのこと。 完結が楽しみです。

(記2014/12/23)
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ベートーヴェン:交響曲全集
サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2015年10月 ベルリン,フィルハーモニー
BPHR 160091 (P)(C)2016 Berlin Phil Media GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考; Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineiconベルリン・フィル・レコーディングス

本パッケージは以下のものから構成されています。

(1) CD 5枚

(2) Pure Audio Blu-ray Disc
 2.0 PCM Stereo 24-bit/96kHz
 5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit/96kHz

(3) Concert Video Blu-ray Disc 2枚
 Full HD 1080/60i - 16:9
 2.0 PCM Stereo
 5.0 DTS-HD Master Audio

(4) High-Resolution Audio Download Code
 Stereo 24-bit/96kHz WAV/FLAC
 Stereo 24-bit/192kHz WAV/FLAC
 5.0 Surround 24-bit/96kHz FLAC
 5.0 Surround 24-bit/192kHz FLAC
 ※全てのファイルを何度でもダウンロード可能

同シリーズは以前にシベリウスの交響曲全集を取り上げていました。高価なセットなので入手をためらっていたのですが,サンプル音源の音質が意外に良かったので思いきって入手しました。盛りだくさんな内容なのは良いのですが,この豪華で大きなパッケージは私にとってはちょっと邪魔で閉口しますね(^^;。

楽譜はベーレンライター版/ジョナサン・デル・マー校訂版を用いているとのことです。弦楽器を若干刈り込んでコンパクトで機動力を発揮できる編成とし,贅肉をそぎ落としたスリムで力強い表現で躍動感のある演奏を実現しています。響きは厚いのにビシッと揃っていて重くない,良い意味でベルリン・フィルらしくないと思いました。なおかつ全体に癖のない表現なので,スタンダード路線の高水準の演奏として長く聴き続けられそうな気がしています。

そして録音も響きを抑えてこの機動力に富んだ演奏を克明に見通しよく捉えています。特に中低域が量感がありかつ引き締まっているのが良いと思います。一方,もう少し高域に伸びが欲しかったところですが,まあこれでも十分に良好と言えるでしょう。

シベリウスの録音と聴き比べてみて,実はそれほど変わりがない録音ではないかと思ったのですが,こちらの方が数段良く聴こえるのは曲の違い,編成の違いによるものなのかもしれません。シベリウスの方も再評価してみようかと思います。

ということでちょっとばかり高価なセットでしたが,演奏も録音も良く,それなりの価値があったと思いました。

このシリーズでは,他にシューマンの交響曲全集もあり,サンプル音源を聴く限り録音もなかなか良いので入手を検討しなければ,と思っています。あと,アーノンクール指揮のシューベルトの交響曲全集も... 録音が良いと音楽を心底楽しめますね。録音は本当に大事だと実感しました。

あと蛇足ですが,ベルリン・フィル・レコーディングスのページを見ると,ハイレゾのダウンロード音源だけ購入するということも出来るようですね。

(記2016/08/06)


ダウンロード音源で気がついたのですが,24-bit/96kHzのFLACを聴いたところ,例えば第5番の第3楽章から第4楽章の境目,第6番の第3楽章から第5楽章の間の楽章間,第9番の第4楽章の分割されているところの境目で,ギャップレス再生をしてもプチッという異音が入ります。WAVと192kHzのFLACは大丈夫のようでしたので,96kHzのFLACだけの問題のようです。

もう少し調べてみると,96kHzのFLACは同WAVに比べて約232ms短いことがわかりました。最後の部分がわずかにカットされてしまっているようです。そのために楽章間のつなぎ目で不連続が発生し,異音につながっているようです。

編集上のミスがあるように思います。正常に聴ける音源も提供されているので異音回避は可能なのですが,もう少し気をつけて音源を提供して欲しいものです。

(追記2016/08/07)
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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90
クララ・シューマン:歌曲集
ジョン・アクセルロッド指揮/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
2013年10月,12月 ミラノ・オーディトリウム
TELARC TEL-34659-02 (P)(C)2014 Concord Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
クララ・シューマン:歌曲集
ジョン・アクセルロッド指揮/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
2013年3月,6月 ミラノ・オーディトリウム
TELARC TEL-34658-02 (P)(C)2013 Concord Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

それぞれ2枚組でディスク1枚に交響曲が1曲ずつ収められており,フィルアップとしてクララ・シューマンの歌曲が収録されています(歌曲は未聴)。

演奏は至極オーソドックスであり,やや遅めのテンポで重厚なブラームスのイメージをそのまま表現したかのような演奏です。やや印象の残りにくい演奏ではありますが,しかも締めるところはきちんと締めていて,中庸の良さを持っていると思います。そういう点で良くまとまった演奏だと思います。なお,第1番~第3番の第1楽章の提示部のリピートはすべて実行されています。

そして録音ですが,いわゆるピラミッド型の帯域バランスでサウンドのスケール感が大きく,また,個々のパートの質感も結構しっかりと捉えられているので,密度の高い録音ながら混沌とすることのない良好な仕上がりとなっています。残響は多めですがあまり気になりません。このような録音なので,バランスとしてややヴァイオリンが小さめなのと,全体の見通しはあまり良くないのが個人的には惜しいと思うところですが,それほど大きな欠点ではありません。

テラークの録音は好ましく思うものが少ないのですが,満点ではないにせよこれはかなり良好な方に入ります。
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シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
ユリア・フィッシャー Julia Fischer (Violin)
マーティン・ヘルムヘン Martiin Helmchen (Piano)
2009年1月3-5日,7月3-5日 オランダ,ファルテルモント
PTC 5186 519 (P)(C)2014 PENTATONE MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

シューベルトのヴァイオリン曲はLPの時代にヤープ・シュレーダー/クリストファー・ホグウッドの演奏を聴いていましたが,それ以降全く聴くことなく今に至っていたように思います。久しぶりに聴きたくなり,イブラギモヴァにするか,このフィッシャーにするか迷った挙げ句,このディスクを選びました。

力強くメリハリのある演奏なのにあくまでも上品で繊細であり,綺麗にまとめているのはさすがです。強い印象を残す演奏ではありませんが,元々そんな曲でもありませんし,このような控え目で整った演奏で聴くのも良いものです。

録音ですが,少し残響はあるものの,楽器音主体に明瞭に捉えていて好印象です。少しマイク距離があるのか,質感は弱めで,もう少し寄って質感を強めに出しても良いのでは,と思います。ピアノはヴァイオリンよりも多めに響きが取り入れられ,音像も大きめで,ヴァイオリンを浮き立たせる効果はあるものの,こちらももう少し寄ってキリッと締まった音で録って欲しかったところです。

とまあ不満は残るものの,それでもヴァイオリンとピアノの録音としては良い方だと思いますので,少しオマケですが四つ星半としました。

この録音は,過去分売で発売されていたものが,1セットにまとめられて再発売となったもののようです。演奏も録音も良いので,シューベルトのヴァイオリン曲は当面このディスクで楽しませてもらおうと思います。
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シベリウス:弦楽四重奏曲ニ短調作品56 "Voces Intimae"
シベリウス:弦楽四重奏曲イ短調JS183(1889)
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
22,01-24,01,2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1957-2 (P)(C)2016 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ライプツィヒ弦楽四重奏団はMDGレーベルに多数の録音をしていて,このブログでも,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集モーツァルトのハイドンセットハイドンのエルデーディ四重奏曲から3曲などを取り上げてきました。オーソドックスながら上品で流麗な演奏をする四重奏団として注目している団体の一つです。

シベリウスの弦楽四重奏曲といえば,フィッツウィリアム四重奏団の圧倒的な名演奏があるので,どうしてもそれと比較をしてしまいます。この演奏は随分と明晰であり,そして明るさがあります。随分と印象が異なります。そして,この曲にはフィッツウィリアム四重奏団の演奏ではわからなかった別の魅力があることも教えてくれました。良い演奏だと思います。

録音ですが,わずかに残響感があるものの,直接音を主体に明瞭に録られているので好印象です。音色も自然ですし高域の伸びもあって気持ちよく聴けます。地味な録音かもしれませんが,弦楽四重奏の録音としてまずまず良好です。このように録ってくれればほぼ不満は感じません。
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Eleven Small Rubbishes
南澤大介 Daisuke Minamizawa (Acoustic Guitar)
Big South Valley Music BSV-1182 (2003.01.21)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Big South Valley MusicApple Music
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Milestone
南澤大介 Daisuke Minamizawa (Acoustic Guitar)
Big South Valley Music BSV-1138 (2005.06.05)
好録音度:★★★★☆
参考: Big South Valley MusicApple Music

少し前に2013年にリリースされたObedient Woodsというアルバムを紹介しました。これが良かったので,それ以前のアルバムのうち,Apple Musicで試聴出来るものを聴いてみました。それがここに紹介する2枚のアルバムです。

奇を衒わないベーシックなテクニックのみを使い,優しく温かい音楽が綴られていきます。強い印象を残す曲,ワクワクする曲はありませんが,心に響く佳作揃いです。作曲家・編曲家としてもご活躍ということで,曲作りの巧みさが渋く光っていると思います。一つ一つの曲をなかなか覚えられないのですが,何度も聴きたくなるアルバムです。

録音ですが,Eleven...の方は電気処理で演出されたものもあるものの,全体にアコースティック・ギターの生の響きを素直に捉えた好録音が多いです。Milestoneはほぼ全曲良好な録音です。何気ない録音ですが,これが良いのです。

最後に一つYoutube動画を。アルバムに収録されている曲ではなく,ビートルズのヒア・カムズ・ザ・サンのカバーですが,原曲のイメージそのままにギター曲に仕立てた良い編曲だと思います。原曲に対する尊敬と愛情が感じられますね。お気に入りです。

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲
カペラ・サヴァリア Capella Savaria
June 14-19, 2015 at Bartók Concert Hall, Szombathely, Hungary
HCD 32786-87 (P)(C)2016 Fotexnet Kft (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器による演奏。ハイドンのヴァイオリン協奏曲でソロを務めたジョルト・カッロー(Zsolt Kalló)がディレクションしています。リズムが立った鮮烈な印象を残す演奏で,管楽器のある曲は管楽器のウェイトが大きく,ややガチャガチャと騒々しいです(録音のせいもあると思います)。溌剌として快活なところは良いのですが,もう少し落ち着きと美しさやニュアンスの豊かさが欲しい気もします。

そして録音なのですが,それぞれの楽器をオンマイクで鮮明に録っているような録音なので,明瞭感,解像感,そして分離感は抜群です。その一方で,自然さは失われ,騒々しさを助長しているようにも思います。もう少し適切な距離感で録っていれば自然さと明瞭さのバランスの取れた最高の録音になっていたかもしれません。個人的には結構好きな録音なのですが,上記の理由で他の人に勧められるかというとちょっと微妙かなと思います。
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Obedient Woods
南澤大介 Daisuke Minamizawa (Guitar)
2013年5月リリース
BSV-1202 Big South Valley Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Apple MusicBSV Studio

アコースティック・ソロ・ギターのアルバムをもう一つ紹介します。ディスクはBSV Studioから購入できそうだったのですが,Apple Musicでも聴くことが出来ましたので,まずはこちらで聴かせていただきました。

私は南澤大介さんを全く存じ上げないのですが,作曲家・編曲家として,また,ソロ・ギタリストとしてご活躍とのことで,今までに4枚のギターアルバムをリリースされているほか,ソロ・ギター関連の著作を多数出版されているベテランのギタリスト,音楽家とのことです。

このアルバムは2013年に8年ぶりに制作されたアルバムとのことです。今流行の,というか,近年開拓されたような技巧的な特殊奏法はほとんど用いられず,ほとんどベーシックな奏法で演奏されています。しかしその音楽は優しく大変味わいのある素敵な曲ばかりです。心躍ったり熱くなったりはしませんが,温かい気持ちになれる良質な音楽ですね。

録音ですが,録り方に若干のばらつきはあるものの,アコースティック・ギターの生の音色を活かした,演出感の少ない自然な録り方に好感が持てます。個人的にはもう少しHi-Fi調だともっと良かったのですが,これでも十分に良いと思います。
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エルガー:チェロ協奏曲ホ短調作品85
ドヴォルザーク:ロンド作品94,森の静けさ作品68-5
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲イ長調作品33
ジャン=ギアン・ケラス Jean-Guihen Queyras (Cello)
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮/BBC交響楽団
May 2012, London, BBC Maida Vale Studios
HMC 902148 (P)(C)2013 BBC/harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

考えてみると私はチェロ協奏曲をほとんど聴きません。そんな中で辛うじて聴いているのはハイドンとこのエルガーくらいでしょうか。ケラスの独奏ということでこれは聴かなければ!と買うだけ買って埋もれたままになっていたのをやっと引っ張り出してきて聴きました(^^;。

ケラスの巧さはこのエルガーでも最大限発揮されていますね。技術的な巧さはもちろんのこと,美しい高音域,深々とした低音域,歌心あふれる旋律の美しさ,ほんとに素晴らしいです。エルガーのチェロ協奏曲といえばデュプレだったのですが,それに加わる出来といっていいかもしれません。

そして録音ですが,残響は控え目,チェロのソロは若干距離感がありつつも明瞭に捉えられており,オーケストラもソロを邪魔することなく,しかもそこそこ締まった音響で録られていて好感の持てる録音です。特に優秀録音というわけでもなく,どちらかといえば地味に思える仕上げになっていますが,欠点も少ない良好な録音です。
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MY ROOM side 4
ウィリアムス浩子(Vocal),馬場孝喜(Guitar)
December 2014 - February 2016 at u3chi and Aby Studio Japan
BSM010 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ジャズシンガーのウィリアムス浩子さんのマイ・ルーム・プロジェクトの第4弾。今まで第1弾(side 1)第2弾(side 2)第3弾(side 3)と取り上げてきました。今回はゲストプレーヤとして西嶋徹(b),ヤマカミヒトミ(fl)が参加されています。

録音の傾向はside2, side3と同様でした。ここまで入手してみて,録音の好みから言えばside 1が一番良く,side 2以降は結局<普通の>優秀録音に留まってしまったのが残念です。

もちろん音楽そのものは素晴らしく,ウィリアムス浩子さんの素敵なヴォーカルを堪能させていただきました。

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