好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
1992年6月19,20,22-24日 New York,アメリカ芸術文化アカデミー
BVCC-37662-63 (P)1995 Sony BMG (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

4回の全集録音のうちの最後,4回目の録音です。 1992年なので,前回からおよそ8年後,68歳くらいでの録音になると思います。 前回の内向きな演奏に比べると,今回の演奏は,何か吹っ切れたような, 外向きの明るい,そして随分と意欲的な演奏にまた変わっています。 ただ,1960年代以前のような強烈なオーラを放つような演奏ではないので, もの足らなく思う方もおられるかもしれませんが,音楽的にはずっと深まっていると思います。 技術的な衰えもほとんど感じられません。

さて録音ですが,マイクポイントが近めで楽器音を暑苦しいくらいに濃厚に捉えており, 録音レベルも高く,この点では好ましく思います。 音色は少し中域に癖があって,もう少し適切な距離感ですっきりとしていれば良かったと思います。 惜しい録音です。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番,第2番,第3番
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
録音不明(1984年頃?)
SE-CD 300A (P)1984 Sefel Records (輸入盤)
好録音度:★★★★

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バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番,第5番,第6番
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
録音不明(1984年頃?)
SE-CD 300B (P)1984 Sefel Records (輸入盤)
好録音度:★★★★

CD試聴記」からの転載記事です。

4回の全集録音のうちの3回目の録音です。 1984年頃の録音で,同氏の60歳の節目で録音されたものと思われます。 カナダのSefel Recordsというマイナーレーベル?への録音です。

2回目の全集の録音からおよそ20年後の録音ということになりますが,前回の録音に比べると全く印象が異なります。 前の演奏は「剛」という印象でしたが,これは正反対の「柔」です。 20年の月日が経っているとはいえ,同じ人の演奏とは思えない変わり様です。 人に聴かせる演奏というよりは,自分との対話という趣で,至極内省的な印象を受けます。 インパクトは全くなく,個性的な表現もありませんが,バッハと正面から向き合った味わい深い演奏だと思います。

録音ですが,残響は控え目に抑えられ,極めて自然な雰囲気と音色で捉えられていて好感が持てます。 どちらかといえば地味で冴えない印象であり,もう少し抜けよく伸びのある音で録って欲しかったとは思いますが, 演奏の内容にはとてもマッチしている録音だとは思います。

マイナーレーベルのためあまり流通していないようで,入手性が良くないのが残念です。 同氏に期待する演奏とは方向性が少し違うのでは?と思うものの,演奏の出来自体はすごく良いと思うので, 何らかの形で復刻されたら良いのに,と思います。 こういうのこそタワーレコードさんの出番だと思うんですけどね(^^;。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
1963年4月,1965年9月
PHCP-20390/1(432 756-2) (P)(C)1991 Philips Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

4回の全集録音のうちの2回目の録音で,同氏を代表する録音の一つではないかと思います。 ギンギンに楽器を鳴らしてなんの迷いも感じさせない直線的・鋭角的な演奏。 懐の深さや味わいのある演奏ではありませんが,ここまで攻めた演奏をされるとこれはこれで説得力があります。 今となってはこれだけの技術をもってこのような演奏をされる方はほぼおられないのではないかと思うと, これは貴重な歴史の遺産に違いないと思います。

録音ですが,優秀録音で有名なMercuryの録音で,この録音もその生々しい音の捉え方でその一つに数えられると思うのですが, こうして聴いてみると録音場所の響きがやや多めに被っており,マイク位置も離れているようで, 音色はくすみ,ニュアンスも失われているように思いました。 悪くはないとは思うのですが,Mercuryとしてはあまり良くないという印象です。

付属の日本語解説書では次のような記載があります。 「歴史的な録音をCD化するに当たって,制作および技術部門が目標としたのは, オリジナル・テープとフィルム・マスターの音を出来る限り正確に,そして完璧に捉えることだった。 (中略) CD化に当たっては,オリジナルのマスター・テープだけが使用され,実際の録音の時と同じくイコライザーやフィルターを使うことはなく, コンプレッサー,リミターなども一切使われなかった。(後略)」 可能な限りマスターに忠実なデジタル化,CD化が行われたようです。

ちなみに拙ブログの姉妹サイト「CD試聴記」で,1951年の4曲の録音と,1957-59年の1回目の全集録音のレビュー記事を掲載しています。よろしければご参考に。

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ヤーノシュ・シュタルケル Janos Starker (Cello)
1963年4月15日(第2番),1963年4月15,17日(第5番),1965年9月7日(第1番),1965年9月7,8日(第6番),1965年12月21,22日(第3番,第4番) ニューヨーク,ファイン・レコーディング・スタジオ
SSHRS-011/014 (P)1964/1966 Universal International Music B.V. / Stereo Sound REFERENCE RECORD (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Stereo Sound

ステレオサウンド誌の独自企画盤で,音匠仕様レーベルコートのシングルレイヤーのSACD 2枚とCD 2枚の4枚組です。 オリジナルマスターの音を再現することを目指しており,マスターテープから無加工,無修正でデジタル化したもので, そのため,聴きやすくするためのイコライジングやマスターテープに起因するノイズカット,ドロップアウトの修正などもされていないということです。

先に挙げた従来盤と聴き比べてみると,音の鮮度という点では確かに改善が見られました。 また,従来盤にあった左右レベルの微妙なバランス崩れや位相ずれのような違和感も緩和されているように思いました。 一方で,ドロップアウトまでいかないまでもテープの劣化による音の荒れのようなものは逆に目立って聴こえるので一長一短があるようにも思いました。

全体的には改善の方が大きいためこの復刻の価値は十分にあると思いますが, 従来盤もマスターに忠実なデジタル化を目指したものであったため, 改善が明らかとはいえびっくりするほどの差はなく, 従来盤のおよそ4倍程度の値段が妥当かどうかはそれぞれの人の価値観によると思います。 やはりこれはオーディオマニア向けの商品ですね。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
中木健二 Kenji Nakagi (Cello)
2016年7月24-26日 キング関口台スタジオ 第1スタジオ
KICC 1345/6 (P)(C)2016 King Record Co. Ltd. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン・チェロによる演奏。 明るく軽やかであり,どこまでも爽やかな印象を残す好演奏。 技術的にも万全であり,この余裕がこの楽しい演奏を生み出しているのでしょう。 モダン楽器を活かした新しい時代を拓く演奏だと思います。

録音ですが,スタジオで録音したとは思えない残響感が中途半端です。 残響がまとわりついて明らかに明瞭感と質感を阻害しモゴモゴしています。 音楽を豊かに演出する効果はゼロ,音色を濁し不明瞭にする悪影響しか感じません。 明らかにこの素晴らしい演奏に水を差しています。 いったい何のためにスタジオで録音したのか理解に苦しみます。 もし人工的に残響を付加していたとしたら,本当に余計なことをしてくれたもんだと苦情を言いたいです。 演奏が良いだけに辛めの評価とさせていただきました。 本当にこの録音は残念です。

解説書によると,中木氏は,東京藝術大学を経て,2003年からパリ国立高等音楽院で錬磨を重ね, スイス・ベルン芸術大学でさらに研鑽を積み,2010年にはフランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団の首席奏者となられ, 2014年に帰国,東京藝術大学音楽学部准教授に着任された,とのことです。

また〈モダン楽器でバッハを弾くこと〉について,「バロック・チェロは弾きません」 「ちゃんと演ろうとしたらモダン楽器を一時辞めないといけませんし,中途半端なバロックは嫌い。 ロマンティックな解釈で演奏はしませんが,ガット弦でピッチを変えて弾く演奏とは一線を引いておきたい。」 と語られたそうです。
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エルガー:チェロ協奏曲ホ短調作品85
ホルスト:祈りH75作品19-2
ウォルトン:チェロ協奏曲
I. ホルスト:無伴奏チェロのための「落ち葉」
スティーヴン・イッサーリス Steven Isserlis (Cello)
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/フィルハーモニア管弦楽団
2014年11月14日,2015年4月10日 ヘンリー・ウッド・ホール
CDA 68077 (P)(C)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

主にエルガーのチェロ協奏曲へのコメントです。イッサーリスのチェロは熱く語りかけるような迫力,繊細かつ力強く張りのある音色が素晴らしいですね。イッサーリスらしさが遺憾なく発揮された躍動感と情緒感に溢れる演奏です。パーヴォ・ヤルヴィのバックもソロをしっかりと支えていますし,このロンドンの曇天を想起させる(^^;モノトーンの印象の強い同曲を階調豊かに描き出していると思います。

さて録音ですが,ソロはやや響きが被って高域の伸びが今ひとつであり,音色がくぐもって聴こえます。オーケストラはソロとは異なる残響感がありますが,ソロを浮き立たせるように後方に広がるため,協奏曲のバックの録音としては悪くないと思います。ダイナミックレンジを自然に保つためか,録音レベルがやや低めに設定されていて,その結果として全体に少し精彩のない音になってしまっているような気がします。総合的には決して悪くはないと思うのですが,いまいち冴えないのは本当に惜しいと思います。

なお,最後に収録されている曲の作曲者であるイモージェン・ホルストは,グスタフ・ホルストの娘さんだそうです。
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エルガー:チェロ協奏曲ホ短調作品85
ドヴォルザーク:ロンド作品94,森の静けさ作品68-5
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲イ長調作品33
ジャン=ギアン・ケラス Jean-Guihen Queyras (Cello)
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮/BBC交響楽団
May 2012, London, BBC Maida Vale Studios
HMC 902148 (P)(C)2013 BBC/harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

考えてみると私はチェロ協奏曲をほとんど聴きません。そんな中で辛うじて聴いているのはハイドンとこのエルガーくらいでしょうか。ケラスの独奏ということでこれは聴かなければ!と買うだけ買って埋もれたままになっていたのをやっと引っ張り出してきて聴きました(^^;。

ケラスの巧さはこのエルガーでも最大限発揮されていますね。技術的な巧さはもちろんのこと,美しい高音域,深々とした低音域,歌心あふれる旋律の美しさ,ほんとに素晴らしいです。エルガーのチェロ協奏曲といえばデュプレだったのですが,それに加わる出来といっていいかもしれません。

そして録音ですが,残響は控え目,チェロのソロは若干距離感がありつつも明瞭に捉えられており,オーケストラもソロを邪魔することなく,しかもそこそこ締まった音響で録られていて好感の持てる録音です。特に優秀録音というわけでもなく,どちらかといえば地味に思える仕上げになっていますが,欠点も少ない良好な録音です。
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バッハ:無伴奏チェロ全曲
フィリップ・ハイアム Philip Higham (Cello)
2014年8月2-4日,11月19-21日,2015年2月2日 セント・ジョージ・ザ・エヴァンゲリスト教会(アッパー・ノーウッド,ロンドン)
DCD 34150 (P)(C)2015 Delphian Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン・チェロによる正統派の演奏。 技術的にも大変上手く,丁寧かつニュアンスが豊かです。 しかし,あまりに真っ当で整いすぎた感があり,かえって印象が薄くなってしまうという, ちょっと損をしているかもしれないと思ってしまう演奏です。 ただ,そんな中で第3番だけがどうしたことかとても意欲的な生命感溢れる演奏で素晴らしく, 全集の中で浮いた存在となっています。 全曲がこのアプローチだったら文句なしだったのですが...惜しいです。

録音ですが,少し残響感があり,また残響が楽器音に被って音色を少しくすませていて正直ちょっと冴えないです。 そんなに悪くはないのですが,もっとクリアーに抜けよく,質感高く録って欲しいところです。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番,第2番,第3番
ニコラウス・アーノンクール Nikolaus Harnoncourt (Cello)
録音不明 (1965年頃?)
8573-81228-2 (P)1965 Musical Heritage Soc. (C)2000 Teldec Classics International GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番,第5番,第6番
ニコラウス・アーノンクール Nikolaus Harnoncourt (Cello)
録音不明 (1965年頃?)
8573-8122ヤ-2 (P)1965 Musical Heritage Soc. (C)2000 Teldec Classics International GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・チェロによる演奏。 第6番はもちろん5弦のチェロ・ピッコロ。 (P)から1965年頃の録音かと思います。 原点に立ち戻るかのような,何ともシンプルな演奏。 素っ気ないほどに無骨だけど力強い。 現代のバロック・チェロによる演奏とはだいぶ違いますが, バロックの先駆者の演奏として大変興味深いです。

録音ですが,残響感はないものの,生録的で,録音している部屋の響きが結構入っていて, 録音場所の雰囲気はおおいにあるものの,音色は損なわれていてあまり良いとは言えません。 演出感が全くないという点では良いのですが...もう少し何とかならなかったのかなとは思います。

今年3月5日に亡くなられたアーノンクール氏がまだウィーン交響楽団のチェロ奏者を務めておられた頃の録音だと思います。古楽アンサンブル「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」を結成されたのが1953年とのことですので,この演奏はその古楽研究の初期の一つの成果として録音されたのではないでしょうか。

ディスクは現在はすでに廃盤で入手しづらいのが残念です。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番,第3番,第4番
ヨアヒム・エイランダー Joachim Eijlander (Cello)
7-9 October 2014, Doopsgezinde Kerk, Haarlem
NC15003 (C)2015 Navis Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番,第5番,第6番
ヨアヒム・エイランダー Joachim Eijlander (Cello)
31 August - 3 September 2015, Doopsgezinde Kerk, Haarlem
NC15007 (C)2015 Navis Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

丁寧で軽く柔らかいタッチが特徴,落ち着いた演奏です。 力強さはあまりないので印象はやや薄いのですが, 無理せず自己の技量の範囲で,優しく品のある音楽を作り上げていると思います。

録音ですが,残響が多めで楽器音に被り気味,音色がややくすんでいます。 指板をたたく音まで入っているような録音でありながら,下支えが希薄で少し捉え方が弱いようにも感じます。 もう少し直接音主体にしっかりと録って欲しいところです。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
アンリース・シュミット Annlies Schmidt De Neveu (Cello)
Recorded in 1957-1958
CDSMAC024 (P)(C)2015 Spectrum Sound (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

LPからの復刻盤(原盤 German TELEFUNKEN LT 6626-8 ED 1 LP)です。

超インテンポの快感とでもいいましょうか,全く揺らぎのない超快速演奏が素晴らしい効果を発揮しています。 世の中の数多の演奏がいかに表現に苦心しテンポの揺らぎでそれを豊かに表現しようとしているのか,逆にそれがよくわかります。 このような演奏をする人が他に全く現れないのが不思議といえば不思議なのですが, バッハ演奏の可能性として,こんな単純明快な解があることに驚きを禁じ得ません。 こんなに古い演奏から無限の可能性があることを教えてもらうとは!

モノラルLP盤からの板起こしディスク。 古い盤の板起こし特有のノイズがあり,絶対的なクオリティはそれなりではあるものの,かなり良い状態で復刻されています。 多少のばらつきはあるものの,元々の録音が残響を控えた明瞭なものなので, 鑑賞には十分堪えうるというのが本当に有り難いことです。

本ディスクと同じ演奏のディスク(forgotten recordsレーベル)を2010年にレビューしていました。前回とだいぶ印象が異なりましたので,CD試聴記にその記事も残しています。よろしければご参照ください。

なおforgotten recordsの復刻よりも,こちらの復刻の方がより鮮明で聴きやすいです。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
マルック・ルオラヤン=ミッコラ Markku Luolajan-Mikkola (Baroque Cello)
Church of St Catherine, Karjaa, Finland, 9-12 September 2013 and 5-8 May & 16-19 June 2014
CKD 548 (P)(C)2015 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・チェロによる演奏(a'=415Hz)。 原曲より五度低い調に下げて弾いています。 チェロで低い音にシフトしている上に五度低い音程で弾いているので,ものすごく重心が低く沈み込んだ音楽に聴こえます。 かなり健闘されてはいるのですが,早いパッセージでのキレの悪さ,不安定さがあるのは楽器のハンデでしょうか。 パッセージによってはモゴモゴとしてよくわからなくなるところもあります。 バロック・チェロの発音の立ち上がりの遅さにも起因しているのかもしれません。 聴き慣れてくるとだんだんおもしろさがわかってくるのですが...それでもやっぱりちょっと苦しいですね。

録音ですが,残響がかなり多く,楽器音に被って音色を大きく損なっていますし,明瞭感もかなり落ちています。 モゴモゴして混沌としてしまう原因はこの録音にもあると思います。 そして少し歪みっぽいようにも感じます。 Linn Recordsらしい雰囲気があるのはわかるのですが,こういう演奏ほどくっきりと録って楽器のハンデをカバーすべきと思うのですが。
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ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集
グザヴィエ・フィリップ Xavier Phillips (Cello)
フランソワ・フレデリック・ギィ François-Frédéric Guy (Piano)
2015年1月 メス,アルセナル
Evidence EVCD015 (P)2015 Little Tribeca / Evidence Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

少し前にApple Musicで試聴して記事にしていましたが,やっとディスクを入手しました。やっぱりこれはいいですねぇ。演奏も録音も惚れ惚れします(^^;。しばらくじっくりと楽しませてもらおうと思います。


Apple Musicでの試聴です。

颯爽としてとても清々しさを感じる演奏で,深々とした低弦の響きから伸びのある高音まで魅力ある音色が本当に素晴らしい! 力強くキレの良いタッチのピアノも良いと思います。ベートーヴェンのチェロ・ソナタでこんなワクワクする演奏に出会うとは! 思いもしませんでした。

録音ですが,わずかに残響はありますが,楽器音を適度な距離感で明瞭に捉えた好録音で,音色も自然であり,欠点の少ないバランスの良い録音だと思います。

演奏も録音も気に入りました。今回はApple Musicでの試聴ですが,これはディスクを入手しなければなりません(^^;。愛聴盤候補になりました。

(記2016/01/16)
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レントヘン:ヴァイオリン協奏曲集
リーザ・フェルシュトマン Liza Ferschtman (Violin)
ダヴィト・ポルセリーン指揮/ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団
Ludwigshafen, Philharmonie, April 13-18, 2009
cpo 777 437-2 (P)2011 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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レントヘン:チェロ協奏曲全集(第1番~第3番)
グレゴール・ホルシュ Gregor Horsch (Cello)
ダヴィト・ポルセリーン指揮/オランダ交響楽団
Enschede Musikzentrum, June 2006
cpo 777 234-2 (P)2013 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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レントヘン:ピアノ協奏曲第2番,第4番
マティアス・キルシュネライト Matthias Kirschnereit (Piano)
ダヴィト・ポルセリーン指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー
Großer Sendesaal, NDR Hannover, May 5-9, 2008
cpo 777 398-2 (P)2011 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

秘曲の宝庫!?(^^;,cpoレーベルから。Apple Musicでの試聴です。未知の作曲家の協奏曲を聴いてみました。

ユリウス・レントヘン(またはレントゲン Julius Röntgen 1855-1932)は,オランダで活躍したドイツの作曲家,音楽教師で,ブラームスとも交流があり,ブラームス本人の指揮でピアノ協奏曲第2番を演奏したり,アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の創設にも尽力したとのこと。交響曲18曲,ピアノ協奏曲7曲,ヴァイオリン協奏曲3曲,チェロ協奏曲3曲,弦楽四重奏曲22曲,などを含め,600曲を越える作品を残したとのことです(以上,Wikipediaより)。

今まで全く名前すら知らなかった作曲家の作品ですが,美しくロマンティックなメロディが溢れる佳作揃いで聴き応えがあります。まだ聴き始めたばかりなのでもう少しじっくりと楽しみたいと思っています。交響曲の録音もいくつか出ていますので,こちらも聴いてみようかと。弦楽四重奏曲も多数残しているようですが,こちらの方はまだ録音を見つけられていません。個人的にはもう少し評価されても良い作曲家ではないかと思っております。

録音ですが,協奏曲の録音として標準的であり,オーケストラに対してソロが明瞭に聴こえる点が良いと思います。特に優れているという感じではないのですが,欠点が少ないという点でまずまずの好録音だと思います。

私にとってApple Musicはこういう未知の楽曲との出会いをサポートしてくれる強力なツールです。そしてcpoレーベル,いいですねぇ。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
マット・ハイモヴィッツ Matt Haimovitz (Cello)
2015年4月 芸術文化アカデミー(ニューヨーク)
PTC 5186555 (P)2015 Pentatone Music (C)2015 Oxingale Production (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・チェロでの演奏。 タイトルが“THE CELLO SUITES According to Anna Magdalena ”とありますので, アンナ・マグダレーナの写筆譜に従った演奏のようです。 ただし,第1番Gigueの写筆譜には存在する32小節目の半拍しかない小節はやっぱり省略されていますね...

持ち前の技術力の高さを活かした大胆で闊達な演奏。 吸い付くような弓遣いによる起伏が大きいフレージングが印象的です。 粘りのあるニュアンスに富んだ音色も素晴らしいです。 バロック楽器とのことですが,ざらつきのあるガサガサした音色は確かにバロック楽器のそれなのですが, 音楽自体はむしろモダンな印象を残します。

録音ですが,残響は多めで楽器に被り気味,ややモゴモゴとして伸びのない,濁った精彩に欠ける音になってしまっています。 演出感もかなり感じられます。 許容範囲だとは思うのですが,もっとすっきりと,そして生々しく録って欲しかったと思います。

本ディスクはハイモヴィッツ氏2回目の録音。 楽器は,ゴフリラー(1710)とチェロ・ピッコロコルマー(18世紀)を使用。 調律はA=415Hz。
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シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D821
フランク:チェロ・ソナタ イ長調
ストラヴィンスキー:イタリア組曲
タチアナ・ヴァシリエヴァ Tatjana Vassiljeva (Cello)
パスカル・ゴダール Pascal Godart (Piano)
2003年12月 パリ
4761279 (P)2004 Accord (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ハイドンのチェロ協奏曲の上品で美しい音色の演奏が良かったヴァシリエヴァが2003年に録音していたアルバム。フランクはヴァイオリン・ソナタの編曲です。やはりここでも持ち前の美音を活かした清楚な演奏を聴かせてくれます。演奏もさることながら,音色自体に魅力があるというのは素晴らしいことだと再認識をさせてくれますね。

録音ですが,残響を控えめに,ヴァシリエヴァの美しい音色を色づけなく明瞭に,綺麗に,質感豊かに録っています。距離感も適切でごく自然なところが好ましいです。残響に邪魔されずチェロの音色を堪能できるのがうれしいですね。地味ですが好録音です。
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タチアナ・ヴァシリエヴァ・セット~ハイドン,ショパン,アルカン
タチアナ・ヴァシリエヴァ Tatjana Vassiljeva (Cello)
MIR 288 (C)2015 MIRARE (輸入盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これは下記の既発売の2つのディスクを単に1つのボックス入れてセットにしたものです。2015年12月現在の価格で1,600円を切っていますので,かなりお買い得ですね(^^。聴きたかったのはハイドンのチェロ協奏曲なのですが,こちらのセットの方が1枚買うより安かったのでこれを選んだ次第です。

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ショパン:チェロ・ソナタ ト短調 作品65
ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ ハ長調 作品3
アルカン:演奏会用ソナタ ホ長調 作品47
タチアナ・ヴァシリエヴァ Tatjana Vassiljeva (Cello)
ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ Jean-Frederic Neuburger (Piano)
Enregistrement réalisé par Cécile Lenoir en septembre 2009
MIR 107 (C)2010 MIRARE (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.VIIb-1
ハイドン:チェロ協奏曲第2番ニ長調 Hob.VIIb-2
モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K.201
タチアナ・ヴァシリエヴァ Tatjana Vassiljeva (Cello)
オーギュスタン・デュメイ指揮/ワロニー王立室内管弦楽団
Enregistré Salle Colonne à Paris les 10, 11, et 12 novembre 2012
MIR 220 (C)2013 MIRARE (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ヴァシリエヴァは1977年生まれのロシア出身のチェリスト。数々の国際コンクールでの入賞歴があり,2001年のロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールでは優勝もしているとのことです。すでにバッハ無伴奏チェロ組曲も録音しており,素晴らしい演奏を聴かせてくれました(レビューはこちら)。

この人のチェロの音色は本当に雑味がなくて美しいです。チェロでこのような音色を出せる人は本当に限られているように思います。ハイドンの協奏曲はこの美音を活かしたニュアンス豊かで気品ある上質の音楽を聴かせてくれます。上品すぎてインパクトには欠けますが,彼女の場合はそれで良いのです(^^。

チェロソナタの方はあまり聴かない曲なので,この機会に楽しませてもらおうと思っています。

録音ですが,残響は少し多めですが,オーケストラはふわっとした響きを伴いつつも音色が大きく損なわれることなく聴こえてきますのでまずまず良好,ソロは少し残響の被りによる音色のくすみが気になります。協奏曲なのでもう少しオーケストラとのコントラストをはっきりさせて,一段明瞭にして欲しいところです。せっかくの美音が損なわれていて少々残念です。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
安田謙一郎 Ken-ichiro Yasuda (Cello)
Yokosuka Bayside Pocket, Yokohama, 16th-18th April 2015
MM-3053-54 (P)(C)2015 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
CD試聴記」からの転載記事です。

朴訥とした語り口の温かく優しい音楽が印象に残ります。 歳を重ねた結果辿り着いた境地とでも言いましょうか。 音楽として決して緩むことなく前向きでありながらこの味わい深さをを出せるのはさすがです。 技術的にももちろんしっかりとしているのですが,キレは少し甘くなっているかもしれません。 ただそれは意図的かもしれません。

録音ですが,残響自体は少ないのですが,比較的遅延の少ない反射音が多め,直接音よりもその反射音の比率が高く,音を濁す要因となっています。 またそれによって高域の伸びが阻害され,詰まったモゴモゴとした冴えない音質になってしまっています。 比較的マイク位置は近いと思うのですが,それにしては明瞭感も悪く楽器の質感も損なわれ過ぎです。 もっとクリアで透明感のある音,楽器の質感をストレートに伝えてくれる録音をして欲しいものです。

これは安田謙一郎さん2回目の録音。 1回目は1975年ですので,ほぼ40年ぶりの録音ということになります。 録音の音質については1回目の方がはるかに良好で,好録音でした。 今回,このような音質で録音をされたことがとても残念でなりません。この40年で録音機材は進化しましたが,録音技術は進化するどころかむしろ退化していると思わざるをえません。
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ラフ:ピアノ協奏曲作品185, 春への頌歌作品76
ピーター・アロンスキー Peter Aronsky (Piano)
マティアス・バーメルト指揮/ヨスト・マイアー指揮
バーゼル放送交響楽団
TUDOR 7035 (P)1995 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
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ラフ:チェロ協奏曲第1番,第2番,他
ダニエル・ミュラー=ショット Daniel Muller-Schott (Cello)
ハンス・シュタットルマイア指揮/バンベルク交響楽団
TUDOR 7121 (P)2004 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
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ラフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番,他
ミハエラ・パエッツチ Michaela Paetsch Neftel (Violin)
ハンス・シュタットルマイア指揮/バンベルク交響楽団
TUDOR 7086 (P)2000 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower recordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
弦楽四重奏曲で興味を持ったラフというスイスの作曲家の協奏曲を聴いていました。

ピアノ協奏曲は緩徐楽章の叙情的な曲調が印象的ですし,両端楽章の技巧的で堂々とした音楽も聴き応えがあり,今回試聴した中では一番良かったです。そしてカップリングの春への頌歌作品76(Wikipediaではヴァイオリンと管弦楽の曲とされている)も同様に親しみやすく聴きやすい曲で好印象でした。

次いでチェロ協奏曲。特に第2番が楽しいのですが,どちらも美しい旋律に溢れた佳作だと思います。名手ダニエル・ミュラー=ショットのチェロがこれまた素晴らしい! 深みのある低音から透明感のある高音まで,この人のチェロの音は本当に魅力がありますし,技巧も完璧です。

そしてヴァイオリン協奏曲。どちらも短調ですが,美しい旋律と輝かしい技巧に彩られたこれも良い曲です。録音の加減もあると思いますが,ヴァイオリンがやや線が細く印象が薄いのが残念です。技術的にも上手いのですが。

ラフの音楽は親しみやすいのですが,アクがないため印象に残りにくい面があります。埋もれてしまったのはそのためかもしれません。

録音ですが,ピアノ協奏曲とチェロ協奏曲は,オーケストラのスケール感と,そこから一段浮き上がるソロが心地よく,協奏曲として標準的ながらバランスの良い良好な録音です。

一方ヴァイオリン協奏曲は特にソロが奥まっていて弱く,曲の印象を弱めてしまっています。こぢんまりとして広がり感の弱い点も残念なところです。やはり録音は大切であるということを感じますね。

これらのディスクは入手困難ではないと思いますが時間がかかりそうということもあって,Apple Musicでの試聴しました。こういうマイナーなディスクを聴きたいときに聴けるというのは有り難いです。クラシックファンにとってApple Musicはほんとに宝の山ですね。また,こうやって私たちが聴くことによって,演奏者や著作権者に適正に視聴料が配分され行き渡ることを願いたいです。(→こういうことから,すでに廃盤になったものに関しては,中古ディスクを買い求めるよりもApple Musicで聴く方が良いかもしれない,と考えているところです...)
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イベリカ
アンヌ・ガスティネル(チェロ),パブロ・マルケス(ギター)
2009年4月録音
Naïve V5182 (輸入盤) ※Apple Musicでの試聴
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
先日このディスクの感想のリクエストをいただきました。Apple Musicでの試聴であることをご了承ください。

アンヌ・ガスティネルはフランスのチェリスト。ここではファリャ,カサド,グラナドスというスペインの作曲家の音楽をギターとのデュオで演奏しています(ギター独奏も含まれています)。ギターとのデュオというのがこのスペイン音楽にベストマッチです。薫り高く情熱的なガスティネルのチェロを,熱いギターがさらに煽ります。ダイナミックレンジの広い,ニュアンスの豊かな,そして官能的な表情に魅了されます。ハイトーンが多く熱い演奏なのに,この安定感と余裕の表現力,ものすごい技術力です。紛れもないチェロの演奏なのに,チェロであることを忘れて聴き入ってしまいますね。

さて録音なのですが,響きを多めに取り入れ,響きによる雰囲気を重視しているのか,ギターもチェロも少しベールがかかったような演出感があり,ボディ感たっぷりの録音にも関わらず,私としては手が届きそうで届かないもどかしさを感じてしまいます。もう少し近いイメージで楽器の生の質感を大切に録ってくれるとなお良かったのですが。

普段スペイン音楽を聴かない私にとってこのような魅力的なチェロの音楽を聴く機会をくださった読者の方に感謝します。ガスティネルのバッハの録音は以前レビューしたのですが,今改めて聴くとまた違う印象かもしれません。ディスクを発掘できたら再レビューしたいと思います。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
マイケ・ラーデマーカース Mayke Rademakers (Cello)
September 2013 & July 2014, Podiumkerkje, Grevenbichr [NL]
Q14004 Quintone (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Amazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

音楽の流れはなかなか良く,意欲的で躍動感があるところは良いと思います。 技術的にはわずかにキレが悪いのが残念なところです。 第5番までは健闘していますが,第6番はちょっと苦しいです。 また,どのような版の楽譜を用いられているのかわかりませんが, あれっ?と思う聴き慣れない音が何カ所か混じっているのが気になります。 楽譜を読み間違えているということはないと思うのですが...

録音ですが,残響過多というわけではありませんが,響きで楽器音が濁っていて全く冴えない音になってしまっています。 残響が全く音楽的に寄与していません。 私には,残響があった方が良いから入れた,くらいの安易な考え方で録音しているようにしか聴こえません。 好録音とは程遠い残念な録音です。

最後にヤマハのエレクトリック・チェロ(サイレント・チェロ SV-110)を用いた即興的な楽曲が収録されていて, こちらの方が楽しめました。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
藤原真理 Mari Fujiwara (Cello)
2011年12月19-20日,2012年1月23-24日,2月12日,2013年4月4-5日,11月8日 武蔵野市民文化会館 小ホール
NYCC-27275-6 (P)(C)2014 Naxos Japan (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。

藤原真理氏ほぼ30年ぶりの2回目の録音(1回目は1982-84年の録音)。

温かく滋味豊か,それでいてなおかつ音楽がとても弾んでいます。 肩肘張らず力を抜いて思うままに自由に楽しんで弾いておられるように感じます。 技術的にはぎりぎりまで,隅々まで追い込んではいませんので,私としては少しその点が不満として残るのですが, だからこそこのような楽しげな音楽に仕上がっているのかな,とも思います。

録音ですが,指板をたたく音までしっかりと入るような録音で,ボディ感がたっぷりあるところは良いのですが, 飽和感・圧迫感があって音に伸びがなくモゴモゴしていますし,また歪みっぽい音割れのような雑味があるのはいただけません。 機材に問題があったんじゃないかと思ってしまいます。 う~ん...
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ベートーヴェン:チェロとピアノのための作品全集
ジャン=ギアン・ケラス Jean-Guihen Queyras (Cello)
アレクサンドル・メルニコフ Alexander Melnikov (Piano)
2013年10月, 12月 テルデックス・スタジオ(ベルリン)
HMC 902183.84 (P)2014 harmonia mundi (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ケラスはどんな曲でも飛び抜けた高い品位で聴かせてくれますね。このベートーヴェンも本当に素晴らしいです。ニュアンスが豊かで音色はチェロとは思えないほど透明感があります。そして颯爽とした,躍動感溢れる音楽,非の打ち所がありません。私はベートーヴェンのチェロ曲はほとんど聴いてこなかったので何とも言えませんが,同曲の名盤の仲間入りをしてもおかしくないのではないでしょうか。

録音ですが,残響はほとんど感じられませんが,楽器に響きが軽く乗っていて音色に少し色が付いているように感じます。チェロの音像がやや遠めで実在感に乏しく,質感が感じられそうで感じられないもどかしさがあります。また,チェロとピアノのバランスがややピアノ寄りで,ピアノの音像が大きくチェロよりも前に出てきます。チェロの音が聴きたいのに少しピアノが出しゃばりすぎに感じます。もう少しチェロの質感を強く出して欲しかったところです。演奏が素晴らしいだけに,この録音は本当に惜しいと思います。(そんなに悪い録音ではないと思いつつも,やっぱり納得がいかなかったので少し厳しめに書きました。)
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ロッコ・フィリッピーニ Rocco Filippini (Cello)
Volterra, Italy, Persio Flacco Theatre, August 2012
Fonè 125 2SACD (c)(p)2013 Audiophile Productions (iTunes Music Store)
好録音度:★★★★
参考: iTunes Music StoreAmazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

オーソドックスで無理のない落ち着いた味わいのある演奏です。 技術的な衰えがあるのか,弓遣いのキレが少々良くなくモゴモゴしたり粒が不揃いになったりと, この面では不満が多いですが,音程と基本的な音楽の骨格がしっかりとしているため,結構聴けます。

録音ですが,残響を控えめにして楽器音を中心にしっかりと捉えているので私の好みの録音のはずなのですが, なぜかニュアンスや楽器の質感が感じ取りにくく,もどかしさが残ります。 なぜなのか理由がよくわかりませんが,もしかしたら少しオフマイクなのかもしれません。

フィリッピーニ氏2回目の録音(1回目は1988,89年の録音)。 SACDで販売されていたようなのですが,気がついたときにはすでに完売になったのか, どこも在庫がない状態で再入荷の見込みがなさそうでしたのでiTunes Music Storeでダウンロード購入しました。 AAC 256kbpsでした。
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ブログ読者様からの情報で,Hungarotonのサイトでダウンロード販売されていることがわかりました。 これは本当に嬉しい発売情報です。 有り難うございました。ディスクでの再発売ではありませんが,廃盤になってしまった録音がこのようにデータとして手にはいるようになるのは本当に有り難いことです。

販売はMP3とFLACとがあり,FLACは44.1kHz/24bitのデータでした。 価格はFLACで8297フォリントで,2014年10月時点の換算で,およそ3,700円くらいになります。

Hungarotonダウンロード販売ページ

ハンガリー語のページですが,ページの右下隅に英語への切り替えボタンがあります。

2007年に別の読者様からLPをお借りして聴かせていただいたときのレビュー記事をCD試聴記に掲載しておりましたので,ここにこれを転載します。


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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ミクローシュ・ペレーニ Miklós Perényi (Cello)
録音 1981年
SLPX1270-72 (P)1982 Hungaroton (輸入盤) (*LP)
好録音度:★★★★☆
適度に肩の力を抜き,まるでこれを弾くのが日課であるかのように淡々と,あくまで自然に演奏されています。 しかし,その音楽は前向きで意欲的であり,また同時に,味わい深さを持っています。 これは完璧志向の演奏ではありません(細部へのこだわりがあまり感じられません)。 私には八割程度の力で弾いているように感じられます。 だからこそこれだけ余裕のある,懐の深い演奏になっているのではないかと思います。

録音ですが,極めて明瞭度の高い録音です。 音の捉え方としてはかなり理想に近いと思います。 若干の響きが感じられ,わずかながら音色に色がついてしまっていますが, ほとんど無視できるレベルにとどまっています。 弓が限から離れる瞬間の微妙な音のかすれまできっちりと聴こえてきます。 演奏者の味わい深い音色が残響に邪魔されることなく堪能できる好録音です。 このような素晴らしい演奏が,これまた素晴らしい状態で残されたことに感謝します。

今回も,T.Y.さんのご厚意により貴重な演奏を聴かせていただくことができました。 期待に違わぬ素晴らしい演奏でした。 有り難うございました。 演奏者本人がCDによる再発売を許可しないといった話をどこかで見ましたが, 本当にもったいない話だと思います。 CD化を強く強く希望します。

(記2007/12/03)
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アバンダンス Abundance
アラスデア・フレイザー Alasdair Fraser (Fiddle)
ナタリー・ハース Natalie Haas (Cello)
Flying Whale Studio, Grass Valley, California
CUL124D (P)(C)2014 Culburnie Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon
スコティッシュ・フィドラーのアラスデア・フレイザーと,トラッドのチェリスト,ナタリー・ハースのデュオアルバム新譜。おそらく4作目。もう15年以上もデュオとして活動しているとのことです。ナタリー・ハースは正直,技術的にはそこそこですが,クラシックのチェリストはおそらくやらないチョップ奏法を駆使して見事なリズムを刻み,音楽を引き締めています。これが良いんですよね。大好きです。

このアルバムではピアノ,アコーディオン,マンドリンからブラス,パーカッションまで様々なゲストが参加して賑やかでポップなアルバムになっています。また,多重録音も使っているように思います。個人的にはデュオ中心のスコティッシュの薫りのする曲が好きなんですけどね。でも十分に楽しめます。

録音もスタジオで残響なく極めてクリアに録られていて,この点でもすごく嬉しいアルバムです。これもまたクラシックではまずやらないような録音なのですが,室内楽や独奏をこんな風に録ってくれたらどんなように聴こえるのだろうかと思ってしまいます。それほどに私にとっては痛快な録音なのです。

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バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番,第3番,第5番
ディッタ・ローマン Ditta Rohmann (Cello)
Recorded in July, 2013 at Hungaroton Studio
Hungaroton HCD 32731 (P)(C)2013 Fotexnet Kft. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番,第4番,第6番
ディッタ・ローマン Ditta Rohmann (Cello)
Recorded on January 25-28, 2014 at Hungaroton Studio
Hungaroton HCD 32732 (P)(C)2014 Fotexnet Kft. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。

モダン仕様で金属弦ながらA=415Hzでバロック弓(第6番も5弦チェロに金属弦)という少し変則的な楽器選択ですが, 演奏自体はオーソドックスで,穏やかで上品,流麗で爽やかささえ感じる好演奏です。 技術的にも大変上手いのですが,誇示するようなところが全くないのも好感が持てます。

ローマン氏は,あのミクローシュ・ペレーニ氏の秘蔵っ子として知られており,2012年のバッハ国際コンクールでチェロ部門第2位受賞とのことです。納得。

録音ですが,残響が少し多めで付帯音が気になりますが,直接音は十分にあって明瞭に適切な距離感で捉えたまずまずの好録音です。 楽器の胴体の深々とした響きを上手く録っていると思いますし,弓遣いのニュアンスも感じられます。 こういうチェロの録音は好きです。 しかし,やっぱり残響を少し取り入れすぎかな...惜しいです。

3月に1枚目を入手して一度レビューしていました(→こちら)。残りの曲が発売され全集化されることを心待ちにしていたのですが,意外に早く発売されました(^^)。期待通りの素晴らしい出来でした。私はamazon.co.ukのマーケットプレイスから購入しましたが,日本での発売は9月になってからのようです。

なお,前回のレビューでは好録音度を四つ星半の評価としていましたが,今回改めて冷静に聴いていみて,やはり少し残響が多く付帯音が気になるということで,四つ星に落としました。(申し訳ございません...)
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ニーナ・コトワ Nina Kotova (Cello)
Purchase College Performing Arts Recital Hall (録音時期記載なし)
0825646394111 (P)2014 Nina Kotova (C)2014 Warner Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。

ジャケット写真の容姿からは想像できない力強さで大胆に表情を刻み込んでいく演奏です。 ガリガリと弾くタイプなので音色は荒れ気味で美しくありませんが,この無骨で太く力強い弾きっぷりは独特の魅力を放っています。 技術的には粗削りで隅々までコントロールが行き届いているとはとても言えませんが, これだけ積極果敢に攻める演奏でほとんど破綻をきたしていないのは立派です。

録音ですが,この太い音色はこの録音によるところも大きいと思います。 残響はやや多めですが,比較的オンマイクでボディ感たっぷりに録音しているため悪い印象ではありません。 ただ,やや飽和気味で歪みっぽいのが残念なところです。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
パブロ・カザルス Pablo Casals (Cello)
録音 1936-1939年
OPK 2041/2 (P)2010 オーパス蔵 (国内盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
CD試聴記」からの転載記事です。

カザルスの無伴奏チェロ組曲を聴くときに,この組曲をこの世の中に復活させた功績を抜きにして聴くことが難しいのですが, 技術的なレベルがずっと向上し,奏法の研究も進んだ現代の優れた演奏と比較して,時代を感じさせるものであることは否めません。 しかし,決して色あせることなく私たちの心に響いてくるのは,彼のこの曲に対する熱意が音として表れ, それが音楽の本質を突いているからに他ならないと改めて感じる次第です。

録音ですが,SPの時代の録音がどのように行われたのかは知らないのですが,出来るだけ鮮明な音で楽器の音を残そうと努力されたはずです。 録音からもうすぐ80年になろうという現代においてもこれだけのクオリティで鑑賞できるのは,その努力のおかげと言えるでしょう。 もし現代の多くの録音のように残響まみれで録音がされていたなら,こんなに良い音で楽しめなかったことでしょう。

カザルスのバッハ無伴奏チェロ組曲のディスクはものすごく多くのリリースがあって,いったい何種類の復刻があるのかがわからないのですが, 私が聴いた,オーパス蔵盤(2010年リマスター),Warner ClassicsのSACDハイブリッド盤(2011年リマスター),古くからある旧EMI盤,Membran盤,Naxos盤の中では, このオーパス蔵盤が最も良好な音質と思いました。 SP盤のトレース音がそのまま入っているために多少耳障りではありますが,鮮明さも失われず,最も音に伸びがあり,自然に聴こえました。 ノイズとしての低域成分もカットされずに入っているのは善し悪しだとは思いますが。

なお,オーパス蔵盤は,2003年に発売されたものが最初で,2010年に現行のリマスター盤に変わりました。

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2003年に最初に発売された盤

カバーピクチャーには金色が使われていました。2010年リマスター盤は金色の部分が銀色に変更されています。当初のリマスター盤は,ディスクデザインまで一緒でディスクが混じってしまうと区別がつきませんでしたが,最近のものはディスクのレーベル面にリマスター盤であることが明記され,間違えないようになっています。(誤って2010年リマスター盤を,発売当時と最近と2回買ってしまいました...品番が全部同じなので紛らわしいです。)

2010年のリマスターでは,線香花火のようなパチパチ音を一つ一つ丁寧に取り除いていったということです。確かにそのノイズが減っていました。まあ元々のノイズが大きいので正直なところ,あえて買い直すほどのことはないかなと思いました。

以下,他のディスクのコメントです。

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Warner Classics 2011年リマスター盤
WPGS-50110/1 (P)2011 Warner Classics (国内盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo
2011年にリマスターされたSACDハイブリッド盤。 SP盤再生時特有のノイズは多少緩和されていますが,無理に消すようなことはしていないようです。 昔からあるEMI盤に比べると,格段に音色が自然です。 ただ,やはりノイズ低減処理の影響か,オーパス蔵盤に比べるとわずかに音の伸び,鮮明さが失われているように感じられます。 真っ当な音質ですが,少し地味な印象です。

オーパス蔵盤の次に良いと思ったのがこのWarner Classicsの2011年のリマスター盤で,今選ぶならオーパス蔵盤か,このWarnerのリマスター盤のどちらかでしょう。e-onkyoではハイレゾ音源もリリースされています。

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旧EMI盤
TOCE-11567/8 (P)2000 東芝EMI株式会社 (国内盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
昔からある旧EMI盤ですが,SP盤のノイズ低減処理の影響もあるのでしょうが,ずいぶんとクセのある音色です。 中域から高域にかけて盛り上がっているような感じで,ややキンキンしていますし,伸び,自然さに欠けます。 また,復刻の質のばらつきも多いです。 さらに,特に第1番は最近の復刻と比べるとピッチが低めに感じられました。 今,このディスクを選択する理由はあまりないと言えるでしょう。

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Membran盤
232675 Membran (輸入盤)
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon
SP特有のノイズは私の聴いた中では最も低減されています。 驚くほど少ないです。 しかし,まるで低ビットレートのMP3でエンコードしたときのようなシュルシュルという独特のブリージングがあります。 ノイズ低減処理の影響だと思いますが,残念ながら人工的な処理のにおいが強く,これはあまり良くありません。

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Naxos盤
8.110915-16 (P)2000 HNH International Ltd (輸入盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
復刻の質としては中庸です。 ノイズを取るわけでもなく,さりとてオーパス蔵のような音を目指すわけでもなく, よく言えば素直な復刻ですが,悪く言うとただ単にSPを再生して録っただけ,という感じがしないでもありません。 録音レベルも若干低く,また,録音に積極的な意志が感じられず,残念ながらあまり良い印象ではありませんでした。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
レイチェル・マーサー Rachel Mercer (Cello)
Walter Hall, Tronto, September 22 & 23, 2011
PIPISTRELLE MUSIC PIP1403 (C)2013 Rachel Mercer (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。

技術的にそれほど上手いというわけではないのですが, 破綻することなく音楽的に大変よくまとまとめていると思います。 楽器を良く響かせ朗々としていますし,温かく柔らかで大らかな表情が魅力的です。

録音ですが,やや間接音が主体の録り方となっていて音色がくすみがちですが, 演奏者の呼吸が感じられるような間合いで楽器音を太く捉えているので, それほど悪い印象ではありません。 ただやはり私の好きなタイプの録音とは違います。
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バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番,第3番,第5番
ディッタ・ローマン Ditta Rohmann (Cello)
Recorded in July, 2013 at Hungaroton Studio
Hungaroton HCD 32731 (P)(C)2013 Fotexnet Kft. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.uk
CD試聴記」からの転載記事です。

モダン仕様で金属弦ながらA=415Hzでバロック弓という少し変則的な楽器選択ですが, 演奏自体はオーソドックスで,穏やかで上品,流麗で爽やかささえ感じる好演奏です。 技術的にも大変上手いのですが,誇示するようなところが全くないのも好感が持てます。 残りの3曲も録音して全曲を完成させて欲しいです。

録音ですが,多少の残響感はあり付帯音が気になりますが,直接音を主体に明瞭に適切な距離感で捉えたまずまずの好録音です。 楽器の胴体の深々とした響きを上手く録っていると思いますし,弓遣いのニュアンスも感じられます。 こういうチェロの録音は好きです。

2014年3月2日時点では,まだ日本の通販サイトには上がっていないようです。

★Vol.2が発売され全集となりました→こちらをご参照ください。(2014/08/13)

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