好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ラミン・バーラミ Ramin Bahrami (Piano)
録音不明
4762820 (P)2004 DECCA (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。これがバッハの演奏なのか?と思うほど力強くたたきつけるようなタッチに驚くのですが,まるでAIが弾いているのかと思うほど高速でメカニカルな正確さにも目を見張りますし,奇妙な装飾にもニヤッとしてしまいます。そして第26変奏以降のラストに向けて一気にたたみかけるモーレツな演奏! 好きかどうかは別として,間違いなく楽しめます。ここまでぶっ飛んだ演奏はそうないと思います。

さて録音ですが,残響控え目でピアノの音をしっかりと捉えていますが,ちょっと音が硬質です。そしてこれはApple Musicだからかもしれませんが,エンコード歪みっぽいノイズが時折気になり,やや品質が良くないように思います。これはCDで確かめてみたいところなのですが...

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

蛇足ですが,このディスクをある中古ショップで見かけたのですが,そのときは別に欲しいものがあり見送りました。こんなに面白いとわかっていたら入手していたのに! ちょっと後悔。
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
小山実稚恵 Michie Koyama (Piano)
2017年2月7-10日 軽井沢大賀ホール
SICC 19032 (P)(C)2017 Sony Music Japan International (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2017年はアルバム・デビューから30周年で,通算30枚目のアルバムで,初の全曲バッハ,とのことです。私自身は小山さんのディスクはおそらく初めて聴きます。情緒的表現,感情移入は極力抑え,音は短く歯切れ良くはっきりと,上品ですがどちらかといえばストイックに淡々と弾いているように思います。この点,先日取り上げたベアトリーチェ・ラナの演奏とは対照的です。そのせいもあってか,バッハの曲の構造が浮き彫りのようにはっきりと見えてくるようです。気に入りました。

録音ですが,残響は控え目で楽器の音を明瞭に捉えている点は良いのですが,うっすらとベールが被ったようにわずかに音色がくすみ,すっきりと伸びと透明感ある音になっておらず,また,少し音が硬いのが不満です。マイナスポイントが少ないので四つ星半としましたが,正直言うともう少し何とかならなかったのかととても惜しく思います。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約75分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ベアトリーチェ・ラナ Beatrice Rana (Piano)
2016年11月 ベルリン,テルデックス・スタジオ
Warner Classics 9029588018 (P)(C)2017 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

とても評判の良い演奏なので聴いてみました。明瞭なタッチと流れるようなスムーズなフレージング,そして,自然な強弱のうねりなど,モダンピアノの特性を最大限に生かした現代的で洗練された演奏でした。何より感心したのは細かい音型の正確さと淀みのなさで,ここまで滑らかでビシッとテンポにはまった演奏はそんなにないと思います。一方,ゆっくりした変奏でのリズムの意図的な崩しは自然な呼吸感から外れていてちょっと生理的に受け付けないなぁと思うところもありました。とはいえ,これは出色の出来ですね。久しぶりにワクワクする演奏に出会いました。

録音ですが,比較的楽器音をしっかりと捉えているのですが,音色が今ひとつモヤッとしていて立ち上がりの明瞭さ,透明感にやや欠けます。十分許容範囲だとは思うのですが,もう少し付帯音のないクリアな音で録って欲しいものです。惜しいです。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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雨だれのプレリュード~ショパン名曲集
横山幸雄 Yukio Yokoyama
Ishibashi Memorial Hall on 29-30 August 2016
MECO-1036 (P)(C)2017 Muse Entertainment Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

横山氏のデビュー25周年記念アルバムとのことです。横山氏のピアノはあまり聴いたことがなく,一度聴いてみたいと思っていたところ,ショパンの比較的好きな曲が多く収録されていましたのでこの機会にと思い聴いてみました。収録曲は下記の通りです。

1. アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
2. バラード第1番
3. ノクターン第20番
4. ノクターン第2番
5. 華麗なる大円舞曲
6. 別れの曲
7. 革命のエチュード
8. マズルカ第13番
9. 幻想即興曲
10. 雨だれのプレリュード
11. マズルカ第32番
12. 小犬のワルツ
13. 英雄ポロネーズ
14. 別れの曲によるお別れの作品(2台ピアノによる8手連弾) 横山幸雄(編曲)

まあ想像通りというか,力強い男性的な演奏であり,ショパンの優美な面が希薄なのでちょっとイメージが違うかなと思いながらも,ストレートで明快な演奏を楽しませていただきました。

肝心の録音なのですが,オフマイク気味でホールトーンを豊かに取り入れているために直接音よりも間接音が主であり,演出感が強いです。当然ながらピアノの音色はくすみ気味でクリアさに欠け,ヌケもあまり良くなく,私の好きな録音ではありませんでした。ピアノ録音としては良くあるタイプでまあこんなところかとは思うのですが,個人的には少し残念に思います。
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モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」,第12番,第14番
エドナ・スターン Edna Stern (Piano)
アリー・ファン・ベーク指揮/オーヴェルニュ室内管弦楽団
ZZT100901 (P)2009 Zig-Zag Territoires (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。前エントリからのオーヴェルニュ室内管弦楽団つながり&ジャケ聴きです(^^;。

まず録音のコメントです。すっきりとした癖のない自然なサウンドが魅力の好録音です。残響が適度に抑えられ,見通しが良く,そこそこキレもあります。録音自体はあまり主張しませんが,演奏を邪魔せず音楽を素直に伝えてくれるこういう録音が良いのです。いつまでも音楽に浸っていたくなります。

そして演奏なのですが,端正で上品です。粒立ちの美しいタッチが印象的ですが,あくまでも控え目です。オーケストラも若干音の長さを短めに刈り込んで整然と見通しよく演奏し,ソロの美しさを引き出しています。良いと思います。
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グリーグ:ホルベルク組曲(弦楽合奏版,ピアノ独奏版)
スクームスヴォル:ホルベア変奏(ピアノと弦楽合奏のための)
1B1(室内管弦楽団),クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ),他
2014年1月2-5日,2月24-26日 ノルウェー,スタヴァンゲル・コンサートホール
Simax PSC1332 (P)2014 Grappa Musikkforlag AS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ホルベルク組曲はグリーグの中で最も好きな作品です。このディスクでは,原曲のピアノ独奏版と作曲者自身の編曲による弦楽合奏版,そして,このホルベルク組曲を題材に,ジャズシーンで活躍しているスクームスヴォルが主導して即興的な演奏を試みたという「ホルベア変奏」が収録されています。

ピアノ独奏版は初めて聴いたのですが,これがまたかっこいいですねぇ。前奏曲にワクワクしますし,第3曲のガヴォットとミュゼットも洒落ています。ピアノ曲としては有名ではないと思いますが,弦楽合奏版を知っていれば結構楽しめる曲ですね。弦楽合奏版もスピード感と勢いがあり良いと思います。ホルベア変奏は...少し聴いたのですがあまり興味が湧かずパスしてしまいました(^^;。

録音ですが,弦楽合奏もピアノもまずまずの録音で,残響は適度であり録り方も自然で悪くないのですが,少し雑味というか濁りがあり,透明感や音の伸びに欠けています。録音機材があまり良くないのかもしれません。惜しいと思います。
私にとって理想的な録音を多く提供してくれるNPR Music Tiny Desk Concertでバリー・ダグラスの演奏がアップされていたので紹介します。演奏曲目は下記の通りです。

"The Coolin (arr. Douglas)"
"Planxty Dillon (arr. Douglas)'"
"The Raggle Taggle Gypsy (arr. Douglas)"
"My Lagan Love (arr. Douglas)"



アップライトピアノの音を極めて明瞭に,クリアに聴かせてくれます。ちょっとマイクポイントが近いかなとも思いますが,それでも私にとってはかなり理想的なピアノ録音です。
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
Henry Wood Hall, London, on 28 August - 1 September 1999
CDA67305 (P)2000 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

angela_hewitt_bach_goldberg_variations_2015.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
2015年12月14日~17日 キリスト教会(オーバシェーネヴァイデ,ベルリン)
CDA68146 (P)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アンジェラ・ヒューイットのゴルトベルク変奏曲の1999年の録音は名盤としての地位を獲得していると思いますが,それから16年,同じハイペリオン・レーベルでの再録音盤が発売されました。

彼女の演奏は,全体として控え目で落ち着いた上品さが美点だと思っています。そしてピアノという楽器の特徴を活かした細やかで豊かな表情。各声部がそれぞれ別の表情を持ちながら絡み合っていくところが素晴らしく思いました。旧録音と新録音は,演奏の基本的な解釈や表現のスタイルは大きく変わっていないと思います。ちょっと聴くと,あれっ?すごく似ているなと。しかし,まるで個々の指が個別の意志を持っているかのごとく,一つ一つの音の弾き分けがより細やかにコントロールされ,より深みのある音楽へと進化しているように感じられました。16年の積み重ねがこういったところに顕れているのでしょう。

さて録音ですが,旧録音の方は残響の被りですこしモヤッとした不明瞭さが気になるものの,それでも比較的すっきりとした音響でまとめられていると思います。対して新録音の方は,ピアノの音をより豊潤に,濃い音で捉えています。残響も多めに入っているために音色が少しぼってりとしつこい感じがします。いずれも一長一短であり,もっとすっきりとクリアに透明感のあるヌケの良い音色で録って欲しいものです。せっかくの素晴らしい演奏が,この録音では最大限には活きてこないと思います。惜しいです。

最後にリピートですが,新録音も旧録音も最後のAria da capo以外は実行されていて,この点でも全く問題ありません。新録音は収録時間が82分を越えていますね。最近は82分越えも当たり前になってきたように思います。私の環境では再生に全く問題はありませんでした。

演奏時間 約79分(1999年録音) 82分14秒(2015年録音)
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
ルドルフ・ブッフビンダー Rudolf Buchbinder (Piano)
2010年9月19日~2011年3月27日 ドレスデン,ゼンパーオパー
88697875102 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment Austria (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はピアノ曲は特定の曲を除いてほとんど聴いてきませんでした。ベートーヴェンのピアノ・ソナタもほとんど聴いてこなかった曲に入ります。特に理由はないのですが,ここらでちょっと聴いてみようかと思い(^^;,Apple Musicで新しめの録音で,演奏も録音も良さそうな全集を物色して選んだのがこの全集です。最近のApple Musicは曲名で検索しても対象が全ては出てこず,限られた中での選択でしたので,特に録音に関して満足が得られるものを選べたかというと必ずしもそうではないのが少々残念なところではあるのですが。まあ価格も安い部類に入るので良しとしました。

この全集は,およそ半年にわたって7回に分けて行われた全曲演奏会のライヴ録音とのことです。まだ全てを聴けてはいないのですが,テクニックのキレが素晴らしく,また比較的速いテンポで甘さを廃した淀みのない音楽が私の好みには合いそうでした。

そして肝心の録音なのですが,少し癖のあるホールの響きが付帯音としてまとわりつき音色に影響を与えてはいるものの,その影響は少なめで,芯のあるピアノの音色が良く伝わってきます。正直言うともう少し近めでクリアで透明感ある音で録って欲しかったところですが,まあストレスなく聴けるので許容範囲に入るかなとは思います。少し甘い評価ですが四つ星半です。7回に渡る演奏会のライヴということですが,統一感は確保されています。

探せばもっと気に入るものはあるだろうとは思いつつ,まずは曲をよく知るところからということで,この全集をしっかりと聴いてみようと思います。
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」,第14番「月光」,第23番「熱情」
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1966年(第8番),1967年(第14番,第23番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10199 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:間奏曲集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1959年, 1960年 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10204 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ワーグナー:グレン・グールド編によるピアノ・トランスクリプションズ
ワーグナー:ジークフリート牧歌(オリジナル編成による演奏)(*)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
グレン・グールド指揮/トロント交響楽団員(*)
1973年 トロント・イートン・オーディトリアム,1982年 トロント,セントローレンス・ホール(*)
SICC 10205 (P)1990 (C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先日紹介したモーツアルト:ピアノ・ソナタ全集バッハ録音と同じシリーズです。バッハは2012年の発売でしたが,こちらはモーツァルトと同じ2014年の発売でした。

ブラームスが1959年から1960年,ベートーヴェンが1966年から1967年,ワーグナー編曲が1973年の録音と,上記3枚の録音時期は離れていますが,今までの紹介でも触れてきたように,録音のポリシーは一貫しており,全てスタジオでの録音,残響は全くなくピアノの音色を極めて明瞭に捉えた私にとって最高のピアノ録音です。さすがにブラームスはクオリティ面で若干落ちますが,ほとんど気になりませんし,ワーグナー編曲の録音はもう全くクオリティ面で問題ありません。

グールドは一部のバッハ録音以外はあまり聴いてこなかったので,じっくりと楽しませてもらおうと思います。
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1964年3月18,19日 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10168 (P)1964 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:平均律クラヴィーア曲集(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
[第1巻]1962, 63, 65年,[第2巻]1966, 67, 69年 ニューヨーク,30丁目スタジオ/1971年 トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10162-5 (P)1972 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:パルティータ(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1957年(第5番,第6番),1959年(第1番,第2番),1962年(第3番),1962, 63年(第4番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10166-7 (P)1969 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:イギリス組曲(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第2番),1973年(第1番),1974年(第3番),1974, 76年(第4番,第5番),1975,76年(第6番) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10169-70 (P)1977 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:フランス組曲(全曲),フランス風序曲
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第6番),1972年(第1番,第2番),1972, 73年(第3番),1973年(第4番),1971, 73年(第5番,フランス風序曲) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10171-2 (P)1982 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先に紹介したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集と同じ企画盤です。これが発売された2012年は,グレン・グールド生誕80年,没後30年ということでの日本独自の企画盤とのことです。SACDであることに加え,音匠仕様レーベル・コートが採用されています。

これらのバッハの録音は,1957年から1976年という長期にわたって録音をされています。録音機材の進歩に従って音質は徐々に向上しているのはもちろんですが,録音のポリシーは当初からほぼ一貫しているので,聴いた印象がぶれません。1960年代前半までの録音は,さすがに古くて歪み感が気になるものもありますが,1960年代後半以降の録音はクオリティ面でもほぼ不満がありません。

何度も申し上げているとおり,グールドの録音はスタジオで全く残響のない環境でピアノの音色をストレートに克明に質感高く録った超好録音と言えるものです。これらの一貫した録音はグールドが録音に拘り直接コントロールしていたからこそ実現したんですよね。素晴らしい演奏が最高の状態で残されたことに本当に感謝したいと思います。

なぜこのような録り方をする人が出てこないのかほんと不思議でなりません。
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グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造
- ZENPH RE-PERFORMANCE

September 25-26, 2006 at Glenn Gould Studio, Tronto, Ontario, Canada
SICC 10043 (P)(C)2007 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

グレン・グールドの有名なデビュー盤,1955年のバッハ:ゴルトベルク変奏曲の演奏を自動演奏で再現したもの。ちょっと古いディスクですが,久しぶりにグールドのディスクを引っ張り出してきた中にあったので,この機会に取り上げたいと思います。

「ゼンフによる“再演”とは?」ということで,次のように説明が書かれています。

グレン・グールド・スタジオに腰を下ろし,グールドが1955年に録音した「ゴールドベルク変奏曲」の名演を目の前で聴いている自分を想像してみよう。ゼンフの“再演(Re-Performance)”による本作は,そのような状態をサラウンド・サウンド,ステレオ,またはヘッドホンで体験できるよう工夫を特別に凝らした新録音である。

ゼンフZENPHは録音時の音を精緻に再現することにより,録音物を生演奏へと還元する。ソフトウェア・ベースのこのプロセスは,一つ一つの音符に関し,音量,アーティキュレーション,ペダルの動きなど,演奏時の詳細を抽出し記号化する。その記号化された音を高性能のコンピューターやハードウェアを搭載したアコースティックなグランド・ピアノで再生すると,もとの録音が行われた部屋で聴いているかのような音を体験することができる。この“再演”は最新鋭の録音技術により,当時の様子を改めて録音したものである。その結果,20世紀を象徴する録音を音響的に再発見することができるのだ。

使用されたピアノは,ヤマハのDisklavier Proというグランド・ピアノで,家庭用Disklavierの10倍の精度で再生することが出来るとのことです。ソフトの開発は米の音楽系テクノロジー企業,ゼンフ・スタジオで,ピアノ演奏の録音を解析することによって得られる音楽的属性(音程,音符の長さ,打鍵や離鍵の速度など)を周りの雑音と分離し,その属性をデジタル処理でエンコーディングしたということです。

そしてこのディスクはSACDハイブリッドで,SACD層にはステレオと5.1chマルチ,CD層にはステレオとバイノーラル録音が連続して収録されています。録音にも拘りがみられますね。

それで演奏なのですが,これ本当に自動演奏?というほどオリジナルの演奏をよくトレースしていると思います。何も知らせられずに聴いたら自動演奏とは思わないのではないでしょうか。しかし,グールド自身が残した録音と比較して聴いてみると,やっぱりどこか生気に乏しいというか生き生きとしていないというか,自動演奏の限界も感じてしまいます。多分に先入観もあるとは思いますが,人間特有のゆらぎが表現しきれていないのではないかという気がします。また,やっぱり機械であらかじめ決められたタッチでしか再現できないというのもあるのかもしれません。試みは面白いと思いますし,今後の技術の進化とプログラマの創造力で,“再演”ではなく,グールドを超える架空のピアニストをデビューさせたりといったことが可能になるかもしれないですしね。

さて肝心の録音なのですが,スタジオで録音されているにもかかわらず,なぜか音の濁り・曇りがひどくて全く冴えない音色なのです。スタジオでどうやったらこんな録音になるのか不思議です。グールドが残した数々の録音の方がよっぽど鮮明で音に輝きがあります。グールドが聴いたらきっと許さないに違いない,と思ってしまいます。この企画は録音でこれを提供するというなら録音が命のはずなのに。残念でなりません。
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ショパン:12の練習曲作品10・作品25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
UCCG-51087 (P)1972 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

言わずとしれた名盤中の名盤。すでにこのブログでも取り上げていました(→こちら)。このディスクが私にとって特別な存在であることは繰り返し述べてきた通りです。今所有しているディスクがだいぶ古く,少し前から最新のマスタリングのものに買い換えたいと思っていたのですが,買いそびれていました。

たまたま昨日立ち寄ったタワーレコードで,発売日当日のこのディスクを見つけ,これは何かの縁と思って購入しました。DSDマスターということなので,私が持っているものより新しいマスタリングであることは間違いありません。

よく見てみると,SHM-CDというのはまあいいとして,HR(High Resolution)カッティングという聞き慣れない原盤の作り方?をしているようで,DSDマスターから一旦176.4kHz/24bitのマスターを作り,そこからダイレクトに?原盤を作っているようです。どういうことかさっぱり理解できませんが(^^;。

肝心の音質ですが,旧ディスクに比べると,わずかに鮮明さが増し,うっすらとかかっていたベールが取り払われたような音質の向上が感じられました。とはいってもそれはわずかであり,もっと劇的な改善を期待していたのですが,そこまでではなかったです。過剰に期待しすぎました(^^;。とはいえ,音質改善はあったので買い換えて良かったと思います。

なお,前回レビューでは好録音度は三つ星半としていましたが,少し辛すぎたと思い,今回四つ星にしています。やや音質が硬く癖のある音質なのですが,邪魔になる残響等はわずかであり,それほど悪くはないなと再評価しました。

ちなみに,これはユニバーサルミュージックのドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiunの中の一枚で,クライバーのベートーヴェン第5番・第7番ムラヴィンスキーのチャイコフスキー第5番フリッチャイのチャイコフスキー第6番なども聴いてみようと今手配しているところです。名盤揃いなので,もっと手を出してしまいそうです(^^;。入手したらまたレポートしたいと思います。
alexis_weissenberg_bach_goldberg_variations_1981.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
アレクシス・ワイセンベルク Alexis Weissenberg (Piano)
1981年6月1-4日 パリ,サル・ワグラム
6387222 (P)1982 EMI Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecoredsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Barで紹介されていたディスク。全くノーマークでした。強靱なタッチ,正確無比で抜群のキレを誇るテクニック,そしてこの自由奔放さ! 颯爽としたテンポで駆け抜けていく爽快さ! これは強烈な演奏者の個性を楽しむディスクだと思います。グールドの2回目と同じ年に録音されたという同氏2回目の録音,面白いですね! バッハらしくないかもしれませんが,これはアリでしょう。今の時代,このような演奏はなかなか聴けないんじゃないでしょうか。

そして録音ですが,残響感はそれほどなく,楽器音を中心に明瞭に捉えているのはすごく良いのですが... 音色に少し癖がのり,そして硬いです。このあたりはさすがEMI録音,というところでしょうか。基本的に悪くないと思うのですが,この硬質な音色ちょっと残念なところです。

最後にリピートについてですが,完璧にすべて行っていますね。文句なしです。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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ショパン:練習曲全集
小菅 優 Yu Kosuge (Piano)
August 1999 at Stadthalle Braunschweig
SICC 754 (P)1999 (C)2007 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

小菅さん16歳の時の録音で,「小菅優の才能を認めた指揮者が自身のレーベルramに録音させたもの」であり,「ヨーロッパの権威ある最大の音楽専門誌フォノフォルムで5つ星をもらった記念碑的アルバム」とのことです。2007年にSony Musicから発売されました。作品10,作品25に加え,“3つの新しい練習曲”を含む練習曲全集です。

ショパンの練習曲集というと,私がクラシック音楽の世界に足を踏み入れるきっかけとなったポリーニの名盤で耳が出来上がってしまっていて,他の演奏者の演奏がなかなか受け付けられないのですが,この小菅さんの演奏は,そんな私にもすんなりと聴くことの出来る演奏でした。裏を返すと,あくまで個人的な印象ですが,ポリーニの演奏にかなり近いと思います。細部までコントロールが行き届き,まったく淀みなく,力強く突き進んでいく音楽が爽快です。16歳にしてこの完成度の高さ,素晴らしいです。今の小菅さんならもっと違う表現をされるのではないかと思いますが,16歳の小菅さんの無垢でストレートな演奏が残されたことをうれしく思います。

さて録音ですが,演出感の少ない素直な録音なので基本的には印象は悪くないのですが,わずかな残響というか響きによって音色がモワッと曇ってスカッとしておらず(こんな言い方ですみません(^^;),質感やニュアンスが感じ取りにくくなっているのは残念です。ピアノの録音としては標準的で悪くないとは思いますが,惜しいと思います。
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ハイドン:ピアノ・ソナタ集
エイナフ・ヤルデン Einav Yarden (Piano)
2015年12月3-5日 オランダ,スキーダム,ウエストフェスト教会
CC72742 (P)2016 Challenge Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているハイドン音盤倉庫で紹介されていたディスク(有り難うございます!)。録音が良いとのコメントに釣られて聴いてみました。演奏についてはハイドン音盤倉庫をご参考にしていただければと思います。収録曲は下記の通りです。

ピアノ・ソナタ第44番 ヘ長調 Hob.XVI:29
ピアノ・ソナタ第39番 ニ長調 Hob.XVI:24
ピアノ・ソナタ第40番 変ホ長調 Hob.XVI:25
ピアノ・ソナタ第41番 イ長調 Hob.XVI:26
ピアノ・ソナタ第46番 ホ長調 Hob.XVI:31
ピアノ・ソナタ第47番 ロ短調 Hob.XVI:32

ということで,今回は録音についてのコメントです。ピアノの楽器自体の響きを適切な距離感で明瞭に捉えた好録音です。残響感はほとんどなく,録音会場の響きが少しのっていて音色にわずかな色を付けていますが,気になるほどではありません。個人的にはもう一歩寄って録音会場の響きの比率を抑え,明瞭感と質感をもう少し強くして欲しかったとは思いますが。一般的にはこれくらいが受け入れられやすいのではないかと思います。

ということで,ピアノの美しい響きを楽しませてもらおうと思います。
yundi_li_chopin_preludes.jpg
ショパン:前奏曲集
ユンディ・リ Yundi Li (Piano)
録音 2015年6月
4811910 (P)2015 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ピアノ曲は元々あまり聴かないのですが,ショパンの前奏曲集はポリーニのディスクを持っていたものの,曲の掴み所がよくわからず結局あまり聴かないまま今に至っていました。先日のらららクラシックで「雨だれ」を特集していたのを観て聴いてみたくなり,せっかくなので違うのをとApple Musicで物色して選んだのがこのユンディ・リの演奏です。

演奏についてはもう少し聴き込まないと何とも言えないのですが,Apple Musicで聴いた中ではこれが一番録音の印象が良かった,というのが選んだ理由です。正直なところ,私の聴きたいピアノの録音とは少し方向性がだいぶ違います。ピアノ自体の響きに加えて録音会場の響きも結構取り込まれていますし,演出色もかなり強いというのも好みではありません。それでもピアノ自体の音色の魅力がそれなりに保たれていて,それが心地よく感じられるからです。

本当は先日紹介したグルダのディアベリ変奏曲のような録音で聴いてみたいと思うのですけどね... 今の時代,特にメジャーレーベルであのような録音は全く期待できないですから...

さて,これで前奏曲集が好きになれるであろうか...
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ベートーヴェン:ディアベリの主題による33の変奏曲作品120
フリードリヒ・グルダ Friedrich Gulda (Piano)
1970年2月 ドイツ,フィリンゲン,MPSスタジオ
0300723MSW (P)1970 MPS Records (C)2016 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

バッハ:平均律クラヴィーア曲集全曲が素晴らしかったグルダのMPS録音。その第2弾のリリースです。ディアベリ変奏曲は初めて聴く曲なのでコメント出来ないのですが,とにかくこの録音が素晴らしいのです。残響が皆無で鑑賞の妨げとなる余計な付帯音が過剰と思えるくらいそぎ落とされ,ピアノの音が極めてクリアに粒立ちが美しく録られています。クラシックのピアノ録音としてはデッド過ぎるかもしれませんが,私にとってはほぼ理想的と言って良いです。こういう録音でもっといろいろな曲を聴いてみたいものです。
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア BWV 772 - 801
シャンタル・スティリアーニ Chantal Stigliani (Piano)
録音不明
CAL1211 (P)2012 Calliope
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpApple Music
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア BWV 772 - 801
クリスティアーヌ・ジャコッテ Christiane Jaccottet (Harpsichord)
録音不明
(P)2009 Stradivari Classics
好録音度:★★★★★
参考: Apple Music

いずれもApple Musicでの試聴です。録音についてのコメントです。

この2盤とも,鑑賞の邪魔をする要素はほとんどありません。極めてクリアーで自然,何も足さず何も引かない,すっきりした音響が特徴です。特にジャコッテのハープシコードの音が良いですね。とかく響きで濃く雑味が加わりがちなハープシコードを綺麗な音で聴かせてくれます。スティリアーニのピアノの方はもう少しヌケの良い音だと最高なのですが...惜しいところです。

まあ優秀録音かどうかは微妙ですし,皆さんの賛同を得られるとはあまり思わないのですが,私にとっては間違いなく好録音。こういうのが好きなのです。ディスクは入手しづらいようなのが残念です。
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ユリウス・レントヘン:ヴァイオリンとピアノのための作品集 第1集
クリストフ・シッケダンツ Christoph Schickedanz (Violin)
エルンスト・ブライテンバッハ Ernst Breidenbach (Piano)
Deutschlandfunk Kammermusiksaal, March 23-26, 2011
cpo 777 768-2 (P)2015 Deutschlandradio (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

秘曲の宝庫cpoレーベルから。以前に「ユリウス・レントヘンの協奏曲を聴く」ということで,ヴァイオリン協奏曲,チェロ協奏曲,ピアノ協奏曲のディスクを紹介しました。今回はヴァイオリン作品集で,以下の作品を収録しています。

1. ヴァイオリン・ソナタ ホ長調 Op.40
2. 幻想曲 Op.24
3. ヴァイオリン・ソナタ「トリロジカ」
4. 7つの演奏会用小品 Op.89

やはりコテコテのロマン派なんですかね。親しみやすく聴きやすい楽想の曲ばかりですが,ちょっと胸焼けしそうです(^^;。演奏も気合いがひしひしと伝わってくる迫真の力強いもので聴き応え十分です。

録音ですが,少しオフマイクで残響を多めに取り入れていますが,過剰な感じはなく,ちょうど良いバランスで録られていると思います。ヴァイオリンとピアノの録音として標準的な印象です。私としてはもっと残響を抑えてクリアーに録って欲しいと思いますが,まあぎりぎり許容範囲というところでしょうか。
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Winter Into Spring
ジョージ・ウィンストン George Winston (Piano)
Windham Hill WD1019 1982年発売
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

私はピアノはそれほど聴かないのでなんなのですが,ピアノの音が「美しい!」と思う録音には本当に泣きたくなるくらい滅多に出会いません。最近入手した仲道郁代さんのショパンのワルツ集はそんな中の久しぶりに出会った好録音です。

その滅多にないディスクの中の1枚がこのジョージ・ウィンストンの代表作の一つ,“Winter Into Spring”です。懐かしのディスクですね(^^)。特に1曲目の“January Stars”が飛び抜けています。かなりのオンマイクです。強い打鍵音を聴くと,ハンマーが弦をたたく瞬間が見えるような,そして,ペダルで長く残る響きを聴いていると,まるで弦の振動が見えるような感覚に襲われます。このピアノの音には本当に心が揺さぶられます。

少し演出がかっていますし,かなり誇張された録音なので,このような録音がクラシック音楽に合うのかどうかは実際に聴いてみなければわからないのですが,この録音を聴いていると,ホールの響きや雰囲気を再現する以前に,楽器そのものの響きをもっと大切に扱って欲しい,という思いがこみ上げてきます。先に挙げた仲道郁代さんのディスクの解説書で述べられていた「ショパンの時代には大きなホールの豊かな響きで聴くということはなかったのである。サロンで,ピアノの近くに集まり,親密に聴くのである。」という音響で聴ける録音がもっとあっても良いじゃないですか。ホールではなくサロンのような環境で音楽を楽しみたい,そんな環境で奏でられる楽器の音を聴きたい,と思うのです。

なお,ジョージ・ウィンストンの他のディスクも聴いてみましたが,人工的に響きが付加されたようなものが多く,録音に関してはあまり感心しませんでした。

ウィンダム・ヒルのディスクはほとんど廃盤でこれも現役盤はないようですね。残念な状況です。Apple Musicで聴けるのがせめてもの救い...
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ToMoKo plays ToMoKo II Hidamari 陽だまり
今村友子 Tomoko Imamura (Piano)
武澤秀平 Shuhei Takezawa (Cello)
2015年6月30日~7月2日 横浜みなとみらい小ホール
MUSE-0002 (P)(C)2016 muse fountain (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jp

リバイタリゼーション ToMoKo plays ToMoKo の音楽が良かったので,第2弾も入手して聴いてみました。このディスクでは,ピアノ独奏,チェロとの二重奏に加えて弾き語りが収められています。第1弾と同じ曲が4曲ありますが,4曲とも弾き語りになっています。

音楽は第1弾と同様に親しみやすく優しさに溢れていますね。歌もちょっと線が細いのですが,大人の音楽という雰囲気を醸し出しています。インパクトはありませんが心温まる良い作品集に仕上がっていると思います。

しかし...録音があまり好ましくありません。今回はホールで録音されているのですが,ホールのキャラクターが強く出過ぎています。楽器音は明らかに間接音比率が高すぎて音色が大きく濁っています。逆に歌声はそれに比べるとわずかな残響を伴いつつもはるかに明瞭で(さらに強いモノラル感もあって),このギャップが強い違和感を生んでいます。

やはりこの音楽はサロン風の録音で聴きたい。先日取り上げた仲道郁代さんのショパン:ワルツ集の解説で述べられていた「サロンで,ピアノの近くに集まり,親密に聴くのである。」というのがふさわしい音楽だと思います。このようなホール音響を強く打ち出した録音を選択されたことを本当に残念に思います。ちょっときつい言い方で申し訳ないのですが,録音が音楽を台無しにしていると感じてしまいます。本当にもったいないです。
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ショパン:ワルツ(17曲) (1842年製プレイエルと2013年製スタインウェイによる演奏)
仲道郁代 Ikuyo Nakamichi (Piano)
2015年5月26日~29日 サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 小ホール
SICC 19006-7 (P)(C)2016 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ショパンのワルツ17曲を,Disc 1では1842年製プレイエルで,Disc 2では2013年製スタインウェイで,同じ曲を違う楽器で弾いたものを収録するという贅沢な企画盤です。今日ここで触れたいのはこの録音についてです。

解説書の中で仲道さん自身が「録音方法」の項で次のように述べておられます。

 今回,これらの二つの楽器の特性をいかすべく,録音方法にも心をくだいた。プレイエルの音色の細やかさ,タッチの変化による音のスピード感,音質感の違いをよりリアルにお聴きいただきたく,なるべく響きをつけない“オン”で“ドライ”なマイク設定を試みた。もともと,ショパンの時代には大きなホールの豊かな響きで聴くということはなかったのである。サロンで,ピアノの近くに集まり,親密に聴くのである。

~中略~

 片や,スタインウェイはというと,この楽器が持っている豊かな響き,低音のパワーなどをしっかりと聴いていただくために,プレイエルの録音よりはいわゆるホールの中で聴いているような音場感を目指している。 ~後略~

仲道さん,いいこと書いています(^^)。そう!音楽の楽しみ方はさまざま,ホールで聴くだけが音楽の楽しみ方ではないのです。実際に聴いてみると,まさにこれが実践され,その雰囲気が実現されています。スタインウェイの方は「ホールの中で聴いているような音場感」とありますが,実際にはこちらも十分“オン”で“ドライ”であり,純粋にプレイエルとの音色の差異を比べられる録音になっています。そしてこれらのピアノの音色は美しく澄んでいて一つ一つの音が輝いています。ピアノって実はこんなに美しい音色の楽器だったんだ!と感動します。こんなに胸のすく気持ちの良いピアノの録音に接したのは本当に久しぶりです。

当ブログの読者様ならすでにご承知と思いますが,私はずっと録音における残響のあり方に疑問を呈してきました。音場感と引き替えに肝心の楽器の音色が犠牲になっている録音のなんと多いことか! この録音は,残響がなくともその音楽性は微塵も損なわれることはないし,音楽の価値が落ちることも全くない,録音において残響は必ずしも必要ではない,ということを見事に証明していると私は思います。

制作サイドの方に改めて問いたい。その残響,何のためですか? 楽器の音色を犠牲にしてまで入れる価値のあるものですか? いったいその残響まみれの録音を通じてリスナーに何を伝えたいのですか? ... ということを考えさせられる録音でした。(思わず愚痴ってしまいました...すみません...)
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リバイタリゼーション Revitalization Tomoko plays TOMOKO
今村友子 Tomoko Imamura (Piano)
寺神戸亮 Ryo Terakado (Violin)
レベッカ・ローゼン Rebecca Rosen (Cello)
Recorded at Westvest 90-church, Schiedam, Netherlands in 2007
TI0701 (P)(C)2008 イマムラ (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

ジャンルはジャズに分類されるようですが,サロン音楽風というか,ポピュラー音楽にも通じるところがあると思いました。今村友子さんは桐朋学園大学ピアノ科を卒業,その後,オランダのデン・ハーグ王立音楽楽員に留学,古楽器科でピアノフォルテを専攻するも,途中でジャズ科に転科されたとのこと。このディスクでは,ヴァイオリニストの寺神戸亮さんがモダン・ヴァイオリンで参加されています(思わぬところで寺神戸さんの演奏に出会いました!)。チェリストもクラシック畑の方のようです。

ここで演奏されている音楽は全て今村さんのオリジナルであり,今村さん自身が演奏されるピアノソロと伴奏は全て即興で演奏されたとのことです。解説書の中で寺神戸さんも,「渡された譜面にはヴァイオリンとチェロのパートしか書かれておらず,しかも彼女もその楽譜を見ながら演奏しているではないか! つまりピアノ・パートは完全に彼女の頭の中,しかも半分かそれ以上は即興で弾いているのだ。」と書かれています。このあたりはやっぱりジャズなんだなと思いますね。上で「サロン風音楽」などと書きましたが,シンプルで親しみやすいメロティーに溢れ,優しく心温まる楽想が印象に残る佳作揃いで,強い印象を残すものではありませんが,とても気持ちが安らぐ音楽だなぁと密かに感動した次第です。

さて録音なのですが,オランダの教会で録音されたとのことで,残響時間は長くないものの,直接音に対する残響比率が高めで被り気味,楽器音をくすませて明瞭感が損なわれているのが少し残念に思います。クラシックの演奏家が参加されているとはいえ,音楽自体はクラシックとは少し違うので,私には音楽と録音がミスマッチのように感じました。この音楽であれば,本当にサロンで録音してくれたらもっといい雰囲気が出たんじゃないかと個人的には思います。音楽が素敵なだけに,この録音は少しもったいない気がします。
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レントヘン:ヴァイオリン協奏曲集
リーザ・フェルシュトマン Liza Ferschtman (Violin)
ダヴィト・ポルセリーン指揮/ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団
Ludwigshafen, Philharmonie, April 13-18, 2009
cpo 777 437-2 (P)2011 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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レントヘン:チェロ協奏曲全集(第1番~第3番)
グレゴール・ホルシュ Gregor Horsch (Cello)
ダヴィト・ポルセリーン指揮/オランダ交響楽団
Enschede Musikzentrum, June 2006
cpo 777 234-2 (P)2013 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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レントヘン:ピアノ協奏曲第2番,第4番
マティアス・キルシュネライト Matthias Kirschnereit (Piano)
ダヴィト・ポルセリーン指揮/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー
Großer Sendesaal, NDR Hannover, May 5-9, 2008
cpo 777 398-2 (P)2011 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

秘曲の宝庫!?(^^;,cpoレーベルから。Apple Musicでの試聴です。未知の作曲家の協奏曲を聴いてみました。

ユリウス・レントヘン(またはレントゲン Julius Röntgen 1855-1932)は,オランダで活躍したドイツの作曲家,音楽教師で,ブラームスとも交流があり,ブラームス本人の指揮でピアノ協奏曲第2番を演奏したり,アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の創設にも尽力したとのこと。交響曲18曲,ピアノ協奏曲7曲,ヴァイオリン協奏曲3曲,チェロ協奏曲3曲,弦楽四重奏曲22曲,などを含め,600曲を越える作品を残したとのことです(以上,Wikipediaより)。

今まで全く名前すら知らなかった作曲家の作品ですが,美しくロマンティックなメロディが溢れる佳作揃いで聴き応えがあります。まだ聴き始めたばかりなのでもう少しじっくりと楽しみたいと思っています。交響曲の録音もいくつか出ていますので,こちらも聴いてみようかと。弦楽四重奏曲も多数残しているようですが,こちらの方はまだ録音を見つけられていません。個人的にはもう少し評価されても良い作曲家ではないかと思っております。

録音ですが,協奏曲の録音として標準的であり,オーケストラに対してソロが明瞭に聴こえる点が良いと思います。特に優れているという感じではないのですが,欠点が少ないという点でまずまずの好録音だと思います。

私にとってApple Musicはこういう未知の楽曲との出会いをサポートしてくれる強力なツールです。そしてcpoレーベル,いいですねぇ。
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
キース・ジャレット Keith Jarrett (Harpsichord)
January 1989 Yatsugatake Kohgen Ongakudoh, Japan
ECM 1395 (P)(C)1989 ECM Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
キース・ジャレットがクラシック音楽を演奏したディスクは以前にも聴いたことがありますが,ジャズ的な演奏を期待すると肩すかしを食らうというのはこの演奏でも同じで,全くスウィング感はなく,どんなクラシック演奏家よりもクラシック音楽家的だと思えるほどのリズム感で演奏されています。キッチリと生真面目で遊びの要素はほとんどありませんが,ゆったりしたテンポで一音一音を丁寧に心を込めて弾いているのがよくわかる味わい深い演奏です。彼がジャズ・ピアニストだということを忘れて聴かなければなりませんね。リピートの省略が多いのは残念なところです。

録音ですが,ホールの箱鳴り感が被っているのが少し気になりますが,直接音が支配的であり,音の芯,輪郭がはっきりしていて明瞭感のある録音となっています。楽器自体の豊潤な響きも質感もよく捉えています。私としては先に述べた箱鳴り感による音色への影響が少々不満として残るものの,これなら好録音と言えると思います。少しおまけですが四つ星半です。

演奏時間 約62分
リピート表
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ×× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○○
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ××
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ○○
Var.22 ×× Var.23 ×× Var.24 ××
Var.25 ○○ Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
lars_vogt_bach_gordberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
ラルス・フォークト Lars Vogt (Piano)
2014年3月24-26日 ケルン,ドイツ放送カンマームジークザール
ODE1273 (P)(C)2015 Ondine (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
ジャケット写真の風貌から受ける印象とは全く異なる(^^;,アクセントを控えた柔らかいタッチの優しい演奏に少々面食らいます。テンポは決して遅くないのですが,細かい音型でも裏拍までキッチリと丁寧に弾き,響きをなめらかにつなげていくスタイルが独特のテンポ感を生んでいます。推進力も躍動感も希薄で音楽があくまでマイペースで進んできます。先日取り上げたイングリッド・マルゾーナーの演奏とは対極にあるような演奏です。好みが分かれるのではないでしょうか。私はちょっとこのヌルヌルした感じが苦手かなと思います(^^;。なお,リピートはAria da capo含めて全て実行されていて完璧です。

録音ですが,残響が少しありますが,楽器音を濁すだけの質の悪い響きであり,音色もこれで変に色がついてしまっていて全く良くありません。明瞭感も今ひとつです。残念です。

演奏時間 約77分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
イングリッド・マルゾーナー Ingrid Marsoner (Piano)
October 2009, at Lehár Theater, Bad Ischl, Upper Austria
Gramola 98846 (P)(C)2010 Gramola (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
速めのテンポで歯切れの良い弾き方(ノンペダル?)が気持ちの良い快活な演奏です。速めといっても表現はごくごく自然でテンポの揺れや「ため」も最小限,違和感なくすんなりと耳に入ってきます。Aria da capo以外,全てリピートを実行しているのも二重丸です。技術的にも上手いと思います。

そして録音がまた良いのです。ピアノの音を邪魔する間接音が一切ないドライな録音で,明瞭かつ自然な音色でこの歯切れの良い演奏を一層引き立てています。マイク距離もほぼ適正,あざとさもなく,むしろ地味に感じるくらいで,もう少し音に輝きがあって欲しいくらいです。優秀録音ではないかもしれませんし,万人受けするとは思えませんが,間違いなく好録音です。

演奏も録音も好みで私にとっては大当たりの掘り出し物でした。グールド2回目イッサカーゼに続く愛聴盤候補として急浮上です(^^)。

演奏時間 約73分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
sergei_edelmann_bach_italian_concerto_etc.jpg
バッハ:半音階的幻想曲とフーガ,イタリア協奏曲,パルティータ第6番
セルゲイ・エデルマン Sergei Edelmann (Piano)
2008年10月7-9日,富山北アルプス文化センター
EXCL-21 (P)2009 EXTON/TRITON (国内盤) ※Apple Musicにて試聴
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
レコード芸術誌2013年度第51回レコード・アカデミー賞特別部門録音受賞ディスクである小菅優さんのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第2巻「愛」のレビューのコメントで教えていただいたディスクです(ご紹介有り難うございます!)。Apple Musicでの試聴で失礼します。

それでその録音ですが,録音会場の響きをわずかに感じさせつつも,ピアノの音色に芯があり,また輪郭もくっきりとしていること,楽器自体の響きも豊かに捉えていることから,コメントをくださった方のおっしゃる通り「良く鳴っている」楽器の音響を上手くバランス良く録っていると思います。この録音であれば私もまずまず納得できますし,多くの方にとっても優秀な録音に入るのではないでしょうか。少なくとも上記の小菅さんの録音よりもピアノの音の素晴らしさをずっと良く伝えてくれると思います(小菅さん,ごめんなさい)。
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ラフ:ピアノ協奏曲作品185, 春への頌歌作品76
ピーター・アロンスキー Peter Aronsky (Piano)
マティアス・バーメルト指揮/ヨスト・マイアー指揮
バーゼル放送交響楽団
TUDOR 7035 (P)1995 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
raff_cello_concertos.jpg
ラフ:チェロ協奏曲第1番,第2番,他
ダニエル・ミュラー=ショット Daniel Muller-Schott (Cello)
ハンス・シュタットルマイア指揮/バンベルク交響楽団
TUDOR 7121 (P)2004 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
raff_violin_concertos.jpg
ラフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番,他
ミハエラ・パエッツチ Michaela Paetsch Neftel (Violin)
ハンス・シュタットルマイア指揮/バンベルク交響楽団
TUDOR 7086 (P)2000 TUDOR (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower recordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
弦楽四重奏曲で興味を持ったラフというスイスの作曲家の協奏曲を聴いていました。

ピアノ協奏曲は緩徐楽章の叙情的な曲調が印象的ですし,両端楽章の技巧的で堂々とした音楽も聴き応えがあり,今回試聴した中では一番良かったです。そしてカップリングの春への頌歌作品76(Wikipediaではヴァイオリンと管弦楽の曲とされている)も同様に親しみやすく聴きやすい曲で好印象でした。

次いでチェロ協奏曲。特に第2番が楽しいのですが,どちらも美しい旋律に溢れた佳作だと思います。名手ダニエル・ミュラー=ショットのチェロがこれまた素晴らしい! 深みのある低音から透明感のある高音まで,この人のチェロの音は本当に魅力がありますし,技巧も完璧です。

そしてヴァイオリン協奏曲。どちらも短調ですが,美しい旋律と輝かしい技巧に彩られたこれも良い曲です。録音の加減もあると思いますが,ヴァイオリンがやや線が細く印象が薄いのが残念です。技術的にも上手いのですが。

ラフの音楽は親しみやすいのですが,アクがないため印象に残りにくい面があります。埋もれてしまったのはそのためかもしれません。

録音ですが,ピアノ協奏曲とチェロ協奏曲は,オーケストラのスケール感と,そこから一段浮き上がるソロが心地よく,協奏曲として標準的ながらバランスの良い良好な録音です。

一方ヴァイオリン協奏曲は特にソロが奥まっていて弱く,曲の印象を弱めてしまっています。こぢんまりとして広がり感の弱い点も残念なところです。やはり録音は大切であるということを感じますね。

これらのディスクは入手困難ではないと思いますが時間がかかりそうということもあって,Apple Musicでの試聴しました。こういうマイナーなディスクを聴きたいときに聴けるというのは有り難いです。クラシックファンにとってApple Musicはほんとに宝の山ですね。また,こうやって私たちが聴くことによって,演奏者や著作権者に適正に視聴料が配分され行き渡ることを願いたいです。(→こういうことから,すでに廃盤になったものに関しては,中古ディスクを買い求めるよりもApple Musicで聴く方が良いかもしれない,と考えているところです...)

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