好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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前の記事で,測定結果が比較的マシだったダイソーの200円イヤホン カップカナルタイプですが,マシといっても実際にはものすごく中域に癖を持っていて,とても聴こうと思える音質ではありません。ただ癖はあるものの音圧は全帯域でそれなりに出ているので,イコライザで調整することで聴けるレベルに持って行けるのではないかと思い,試しにやってみました。

イコライザはAndroidのOnkyo HF Playerという音楽プレーヤソフトに搭載されているものを使いました。すなわち,このHF Playerで再生するとき限定になります。このHF PlayerにはEQカーブを任意に設定できる機能がありますので,それを使います。

調整は聴感に頼ってもなかなか適切にならないので,HF Playerでピンクノイズを再生し,その再生音をスペクトル分析し(1/24オクターブバンド),その特性カーブをリアルタイムに見ながらEQカーブを調整するという方法を採りました。スペクトル分析はARTA Softwareという音響分析ソフトを使いました。そして,次は実際に音楽をHF Playerで再生して音楽を聴きながら微調整します。調整前(EQ=OFF)と調整後(EQ=ON)の特性は次の図のようになりました。

eq_compensation_daiso_k-15-p12_t023_200_yen_earphone_lch-2.png


低域から中域にかけて大きくゲインを落として中域の癖のある音を緩和し,全体としていわゆるドンシャリ特性にしてみました。この図だけを見ると2kHz付近はもう少し落としても良いように見えますが,反対側のチャンネル(右)は2kHzがディップになっており,これ以上の周波数はばらつきでピークディップが変わってくる可能性があるので,あまり触っていません。この調整で随分と聴きやすい音質になりました。

HF PlayerのEQ設定は次の図のようになっています。

eq_setting_for_daiso_200yen_earphone_hf_player.png


目盛りがないのでわかりづらいですが,グラフ上端が+12dB,下端が-12dBになっています。1kHz付近を大胆に落としています。ディップの深さを稼ぐために全体をややプラスゲインに振っていますので,レベルの高い曲ではクリップ歪の発生の可能性はありますが,幾つか聴いた範囲では問題ありませんでした。

なおこのEQ設定は私が持っている個体にだけ有効であり,同じ製品でも違う個体ではばらつきにより合わない可能性があるということはご承知おきください。

音質が良くないイヤホンを救うためにイコライザで特性を整えるというのは,イコライザの本来の使い方だと思います。ただ,聴感に頼っての調整は意外に難しいというのが正直なところです。聴感だけでは1kHzを-12dB落とすという大胆な調整は出来なかったと思います。

とはいえ,普通測定はできないので,100均イヤホンで中域に癖を感じたら,まずは1kHz付近を大胆にイコライザで落としてみる,というのを試してみてはどうでしょうか。

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家電量販店やコンビニで売っているイヤホンは安くても1,000円くらいからだと思いますが,そのイヤホンを税抜100円で提供するというのはある意味驚異的です。その実力についてはPhile-webでもレビューされていますし,Webを検索すれば掲示板などでいろいろと情報が拾えます。まあ100円なのですからまともな音を期待する方が間違っているというのはその通りだと思うのですが,でもじゃあいったいどれくらいの実力なのか明らかにしたいという使命感から(^^;,幾つかのモデルを測定してみました。

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評価したのはこれらの5機種で,上段左から,

(a) ダイソー ステレオイヤホン ジェリービーンズタイプ (KO-16-P20)
(b) ダイソー ステレオイヤホン スタンダードタイプ (K-14-P12)
(c) ハッピーステーション ステレオイヤホン Gloss Color (XYY-16-A)
(d) ハッピーステーション ステレオイヤホン FLAT CORD (XYY-15A)
(e) ダイソー 200円ステレオイヤホン カップカナルタイプ (K-15-P12)

(c)と(d)は,近所のスーパーの中にあるmeetsという100均ショップで購入しましたが,セリアなど他店でもあったと思います。

(e)は200円ですが,ダイソーで手に入る比較的音質の良いイヤホンという評判でしたので,評価に加えました。すべてカナル型です。

次に実際に測定してみた結果を示します。測定方法は「ヘッドホン・イヤホン周波数特性測定結果」のページの「使用機材と構成」で紹介していますので,併せてご確認いただければと思います。なお測定電圧は1mW相当にすべきですが,面倒でしたので0.17V(1mW@32Ω)に統一しました。また,イヤーピースは本来は付属のもので測定すべきですが,シリコンチューブにうまく挿入できないものが多かったため,すべて(d)に付属のイヤーピースに交換して測定しました。

グラフは音圧特性のみを示しています。L(青線)が左チャンネル,R(赤線)が右チャンネルです。

(a) ダイソー ステレオイヤホン ジェリービーンズタイプ (KO-16-P20)
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(b) ダイソー ステレオイヤホン スタンダードタイプ (K-14-P12)
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(c) ハッピーステーション ステレオイヤホン Gloss Color (XYY-16-A)
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(d) ハッピーステーション ステレオイヤホン FLAT CORD (XYY-15A)
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(e) ダイソー 200円ステレオイヤホン カップカナルタイプ (K-15-P12)
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測定結果を見て特性の悪さは想定内でしたが,ばらつきによる左右差がこれほど大きいというのは正直想定外でした。初めは測定ミスかと思いましたが何度やっても変わらなかったので,間違いはありません。音が出た瞬間に走る強烈な違和感はこの左右差が原因と思われます。これだけ激しくばらつくと,もはや機種固有の音質などはないに等しく,当たり外れなんていうのも同様にないに等しいと思います。業者の方には申し訳ない言い方ですが,これは単に音が出るだけの商品であり,音楽観賞用としては買ってはいけないレベルの品質だと思います。

(e)の200円イヤホンは何とか使えそうなレベルです。100円と200円の差はものすごく大きいですね。ただ,これはたまたま当たりだっただけかもしれませんが。

ということで,100均のイヤホンは,単に音質が悪いのは仕方がないとしてもばらつきが大きすぎるのが問題ですね。100円という値段を達成するために造りも悪く検査もしていないのでしょう。そのあたり割り切って使うしかない商品ですね。

なお繰り返しになりますが,今回の測定結果は私の購入した個体の特性であって,このばらつき具合から考えて,別の個体は全く違う特性である可能性が高いということをご承知ください。

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ノイズキャンセリング機能を持ったヘッドホンが市場で増えつつあるので,一度その性能を測定してみようと思いチャレンジしてみました。ノイズキャンセリングヘッドホンの測定方法は,JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の規格「RC-8142 ノイズキャンセル型ヘッドホン及びイヤホン」でその測定方法が規定されています(→JEITA規格書のページ)。

本文は無料で公開されているので閲覧してみたところ,環境騒音模擬ノイズを使うとか,そのノイズを充満させた拡散音場で測定するとか,HATS(ダミーヘッド)を使うとか,94dBのノイズ(これはほとんど爆音)を発生させて測定するとか,・・・ とても素人には規格通りに測定出来そうにありませんでした。とはいえ,まあ規格通りということにこだわらなければ簡易的な方法でも出来そうだと思ったので,やってみることにしました。

まず音源ですが,これはまあピンクノイズで良いでしょう。最近の製品では周囲ノイズの特性に応じてキャンセル特性を自動的に変えるようなものもあるようなので適切かどうかは微妙ですが,ノイズには違いないのでとりあえず良しとします。

次にノイズを充満させた拡散音場ですが,これが一番困りました。自宅でピンクノイズの爆音を鳴らそうものなら家族はおろか近所迷惑にもなるので爆音を鳴らせる環境を探さなければなりません。カラオケボックスなども考えたのですが,追い出されるリスクが高くこれもだめ。で,結局,車の中でカーオーディオでピンクノイズを鳴らし,測定することにしました。車の外に盛大に音が漏れるのでやはり場所選びに苦労しましたが,周囲が静かでかつ人通りが少なく怪しまれにくい場所を見つけました。

そしてHATSですが,車の中ではいつも使っているファンタム電源が必要なマイクを内蔵した測定治具が使えないので,プラグインパワーのマイクを内蔵した治具を作って測定しました。下の写真がその治具です。のりパネというスチロールボードと発泡スチロールのブロックを使って本体を構成しています。マイクはPanasonic WM-62CUというコンデンサマイクです(部品で1個100円程度)。これをオーディオI/Fのマイク入力に接続します。恐ろしいほど稚拙な治具で誠にお恥ずかしいのすが,一応これでも機能します(^^;。

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今回試しに測定したBOSEのQuietComfort 35を取り付けると次の写真のようになります。これを車に持ち込みました。

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マイクで拾ったノイズ信号はオーディオI/FでA/D変換してPCに取り込み,ARTA SoftwareのARTAという測定ソフトのスペクトラム分析機能を用いました。これで1/3オクターブバンドのスペクトラム分析をします。ノイズはカーオーディオでピンクノイズを鳴らします。デジタルで-3dBのピンクノイズをCDに焼き再生,音量を最大にして騒音計で約92dBの音圧のノイズが得られました。爆音です(^^;。

測定手順は次の通りです。

(1) ノイズを止めた状態で,ヘッドホンを装着せず測定(ノイズフロアを確認)
(2) ノイズ発生を発生させ,ヘッドホンを装着せず測定(ノイズ量を測定)
(3) ヘッドホン装着を装着し,ノイズキャンセリング機能オフで測定(遮音性能を測定)
(4) さらにノイズキャンセリング機能をオンにして測定(アクティブキャンセル性能を測定)

得られたデータから,(3)-(2)で遮音性能を,(4)-(3)でアクティブキャンセル性能を,(4)-(2)でトータルのノイズキャンセル性能を,それぞれ算出してグラフ表示します。

この方法で試しに測定したBOSEのQuietComfort 35の結果を次に示します。左チャンネル,右チャンネルそれぞれ測定しています。各グラフの上半分が測定した音圧値,下半分が性能を評価した結果です。

bose_quietcomfort35_nc_performance_lch.png


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興味深いのは,およそ700Hz以上はほとんど遮音性能で決まり,200Hz以下の遮音性はほとんどないこと,そしてアクティブキャンセルは,およそ700Hz以下しか効かず,1kHzから2kHzあたりは逆にノイズを増やしてしまっているということです(増えた分は遮音でカバー)。トータルとしては遮音とアクティブがうまくクロスして効果を出し,全帯域で15~30dBの低減効果が得られています。

アクティブで1~2kHzがかえって悪化しているのは,このあたりの周波数が性能的な限界で,位相のコントロールが出来ていないためではないかと推測します。遮音で低域のノイズがかえって増えているのは,高音圧のノイズでヘッドホンと治具が揺さぶられ,タッチノイズのようなノイズが発生しているためのようです。

またこの測定治具ですが,加工のしやすさを優先して軽い素材を用いたのですが,治具自体がノイズ音圧で振動し,その振動がマイクを直接伝わって結果を悪化させている可能性があると考えています。ただ,このような貧弱な治具でもそれなりにノイズ低減効果を数値として確認できたので,まあ一定の成果はあったと思っています。治具の防振対策は今後の課題です(まだやるつもりなんかい!(^^;)。

最後に蛇足ですが... 私の車のカーオーディオの周波数特性ってだいたいこんな感じだったんですねぇ... というのもわかりました。

関連ページ: ヘッドホン BOSE QuietComfort 35 周波数特性

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ヘッドホン BOSE QuietComfort 35

オーバーヘッド(アラウンドイヤー)型 密閉・ダイナミック型,ノイズキャンセリング対応,Bluetooth対応
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

特性はフラット基調でやや低域を持ち上げた音づくりになっています。このあたりはBOSEらしいと言えますが,持ち上げ方は意外に控え目でそれほど強調されたようには聞こえません。

電源オフでも音は出ますが,ピークディップがかなり大きいです(図のグレーのライン)。電源オン時にかなり電気的に補正をかけて整えていることがわかります。

Bluetooth時の特性はトランスミッターを持っていないので測定できませんでした...

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図1 BOSE QuietComfort 35 周波数特性(有線/電源ON)
■SPL ■SPL[1] ■2次歪 ■3次歪 ■Impedance ■Impedance[2]
[1]電源OFF時 / [2]電源OFF時 / 測定環境 / 入力0.2Vrms


関連ページ: ノイズキャンセリングヘッドホンの性能測定を試みる

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久しぶりの測定記事です。ソニーのバランスド・アーマチュア型イヤホンXBA-300の周波数特性と測定してみました。ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

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図1 Sony XBA-300 周波数特性
■SPL ■2次歪 ■3次歪 ■Impedance / 測定環境


それで,どちらかといえば次が本記事の本題になるのですが,このイヤホンをサンプルに,自由音場補正周波数特性の測定にチャレンジしてみたので,その結果を報告します。<疑似>としているのは,その測定方法を完全に実施出来ているわけではなく,幾つものエクスキューズが付いた「真似してやってみました」レベルだからです。その点,ご了承いただきたく思います。

「自由音場補正周波数特性」とは,一般社団法人 電子情報技術産業協会(以下JEITA)が発行する規格 “RC-8140B-1 ヘッドホン及びイヤホン(追補)(2016年3月発行)”の中で定義された周波数特性です。 この周波数特性の意味するところは,規格を推進されたJEITAの委員へのインタビュー記事「各社バラバラに計測「ヘッドホンのハイレゾ測定法」がついに統一? JEITAの新規格を聞く(Phile-web 2016/6/10)」で詳しく解説されていますので,そちらをご参照ください(手抜きですみません)。

上記のインタビュー記事ではハイレゾ測定にフォーカスされていますが, イヤホンの特性をスピーカの特性のように読みやすくするという意味で可聴帯域でもそれなりに意味があります(つまりフラット特性を一つの基準にデータを見ることが出来る)。

しかし,規格通りに測定するのは,測定器が高価すぎて個人レベルではほぼ困難です。 そのため今回の方法には,①規格に沿った測定器を用いていない, ②自由音場補正のためのデータが使用した測定器の実測値に基づくものではない,という二つの大きな問題があります。 これが<疑似>の大きな理由です。

上記のように,データの信頼性は残念ながら全くありませんが, とにかくやってみなければ何もわからないということで今回チャレンジしてみました。 上記①については,上記の測定でも使用しているシリコンチューブを使った自作カプラーを使用し(測定環境をご参照ください), 上記②については,ITU-T勧告P.58で定義されているHATSの自由音場特性の値を適用しました。 測定はARTA Softwareのオクターブ分析機能を用い,ピンクノイズ1mW相当の入力に対し1/3オクターブバンドで分析して値を出しています。

ということで,こういった幾つものエクスキューズを念頭に次のデータを見ていただければと思います。

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図2 Sony XBA-300 <疑似>自由音場補正周波数特性
■SPL ■SPL(after free field compensation) ■ITU-T P.58 Free field frequency response


私はこのXBA-300について,少し低域が多すぎるけど高域がシャキッとして結構好きな周波数バランスだと思っていました。この特性を見ると,まあその印象に近いデータが得られたような気もしています(^^;。まあいずれにしても参考の参考の参考くらいにしかなりませんが...

ということで,個人レベルでは規格に沿ったまともな測定は困難で,得られるデータも信頼性に乏しいので,これ以上続けてやるかどうかは微妙ですが,機会があればまた試してみたいと思います。

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Bose SoundTrue in-ear headphones
インイヤータイプ,インピーダンス不明(実測約45Ω),ケーブルY型長さ不明(実測約1.2m),ストレートプラグ,発売2014年秋
参考: Amazon.co.jp

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Bose SoundSport in-ear headphones
インイヤータイプ,インピーダンス不明(実測約45Ω),ケーブルY型長さ不明(実測約1.2m),ストレートプラグ,発売2015年秋
参考: Amazon.co.jp

BOSEのインイヤー型のイヤホンで,一見カナル型のようにも見えますが,カナル型のように押し込む必要がなくイヤーチップの羽のような部分(StayHear tipというそうです)を耳にはめ込んで安定させるので,差し込む部分に隙間ができ密閉されません。このため装着時の圧迫感もありませんし,耳の穴への負担も全くなく,外の音も全く遮られることなく自然に聞こえます。装着感はオープン型のイヤホンと変わりなく,長時間付けていても全く負担がありません。すごく快適です。カナル型で問題になるタッチノイズも全く気になりません。

BOSEというと低域が強調されたデフォルメされた迫力あるサウンドが特徴のように言われている,というイメージがあったのですが,このイヤホンに関しては全くそんなことはなく,癖のないフラットな音で聴きやすいです。低域は,イヤーチップの効果か,オープン型に比べると伸びている感じがありますが,やはり密閉されていないのでカナル型ほどの量感はありません。しかし私にとってはこれくらいがちょうど良く足りないという感じはありません。

高域は印象としては8kHz以上がやや落ちている感じがあってわずかに音の輝きが弱いと思うことはありますが,伸び感が不足したり曇ったりということはほとんど感じないので,実使用上は十分許容範囲です。

音漏れに関しては,密閉されないことと,背面に音抜きの穴があることから,カナル型に比べると大きいのではないかと思います。外での使用は少し注意した方が良いかもしれません。

製品の質感は,少し表面の耐久性が不安かなと思うような材質であり,劣化しなければ良いのだけれどとちょっと心配はあります。プラグがストレートで根本の断線対策も今ひとつ十分ではなさそうなので,取り扱いは注意しないとすぐに痛めてしまいそうです。ハウジングが少し大きめなので装着したときの存在感が結構あるのがちょっと恥ずかしいですね。もう少し小さく作って欲しいところです。

SoundSportの方はスポーツ用の防滴仕様ということで少し外観も含めてSoundTrueとは違いますが,音の印象はほとんど同じで,ほぼ同等の音質と思います。

ということで,普段使用するイヤホンのレパートリーが一つ増えました。このモデルはすでに生産されていないようで,現在は流通在庫のみのようです。新しいモデルはイヤーチップの形状が変わり,密閉される構造になっているようです。店頭で装着してみましたが,カナル型のように密閉されるので,このモデルにあった密閉されない良さは全てなくなっていました。残念なことです。

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Shenzhen Paiaudio π3.14 Audio Earbuds
開放型インナーイヤータイプ,インピーダンス32Ω,ケーブルY型1.25m ストレートプラグ
参考: Amazon.co.jp

私はカナル型イヤホンが苦手なので,イヤホンは専ら開放型を使っているのですが,このタイプのイヤホンは選択肢が極めて少なく,音質的にも満足できるものが少ないというのが実情です。いろいろ使ってみたのですが,今も使い続けているのは結局,古いモデルですがSennheiser MX500,おそらく日本には正式輸入されていないSennheiser MX365,このタイプのイヤホンとしてはべらぼうに高いVenture Electronics VE ASURAで,MX500とVE ASURAは外観形状がそっくりです。

そして音の出口の開口部の構成が異なりますが,ハウジング形状がそっくりなモデルを見つけたので購入してみました。日本での取り扱いはWiseTechですね。

音質は想定通りでMX500やVE ASURAに極めて近い印象を受けます。開放型なので低域は全く出ませんが,中高域の音色のバランスは整っていて癖がなく,音のヌケ,高域の伸びも十分です。製品にはスポンジのパッドが付属していて,これを装着すると低域の量感が少し改善します。この音質ならまあ合格です。

ハウジングが透明なのはまあ良いとして,黒のリングにこの真っ赤なケーブルはデザイン的にはいまいちでちょっと使いたくないですね(^^)。そして少し細いので頼りなく取り回しに気を遣います。プラグがストレートというのもポータブルで使うには断線が心配で,出来ればL字にしてほしいところです。

ということで,音質は良いのですが... 私の選択肢からは外れますかねぇ,これは。いろいろと残念なモデルです。

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Venture Electronics VE MONK+
開放型インナーイヤータイプ,インピーダンス64Ω,ケーブルY型1.2m OFC,ストレートプラグ
参考: Juice Barフジヤエービック(取扱店)

先日レビューしたVE ASURAに続いて,廉価版のVE MONK+を入手して聴いてみましたので,簡単にレビューします。価格はフジヤエービックで1,500円(税込)でした。VE ASURAが13,000円(税込)だったので,約1/10の値段です。

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左:VE MONK+   右:VE ASURA


外観は下の写真の通り,形状はVE ASURAと区別がつかないくらい似ています。同じ金型を使っているのではないかと思います。ハウジングの樹脂も価格差ほどの質感の差はありません。ケーブルも見た目はそれほど違いがありません。ASURAがいかに安っぽいかがわかりますね(^^;。

そして肝心の音質ですが,基本的な音質はASURAに似ていますが,中低域が弱く高域寄りのバランスであり,ヌケは良いものの,少し高域が強すぎる印象を受けました。付属の目の粗いイヤーパッド(スポンジ)を付けて密閉度を上げると,帯域のバランスは改善します。しかし,やはりASURAの中低域の密度感と解像感には及ばないです。とはいえ,価格差ほどの音質差があるわけでもなく,MONK+のコストパフォーマンスの高さはなかなかのものだと思います(逆にASURAはコストパフォーマンスが悪いと言えますね)。

ということで,音質は価格なりのところはありますが,それでもコストパフォーマンスに優れる良いモデルですね。このタイプのイヤホンとしてはお勧めできると思います。

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Venture Electronics VE ASURA
開放型インナーイヤータイプ,インピーダンス150Ω,ケーブルY型1.2m 4N-OFC,L字プラグ
参考: Juice Barフジヤエービック(取扱店)

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私はカナル型イヤホンが苦手で,専ら開放型インナーイヤータイプのイヤホンを使っています(専門的にはイントラコンカ型(intra-concha type)と呼ぶそうです)。主に使っているのは,だいぶ前に生産終了したSennheiser MX500や,最近ではSennheiser MX365です。後者は現役機種ですが日本には正規ルートで入ってきていないようです。このタイプのイヤホンはまだ市場でなくなってしまったわけではありませんが,音質的に満足できるものがほとんどなく,選択肢が極めて限定されてしまうという残念な状況です。

そんな中で見つけたのがこのVenture Electronics VE ASURAです。ご存じの方はすぐにわかると思いますが,実は外観形状がSennheiser MX500と全く同じです。同じ金型を使っているのではないかと思うくらい全く同じです(ということはFostexのODM製品かも)。そして驚くべきことに価格が13,000円もします(2016年7月現在 フジヤエービック)。このタイプのイヤホンとしてはべらぼうに高い価格ですが,選択肢が限られる中,試してみる価値はあるだろうと,清水の舞台から飛び降りる覚悟で入手しました(「崖」からではないですよ(^^;)。

MX500との比較になりますが,ハウジングは安っぽい半透明プラスチックでMX500と大差なく,とても13,000円の商品には見えないです。ケーブルは多少太めのものが使われているのでまだマシです。N50というグレードの高いネオジム磁石が使われているとのことです(N52が普通手に使える最高グレード)。LRの表示が刻印になっているのは助かります(MX500はすぐに剥げてわからなくなる)。

そして肝心の音ですが,MX500に比べて低域も高域も伸びていて帯域のバランスもフラットですし癖がほとんどありません。なにより密度が高く力があり,緻密なのが良いと思います。音のグレードはMX500よりもかなり高いと思いました。インピーダンスが150Ωとかなり高めで,Xperia Z3 Compactでぎりぎり何とか鳴らせているレベル。WalkmanやiPhoneであればまあ問題ない音量が得られそうです。

ということで,音質的には満足できるものでした。ただ,これがこの価格に見合う価値があるかというと微妙で,お勧めできるものではありませんが,私としては良かったかなと思います。

なお下位モデルとしてVE MONK+というモデルがこの7月に発売されるとのことで,価格も1,500円とリーズナブルであり,発売されたらこちらも試してみようかと思っています。それにしてもこの価格差ありすぎ...中間のモデルが欲しいところです。

オマケですが,本体に印刷されているURL(52ve.cn)にアクセスしてみると... メーカーのホームページのようで詳しく説明があるようですが... 中国語なのでわかりません(^^; インピーダンスが320Ωの高級モデル?もあるようですね。

[追記]メタラーのヘッドホンブログで,もう少し安く買えるAliExpressという海外の通販サイトが紹介されていました。ASURAはUS$78ですね。このブログを信じると,最上位モデルのZENは私の好みではないように思います。逆にMONK+は期待できそうです。

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知り合いから,音質があまり好きになれないのだけど...と相談を受けたSony MDR-ZX310。そう言われてもなぁ,どうしようもない,と思いつつ借りて聴いてみました。実売が2,300円前後というエントリーモデルなので音質は目をつぶらざるを得ません。低音は良く出ているものの,高域の伸びが全くなく,モゴモゴする音質です。

いつもの通り,測定をしてみました(測定方法はこちら)。下記の図で,青線が1mW入力時の音圧周波数特性です(橙線が2次歪,黄緑線が3次歪,インピーダンスは割愛)。確かに伸びがなくモゴモゴするような特性です。

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ではどうするか。製品としてのクオリティが良くなるわけではありませんが,周波数特性を改善してやれば少しでも聴きやすくなるだろうということで,イコライザーを使って周波数特性を整えてみました。使用したのはOnkyoのHF Player。これにはグラフィック・イコライザー機能がありますので,これを使いました。

周波数特性を見ながらフラットになるように大まかにイコライザを設定し,あとは聴感で微調整しました。次図が調整したHF Playerのイコライザー設定です。メモリがないのでわかりにくいですが,±10dBの範囲で設定が出来るようになっています。4kHz以上を大きく持ち上げることによって高域特性を改善しフラット化するとともに,モゴモゴ感の原因となっている500~1kHzを少し落としています。

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HF Playerで再生したときの特性も確認しました。次図において,青線がイコライザーOFF,赤線がイコライザーONです。HF Playerでホワイトノイズを再生し,Wave Spectraで300回平均測定しました。

fq_resp_sony_mdr-zx310_eqon.png


帯域バランスが大きく改善され,軽いドンシャリ特性となり,だいぶ聴きやすくなりました。まあ少し過補正気味かもしれません。音がドライで硬くなりました。調整量を半分くらいにしても効果は十分に感じられたので,それくらいにしておいた方が良いかもしれません。なお,イコライザーでプラス方向に調整するとクリップして音が歪む場合があるので,プラス方向に大きく調整したときは全体の音量を少し下げた方が良いかもしれません。

これだけ大きな信号処理を加えることには若干の抵抗を感じますが,モゴモゴした音で聴き続けるよりはずっと良いと思いました。ただ,測定データなしで聴感だけに頼って適切に調整するのはかなり難しいと感じました。モゴモゴした音を改善したい場合には,4kHz以上をプラスに持ち上げ,500~1kHzを少し下げる調整をしてみて,あとは好みに合わせて少しずつ調整を重ねていく,というところでしょうか。こればかりはヘッドホン毎に特性が異なるため何とも言えませんが。

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ヘッドホン ソニー Sony MDR-1ABT

密閉・ダイナミック型,インピーダンス24Ω,ケーブル片だし(着脱可) 2015年発売,Bluetooth対応
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

同社の代表機種MDR-1Aの兄弟機種で,Bluetooth対応のモデル。 同社が開発したBluetooth用のコーデック“LDAC”によって,Bluetoothでのハイレゾ対応を謳っています。 ここでは有線接続時のみの評価です。

音質の傾向は兄弟機種だけあってMDR-1Aに似ています。 しかし,能率がMDR-1Aよりも低く,また,低域の質感が異なります。 こちらの方が低域に締まりがあり,逆に量感は控えめに聞こえます。 能率の低さと低域の量感の差によって,MDR-1Aよりも大人しめの音に感じられます。 また,このシリーズの特徴である解像感の高さもわずかに落ちるように感じられ, クオリティ面ではMDR-1Aに一歩譲るように思います。 個人的には音のバランス,低域の締まり具合から,MDR-1Aよりもこちらの方が好みかなと思いますが。

装着感ですが,Bluetoothモデルなので若干重いのは仕方ないとして, イヤーパッドがMDR-1Aよりも少し薄く,あの軽く柔らかい装着感はこのモデルではあまり感じられません。 決して悪くはないですが,MDR-1Aには及ばないです。

MDR-1Aの兄弟機種ですが,音質面でも装着感の面でもだいぶ異なるという印象です。

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図1 Sony MDR-1ABT 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン ソニー Sony MDR-1A

密閉・ダイナミック型,インピーダンス24Ω,ケーブル片だし(着脱可) 2014年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ソニーの密閉型オーバーヘッドヘッドホンの代表機種なので今更説明の必要もないですね。 音質は低域が豊か,かつ高域が強い,いわゆるドンシャリですが, 全体に破綻のない完成度の高い良好な特性をしています。 少し低域が緩めであり,これがこの機種の音質を特徴付けていると思います。 もう少し締まっている方が私の好みなのですが...

そしてこの機種のもう一つの特徴が,とても軽く快適な装着感でしょう。 柔らかめのイヤーパッドのフィット感が心地よく,また,緩い側圧のため, 長時間のリスニングも比較的楽です。 重量も軽めです。 イヤーパッドの内径が少し狭いので若干耳が触れるので少し気になります。 この点が惜しいところです。

さすがソニー,良くできたモデルです。

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図1 Sony MDR-1A 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン オーディオ・テクニカ audio-technica ATH-MSR7

密閉・ダイナミック型,インピーダンス35Ω,ケーブル片だし(着脱可) 2014年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

2016年2月時点の実売価格がおよそ2万円ということで,密閉型アラウンドイヤーのヘッドホンとしては中級クラスです。 ソニーのMDR-1Aが競合というところでしょうか(デザインも似ていますし・・・)。 オーソドックスで,ヘッドホンらしいヘッドホンです。

音質はフラット基調で極めてクリア,ハイが少々きついくらいです。 音源が少し曇った音質でもスカッとヌケよく聴かせてくれます。 低域は量感は控えめですが,十分に出ていますし,締まっているので不満はありません。

装着感ですが,イヤーパッドは耳の大きさぎりぎりですが,耳に触って不快になるということはありません。 側圧がややきつめで,かなりしっかりと装着できますが,一方で, アラウンドイヤーにも関わらずやはり長時間は少し疲れてつらいです。 イヤーパッドは密閉度が良いので,遮音性もまずまず良好,音漏れも少ない方だと思います。

造りも値段なりにしっかりとしています。 真面目な音作りで,かつ,高域のヌケの良さが魅力的な機種だと思います。

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図1 audio-technica ATH-MSR7 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

タグ : [ヘッドホン]

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ヘッドホン ゼンハイザー Sennheiser HD700

オープン・ダイナミック型,インピーダンス150Ω,ケーブル両だし(着脱可) 3m 6.3mmストレートプラグ,2012年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ゼンハイザーのHD650と高級機のHD800との間の位置づけ?のモデルで価格的にも確かに中間的です。 どうも中途半端な印象が拭えず,また,デザインも魅力を感じなかったので今まで注目してこなかったのですが, 重い腰を上げて聴いてみました。

音質は想像以上にニュートラルで癖がなく,また,HD800には及ばないにしても十分に広い音場感が得られます。 フラットですが,高域が少し強めのチューニングになっているため,クリアーで音の伸びが良く,音色にも輝きがあります。 上品でおとなしい(そして軽めの)音質であり,このクラスにふさわしいクオリティを備えていると思います。

装着感ですが,イヤーカップの大きさが十分大きく,イヤーパッドの開口も大きいため, 耳介に全く何も触れずに装着できるため極めて快適です。 重量も十分に軽く,長時間の使用も全く問題ありません。

さすがにゼンハイザーの上級モデルだけあって,音の良さは素晴らしいですね。 HD650とHD800との音質の差別化も絶妙になされているのはさすがです。 デザインはやっぱり好きになれませんが,見直しました。 なお,開放型のため音漏れはものすごくあります。 ホームユースなので問題はありませんが。

fq_resp_sennheiser_hd700_lch_20151227.png
図1 Sennheiser HD700 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

タグ : [ヘッドホン]

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ヘッドホン Sony MDR-CD900ST

密閉ダイナミック型,インピーダンス63Ω,ケーブル2.5m片だし,ステレオ標準プラグ
参考: SonyAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去にも測定データを公開していましたが,今回,新しい治具での再測定しましたので再度掲載し,レビューを追記しました。

プロの現場でも最も使われている有名な定番モニターヘッドホンなので,ご存じの方が多いと思います。 ソニーとソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同開発品とのことで,ソニーのWebサイトには製品情報がありません。 「原音(この場合は信号に含まれている音)を出来るだけ忠実に再現する」ことに注力されており, 「録音のノイズや粗を見つけるのに最適であり,音楽鑑賞には向かない」と一般的には言われているようです。

確かに聴いてみると,音が耳のすぐ近くで鳴っているようで,音場は広くありませんし,圧迫感が強く開放感はほとんどありません。 聴感上はフラットで,密閉型にしてはこもった感じもなく,中高域が極めてクリアで音の輪郭がくっきりしています。 低域は,量感はありませんがレンジが広く,空気の振動,圧力変化まで感じ取れるようで,空気感がリアルに感じられます。 こういった音質がスタジオモニターとして好まれる要因なのでしょう。

全体の質感は,良いとは言えませんが,いかにも実用本位という感じです。 イヤーパッドの表面の材質が薄く安っぽい人工皮革?というのが今ひとつです。 また,プラグが標準プラグのみというのもプロ用らしいですね。

イヤーパッドが薄めで,大きさもそれほど大きくないため,耳が少し押さえつけられ, 側圧はそれほど強くないにも関わらず長時間装着していると耳が痛くなります。 私の場合,連続使用は1時間程度が限度です。 位置決めも,しっくりくるポイントがなかなか見つからず苦労します。 装着感は残念ながら少なくとも私にとっては最悪の部類です。

一時期,装着感の悪さを我慢して使っていたのですが,フラット感があるとはいえ, ほんのわずかな中域の癖が気になって次第に使わなくなってしまいました。 私自身はこの音質は音楽鑑賞に向いていないとは思わないのですが...

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図1 Sony MDR-CD900ST 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

タグ : [ヘッドホン]

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ヘッドホン ゼンハイザー Sennheser HD239

オープン・ダイナミック型,インピーダンス32Ω,ケーブル片だし1.4m ストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去に一度レビューしていました(2014年6月8日)。併せてご覧いただければと思います。今回,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。
2015年6月時点の実売価格が約9,150円(Amazon.co.jp)。 ゼンハイザーとしては入門クラスの音楽用開放型ヘッドホンです。

小型のオンイヤーで側圧も緩く,耳にあたるスポンジも極めて柔らかく, とても軽くて着けていることを忘れてしまいそうなくらいの快適な装着感が最大の特長ではないでしょうか。 これは本当に魅力的です。

そして音質ですが,とても整ったフラットな音質です。 このサイズでこの低域の量感が出るのは少し驚きました。 高域は少し大人しい感じがするのと,ソースによっては少しモゴモゴ感があるものの,大きな不満はありません。 この小さなオンイヤーで,また,1万円を切る価格帯でこのバランスの良い,破綻のない音作りをするとは,さすがゼンハイザーです。 当然ながらHD650にクオリティは及ばないものの,大きな音質の傾向はHD650の流れを汲んでいるように思います。

オープン型なので音漏れは盛大にありますので,外での使用は注意が必要です。 逆に,外の音もほとんど遮られずに入ってくるため,閉塞感が全くないのも良い点です。 造りは価格相応かと思いますが,ポータブル用途を意識してかだいぶ細く頼りないのは仕方ないところでしょうか。

地味なヘッドホンですが,好きな機種の一つです。

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図1 Sennheiser HD239 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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sennheiser_momentum_01.jpg
ヘッドホン Sennheiser Momentum

ケーブル1.4m,片出し,プラグストレート着脱式,18Ω
標準プラグアダプター付属
Apple用マイク付きリモコンケーブル付属
参考: SennheiserAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去2回レビューしていました(2013年7月7日2014年1月12日)。併せてご覧いただければと思います。今回,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。
2015年5月時点の実売価格が約27,500円の,ゼンハイザーとしては中級の音楽用密閉型ヘッドホンです。 発売当初より評価が高く,雑誌等で様々な賞を受賞しています。 無骨なものが多いゼンハイザーの中では,珍しくデザイン性にも配慮されたモデルですね(^^;。

このヘッドホン,未だにオンイヤーなのかアラウンドイヤーなのかよくわからない中途半端なイヤーパッドサイズで, どう装着するのが良いか未だに迷います。 そのため,私にとってはやや装着感に難があります。 “On-Ear”という名称のついた一回り小さなモデルがありますので,これはオンイヤーではないとは思うのですが。

音質は典型的なドンシャリです。 私には低域が強すぎて,ややモゴモゴするところが気になります。 ただ,高域がしっかりと出ているため救われています。 低域が強いヘッドホンが好きな方にはこの音質は良いのではないかと思います。

若者にも受けそうな音作りであり,遮音性もまずまず良く音漏れも少ない,良くできたヘッドホンだと思います。 しかし,上記のように低域が強すぎること,装着感が合わないことから,私にはイマイチ合いませんでした。

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図1 Sennheiser Momentum 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン DENON AH-D1100

密閉ダイナミック型,インピーダンス32Ω,ケーブル1.3m Y字型,3.5mmミニプラグ(ストレート/金メッキ)
参考: DENONAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。2014年1月13日のエントリーでレビューしていましたが,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。

DENONのClassicというシリーズの上位モデルで定価18,000円もするモデルです。 見かけはチープで軽いので少々安っぽいのですが,よく見ると作りは比較的きっちりとしていて悪くありません。 ケーブルも決して太くはありませんが弱々しくはありません。 質感が定価に見合うかというとちょっとどうかなとは思いますが, Amazon.co.jpでは6,500円程度で出ていますので,これなら価格相応で十分納得できます。

装着感ですが,軽くてアラウンドイヤーなので耳に負担が少なく良好です。 イヤーパッドがやや固めでぴったりとフィットする感じはあまりなく,密閉型ですが隙間が出来やすいように思います。

そして肝心の音ですが,低域がやや強めですが,ブーミーでなくキレがあります。 全体に癖がなく良くバランスが取れていると思います。 高域もストレスなく綺麗に伸びています。少しきついと思われる方もいると思いますが, 私にはちょうど良いです。密閉型ですが閉塞感も少なく音場も広めです。 大人しくインパクトには欠ける音ですが,フラットで圧迫感も少ないのでとても聴きやすいです。

fq_resp_denon_ah-d1100_lch_20150502_512.png
図1 DENON AH-D1100 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


周波数特性ですが,低域が非常に強く出ていますが,実際に聴くとそれほどでもなく丁度良い程度です。 おそらく測定時は密閉度が高く,実際に聴いたときには隙間があって密閉度が下がり,低域が弱まったのではないかと思います。 これは私にとっては結果的に良い方向となり,丁度良いバランスの音に落ち着きました。 密閉度が高い状態では少し低域が強すぎると感じるかもしれません。 ピークディップが結構ありますが,聴感はフラットで大人しいです。 癖のある音につながりやすい3~4kHzが弱いのも良好な結果につながっていると思います。

DENONは正直ノーマークでしたが,これはなかなか良かったです。 実売6,500円であれば,同価格帯の中ではかなり良い部類に入ると思います。

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ヘッドホン HiFiMAN HE-560

オープン・ダイナミック型,インピーダンス35Ω(実測58Ω),ケーブル両だし2m 6.3mmストレートプラグ
参考: 輸入代理店(TOP WING)サイトメーカーサイトフジヤエービック

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

薄い振動板の上に回路を形成し,棒状の磁石をこの振動板に近接させて磁気回路を構成して振動板全体を均一に駆動する平面駆動型磁気ドライバーを使ったヘッドホンです。 振動板全体が駆動されるため,高域のクオリティを落とす原因となる分割共振が起きにくい方式です。 ただ,回路の巻数が少なく,磁束密度の利用効率も悪いためか,能率が低いのが欠点で,高い出力電圧の取れる据え置き型のヘッドホンアンプがないと十分な音量が取れない方式です。

以前から知り合いが所有しているHE-500を何度か聴かせてもらい,その素直で澄んだ音色,自然で圧迫感のない音場感に惚れ込み,手に入れたいと思っていました。 HE-500はすでに手に入りにくいのと重量が結構あり(約500g)長時間の使用はつらいため,現在辛うじて入手可能で,重量も375gに軽量化されたHE-560を選択しました。 10万円近くするため購入をだいぶ長い間躊躇していたのですが,思い切って手に入れた次第です。

音質は期待通り極めて自然な鳴り方で,中高域のヌケの良い繊細で輝きのある音色,響きの美しさが素晴らしいです。 解像感も申し分ありませんし,高域はやや強めですが,破綻のないなめらかな音なので「刺さる」ようなことはありません。 キレとスピード感のある低音も魅力的です。 量感はありませんが,必要十分に出ています。

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図1 HiFiMAN HE-560 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


周波数特性を見ると,基本的にはフラットなのですが,2kHz付近に少しディップがあります。 聴感上はかなりフラットに感じられるので,このディップの影響は限定的のようです。 高域は10kHz前後でやや強めという,私にとってはかなり理想的な特性です。 この高域特性がヌケの良さ,繊細さ,解像感の高さにつながっていると思います。 また低域が見事にフラットですが,それ以上に低域の歪みの少なさが突出しています。

装着感は,イヤーパッドの肌に触れる部分がベロアとなっており,またパッド自体が柔らかめでしかも接触面積が大きいため快適です。 側圧はやや強めですが,このイヤーパッドのためそれほどきついということはありません。 ケーブルは布巻で取り扱いはしやすいのですが,ヘッドホン側のコネクタがSMA-P型という特殊なものでねじ込みがやりにくく,この部分に関しては良いとは言えません。

なお,取扱説明書にはインピーダンスが35Ω,音圧レベルが90dB/mWとあるのですが, 実測してみるとインピーダンスは58Ω,音圧レベルが85dB/mW(58Ω)しかありません。 インピーダンスが高めで能率が低い,出力の大きいヘッドホンアンプが必要になるはずです。 しかし,それにしてもカタログスペックとあまりにも違いすぎて,この会社,本当に大丈夫だろうか,と思ってしまいます(^^;。

メイン機としてSennheiser HD580を,サブにbeyerdynamic T90 Jubileeを使っていますが, 開放的な音像と音色のバランスの良さでこの2機種を上回っているのではないかと思うほどで, メイン機をこれに置き換える可能性が出てきました。 なお,取扱説明書にはバーンインに150時間かかると書いてあり,まだそこまで使い込んでいないので, もし音質に変化が出るようであればまたレポートしたいと思います。

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ヘッドホン ゼンハイザー HD650

オープン・ダイナミック型,インピーダンス300Ω,ケーブル両だし3m 6.3mmストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

誰もが認めるリファレンス機の代表格,ゼンハイザー HD650。 私はこの2世代前?のHD580を2台も持っていて, 今でも現役でメイン機として全く不満なく活用しているので,HD650を手に入れるかどうか長い間迷っていました。 少し低域が強くなっているという評判も躊躇させる要因でした。 しかし,やはりこの機種は聴きたいという思いが強く,とうとう入手した次第です。

周波数特性の測定結果です。

sennheiser_hd650_rch_20150405_512.png
図1 Sennheiser HD650 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


音質ですが,低域が強くなっているという評判は確かにその通りでしたが,その増加量はわずかでしたので, HD580からの音質の変化は最小限であり,聴感上はほぼ同等という印象です。 周波数特性からもわかる通り,聴感的にもフラットであり,まさにリファレンス機としてふさわしい性能を有していると言えるでしょう。 軽いドンシャリ傾向ではありますが,全く強調されたものではありません。 むしろ,beyerdynamic T90 Jubileeと比べると, 中域の充実感がずっとあります。

周波数特性を見ると,高域の特性の暴れが驚くほど見事に抑えられていることがわかります。 全帯域にわたって上品で刺激的にならない音作りとなっています。 個人的にはもう少し10kHz前後の音圧が高い方が好みなのですが,リファレンスとしてはこれで良いと思います。 少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴ける特性です。

装着感ですが,少し固めのベロアのイヤーパッドは感触も良く快適です。 側圧ややや強めなので長時間は少ししんどいかもしれませんが,大型のイヤーパッドで圧力が分散されるため意外に疲れません。 ヘッドバンドのスライダーはちょっと固めで合わせにくいのですが, 一度決めてしまえば動かすことはほとんどないため実用上はあまり問題ではありません。 ケーブルも柔軟性があり癖も付きにくく,取り回しも良好です。

ということで,改めてこのモデルの完成度の高さを思い知りました。 値段分の価値は十分にありますね。 さすがです。 よくクラシックやジャズには向くけど,ロックやポップスには向かない,というような評を見ますが, 要は単にその人の音の好みを言っているだけであって, 私としてはジャンルに関係なく素晴らしい音を聴かせてくれるモデルだと思っています。

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Sennheiser MX365

ケーブル1.2m(Y型),L字型プラグ,32Ω
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ゼンハイザー・ジャパンのサイトに載っていないので,まだ日本には正規ルートでは入ってきていないようです。MX300番台で本国では€14,90とのことなので,Amazon.co.jpの並行輸入品 2015年4月時点の価格およそ4,000円は少々高いですね。正規ルートで輸入されればMX375と同じ2,000円台前半の価格でしょう。

音質ですが,付属のイヤーパッドを付けていないと低域はかなり弱いのですが,それを除けばほぼフラットという印象です。高域の伸び感,綺麗さについてはMX585に一歩譲る感じですが,不満に思うことはありません。イヤーパッドを付けると低域の量感が増し,かなり良いバランスになります。これであれば低域を含めてほぼ不満がなくなります。このあたりのバランスの良さはさすがゼンハイザーです。出来ればイヤーパッドなしでこのバランスを実現して欲しいところです。

造りはさすがにMX300番台なので安っぽさはありますが,値段相応だと思います。ケーブルは柔らかくて滑りも良いので取り回しは楽です。ヨレっとしていて少し癖は取れづらいです。これもまた値段相応ですね。

ゼンハイザーのイヤホンは,高域に関しては値段に比例しているところはあるかもしれませんが,音作りのバランスは安いモデルでも関係なく良好という印象です。MX500が生産中止になったあとしばらくはあまり音の良いと思うモデルがありませんでしたが,最近のものは平均的に良くなっているように思います。これもしばらく使ってみようと思います。

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Sennheiser MX585

ケーブル1.2m(Y型),L字型プラグ,32Ω,Vol付き
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

私はカナル型が苦手なので,イヤホンは専らインイヤー型を使っています。もう10年以上前からSennheiser MX500を愛用していますが,市場から消える前に入手したストックが5台ほどあるものの,そろそろMX500に代わる機種を見つけたいと常々思っています。気になる機種を見つけるたびに試してみるのですが,なかなかMX500を超えるものが見つかりません。インイヤー型は選択肢が少ないので本当に困ります。

このMX585は,品番からするとMX500の後継にあたる機種だと思います。後継といっても形状や造りが全く異なるので,供給しているベンダーも違うかもしれません。音質的には低域は弱く高域寄りのバランスです。高域はかなり綺麗でこの点はすごく良いのですが,中域に少しだけ癖のある響きがあります。全体のまとまりもバランスもまずまず良く,何より高域のヌケが気持ちよいので継続して使ってみようと思うのですが,中域の癖のためMX500を超えるとまではいかないのが惜しいところです。イヤーパッドを付けると低域が改善されて全体のバランスが整うかと思いましたが,やってみるとあまり耳にフィットしなかったためにほとんど変わりありませんでした。インイヤー型イヤホンでは耳にフィットするかどうかで音質が大きく左右されるので重要ですね。

ハウジングは大きめで私の耳には少し合わないのですが,付属の環状のイヤーアダプタを付けると収まりが良くなります。ケーブルは柔らかく癖が付きにくいのは○ですが,少し滑りが悪いのが惜しいです。Volが付いているのは何かと便利なのですが,スライダーが重く,また手探りで場所を探しにくいため,使い勝手が良くありません。こんなに操作しづらいVolは初めてです。

ということで,MX500には今一歩及ばず置き換え候補にはなりませんが,しばらく使ってみようと思えるくらいには良い機種でした。

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ヘッドホン AKG K550

密閉・ダイナミック型,インピーダンス32Ω,ケーブル片だし3m 3.5mm+6.3mmアダプタ ストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

2011年発売。ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。
beyerdynamic T90 Jubileeはさんざん試聴して納得した後の購入でしたが,このK550は試聴せずWeb上の様々なレビューだけを頼りに購入しました。ほとんど博打で購入したものです(^^;。

音質ですが,軽いドンシャリの傾向はありますが,ほぼフラットに感じられます。低域の量感はそれほどありませんが,締まっています。全体のバランスとして重心が低めなのですが,強調はされていないので,低域の量感を求めない私にはちょうど良いです。密閉型ですが,こもった感じや箱鳴り感はほとんどなく,高域のヌケもまずまず良好です。中域にわずかなクセを感じるものの,それ以外のクセは少ないと思います。音の広がり感も良好,左右の分離もかなり良いです。

周波数特性を見ると6kHzから10kHzあたりの音圧がかなり高いのですが,うるさいということはなく,輪郭のくっきりした音像や解像感の高さ,ヌケの良さに貢献しているのではないかと思います。バランスが悪そうに見えますが,聴感上は好ましく聴こえます。うるさくなりがちな2kHzから5kHzの音圧が若干弱く,それ以上の高域のレベルが高いというのは,私の好きな周波数バランスのパターンですね。

装着感ですが,ハウジング全体の口径は大きいものの,イヤーパッドの開口の大きさは意外に小さく,またスポンジが柔らかく厚みも少し薄めなので,アラウンドイヤーながら耳が当たるので,それほど快適ではありません。ベストポジションはピンポイントで,この場所を見つけるまで落ち着きません。側圧は弱めなので装着は比較的楽です。ピンポイントのポジションが見つかれば長時間でも大丈夫だと思います。ヘアバンドの調節は,目盛りが付いているのでベストポジションの値を覚えておけば良く,これは助かります。

製品の質感もまずまずで,造りもしっかりしています。AKGロゴの入ったプラグもしっかりしていて良いと思います。ケーブルはやや癖が取れにくいのが今ひとつですが,柔軟性はあるので取り扱いは問題ありません。

装着が楽な密閉型が欲しかった,という目的は果たせたかなと思いますが,音質についてはもう少し聴き込んでみて必要があれば再レビューしたいと思います。

ところで,私はこのモデルをAmazon.co.jpでおよそ\13,500くらいで購入しました。今見ると(2015年2月現在)\26,300!ほぼ倍の価格です... 急に高くなりましたね... 驚きました。安く買えた私は幸運でした。

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図1 AKG K550 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン beyerdynamic T90 Jubilee

オープン・ダイナミック型,インピーダンス250Ω,ケーブル片だし3m 6.3mmストレートプラグ(ミニプラグ変換付き)
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

2014年発売,beyerdynamic社創業90周年記念リミテッドモデル,全世界1,000台,日本国内200台限定(^^;。

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しました。
久しぶりに新しい測定結果の掲載です。昨年,大手量販店でいろいろと試聴をして目を付けていた機種です。その後も何度か店頭で試聴してきました。私の場合,最初の印象が良くても使い込んでいくうちにそのモデルのクセがわかってきて,それが気になって使わなくなってしまうということが良くあります。ですので,特に高級機に手を出すのには本当に勇気がいります。今回もその心配はあったのですが,とりあえず自分の試聴の結果を信じて思い切って入手しました。

周波数特性の測定結果です。

beyerdynamic_t90_jubilee_lch_20150131_512.png
図1 beyerdynamic T90 Jubilee 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


おぉ,これまた独特のすごい周波数特性ですねぇ。試聴しているときから基本はフラットで高域で少し持ち上がっているだろうとある程度は予想していたのですが,ここまで高域が持ち上がっていたとは!

音質に関する感想ですが,高域のレベルが高いのは確かですが,うるさ過ぎたり刺激的すぎたりすることはなく,極めてヌケがよくシャキッとしています。持ち上がっている帯域が,うるさくなる帯域よりも高いためではないかと思いますし,どちらかといえば解像感の高さに寄与していると思います。ただ,相対的に中低域は大人しく,特に中域はだいぶ薄いという印象です。物足りないと思うこともありますが,スリムで引き締まっていているので,悪い印象ではありません。

音の広がりも十分にあり,圧迫感が少なく,頭の中で鳴っている感じも少ないです。このあたりはリファレンス機としているSennheiseのHD580と比べても優れています。

側圧も弱めで,大型のベロアのイヤーパッドの装着感も良好です。重量も思ったよりも軽いので楽です。

一方で,ヘッドバンドの長さの調節が固く動かしづらいのと,ケーブルは若干固めで柔軟性に欠けるのは残念な点です。取り替え可能であれば良かったのですが,直結されているのでそれが出来ないというのも...

低域の迫力や中域の充実感を求める方には物足りないかもしれませんが,このヌケの良さ,音の輝き,音の広がりは格別で,シャキッとそしてすっきりした音質が私は気に入りました。ケーブルの固さに難はありますが本体の質感も及第点,とりあえず手に入れて良かったと満足できるモデルでした。

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ほぼ1年前からヘッドホンの周波数特性を測定して公開していますが(→こちらです),その測定に使用する人工耳アダプターについては2014年1月20の記事「ヘッドホンの測定で人工耳アダプターを製作して試す」で紹介をしていました。

この人工耳アダプターは,先の記事でも紹介した,IEC60318-1という国際規格のものを参考にしています。

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図1 IEC 60318-1 Ear Simurator


この図1の窪みになっているVOLUME V1の部分を模したものが1年前に製作した人工耳アダプターですが,今回,もう少し似せようということで改良を加えました。この国際規格に沿った測定器としては,例えばBrüel & Kjær社のType 4153という測定器があります(→Brüel & Kjær Japanのページ)。ヘッドホンを測定する際には黒い部分の下にプレートを挟んでヘッドホンを載せられるようにします。今回の人工耳アダプターはこの時の形を模しました。図2のような形をしています。

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図2 製作した改良版の人工耳アダプター


実際に測定に使ってみると,以前のアダプターに比べて3kHz~6kHzあたりが数dB音圧が高くなる傾向にあります(ただしヘッドホンの形状に依存するようです)。なお,規格に沿った本物の測定器は,実際に耳の特性に近づけるために測定器内に空間が設けられたりして音響インピーダンスを合わせるようにしているようです。さすがにここまでは出来ません(^^;。

いつもの通り,私のリファレンス機であるSennheiser HD580とHD25-1 IIの測定結果を示します。

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図3 Sennheiser HD580の測定の様子


sennheiser_hd580_lch_20150124_512.png
図3 Sennheiser HD580 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


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図4 Sennheiser HD25-1 II 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境


今後はこの改良型の人工耳アダプターを使って測定をしていきたいと思います。今まで測定したものについても時間があれば測定をし直してデータを入れ替えていく予定です。使用機材と構成のページも更新しました。

なお,この機会にグラフも変更しました。今までは音圧レベルの表示は実は1kHzでだいたい100dBくらいになるようにしていたのですが,新しい測定から1mW入力時の音圧レベルをそのまま表示するようにしました。これで能率も比較できると思います。1mWといってもインピーダンスにより電圧が変わりますのでご注意ください(たとえばHD580は300Ωなので約0.55V@1kHz,HD25-1 IIは70Ωなので約0.26V@1kHzとしています)。なお,図中の“2nd D”, “3rd D”はそれぞれ2次歪,3次歪を示しています。

タグ : [ヘッドホン]

※本記事は「ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果」に掲載した記事の転載です。
ビット・トレード・ワンのブログでも紹介されました。

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■はじめに

ある日,ビット・トレード・ワンの方から「ヘッドホン・アンプを評価して欲しい」というメールをいただきました。 私はヘッドホンの測定はやりますが,ヘッドホン・アンプについては測定ノウハウも見識も持っていないため, 私にはアンプの評価することが出来ないとお断りしました。

その後,「このヘッドホン・アンプを使っていつものヘッドホンの測定をしてくださればいいのです」と再度依頼のメールをいただきました。 ビット・トレード・ワンのWebサイトでそのアンプの解説を見てみると,「適切に電流帰還制御する事でヘッドフォンのインピーダンス変動に影響されず, 低音から高音まで音量を忠実に再現する技術」を使った電流帰還式アンプということで,依頼主の方が私に何を期待されているのかがピンときて, 引き受けることにしました。

そして,手持ちのヘッドホン・アンプも含めて測定することで,電流帰還式アンプの効果がヘッドホンの測定結果として実際に得られましたので, この場でレポートさせていただくこととしました。

対象のヘッドホン・アンプの詳細は,ビット・トレード・ワン商品紹介ページでご確認ください。

■測定内容

測定対象ヘッドホン・アンプ(4機種)
ビット・トレード・ワン 電流帰還式ポータブルヘッドフォンアンプ
AUDIOTRAK Dr.DAC
GRACE DESIGN m902
SONY PHA-2

測定に使用したヘッドホン(7機種)
Sennheiser Amperier 密閉ダイナミック型 18Ω
Sennheiser HD25-1 II 密閉ダイナミック型 70Ω
Sennheiser HD239 開放ダイナミック型 32Ω
Sennheiser HD580 開放ダイナミック型 300Ω
Sennheiser Momentum 密閉ダイナミック型 18Ω
DENON AH-D1100 密閉ダイナミック型 32Ω
audio-technica ATH-CK9 バランスドアーマチュア型 30Ω

測定環境
測定系は「使用機材と構成(2014年1月~)」ですが,測定対象のヘッドホン・アンプを次のように接続しています。
PC ---(USB)--- m902 ---(LINE)--- 電流帰還式ヘッドホンアンプ
PC ---(USB)--- m902 ---(LINE)--- Dr.DAC
PC ---(USB)--- m902
PC ---(USB)--- PHA-2

その他の補足
電流帰還式ヘッドホンアンプは,ヘッドホンのインピーダンスによって調整用の抵抗を変える仕様になっています。 それぞれのヘッドホンの公称インピーダンスで使用する抵抗を選択して測定しました。

[測定結果 Sennheiser Amperier]
hp-amp_sennheiser_amperier_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.1 Sennheiser Amperier

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(18~20Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 Sennheiser HD25-1 II]
hp-amp_sennheiser_hd25-1_ii_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.2 Sennheiser HD25-1 II

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(70~80Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 Sennheiser HD239]
hp-amp_sennheiser_hd239_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.3 Sennheiser HD239

インピーダンスが低域のf0(最低共振周波数)付近で最大約76Ωまで増加するため,この周波数近辺で電流帰還式ヘッドホンアンプの音圧が増大しています。

[測定結果 Sennheiser HD580]
hp-amp_sennheiser_hd580_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.4 Sennheiser HD580

インピーダンスが低域のf0(最低共振周波数)付近で最大約560Ωまで増加するため,この周波数近辺で電流帰還式ヘッドホンアンプの音圧が増大しています。

[測定結果 Sennheiser Momentum]
hp-amp_sennheiser_momentum_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.5 Sennheiser Momentum

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(20~24Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 DENON AH-D1100]
hp-amp_denon_ah-d1100_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.6 DENON AH-D1100

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(28~31Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 audio-technica ATH-CK9]
hp-amp_audio_technica_ath-ck9_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.7 audio-technica ATH-CK9

インピーダンスが増加し始める1.5kHz以上で電流帰還式ヘッドホンアンプの音圧が増大しています。

■おわりに

「ヘッドフォンのインピーダンス変動に影響されず,低音から高音まで音量を忠実に再現する」という電流帰還式ヘッドホンアンプの効果がが, 特にインピーダンス変動の大きなヘッドホンで顕著に顕れることが測定で確認できました。 実際に聴いてもその効果は明らかにわかります。 一方で,インピーダンス変動が小さなヘッドホンについては測定結果でもあまり差はありませんが,実際に聴いてもその差はあまり感じられませんでした。

一般的なヘッドホンでは,低域のf0付近でのインピーダンス変動と,ボイスコイルのインダクタンスによるインピーダンスの増加があるので, この電流帰還式ヘッドホンアンプを使用すると,特にインピーダンス変動の大きなヘッドホンでは低域の増強と高域の伸びにつながることが確認できました。

最後に,このような貴重な測定の機会を与えてくださったビット・トレード・ワンのご担当者に感謝申し上げます。

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sennheiser_hd800.jpg
ヘッドホン Sennheiser HD800

ダイナミック・オープン型,インピーダンス300Ω,ケーブルY字3.0m,6.3mmステレオ標準プラグ(ストレート)

参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ゼンハイザーの誇る最高級ヘッドホンHD800,幸運なことに,私がいつも聴いている自分の環境で,いつも聴いている曲で,落ち着いて試聴する機会を得ました。ごく短時間の試聴でしたが...今まで聴いてきたヘッドホンとのあまりの違いに絶句してしまいました。

同社のHD580やHD600を素晴らしい高音質と思って聴いてきましたが,それらを寄せ付けない全く次元の違う音に驚きました。もしこれが手には入ったら間違いなくヘッドホン・スパイラルを終結させることが出来る!と直感しました。次はHD650を聴いてみようかと漠然と思っていた気持ちはもうどこかにすっ飛んでしまいました。これを聴いてしまった以上,もう他のヘッドホンは手が出せなくなってしまいました。

しかし,とはいえあまりにも高い! Amazon.co.jpでは16万円以上する。HD650の3~4倍の値段... しばらく倹約しつつ,舞い上がってしまった頭をよく冷やして冷静になって,でも,真剣に考えよう(^^;... もし本当に手に入れられたとしても,きっとスパイラルは終わらないのだ。このデザインも嫌いだし...

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ヘッドホン Sony MDR-1R

密閉ダイナミック型,インピーダンス24Ω,L字M3プラグケーブル1.2m,リモコン付きケーブル付属1.2m
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

2012年に発売されたソニーのハイレゾ対応のヘッドホンです。カタログスペックでは再生周波数帯域が4Hz~80,000Hzとされています。この測定ではマイクの周波数特性がそこまで伸びていないため20kHzまでの測定です(→測定環境)。

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果のページにも掲載しています。

音はクセの少ない素直なもので,低域も過度に強調されることもなくとてもよくバランスが取れていると思います。装着感も良いですね。このモデルはすでに生産終了し,現在は後継のMDR-1RMK2になっています。

fq_resp_sony_mdr-10r_lch_20140607_512.png
図1 Sony MDR-1R 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]疑似耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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ヘッドホン ゼンハイザー Sennheiser HD598

オープン・ダイナミック型,インピーダンス50Ω,ケーブル片だし3m 6.3mmストレートプラグ(3.5mm変換付属)
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

その色から「プリンちゃん」と呼ばれることもあるというヘッドホン。音の傾向は少し中域にクセを感じますが,HD580HD600に近い音作りがされていると思います。周波数特性は中高域に少し大きめのピークがあるものの,基本的にはフラットに近い特性です。低域もフラットに伸びていますが,全体的にはゼンハイザーらしい大人しい音質だと思います。

インピーダンスが50Ωと低めに設定されていてHD600やHD650よりは扱いやすいです。

fq_resp_sennheiser_hd600_20140607_512.png
図1 Sennheiser HD600 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]疑似耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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sennheiser_hd600.jpg
ヘッドホン ゼンハイザー Sennheiser HD600

オープン・ダイナミック型,インピーダンス300Ω,ケーブルY字型3m 3.5mmストレートプラグ(6.3mm変換付属)
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ゼンハイザーの代表的な名機なのでご存じの方も多いと思います。後継機のHD650が発売されてから日本には正規輸入されなくなったようですが,ドイツではまだ現役機種としてカタログに載っています。HD650はやや低域寄りのチューニングとなっていて,よりフラットなHD600の存在価値がまだあるということなのでしょう。

実際に測定してみてもこのフラットさは素晴らしいです。聴感も素直でクセがなくリファレンスにふさわしい機種だと思います。日本に正規輸入されなくなったのは本当に残念です。

fq_resp_sennheiser_hd600_20140607_512.png
図1 Sennheiser HD600 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]疑似耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

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