好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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The Well [SACD Hybrid]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
CISCO SCD 2034 (P)(C)2001,2003 Davich/Warners (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp
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The Well [24 KARAT GOLD EDITION]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
IMPEX Records IMP 8302 (P)(C)2001,2003,2009 Porch Light (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jp
このディスクも優秀録音で有名な“The Hunter”に並ぶ優秀録音の名盤だと思っています。SACDの方を以前から持っていたのですが,24K GOLDの方も聴いてみたくなって入手しました。今はSACDも初期盤も手に入りづらく,現役で手にはいるのがこのディスクだけということもあって,今のうちに手に入れておこうという気持ちもありました。

聴き比べは,SACD盤の方もCD層で行いました。まだ十分に聴き込めてはいないのですが,一聴して24K GOLDの方がレベルがわずかに高いことがわかるのですが,特に24K GOLDの方が低域の量感が増えているにも関わらずクリアでキレのある低音で,ドラムスがスピード感があって,これは良いと思いました。Amazon.co.jpのレビューを見ると賛否あるようですが,好みの範囲だと思います。もう少しじっくり聴いてみたいと思います。

ところで,24K GOLDの方が収録されている曲が2曲多いですねぇ...ボーナストラックも異なります。まあ良いんですけどね(^^;。
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ザ・ハンター The Hunter
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
BVCP-203 (P)1992 Private Music/BMGビクター (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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The Hunter [K2 HD Mastering CD]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
88883734802 (P)1992 Private Inc. (C)2013 Sony Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
※韓国盤(日本製)
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The Hunter [24K GOLD SPECIAL EDITION]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
IMP8303 (P)1992 Sony Music (C)2010 Impex Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpTower Records
※米国盤?
言わずとしれた優秀録音の名盤中の名盤,私も試聴によく使用するディスクですが,ずっと発売当初に買った国内盤を聴いていました。少し前に“24K GOLD SPECIAL EDITION”というのがあることに気がつき,気になっていたもののなかなか手が出せずにいたのですが,やっぱり聴いてみようということで,やっと手に入れて比べてみました。さらに,“K2 HD Mastering CD”なるエディションがつい最近発売されていることもわかり,ここまできたらこれも比較するしかない(^^;と思い,手に入れました。ガラスCDもあるようなのですが,12万円もするので,さすがにこれは諦めました。あと,SHM-CDもあったようですが,限定盤で現在は入手困難なため比較していません。

試聴してみて鈍感な私の耳でも明らかな違いがあったため,盤質の影響を避けるため,ロスレスでリッピングした後に再度試聴して,それでも違いがあることがわかりました。

そこで,波形を比較してみました。図1は,1曲目の“Rock You Gently”の最初の1分30秒ほどの波形を表示したものです。上から,通常盤,K2 HD Mastering CD,24K GOLDです。こんな荒っぽい表示でも明らかにデータレベルで異なることがわかります。

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図1 1曲目“Rock You Gently”冒頭1分30秒の波形比較
(上)通常版 / (中)K2 HD Mastering CD / (下)24K GOLD


次に,周波数成分を比較してみました。図2は,同じく1曲目の“Rock You Gently”の1曲をWaveSpectraというソフトで再生してFFTのピーク値のエンベロープを描かしたものです。黄緑が通常盤,青が24K GOLD,赤がK2 HD Mastering CDです。この順番に少しずつレベルが上がっていること,K2 HD Mastering CDは低域が少し強調されている,といった違いが見られます。

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図2 1曲目“Rock You Gently” FFTピーク値のエンベロープ比較
(黄緑)通常版 / (青)24K GOLD / (赤)K2 HD Mastering CD


上記の図と聴感はほぼ一致します。鮮明度の向上は,24K GOLDとK2 HD Mastering CDとだいたい同じくらいに感じました。低域の量感もK2 HD Mastering CDが豊かになっているように感じられました。

しかし,もっと決定的な違いがあることに気がつきました! 24K GOLDの“Rock You Gently”のイントロ部分をよく聴くと,通常盤およびK2 HD Mastering CDには含まれないコーラスがうっすらと入っているのです! ミキシングからして変わっているようなのです。さらに,他の曲を調べてみると,24K GOLDは,波形の極性が反転しているものがあるのです。つまり,本来はスピーカの振動板が前に出るところが引っ込むというような逆の動きになるのです。人間の耳はこういう位相の違いには鈍感なので聴感上の違和感はないのですが,いったいどんなマスタリングをしたんだ?と気になってしまいます。

ということで,24K GOLDはちょっと別物だぞ,と思った方が良さそうです。波形を見た限りではK2 HD Mastering CDの方は,通常盤の波形と異なるとはいえ近い波形に見えましたので,そのまま素直にリマスタリングしたように思えます。どちらが良いかは考え方次第だと思いますが,私としては気分的にK2 HD Mastering CDの方が安心できます。

24K GOLDをお持ちの方は一度じっくりと比較して「間違い探し?」をしてみてはいかがでしょうか(^^;。

あと,どうでも良いことですが,K2 HD Mastering CDはデジパックのケースに4桁のシリアルNo.らしきものが打ってあります。私の番号はNo. 0524でした。
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リヒャルト・シュトラウス:管弦楽曲集
交響詩「英雄の生涯」作品40(+)
交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30(*)
交響詩「ドン・ファン」作品20(**)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28(*)
アルプス交響曲(#)
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(+)
シカゴ交響楽団(*)(**)
バイエルン放送交響楽団(#)
March 1977 & March 1978(+), May 1975(*), May 1973(**), September 1979(#)
POCL-3606(440 618-2) (P)1976-80 The Decca Record Company Limited (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

ショルティのディスクは録音が良いものが多いので好んで聴くことが多いのですが,このディスクは特に好きで以前からよく聴いています。私の好きなオーケストラ録音の代表格です。

邪魔な残響はほとんど気にならず,各楽器の音が明瞭かつ分離良く聴こえますし,質感も良好,弦楽器と管楽器のバランスも絶妙に取れています。フォルテシモでも弦楽器がかき消されてしまうようなこともありません。近年の全体の響きの自然さを優先する優秀録音に比べると,より各楽器にフォーカスしやや誇張された感じがしますが,録音で聴く場合はこれくらいがちょうど良くとても気分良く聴くことが出来ます。低域のレンジ感はやや控えめに感じますが,中高域に被って聴きづらくなるようなことがなくかえって好ましく思います。

オーディオ品質では近年のきめ細かな録音には及ばないかもしれませんが,年代相応であり決して悪くなくまったく問題ありません。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ集
久保田巧 Takumi Kubota (Violin)
2002年3月19-21日 山形・余目町文化創造館 響ホール
OVCL-00119 (P)(C)2003 Octavia Records Inc. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集
バッハ:無伴奏フルート・パルティータBWV1013(ヴァイオリン編)
久保田巧 Takumi Kubota (Violin)
2004年3月23-25日 山形・余目町文化創造館 響ホール
OVCL-00181 (P)(C)2004 Octavia Records Inc. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
バッハ無伴奏ヴァイオリンの全集をいろいろと聴いてきましたが,現時点で演奏・録音のトータルで最も気に入っているのがこの久保田巧さんの全集です。すでに「CD試聴記」にてレビューをしていますので参考にしていただければと思います(CD試聴記全体の中では高い評価に見えませんが...(^^;)。

改めて聴いてみて,慎ましく控えめながら静かに気持ちが込められていて,じわっと感動がこみ上げてくる好演奏だと再認識しました。技術も確かです。音色も大変美しいです。

録音は,響きを伴っていながらも久保田さんのニュアンス豊かな音色を克明に伝えてくれる好録音であり,オーディオ品質も高い優秀録音です。発売以来,オーディオ機器の音を確認するためのリファレンス音源としても聴き続けています。パルティータ集の方が響きが多めでわずかに劣ります。

好演奏かつ好録音かつ優秀録音の素晴らしい全集だと思うのですが,Web上ではほとんどレビュー記事を見かけないですね。本当に不思議ですが,あまり自己主張しないどちらかといえば地味な演奏なので受けが良くないのかもしれません(それとも値段が高いから?...)。もっと評価されて良いと思うのですが。
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バッハ:さまざまな楽器による協奏曲集
ブランデンブルク協奏曲(全曲),管弦楽組曲(全曲),ヴァイオリン協奏曲(全曲),チェンバロ協奏曲,他
カフェ・ツィマーマン Cafe Zimmermann
2000~2010年録音
Alpha811 (C)2011 Alpha Productions (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★~★★★★☆
参考: HMV Online輸入盤),Amazon.co.jpTower Records
カフェ・ツィマーマンはヴァイオリニストのパブロ・バレッティとチェンバリストのセリーヌ・フリッシュが結成したバロック・アンサンブル(ピリオド楽器使用)で,グループ名は,バッハが毎週コンサートを行っていたライプツィヒのゴットフリート・ツィマーマンのコーヒーハウスにちなんでいるとのことです。基本編成は弦楽器5人とチェンバロ1人ですが,曲によりメンバーが入れ替わったり追加されたりしています。基本的には1パート1人で演奏されています。

この協奏曲集,とにかく録音の良さに驚きました。残響は多少多めに取り込まれていますので私の考える好録音とは少し違いますが,各楽器の音に伸びがありまた透明感があります。さらにオーディオ品質の高さも特筆でき,優秀録音とも言えると思います。概して編成の小さな曲が良好で,編成の大きな曲(ブランデンブルク協奏曲第1番や管弦楽組曲第3番,第4番など)は若干落ちるのが残念です。しかし,録音時期や録音場所が異なるにも関わらず全体として高いレベルで統一されているのは素晴らしいことだと思います。

演奏についてもピリオド楽器ながらそれが過度に強調されることのないナチュラルな演奏で,ピリオド楽器が苦手な私でもすんなりと受け入れられます(もちろんこれがモダン楽器だったらもっと良かったのに...とは思いますよ(^^;)。全体にテンポが速めでこの疾走感も良いですね。

このセットですが,過去1枚ずつ発売されてきたものが単純に集められています。値段が高い上にブランデンブルク協奏曲が1枚につき1曲ずつだったので買うのをためらっていました。最近のボックスセットは激安のものが多いので,このボックスセットも高価に感じてしまうのですが,1枚当たり1,000円と思うと決して高くないですね。やはり,ブランデンブルク協奏曲,ヴァイオリン協奏曲,管弦楽組曲が各CDにばらばらに収められていて聴く側としてはどのCDに何が入っているのかわからなくてちょっと扱いにくいのが欠点ですが...これは良い買い物をしたと思いました。当たりでした。
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(a) カム・アウェイ・ウィズ・ミー(Come Away With Me) (2002年リリース)
7243 5 84800 0 9 (P)(C)2004 Blue Note Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

(b) フィールズ・ライク・ホーム(Feels Like Home) (2004年リリース)
7243 5 32088 2 0 (P)(C)2002 Blue Note Records (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

(c) ノット・トゥー・レイト(Not Too Late) (2007年リリース)
0946 3 83162 2 3 (P)(C)2006 Blue Note Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)

アメリカのジャズのシンガーソングライターで,デビューアルバムの(a)は2003年のグラミーショーで8冠を獲得した大ヒット作ということです。

私は前から何度か触れているようにジャズは苦手なのであまり聴かないのですが,けだるいハスキーヴォイスが妙に魅力的で,曲の素晴らしさ,アコースティック中心の演奏の良さもあってよく聴いています。あまりジャズジャズしていない(^^;ので,ジャズが苦手の私でも大丈夫です。音楽的には(a),(b)あたりが好きです。

(a)は優秀録音盤としてよくオーディオ雑誌の試聴記事にも登場するのでご存じの方も多いことと思います。歌声をストレートにHi-Fi調で捉えていて,彼女の声の魅力を余すところなく伝えてくれるのが良いところです。私としては,より生々しい(b)が録音として一番気に入っています。逆に(c)は声に人工的なリバーブがかけられていたりする曲もあってあまり良い印象ではありません(といっても相対的にというだけであって,決して悪くはありません)。

今のところ(b)が愛聴盤で,リファレンス音源としても聴いています。人間の声って本当に魅力的だなぁ...と改めて思います。
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(a) フェイマス・ブルー・レインコート(Famous Blue Raincort) (1987年リリース)
826663-10490 (P)1990,2007 Porch Light LLC (輸入盤) ※20th Anniversary Edition
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

(b) ザ・ハンター(The Hunter) (1992年リリース)
BVCP-203 (P)1992 BMGビクター (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

(c) ザ・ウェル(The Well) (2001年リリース)
CISCO MUSIC SCD 2034 (P)2001,2003 Davich/Warnes (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ジェニファー・ウォーンズ(Jennifer Warnes)
公式Webサイト

ジェニファー・ウォーンズという人を実はあまり知らないのですが,1982年の映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌をジョー・コッカーと歌い,全米ナンバーワンに輝かせたこともあるなど,かなりの実力を持っておられるようです。1970年代から活躍されているということですのでキャリアも長いそうです。

オーディオファンの間では特に(b)が優秀録音盤として有名です。ご存じの通り,今年,ステレオサウンド誌の企画盤としてガラスCDも制作されました。

発売当時から優秀録音で有名でしたので,私もリファレンス音源として長年愛聴してきました。確かに音は良いと思います。中高域のクリアさはもちろん,低域のレンジが広くしかも締まりがあるのが特徴です。(a)(c)も録音にこれほどのインパクトはありませんが,ヴォーカルがとても美しく収録されていて,私にとっては(b)同様に楽しめる音源です。優秀録音であり,好録音でもあります。

しかし,ポピュラー音楽ならこれくらいのクオリティで録音することくらいそんなに難しくないんじゃないの?と思うのですが,このCDがいまだに特別扱いされているところを見ると,やっぱり難しいんでしょうね。

音楽自体は大人の上質なポップスという感じです。後のCDほと落ち着きと余裕が感じられます。音楽としてのクオリティの高さも愛好者を増やしている要因なのでしょう。ヴォーカルは本当に素晴らしいです。しかし,バックの演奏にあんまり魅力を感じない(没個性的)のが私としては不満の残るところです。まぁポップスとはこういうものだと割り切って聴くしかないですね。
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ヘンデル:合奏協奏曲集作品6
オルフェウス室内管弦楽団(Orpheus Chamber Orchestra)
Performing Arts Center, State University of New York, Purchase, 5/1993, 5 & 12/1994
447 733-2 (P)(C)1996 Deutsche Grammophon (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
昨日に引き続いてオルフェウス室内管弦楽団のヘンデルです。これもやっぱりオルフェウス室内管弦楽団らしくモダンテイストの洗練されたヘンデルで,キレの良いストレートな表現が爽やかで気持ち良いです。この合奏協奏曲はあまり聴いたことがないので云々言いづらいのですが,私の感覚にはぴったりというかしっくりきます。

録音ですが,よく聴くと残響がそれなりにあるのですが,直接音の比率が十分に高いためほとんど楽器音に影響を与えず,隠し味としてこっそり効いているという感じです。鮮度が高く弦楽器の質感もまずまず良く感じられるため,ほとんど文句はありません。まさにオルフェウス室内管弦楽団にふさわしい好録音と言えるでしょう。
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ホルスト:組曲「惑星」作品32
ジェームズ・レヴァイン指揮(James Levine)(Conductor)
シカゴ交響楽団・合唱団(Chicago Symphony Orchestra & Chorus)
1989年6月 シカゴ
POCG-1063 (P)1990 Deutsche Grammophon GmbH (国内盤)
 リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
HMV Onlineのレビューで録音についてデモ的だのド派手だのと書かれ,ほめられているのやらけなされているのやらよくわからないのですが,私は素直にこれを好録音と認めます。デモ的,ド派手と言われるのは,例えば火星や木星などでのフォルテの平均音圧レベルが極めて高いからではないかと想像します。実際,他の一般的なオーケストラ録音と同じボリューム設定で聴くとうるさくてたまりません。ボリュームを少し下げてちょうど良くなります。一方で,ダイナミックレンジが広いので静かな曲は相対的にかなり小さく聴こえます。

音の捉え方もストレートそのものです。残響などには情報量はほとんど割かれていません(残響はそれなりにあるのですが直接音にはほとんど影響を与えていません)。オーケストラの金管の鳴りの凄さと相まって,このデモ効果満点の録音が出来上がっていると言っていいでしょう。

「惑星」はあまり他の演奏を聴いたことがないのでコメントできないのですが,HMV Onlineのレビューを眺めているとこの演奏自体の評判は悪くないものの,レヴァインという指揮者自体はあまり評価されていないのかなと感じてしまいます。レヴァインの録音は好録音が多いので私は結構好きなのですが...
cover picture  larry_coryell_bolero.jpg (解説書裏面)

シェエラザード~ボレロ
リムスキー・コルサコフ:シェエラザード
ラヴェル:ボレロ
ファリャ:スペインの庭の夜
サラサーテ:サパテアード
ラリー・コリエル(Larry Coryell)(Guitar)
February 12, 1981(シェエラザード),July 2, 1981(ボレロ,他)
PHCE-33009 (P)1991 Nippon Phonogram Co., Ltd. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: 公式Webサイト

アコースティックギター1本での演奏。ジャズのアレンジなので原曲には忠実ではありませんが,シェエラザードなど各楽章を4~6分程度に縮めているとはいえ,かなり気合いの入った本格的な編曲です。

特にこのシェエラザードは原曲のイメージを上手くジャズ・ギターに置き換えていて,ジャズが苦手な私でも十分に楽しめる素晴らしい演奏で,これが一番気に入っています。

ボレロは12弦ギターが使われているので,シャリーンとした独特の響きがあります。編曲は私にとってはちょっとジャズに傾き過ぎで,和音など少し無理があるところも感じました。

サパテアードは...原曲はヴァイオリン独奏にピアノ伴奏が付いていますが,ここではそのピアノパートをギターに編曲して演奏されています。これは一体どう聴けというのか...首を傾げてしまいます。私の場合,どうしてもヴァイオリンパートを頭で補ってしまうのですが,きっとこれは正しい聴き方ではないのでしょうね...でもまあ楽しい演奏なので許します(^^;。

録音ですが,使っている楽器はエレアコだと思いますが,アコースティックギターの自然な音色で,極めて明瞭に収録されています。いわゆるHi-Fi調の典型だと思いますが,それが成功しています。文句ありません。

ということで,シェエラザードは演奏も録音も大好きで,私のリファレンスCDの一枚になっています。このCD,今は廃盤で現役盤がないように思います。こんな名盤が廃盤とは残念でなりません。

なお,カバーピクチャーの右側は解説書の裏面です。このCDはシェエラザードとボレロが1枚に収められていますが,オリジナルのリリースでは別だったと思われます(シェエラザードが左側,ボレロが右側)。
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ハイドン:ヴァイオリンとチェンバロのための二重協奏曲 ヘ長調
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525
ハイドン:交響曲第45番嬰ヘ短調「告別」
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin & Director)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Jesus-Christus-Kirche, Berlin-Dahlem, 9 & 10.03.2003, 01.06.2003
BERLIN Classics 0017692BC (P)(C)2004 edel records GmbH (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

どういうコンセプトの選曲なのかいまいちよくわかりませんが,二重協奏曲は曲自体の魅力が少し乏しい気がします。協奏曲以外の3曲は超有名曲ですね。演奏は快活で歯切れ良さ,アンサンブルの見通しの良さが素晴らしいです。小編成の特長,モダン楽器の特長が見事に発揮された,洗練された現代的な演奏だと思います。弦楽器のスピッカートの揃い,アクセントとその抜き方など絶妙です。大変気に入りました。この団体の演奏をもっと聴いてみたくなります。

録音ですが,教会での録音ということで残響が結構取り込まれているのですが,それにもかかわらず,明瞭感,音色への影響はミニマムで,ヌケも良く,音の透明感も損なわれず,ほとんど文句ありません。楽器の質感もよく捉えています。残響を多く取り込んだ録音としてはまさに理想的と言えると思います。教会での録音,残響を肯定するつもりはありませんが,残響を取り込むならこんな風にして欲しいという好例です。

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Kammerorchester Berlin, Katrin Scholz
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カヴァティーナ(Cavatina)
村治佳織(Kaori Muraji)(Guitar)
Recording in June 1998 at EGLISE NOTRE DAME DU BON SECOURS, paris and September 1998 at KUSATSU INTERNATIONAL CONCERT HALL
VICC-60134 (P)(C)1999 Victor Entertainment, INC. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

1曲目に収められているアンドリュー・ヨーク作曲の“サンバースト”,この1曲を聴きたいがためだけにこのCDを買いました。相当昔にレンタルCDで借りてこの曲を知り,もう何百回も聴いたんじゃないかというくらい気に入ったのでいつかCDを買おう買おうと思っていたのですが,結局今まで買いそびれていました。ということで,この曲だけコメントします。

テクニックが完璧で安定しきっていることは言うまでもありませんが,それでいてなおかつ弾けんばかりの若いエネルギーに満ちている,これは本当にすごい! 何度聴いても感動します。解説書によると,“サンバースト”とは雲間から強く照りつける太陽の光のことだそうですが,まさにそのイメージ通りの演奏です(そういえばギブソンのレス・ポールにもサンバーストモデルがありますが,これもそんなイメージですね)。次のフレーズに向かってなだれ込む,曲の最後に向かって勢いが増していく,この推進力は何とも言えません。ブリッジ寄りで弾く鋭くアタック感のある音色もすごくいいです。最高です。

それで録音ですが,余計な響きや付帯音を排除し,この素晴らしい演奏,楽器の鳴り,撥弦のニュアンスを余すことなく捉え,収めています。録音レベルも高く,めいっぱいに音楽情報を詰め込んでいる感じです。もうほとんど文句ありません。最高の演奏を最高の録音で収めた好録音盤です。

なお,私が手に入れたのはビクターのXrcd2盤です。これの効果がどの程度あるのかは比較していないのでわかりません。
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ブラームス:チェロ・ソナタ全集
第一番,第二番,F.A.E.ソナタよりスケルツォ
シューマン:アダージョとアレグロ
長谷川陽子(Yoko Hasegawa)(Cello)
パーヴェル・ギリロフ(Pavel Gililov)(Piano)
Recorded on November 13-17, 1995 at Funkhaus, Saal 2 WDR Koln
VICC-195 (P)(C)1997 VICTOR ENTERTAINMENT, INC (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

まず録音から触れます。このCDでは,長谷川陽子さんの深々としてかつキレのあるチェロの響きをHi-Fi調で魅力たっぷりに捉えています。この録音の音の捉え方自体が理想的かどうかは判断が難しいのですが,どうであれこのチェロの音は間違いなく魅力的で大好きです。ヘッドホンやイヤホンの音質を確認する際,チェロの音を聴きたいときはまずこのCDを使います。すなわち,私のリファレンス音源の一つになっています。

演奏も若々しく健康的な情熱に満ち,力強さと繊細さを併せ持ち,歌心に溢れていて,音楽面でも気に入っています。
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲
バッハ:イタリア協奏曲
トレヴァー・ピノック(Trevor Pinnock)(Cembalo)
Paris, Conservatoire, 4/1980 (ゴルトベルク変奏曲)
London, Henry Wood Hall, 5/1979 (イタリア協奏曲)
Archiv 00289 477 5902 (P)1979/1980 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

かなりオンマイクで録音されたようですごくリアルなのですが,ちょっと圧迫感があるかなと思います。きつすぎると感じる方もおられるかもしれません。明瞭感,解像感が高くかなり良いのですが,もう少しヌケの良さがあれば最高に良かったのにと思います。それでもチェンバロの録音としてはかなり好きな方です。超低域のノイズがあるので(あまり遮音性の良いホールではないようです),低域の再生能力の高いヘッドホンなどで聴くと少し疲れるかもしれません。

演奏は軽快で淡々と整然としていて模範演奏的ですが,変にいじくり回したりせず恣意的なところもないので安心感があり,好感が持てます。録音の良さもあって,良く聴く一枚です。
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(a) リコーダー協奏曲集
ヴィヴァルディ:ソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 RV.443
G.サマルティーニ:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調
テレマン:アルト・リコーダーのための協奏曲 ハ長調
ヘンデル:アルト・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調 作品4の5
日本語解説書の記載:1979.6.26-27, Henry Wood Hall
オリジナルの解説書の記載:London, 7/1980
Philips 32CD-42(400 075-2) (C)1980 Phonogram International (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★

(b) リコーダー協奏曲集
ベイベル:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 作品3の1
ヘンデル:アルト・リコーダーのための協奏曲 変ロ長調 作品4の6
バスタン:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲第二番 ニ長調
ジェイコブ:アルト・リコーダーのための組曲
1982年6月20-30日,ロンドン
Philips 32CD-433(411 056-2) (C)1983 Phonogram International (国内盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★★

(c) リコーダー協奏曲集
マルチェッロ:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ニ短調
ヴィヴァルディ:ソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 RV.444
テレマン:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ヘ長調
ノード:ソプラノ・リコーダーのための協奏曲 ト長調 作品17の5
1984年6月8-10日,ロンドン,ヘンリー・ウッド・ホール
Philips 32CD-211(412 630-2) (C)1985 Phonogram International (国内盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★★

ミカラ・ペトリ(Michala Petri)(Recorder)
アイオナ・ブラウン(Iona Brown)(Conductor)(a)
ケネス・シリート(Kenneth Sillito)(Conductor)(b)(c)
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(Academy of St Martin in the Fields)

参考url: オフィシャルWebサイトHMV Onlineicon

ミカラ・ペトリの初期の頃の協奏曲集です。完璧な技巧に加えて純粋無垢で透明な音色は何物にも代え難い魅力があります。もう何も言うことはありません。やっぱり特に素晴らしいのはソプラニーノ・リコーダーで演奏される(a)のヴィヴァルディです。曲も良いし演奏も最高! もう何百回聴いたかわかりません。あとは,親しみやすいメロディーが印象的な(a)のサマルティーニ,短いながらも愛らしい佳作の(b)のベイベル,楽しさ溢れる(c)のノード,などが気に入っています。

そしてこれらの録音がまた最高に良いのです。わずかに感じられる残響もほとんど邪魔にならず,リコーダーの澄んだ音色を余すところなく捉えているほか,バックの弦楽器も明瞭かつ自然な音でリコーダーの音を支えています。もう30年近く前の録音なんですねぇ...昔のフィリップスの録音は本当に良かった...(←年寄り臭いですなぁ) 好録音度は文句なしに最高です。

ということで,これらのCDは長い間私の愛聴盤になっています。

これらのCDは単体では現役盤はないようですが,リコーダー・ソナタ集と組み合わせた4枚組の企画盤「ミカラ・ペトリ:リコーダーの芸術」というセットが出ているようです(→HMV Onlineicon)。
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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
ヴァイオリン協奏曲第一番~第五番,アダージョK.261,ロンドK.373,ロンドK.269
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin and direction)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Berlin, Christuskirche, 10, 11/1997
BERLIN Classics 0184002BC (P)1998 (C)2006 edel records (輸入盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

ハイドンのヴァイオリン協奏曲があまりに良かったので,モーツァルトもきっと良いはずだ!と思って聴いてみました。結果,大当たりでした! ハイドンと録音時期は異なりますが,受ける印象はほぼ同じです。ショルツ氏の音色は輝いていて本当に美しいです。

演奏も素晴らしいのですが,録音も負けず劣らず素晴らしいです。残響を伴っていて若干音色に影響を及ぼしているので完璧に満足しているわけではないのですが,好録音度としてはあえて五つ星としました。ソロの音色の透明感,輝きがほとんど損なわれず極めて美しく聴こえてくること,そして,小編成オーケストラの内声の動きまで明瞭に聴こえてくる見通しの良さ,この二点に尽きます。オーディオクオリティもそこそこ高く,残響の質も悪くはないので,「優秀録音」としても通用するかもしれません。

めでたく愛聴盤の一枚に追加されました。

なおカデンツァは,第一番~第三番がショルツ氏自身,第四番・第五番がヨアヒムとのことです。
cover picture guitars

バッハ:ゴルトベルク変奏曲
カート・ラダーマー(Kurt Rodarmer)(Guitar)
Recording: 1994.6-1996.1, Highland Studios, Los Gatos, California
Sony Classical SRCR-2230 (C)(P)1996 Pangaea Production (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

この曲の演奏のために特注された2本のギター(リチャード・シュナイダー氏製作)を使い,多重録音(最大4重?)で実現された録音。ラダーマー氏は,この編曲のために10年の歳月を費やしたとのことです。

同曲のギターによる演奏は,1本で演奏されたものがいくつかありますが,編曲の点でも演奏の点でもかなり無理があると言わざるをえません(もちろんその挑戦意欲は認めます)。ラダーマー氏はこの問題を解決するために2本の特注ギターと多重録音という,クラシック音楽の録音では邪道とも思える手段を選択されました。しかし,その代わりに編曲と演奏には一切の妥協がありません。私が聴いた限りでは「ここは妥協したな」と思えるところはただの一カ所もありませんでした。ギターでは難しかろうというところでも果敢に鮮やかに弾ききっていますし,多重録音で余力が出来たところを音楽表現に振り向けられていますので,単にギターで弾いたということにとどまらない聴き応えのある音楽になっています。

この難曲をここまで立派な音楽に仕上げられた執念とその成果を素直に讃えたいと思います。

さて本題の録音についてですが,全く残響のない環境で直接音だけ捉えています。多重録音で音質を落とさないための措置ではないかと思いますが,それが功を奏し,極めてクリアで明瞭度・解像度の高い録音になっています。クラシック音楽の録音としては恐らく異端児であり,拒絶反応を示される方もきっとおられると思いますが,私にとっては非常に好録音度の高い素晴らしい録音です。

また,「優秀録音」と言えるかどうかはわかりませんが,オーディオ的なクオリティも十分に満足できるレベルです。

ということで,発売以来の愛聴盤になっています。
cover picture

バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
イルマ・イサカーゼ(Irma Issakadze)(Piano)
2004年8月19-21日,トーランス,メディアハイペリウム・スタジオ
OEHMS Classics BVCO 38057-58
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

私の中では,不本意ながら(^^; グールド新盤に並ぶ愛聴盤になりつつあります。ピアノの音と録音に惚れ込んでしまった,というのが最大の理由です。小気味よいハキハキした演奏でとても楽しい,というのがその次の中くらいの理由で,(おそらく)全てのリピートを律儀に行っている,というのがその次の小さな理由です。「不本意」と書いたのは,胸が苦しくなるようなリズムの崩しがいくつかの変奏でみられたり,装飾音符でリズムが崩れたりするのがあまり好きではないからです。

どのような環境で録音されたのかはよくわかりませんが,鬱陶しい残響は全くなく,適切な距離感で非常にクリアにピアノの音を捉えています。そしてこのピアノの音! 豊潤さはありませんが,音の芯がはっきりとしていて付帯的な響きによる雑味がほとんどなく非常にすっきりしています。粒立ちもとても綺麗です(解説書によると楽器はカワイ製ということです)。このあたりはグールド新盤を彷彿とさせます。オーディオ的なクオリティが優れている分,こちらの方が良いかもしれません。

このような優れた演奏が,ほぼ理想的な録音で現れたことをとてもうれしく思います。このディスクをきっかけに,このような良い音の録音がもっと増えてくること願っています。

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