好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番,第3番
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Violin)
2014年12月16日-22日 イタリア,クレマ "Cascina Giardino music hall"
UZCL-1030 (P)(C)2016 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 旧来からの演奏とはかなりアプローチの異なる表現が随所に見られるという点でかなり面白い演奏です。 ある意味バロック楽器による演奏に対する期待を裏切らないと言えます。 ただ,これが好きかと言われると話は別で, 個人的にはバロック楽器の演奏のこういうところが苦手でどうしてもこれが好きにはなれません。 すみません。

録音ですが,録音会場の響きを活かした,そして過剰になることなく高いクオリティで収録しているという点で優秀録音と言えるかもしれない録音なのですが, やはり響きを重視した録音のトレードオフとして楽器音がくすんでおり, 楽器の質感が失われているのが私としては好ましく思えません。 もっと楽器そのものの音色を大事にした録音をして欲しいものです。
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ナイトフライ The Nightfly
ドナルド・フェイゲン Donald Fagen
WPCR-14170 ワーナーミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: e-onkyoTower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

長くバンドをやっている知人が,ミキシング・エンジニアがリファレンス音源として使っていると強力に推薦してくれたディスク。このディスクがミキシングの歴史を変えた!と力説していました。いわゆるAORに属する音楽で,私の守備範囲外の音楽なので聴くのは初めてでした。どこまで本当の話なのか私にはわかりませんが,確かにこれは素晴らしい録音であることは間違いないですね。(Wikipediaにもそのような記載がありました)

このアルバムは1982年のリリースで,所属していたスティーリー・ダンの解散後の最初のソロアルバムで,デジタル録音とのことです。

音のキレの良さ,見通しの良さ,明確で輪郭のくっきりした音像定位,クリアな音色,控え目ながら十分なレンジ感,どれをとっても文句なしですね。低音は必要十分にはありますが,キレが良すぎるためか,量感がそれほどないため軽めのサウンドに感じられます。ポピュラー音楽なので演出された作られた音ですが,リバーブなどはほとんどかけられておらず,ストレートなサウンドが痛快です。音圧競争で海苔波形と化した昨今の録音とは対極にあるような録音ではないかと思います。ポピュラー音楽もこういう録音が普通になって欲しいものです。

私はこのアルバムをe-onkyoで入手しました。48kHz/24bitの音源です。参考に挙げたものはSACDでどちらにしようかちょっと迷いました。通常のCDであればかなり安価に購入できますね。
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MY ROOM side 4
ウィリアムス浩子(Vocal),馬場孝喜(Guitar)
December 2014 - February 2016 at u3chi and Aby Studio Japan
BSM010 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ジャズシンガーのウィリアムス浩子さんのマイ・ルーム・プロジェクトの第4弾。今まで第1弾(side 1)第2弾(side 2)第3弾(side 3)と取り上げてきました。今回はゲストプレーヤとして西嶋徹(b),ヤマカミヒトミ(fl)が参加されています。

録音の傾向はside2, side3と同様でした。ここまで入手してみて,録音の好みから言えばside 1が一番良く,side 2以降は結局<普通の>優秀録音に留まってしまったのが残念です。

もちろん音楽そのものは素晴らしく,ウィリアムス浩子さんの素敵なヴォーカルを堪能させていただきました。
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Carpenters GOLD - Greatest Hits (K2HD Mastering CD)
A&M 5328998 (P)2000 (C)2010 A&M Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon

いくつかの愛聴曲はあるものの,特にカーペンターズのファンというわけでもなく,すでにベスト盤を一つ持っているのですが,音質の良いリマスター盤があるのなら聴いてみたいとかねてから目を付けていたもの。この“Carpenters GOLD”は,ものすごくたくさんのエディションがありますが,高音質盤では,XRCD2とK2HDがありました。どちらにするかさんざん迷いましたが,結局このK2HDにしました。このディスクは香港盤ですが,Made in Japanです。

すでに持っている通常盤と比較すると,明らかに鮮度が上がり,音のキレと深みが増していました。アナログ時代の録音ですが,CDでこんなに良質な音で聴けるのか!と驚くとともに,リマスタリングでここまで音が変わるということにも驚きました。これを聴くと,CDのポテンシャルを全く活かし切れていない録音がものすごくたくさんあるんだなということを痛感しますね。マスタリングは本当に大切です。ちなみにMaster Engneerは袴田剛史と記載があります。

それにしても...ちょっと高いですねぇ。
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ヴィヴァルディ:最後の協奏曲~ブルノのコッラルト伯爵のカタログより
ファビオ・ビオンディ Fabio Biondi (Violin & Direction)
エウローパ・ガランテ Europa Galante
2014年6月16-18日,サン・バシリーデ教会(バディーア,カヴァーナ,イタリア)
Glossa GCD 923402 (P)(C)2015 note 1 music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Musice-onkyo

2015年度レコードアカデミー賞 特別部門 録音 の受賞ディスク。これは一応聴いておかなければと思い入手しました。

演奏はさておき,録音ですが,トゥッティは残響豊富,残響時間も長く,でものすごい濃い癖の強い音響です。残響量の割には楽器音は明瞭なのですが,やや混沌としてやかましく感じられます。ヴァイオリンソロも残響を伴っているものの,ニュアンス豊かで音色も美しく,また,トゥッティより一段浮き上がる録り方をしているため,協奏曲の録音としては好ましく思います。もう少しすっきりと仕上げて欲しかったと不満は残るものの,ソロの美しさ,協奏曲録音としての好ましさから,十分好録音と言えると思います。オーディオ的なクオリティも高く,残響を好ましく思う方であれば確かに優秀録音かもしれません。
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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
ヴィヴァルディ:トリオ・ソナタ作品1-12「ラ・フォリア」
ダニエル・ゼペック Daniel Sepec (Violin & Direction)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
Die Kammerphilharmonie, Bremen, March 6-9 2010 and March 8-9 2011
COV 21112 (P)(C)2011 Coviello Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

以前から何度も取り上げさせていただいている,音工房Zのメールマガジンで紹介されていたディスクです。ディスクの紹介をされている方と良い録音の考え方が同じなのかどうかは定かではありませんが,結果として選ばれているディスクは私の好みにも合うものが多いと感じます。

ダニエル・ゼペックは,ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンのコンサートマスターを務め,また,アルカント・カルテットのメンバーとしても活躍しているとのことです。参考に挙げたTower RecordsHMV Onlineのディスク紹介にもありますが,この曲に添えられたソネットを大きく意識させる大胆な表現がされています。こういったユニークな演奏は今や珍しくはないと思いますが,まだまだ表現の可能性はあるんだということに感心させられます。

ちなみに編成は,ソロを含め,弦楽器が5-4-3-2-1,ハープシコード/オルガン,リュート/ギター,ハープが加わります。モダン楽器によるキレの良い現代的な演奏ですが,リュートやハープが独特の古雅な雰囲気を醸し出しているのが面白いと思います。

さて録音ですが,残響は中低域中心に少し多めに取り入れられていますが,ブーミーになることなくスッと綺麗に減衰するため被りによる悪影響が少なく,さらに直接音主体に録られているので,曇ることなく楽器本来の響きが美しく届きます。雰囲気も自然で演出感が少ないのも良いと思います。オーディオ品質も良好で,優秀録音と言えるでしょう。
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MY ROOM side 3
ウィリアムス浩子(Vocal),馬場孝喜(Guitar)
December, 2014 - May, 2015 at u3chi and Aby Studio Japan
BSM009 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ジャズシンガーのウィリアムス浩子さんのマイ・ルーム・プロジェクトは,第1弾(side 1)第2弾(side 2)と取り上げてきました。その第3弾です。今までは馬場孝喜さんのギターとのデュオでしたが,今回はそのギターに加えて,ベース,サックス,フルートのミュージシャンがゲスト参加しています。

録音の傾向としてはside 2と近い感じです。私としてはside 1の録音の方が好みに合い,それに比べるとside 2は<普通の>優秀録音になってしまって残念に思いました(side 2のレビューをご参照ください)。今回はゲスト奏者も加わって若干録り方は違う感じもしますが,感想はほぼ同じです。

折に触れて申し上げていますが,私は録音会場の音響・雰囲気を自室で再現したいとは思っていません。自室で目の前で自分のために演奏してくれているように録音され再生できるのが理想です。なのでホールの残響や演出感は私にとって有り難くないものなのです。まあこういう嗜好の方はごく少数だと思いますので,そのように録られないのは仕方ないことと半ば諦めていますが...

とはいえ,客観的にはジャズの優秀録音として十分な音質だと思います。録音レベルもかなり高めに設定されているのも好ましいです。ゲスト参加のベースなど締まった魅力ある音で録られていて,これがどう再生されるかで再生機器の能力がわかってしまうような,そんなソースとしても楽しめるのではないかと思います。
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パガニーニ:ヴァイオリンとギターの音楽第1集
ジエルジ・テレベジ György Terebesi (Violin)
ソーニャ・プルンバウアー Sonja Prunnbauer (Guitar)
1973~74年頃の録音
WPCS-12552 (P)1974 (C)2002 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
いつも参考にさせていただいている音工房Zのメールマガジンで優秀録音として紹介されていたディスクです。パガニーニというと超絶技巧を駆使した曲というイメージがあるのですが,ここに収録されているヴァイオリンとギターの曲は「貴族や上流階級のサロン用に作曲された」ということで,技巧を凝らした曲ではなく甘美な旋律を朗々と歌うものが中心となり,ギターは伴奏が主体です。内容的には少々食い足りなさを感じるものの,気軽には楽しめますね。

さて肝心の録音なのですが,ヴァイオリンの音は若干の残響を伴いつつも直接音が主体で極めて明瞭であり,音色も自然,音の伸びも申し分ありません。ギターも同様ですが,残響による音色の変化はヴァイオリンよりも気になりません。ヴァイオリンもギターも楽器の魅力を存分に伝えてくれます。確かに優秀録音ですね。私としては残響によるわずかな音色変化がやっぱり気になりますが,でもとても気持ちよく楽しめます。

なお本ディスクは「ワーナークラシックス名盤SACD」としてSACDハイブリッドで復刻されたものということです。ワーナーの直販サイトではすでに購入不可となっているので,流通在庫のみかもしれません。(→10/3現在,Amazon.co.jpだけはどんどん入荷していますね...)

P.S. 私もつい最近Amazon.co.jpで購入したのですが,今見ると700円以上安くなっている...ちょっとショック(涙)...
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バッハ:平均律クラヴィーア曲集全曲
フリードリヒ・グルダ Friedrich Gulda (Piano)
1972年4月,1973年5月 ドイツ
0300650MSW (P)1972/73 MPS Records (C)2015 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
私は平均率クラヴィーア曲集はグールド盤しか持っておらず,それほどこの曲に関心を持っていたわけではなかったので,これが有名な演奏だとは知りませんでした。勝手な先入観で刺激的な演奏を期待していたのですが,どちらかというと多彩な音色と表情付けで曲毎にくっきりとコントラストを付けて描き分け,しかし揺るぎのない音楽をじっくり聴かせる演奏だなぁとちょっと意外に思いました(個人の感想です(^^;)。

そして何より素晴らしいのがこの録音! 印象としてはグールドのスタジオ録音に近いです(聴き比べると実際にはだいぶ違いますが)。ピアノ以外の響きが皆無,極めてクリアで粒立ちがとても綺麗。超Hi-Fi的な誇張や不自然さもない。ジャズでは良くある録り方かもしれませんが,クラシックではまずこんな録り方しないですね。一般的なクラシックのピアノ録音とはかけ離れているので好き嫌いが分かれると思いますが,私としてはほぼ理想に近い,こんなピアノの音が聴きたかったんだ!という録り方で本当に嬉しい限りです。MPSは西ドイツのジャズ・レーベルだそうで,それでこの録音が実現したのだと思います。感謝! なお,音質は第1巻の方が良く,第2巻は少し癖のある響きが感じられて少し落ちます。

あぁ,こんなピアノの録音でもっと聴けたらいいのに! こんな素晴らしい録音のお手本があるのになんで真似しないんですかね。こんな録音が増えたらもっとピアノが好きになるだろうに。なんでみなさんピアノの音を濁して録音するのか,私には全く理解できません。
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MY ROOM side 2
ウィリアムス浩子(Vocal) 馬場孝喜(Guitar)
Aby Studio Japan, Apr. 1-2, May 19 & Dec. 15-28, 2014
BSM007 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
『音源の試聴にいつも使わせてもらっている「Hirokoの部屋」と名付けられたオーディオ・ルーム』で録音するMy Room Projectの第二弾。第一弾(side 1)が素晴らしかったので大いに期待して入手。

ウィリアムス浩子さんのヴォーカルは,side 1よりも声色のヴァリエーションを広げて多彩な歌を聴かせてくれます。side 1も良かったのですが,このside 2はまた違う良さがあり素晴らしいですね。

さて,肝心の録音なのですが...微妙です。解説書には『side 1での経験を活かし,さらなる“生音”を目指しました。』と書かれているのですが,私にはside 1の方がはるかに生音に近いように思います。このside 2ではアンビエント成分が増し,より人工的な匂いのする音作りになっています。ギターの音も生音の深みがなくなり,下支えのない薄っぺらい音になってしまいました(あくまでside 1比ですが)。side 1では演奏者と同じ部屋で音楽を共有していたのに,side 2では演奏者は商品としてパッケージ化されたメディアの向こう側に行ってしまいました。

確かに水準の高い優秀録音だとは思います。しかしそれはジャズでは数多くある普通のスタジオで録音された「普通の優秀録音」と同じレベルであり,私がside 1を聴いてMy Room Projectに期待した優秀録音とは違いました。私が単にMy Room Projectを誤解していただけなのでしょうが,そうならMy Room Projectはもはや私には意味がありません(あくまで「録音」に関してです。念のため)。残念です。

辛口コメントになってしまい申し訳ございません。前述の通りこれは録音に対する不満であり,今後への期待を込めてあえて書かせていただきました。音楽そのものは素晴らしく,続編にも期待したい,ということを改めて申し上げておきます。
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MY ROOM side 1
ウィリアムス浩子(Vocal) 馬場孝喜(Guitar)
Aby Studio Japan, Jan. 28-29 & Apr. 1-2, 2014
BSM006 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
『音源の試聴にいつも使わせてもらっている「Hirokoの部屋」と名付けられたオーディオ・ルーム』で録音するMy Room Projectの第一弾。一つの部屋で,ヴォーカル用にマイク1本,ギター用にステレオマイク1ペア,部屋の雰囲気を伝えるためのアンビエント用マイク1ペアで録られた音源。

この録音,ヴォーカルの生々しさが素晴らしいですし,ギターの音もニュアンス豊かに捉えています。距離感も適度で,自分のためだけに目の前で歌ってくれているようなリアルさが良いです。アンビエントマイクによると思われる響きがかすかに入っていて多少音色に影響しているものの,まあ十分に許容できますし,確かに雰囲気作りには寄与しています(個人的にはアンビエントなしで聴いてみたい)。CDの能力を最大限に活かす録音レベルの高さもこの好録音に貢献しています。

私は普段ジャズは聴きませんが,ほぼギターの弾き語りに近いこのような音楽は好きです。ジャズでは普通に(ではないかもしれませんが)このような録音がなされるのは本当にうらやましいです。クラシックではまずこんな録り方はしてくれません。家で室内楽を楽しんだりする場合はこんな音響だと思いますし,クラシックだからといってこんな音響下で音楽が楽しめないかというと,決してそんなことはありません。逆にホールでは決して味わえない刺激に満ちた一体感のある音楽が楽しめると思うのです。室内楽や器楽曲でこのような録音をしてくれたらどんなに素晴らしいだろうと思うのですが。

最近,このMy Room Projectの第二弾,“MY ROOM side 2”が発売されています。これも聴いてみたいですね。
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The Well [SACD Hybrid]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
CISCO SCD 2034 (P)(C)2001,2003 Davich/Warners (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp
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The Well [24 KARAT GOLD EDITION]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
IMPEX Records IMP 8302 (P)(C)2001,2003,2009 Porch Light (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jp
このディスクも優秀録音で有名な“The Hunter”に並ぶ優秀録音の名盤だと思っています。SACDの方を以前から持っていたのですが,24K GOLDの方も聴いてみたくなって入手しました。今はSACDも初期盤も手に入りづらく,現役で手にはいるのがこのディスクだけということもあって,今のうちに手に入れておこうという気持ちもありました。

聴き比べは,SACD盤の方もCD層で行いました。まだ十分に聴き込めてはいないのですが,一聴して24K GOLDの方がレベルがわずかに高いことがわかるのですが,特に24K GOLDの方が低域の量感が増えているにも関わらずクリアでキレのある低音で,ドラムスがスピード感があって,これは良いと思いました。Amazon.co.jpのレビューを見ると賛否あるようですが,好みの範囲だと思います。もう少しじっくり聴いてみたいと思います。

ところで,24K GOLDの方が収録されている曲が2曲多いですねぇ...ボーナストラックも異なります。まあ良いんですけどね(^^;。
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PIANO MAN THE VERY BEST OF BILLY JOEL [K2 HD Mastering CD]
ビリー・ジョエル Billy Joel
88697883012 (P)2004 (C)2011 Sony Music Entertainment (輸入盤)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp
ビリー・ジョエル本人も選曲に参加したという,厳選されたベスト盤。通常盤を含めAmazonやHMVのレビューで評価が低いのは,オリジナルよりも若干短く編集されたラジオ放送用バージョンが使われているためのようです。しかもそれが「ピアノ・マン」や「素顔のままで」といった超名曲なので余計なのかもしれません。なお,通常盤の国内盤は17曲目が「ストレンジャー」に入れ替わっているようです。

ベスト盤としては,相当以前に購入したBilly The Bestを持っていたのですが,それと比べるとまず格段に平均レベルが上がっていることに驚かされます。16bitをぎりぎりまで使うようにマスタリングされています。クリップしないようにピークを抑えつつ平均レベルを上げる操作がなされていると思いますが,違和感・不自然さはなく鮮明さが向上していますので,好ましい改善がなされていると思います。

このリマスター盤がなかなか良かったので,気に入っているディスクでリマスター盤が出ているものは買い直しをし始めました。リマスターには賛否があると思いますが,私は概ね好意的にとらえています。すでに持っているのに買い直すということに若干の抵抗はあるものの,やはり持っているものに比べて改善されている可能性があると思うと,手を出してしまいますね...
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第2巻「愛」
小菅優 Yu Kosuge (Piano)
録音:2012年8月20日-24日 水戸芸術館コンサートホールATM
SICC 10176-7 (P)(C)2013 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
レコード芸術誌 2013年度第51回レコード・アカデミー賞 特別部門 録音 で『世界最高水準&最先端のピアノ録音』と評価を受けた受賞ディスク。第9番,第10番,第13番,第14番,第24番,第27番,第28番を収録。SACDハイブリッド盤。

ピアノは普段あまり聴かず,またなかなか好録音と思えるものに出会わないため,ベートーヴェンだし,そんなに良いなら聴いてみようと思い入手しました。

結論から言うと,オーディオ品質は確かに高いかもしれませんが,残念ながら私が思うような好録音ではありませんでした。これが優秀録音の受賞ディスクであるという事実に少なからず落胆しております。

オーディオ品質が高いことは認めますが,ホール音響を優先するあまりピアノの音が曇ってしまっています。ピアノ本来の音の輝き,透明さ,ニュアンスが,ホール音響再現の犠牲となって失われてしまっています。完璧に商品化された音であり,演奏者の存在が希薄で身近に感じられません。

ぜひグールドのゴルトベルク変奏曲(1981年録音)や平均律クラヴィーア曲集(1962~1971年録音)と聴き比べてみていただきたい。およそ30年から50年以上も前の古い録音なのでオーディオ品質はもちろん劣ります。しかし,一つ一つの音がクリアで輝いていますし,豊かなニュアンスも十分に感じ取ることができ,演奏者の呼吸も伝わってくる生き生きした音です。

なぜクラシックの録音はこうも楽器本来の美しい音を曇らせようと一所懸命がんばるのか,私には良く理解できないところです。残響の有無が音楽の芸術性にほとんど関係ないということはグールドのディスクで証明済みです。こんなに素晴らしい手本があるのにそれに倣おうとする録音が出てこないのが不思議でなりません。

楽器の持つ本来の美しい音,輝きのある音,ニュアンス豊かな音をありのまま捉えることが最優先ではないのでしょうか。そして,それを維持しながらいかにうまく雰囲気を織り込めるかが次にくると思うのです。この録音はホール音響再現が優先されすぎて本来の美しさが犠牲になっていると思います。オーディオ雑誌ならまだしも音楽雑誌がこういう録音を時代の最先端をいく優秀録音として選んでいるところに失望します。演奏自体は大変素晴らしいと思うので余計にこの録音を悔しく思います。



どういう録音が良いのか,その目指すべきゴールはそれぞれの人の価値観にもよりますので,この録音を優秀録音として評価する方がいてももちろんおかしなことではありません。むしろ,私のように思う人の方が少数派なのでしょう。

しかし,今のクラシック録音はその多様な価値観に基づいた様々な録音が出ているかというと,現状はホール音響再現重視の録音に偏りすぎていると思います。

我々一般人が生の音楽に触れる機会はホールで行われるコンサートという場がほとんどです。このブログでは何度も述べてきたことですが,だからといって音楽を聴く環境としてホールで行われるコンサートがベストかというと,必ずしもそうではないと思うのです。

音楽はもっと身近であっても良いものであり,生の演奏をホールよりもずっと良い音で楽しめる環境はいくらでもあるわけで,そんなベストとは限らないホールの音響をなんでわざわざ自宅で再現しなければならないのか,なんでそんな音響を押しつけられなければならないのか,と,思うわけです。

ホールの音響を家庭で再現するというのも確かに一つの考え方ですが,ホールでも得られないようなもっと素晴らしい音楽体験を目指した録音があっても良いのではないでしょうか(決して奇抜なことをやって欲しいと言っているわけではありません,念のため)。

このホール音響一辺倒のクラシック録音を見直して欲しいという思いで,演奏者の小菅さんにはちょっと悪いなと思いつつ,年間の最優秀に選ばれた録音ということで,あえて少し大げさに辛口でコメントさせていただきました。(といっても私の影響力など微塵もないので,何にも変わらないのだろうな...今までも何にも変わってこなかったし...)
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R. シュトラウス:アルプス交響曲
ダニエル・ハーディング指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ
2012年8月23,25日 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
DECCA UCCD-1380 (P)2013 Saito Kinen Festival (国内盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
いくつかのレビュー記事を読んで,演奏の評判まもちろんのこと,録音の評価も高かったので気になっていました。輸入盤を待っていたのですが,いつまで経っても出ないのでしびれを切らして入手しました(入手した途端に輸入盤の案内が...)。

その録音ですが,ライヴ録音としてかなり自然で,ホールトーンも抑えられて音色に変な色づけもありません。低域から高域までバランス良く,締まりがあるのも良い点です。こういう広いダイナミックレンジを要求されるような曲でありながら,平均レベルを少し高めになるように録られているので聴きやすいのも私としては良いと思う点です。オーディオ的なクオリティも高く全く問題ありません。

しかし,あまりにも全体がまとまりすぎているというか,溶け合いすぎて,個々の楽器の分離感がなく質感が希薄で今ひとつ感じられないのが不満です。私にはワンポイント的なサウンドに聴こえ,これを好ましく感じる方もいらっしゃると思いますが,手が届きそうで届かないようなもどかしさがあります。ホールの後ろの方の席で聴いている感じとでも言いましょうか。

これは「優秀録音かもしれないが,好録音とはちょっと違う」録音の一例と言えるかもしれません。もう少し聴き込んで私の不満の正体を見極めておきたいところです。(評価は変わるかもしれません)
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ザ・ハンター The Hunter
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
BVCP-203 (P)1992 Private Music/BMGビクター (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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The Hunter [K2 HD Mastering CD]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
88883734802 (P)1992 Private Inc. (C)2013 Sony Music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
※韓国盤(日本製)
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The Hunter [24K GOLD SPECIAL EDITION]
ジェニファー・ウォーンズ Jennifer Warnes
IMP8303 (P)1992 Sony Music (C)2010 Impex Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpTower Records
※米国盤?
言わずとしれた優秀録音の名盤中の名盤,私も試聴によく使用するディスクですが,ずっと発売当初に買った国内盤を聴いていました。少し前に“24K GOLD SPECIAL EDITION”というのがあることに気がつき,気になっていたもののなかなか手が出せずにいたのですが,やっぱり聴いてみようということで,やっと手に入れて比べてみました。さらに,“K2 HD Mastering CD”なるエディションがつい最近発売されていることもわかり,ここまできたらこれも比較するしかない(^^;と思い,手に入れました。ガラスCDもあるようなのですが,12万円もするので,さすがにこれは諦めました。あと,SHM-CDもあったようですが,限定盤で現在は入手困難なため比較していません。

試聴してみて鈍感な私の耳でも明らかな違いがあったため,盤質の影響を避けるため,ロスレスでリッピングした後に再度試聴して,それでも違いがあることがわかりました。

そこで,波形を比較してみました。図1は,1曲目の“Rock You Gently”の最初の1分30秒ほどの波形を表示したものです。上から,通常盤,K2 HD Mastering CD,24K GOLDです。こんな荒っぽい表示でも明らかにデータレベルで異なることがわかります。

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図1 1曲目“Rock You Gently”冒頭1分30秒の波形比較
(上)通常版 / (中)K2 HD Mastering CD / (下)24K GOLD


次に,周波数成分を比較してみました。図2は,同じく1曲目の“Rock You Gently”の1曲をWaveSpectraというソフトで再生してFFTのピーク値のエンベロープを描かしたものです。黄緑が通常盤,青が24K GOLD,赤がK2 HD Mastering CDです。この順番に少しずつレベルが上がっていること,K2 HD Mastering CDは低域が少し強調されている,といった違いが見られます。

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図2 1曲目“Rock You Gently” FFTピーク値のエンベロープ比較
(黄緑)通常版 / (青)24K GOLD / (赤)K2 HD Mastering CD


上記の図と聴感はほぼ一致します。鮮明度の向上は,24K GOLDとK2 HD Mastering CDとだいたい同じくらいに感じました。低域の量感もK2 HD Mastering CDが豊かになっているように感じられました。

しかし,もっと決定的な違いがあることに気がつきました! 24K GOLDの“Rock You Gently”のイントロ部分をよく聴くと,通常盤およびK2 HD Mastering CDには含まれないコーラスがうっすらと入っているのです! ミキシングからして変わっているようなのです。さらに,他の曲を調べてみると,24K GOLDは,波形の極性が反転しているものがあるのです。つまり,本来はスピーカの振動板が前に出るところが引っ込むというような逆の動きになるのです。人間の耳はこういう位相の違いには鈍感なので聴感上の違和感はないのですが,いったいどんなマスタリングをしたんだ?と気になってしまいます。

ということで,24K GOLDはちょっと別物だぞ,と思った方が良さそうです。波形を見た限りではK2 HD Mastering CDの方は,通常盤の波形と異なるとはいえ近い波形に見えましたので,そのまま素直にリマスタリングしたように思えます。どちらが良いかは考え方次第だと思いますが,私としては気分的にK2 HD Mastering CDの方が安心できます。

24K GOLDをお持ちの方は一度じっくりと比較して「間違い探し?」をしてみてはいかがでしょうか(^^;。

あと,どうでも良いことですが,K2 HD Mastering CDはデジパックのケースに4桁のシリアルNo.らしきものが打ってあります。私の番号はNo. 0524でした。
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ドント・スモーク・イン・ベッド Don't Smoke in Bed
ホリー・コール・トリオ Holly Cole Trio
CDP 7811982 (P)(C)1993 Capitol Records, Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
今更と思いながら取り上げます。まだオーディオが元気だった1990年代前半にリリースされたこのディスク,オーディオ・フェアなどでの試聴でよく使われていたと記憶しています。引き締まった明瞭な音響ながら,カリカリのHi-Fi指向というわけではなく,適度にアンビエンスが感じられる,確かにオーディオ試聴に好適なディスクと言えるでしょう。

ジャズは私の守備範囲外なので気になりながらも入手することなく今に至りましたが, Amazon.co.jpで500円台という破格の値段で出ていたのでついつい手が出てしまいました。

SACDも出ていますが,いくらなんでもこれはちょっと高すぎますね...(→HMV OnlineiconAmazaon.co.jp)。
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SOLO
渡辺玲子 Reiko Watanabe
13-15 Sep. 2010, 3 & 4 Feb. 2011, Karuizawa Ohga Hall
FOCD9552 (P)(C)2012 FONTEC Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番に関しては,「CD試聴記」からの転載です。

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ですが,きびきびした小気味良い演奏で,機知に富む表現が随所で見られます。 これぞベテランの味というか,揺るぎのない自信と個性に溢れながらも,それが押しつけがましくなることなく, 曲の良さ,楽しさをより高める方向に働く,素晴らしい演奏だと思います。 技術的にもキレがあり,和音の響きの美しさなどは特筆に値すると思います。

渡辺玲子さんは,2001年頃にもバッハ無伴奏ヴァイオリンのディスクをリリースされています(→CD試聴記)が, そろそろ新たに全曲録音されても良いのではと思います。 この演奏を聴くと,渡辺さんの今のバッハ無伴奏ヴァイオリンをぜひ残して欲しいという気持ちが強くなります。

バッハのほかには,イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番,ヒンデミット:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番,佐藤眞:無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲,エルンスト:シューベルトの「魔王」による大奇想曲,エルンスト:多声的練習曲第6番「夏の名残りのバラ」が収録されています。

私の注目はエルンストの「夏の名残りのバラ」。この曲は,五嶋みどりさんのカーネギーホール・リサイタルの一点の曇りもない完璧な演奏が私のリファレンスになってしまっています。これを超える演奏なのかどうか... 表現の深さは超えたかも... でも技術的には... やっぱりこの曲って難しいんですね...

録音ですが,若干残響が多めですが,あくまで楽器音主体で捉えられているため,明瞭感,解像感もまずまずあり印象は悪くありません。 高域の伸びもあります。 しかし,やはり残響のまとわりつきによる音色への影響は避けられず, もう一段直接音比率を高くしてピュアに捉えて欲しかったところです。
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ヘンデル:チェンバロのための作品集
クリスティアーノ・オウツ Cristiano Holts
June 2009, Palace Chapel of Winsen, Germany
Ramee RAM1004 (P)(C)2011 Outhere (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
レコード芸術誌2011年度第49回レコード・アカデミー賞の「特別部門 録音」の受賞ディスク。ヘンデルのチェンバロ曲は私の守備範囲外なので買う予定はなかったのですが,つい出来心で買ってしまいました...(^^;。

この録音は本当に良いですね。チャペルでの録音と書いてあるのですが,残響感はほとんどなく楽器音が極めて明瞭に録られています。距離感も適切で自然で音の捉え方が濃すぎませんし(若干きつい感じはあります),いろんな要素のバランスも良いです。オーディオ品質も良好です。優秀録音かつ好録音と言えます。私が持っているいくつかのチェンバロの録音の中でも群を抜いています。オーディオ機器試聴時のリファレンス音源候補となりました。

こういう雑誌で優秀録音の賞を取ったディスクを聴いても,「確かに優秀録音かもしれないが好録音ではない」ということが多かったのですが,驚くべきことに今回は極めてまともな選択がなされました(^^;。素直に喜びたいと思います。ピアノやチェンバロ,ギターなどは楽器自体の響きが十分に残るので,このような残響を抑えた録音でも一般的に受け入れられやすいからだとは思いますが,録音にとってホールなどの残響がそんなに重要な要素ではないということがここでも明らかになったと思います。この受賞を契機にこういった好録音が増えてくれることを期待します(でも無理かもしれませんね...)。

次はオーケストラや弦楽器の録音からもこのような「優秀録音かつ好録音」のディスクを選んで欲しいものです。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ集
久保田巧 Takumi Kubota (Violin)
2002年3月19-21日 山形・余目町文化創造館 響ホール
OVCL-00119 (P)(C)2003 Octavia Records Inc. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集
バッハ:無伴奏フルート・パルティータBWV1013(ヴァイオリン編)
久保田巧 Takumi Kubota (Violin)
2004年3月23-25日 山形・余目町文化創造館 響ホール
OVCL-00181 (P)(C)2004 Octavia Records Inc. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
バッハ無伴奏ヴァイオリンの全集をいろいろと聴いてきましたが,現時点で演奏・録音のトータルで最も気に入っているのがこの久保田巧さんの全集です。すでに「CD試聴記」にてレビューをしていますので参考にしていただければと思います(CD試聴記全体の中では高い評価に見えませんが...(^^;)。

改めて聴いてみて,慎ましく控えめながら静かに気持ちが込められていて,じわっと感動がこみ上げてくる好演奏だと再認識しました。技術も確かです。音色も大変美しいです。

録音は,響きを伴っていながらも久保田さんのニュアンス豊かな音色を克明に伝えてくれる好録音であり,オーディオ品質も高い優秀録音です。発売以来,オーディオ機器の音を確認するためのリファレンス音源としても聴き続けています。パルティータ集の方が響きが多めでわずかに劣ります。

好演奏かつ好録音かつ優秀録音の素晴らしい全集だと思うのですが,Web上ではほとんどレビュー記事を見かけないですね。本当に不思議ですが,あまり自己主張しないどちらかといえば地味な演奏なので受けが良くないのかもしれません(それとも値段が高いから?...)。もっと評価されて良いと思うのですが。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番,第6番
2005年1月25-28日 魚沼市小出郷文化会館(新潟県)
(a) NF63001 (P)(C)2005 N&F Co., Ltd. Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazaon.co.jpTower Records
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番,第4番
2008年2月8-10日 すみだトリフォニーホール(東京)
(b) NF53002 (P)(C)2007 N&F Co., Ltd. Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番,第5番
2009年6月1-3日 所沢市民文化センター ミューズアークホール(埼玉)
(c) NF23003 (P)(C)2011 N&F Co., Ltd. Tokyo (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineTower Records
ジョセフ・リン(Joseph Lin 林 以信)(Violin)

CD試聴記」からの転載記事です。“Bach & Ysaÿe”という企画でイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタとともに録音が進められ,バッハ無伴奏ヴァイオリン全曲が揃い完結しましたので,全集扱いに格上げしました。(b)は一度2009年9月12日のエントリーで取り上げていました。こちらも録音に関してコメントしていますのでご参照いただければと思います。

ジョセフ・リン氏は台湾系アメリカ人。2011年からはジュリアード音楽院で後進の指導にあたるとともに,なんと2011年よりジュリアード弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者としても活躍しているとのことです(知りませんでした)。

深い色合い持たせながら決して嫌みにならないヴィブラートや,連綿と美しい音を紡ぎ出していく吸い付くようなボウイングなど,その技術力の高さには感嘆します。情に訴えるようにひたすら熱く高揚しながらも,一方で,流されることなく着実に音楽を組み上げていくしたたかさも感じます。表現自体はどちらかといえばモダン楽器によるオーソドックスな路線上にありますが,数多の演奏に埋もれない,光るものがあります。モダン楽器の表現力の素晴らしさを改めて実感させてくれる秀演です。

なお,時折装飾音符が入ったり,曲の終わりを軽く編曲したり(ソナタ第二番アレグロ)していますが,私には単に曲の流れを乱しているようにしか聴こえず,この点に関しては残念ながら消化し切れていない印象を受けます。こういうところに走らずとも,自分の音楽を聴かせる十分な力量があると思うのですが。

録音ですが,(a)(b)(c)でそれぞれ収録会場が異なるために残響の質が少しずつ異なりますが,概ね違和感のない範囲で統一されています。それぞれ残響を多めに取り入れた録音で,響きの減衰がスムーズで美しく心地よいものであり,残響の質はかなり良いと思います。楽器音も伸びがあり,解像感が高く,オーディオ的にも優れていますが,少し距離感があり,残響の被りがやや多めでその音色への影響を免れていません。残響の許容できる方には優秀録音と言えるかもしれませんが,私としては,解像感があるとはいえ,音色への影響,楽器音へのまとわりつきが許容し難いです(なのでちょっと厳しいと思いましたが好録音度は三つ星半です)。もう少し直接音比率を高くして欲しかったと思います。また,わずかながら空調ノイズのような「ゴーッ」というような低域のノイズが入っており,密閉型のヘッドホンでは少し鬱陶しく感じられます。

(a)の解説書では,録音に関して次のようなコメントが記載されています。

「ホールの自然なアンビエンスの中に定位する,演奏者の大きさと位置は,左右のスピーカーに対してまことに適切で,録音側の意図的なアレンジやオーディオファイル受けしそうな,これ見よがしなHiFiテイストは一切感じられない。これはfine NFの録音に一貫した特色だが,このディスクにはたぐい稀な透明感,ストレスのない音の伸びに加え,普通演奏者にしか聴くことのできないと思える,奏法,運指が見えるかのような臨場感に圧倒される。」
- 解説書の澤田龍一氏(マランツ音質担当マネージャ)のコメントより

一部あてつけのような記述がありますが(^^;,「奏法,運指が見える」かどうかはともかく,この録音の特徴を的確に言い表していると思います。

ディスクは,(a)と(b)はSACDハイブリッドのみ(たっ,高い!!),(c)は通常CDのほかにシングルレイヤーSACD(→Tower Records),さらになんとガラスCD(→Tower Records)まであるようです。
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番作品59-2
モーツァルト:弦楽四重奏曲第16番K.428
ヴェーベルン:弦楽四重奏のための5つの楽章作品5
ヴェーベルン:弦楽四重奏のための6つのバガテル作品9
ハーゲン四重奏団
Recording: V. & XII. 2010, Siemens-Villa Berlin
MYR006 (P)2010 (C)2011 myrios classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

ハーゲン四重奏団結成30周年記念アルバム。これまでずっとドイツ・グラモフォンに録音を残してきましたが,この節目でミリオスというマイナーレーベルを選択したということです。ジャケット写真を見る限りまだまだ若々しい彼らですが,もうすでに30年ものキャリアを積んだベテランということに改めて驚きを感じています。

さてこのディスクですが,ベートーヴェンは彼ららしい切れ味の鋭いダイナミックな表現が素晴らしい演奏と思いましたが,モーツァルトは残念ながら最後まで聴き通すことが出来ませんでした。とにかく「ため」が多いのです。そのため,聴いていても心の中で刻むリズムが乱され息苦しくなってくるのです。これは以前,西山まりえさんのゴルトベルク変奏曲で「まさかゴルトベルク変奏曲を聴いて苦痛を強いられるとは思いもしませんでした。」と書いたのと全く同じです(→その記事はこちら「CD試聴記 編集日録2008年3月16日」)。HMV OnlineAmazon.co.jpでのユーザーの批評を見ても賛否両論ですが,このモーツァルトに関しては残念ながら「否」でした。(ヴェーベルンは守備範囲外なのでコメントを避けておきます(^^;)

ベートーヴェンを聴く限りは彼らの新境地に期待を持てるのですが,モーツァルトを聴くと,いったい彼らはどんな方向に向いて行ってしまうのか心配になってしまいます。新しいチャレンジはどんどんして欲しいのですが,くれぐれも変な方向には行かないでくれと願わずにいられません。

さて録音ですが,少し残響感があり楽器音へのまとわりつきが気になるものの,彼らのキレの良い演奏をシャープに明瞭に録っていて好感が持てます。高域の伸びもありヌケも良く音色も自然,優秀録音と言えるかもしれません(優秀録音として雑誌にも取り上げられていました)。私としては不満がないわけではありませんが,これなら十分に納得できます。
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チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
ボロディン:交響曲第2番ロ短調
ジャン・マルティノン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(チャイコフスキー 1958年4月)
ロンドン交響楽団(ボロディン 1960年)
UCCD-7021 (P)1958,1961 Decca Music Group (国内盤)
好録音度:★★★★★(ボロディン),★★★★☆(チャイコフスキー)
参考: HMV Online(SHM-CD)Amazon.co.jp(SHM-CD?)

これもクラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])で紹介されていたものです。チャイコフスキーの方を見てぜひ聴きたいと思い手に入れました。チャイコフスキーは1958年録音で,マスターテープの問題か,音がつぶれるところが散見されることと,若干周波数バランス的に低域が抜けている感じがするものの,残響のほとんどない明瞭な録音が印象的で,オーディオ品質を除けばかなり良好と言えます。

しかし,仰天したのはボロディンの方です。この録音は1960年で,クラシック名録音106究極ガイドに載っているのは1958年録音ですので違うものかもしれませんが,これは本当に素晴らしい! 残響を抑えた極めてキレの良い録音で,弦楽器をはじめ,各楽器の質感もしっかりと捉えられていますし,周波数バランスも申し分ありません(若干高域のヌケが悪いかもしれませんが)。こちらの方はノーマークでした。

ボロディンは初めて聴きましたが,録音の良さにワクワクしながら聴き通してしまいました。こんなに心躍る録音は久しぶりです。音場感や録音会場の雰囲気を再現するといったこと以前に音楽自体をしっかりと収めることがいかに大切かをこの録音は再認識させてくれます。
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リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
1956年11月3日(うぐいすの歌),1960年2月8日(シェエラザード)
BVCC-37150 (P)1996 BMG (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
「シェエラザード」の方はクラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])で紹介されていました。「うぐいすの歌」は1956年,「シェエラザード」は1960年の録音で,衝撃的だった「ツァラトゥストラ」「英雄の生涯」の1954年録音よりも後年の録音ですので,当然こちらの方が良いであろうと思ったのですが,う~ん,なぜでしょう? この録音からはあの衝撃を受けることはありませんでした。どちらかといえば1956年の「うぐいすの歌」の方が良く,「シェエラザード」の方は逆に鮮明さが著しく落ちているように感じました(おそらく残響の影響でしょう)。録音の退化はすぐに始まっていたのかもしれません... なんでこうなってしまったのでしょう?

と以上のように書きましたが,実はどちらもそんなに悪くないんですけどね。あのツァラトゥストラとどうしても比べてしまうので,厳しい聴き方になってしまうのです。
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キス・アンド・フライ KISS AND FLY
玲里 Rayli
XQKH-1001 (P)2011 読売テレビエンタープライズ (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: オフィシャルWebサイトTwitterHMV OnlineAmazon.co.jp
少し前にオーディオ誌に優秀録音として,また,歌唱力のある本格派のシンガーソングライターのデビューとして取り上げられていました。ジャケット写真と目が合って「聴いてくれ...」と訴えかけられているようで...いわゆるジャケ買いというやつですね。

守備範囲外の音楽なので,音楽自体へのコメントは避けておきます(^^;。確かに歌は上手いですねぇ。これからの成長,活躍を期待したいと思います。

録音ですが,曲によって差がありますが,ほとんど無加工のストレートなロック調のバンドのサウンドが良いです。商業主義的ではない,作り物のにおいのしない,演出臭くない,こういうサウンドに久しぶりに出会った気がします。なんだかとても懐かしくなりました。こういう気持ちの良いサウンド,これからも大切にして欲しいですね。
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ベートーヴェン:交響曲全集
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校クラナートセンター 1972年(No.9),イリノイ州メディナ・テンプル 1973,74年(No.1-5,8),ウィーン ソフィエンザール 1974年(No.6,7)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
ショルティ1回目の全集。クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])でも紹介されています。ショルティ/シカゴ交響楽団の硬派そのものの演奏。田園など,一体どこの田園なんだ!?というくらい徹底しています(^^;。ただし推進力のある爆演ではなく,むしろ全ての音をきっちりと弾かせていて実直で頑固な演奏と言った方が合っているかもしれません。

録音ですが,3つの会場を使っていますが,統一感があります。一番状態が良いのが第9番で,響きを抑えて明瞭感と質感を確保し,締まりのある中低域が気持ちよく響くまずまずの録音です。ですが,全体に高域の伸びがなくヌケが今ひとつ,すっきりしないところが残ります。惜しいです。
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紙飛行機 paper airplane
アリソン・クラウス&ユニオン・ステーション
0011661066526 (P)(C)2011 Rounder Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online国内盤),Amazon.co.jp国内盤
アリソン・クラウスはこれまでにグラミー賞を27回受賞し「ブルーグラス界の至宝」と呼ばれる存在にまでなったとのことですが,日本ではあまり馴染みのない音楽ジャンルのためかそれほど知名度が高くないように思います(Wikipediaにも日本語のページがない...)。

それで,この最新アルバムなのですが...ある雑誌に優秀録音として取り上げられていたので久しぶりに聴きたくなったのでした。

で,聴いてみたのですが...“I've Got That Old Feeling”が最高と思っている私としてはちょっと微妙だなぁ...という感じなのです。歌い方がそっとささやくようなスタイルで,さすがに20年経つとすっかり大人の雰囲気となり,若々しくピチピチしたところは影を潜めてしまっています。曲調も渋くちょっと暗めです。当たり前といえば当たり前の変化なのですが。

録音ですが,確かに優秀録音と言える良好な録音ではあるのですが,音作りに演出色が濃く出ており,“I've Got That Old Feeling”の超ストレートな録音に比べるとやはり作り物の臭いがしてしまいます。あの素直なサウンドはどこへ行ったのだろう...

音楽にしろ録音にしろ,ちょっと遠いところへ行ってしまったような気がして淋しくなりました。
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R. シュトラウス:ツァラトゥストラはこう語った 作品30
R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
Recorded March 8, 1954(Op.30),March 6, 1954(Op.40)
RCA/BMG 8287661389 2 (P)(C)2004 BMG Music (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp(CD)
クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])でも紹介されていますが,私もCD試聴記の編集日録2007年12月6日および2009年12月2日のエントリで紹介していました。何度聴いても衝撃を受けます。この50数年,録音の機材はものすごく進歩してきましたが,録音そのものはむしろ退化したんじゃないかとさえ思ってしまいます。この当時の録音の方が,明らかに個々の楽器の音,質感を大切に扱っています。多くが認めるこんなに素晴らしい録音が存在するのになぜ倣わないのでしょうか? 全く理解できません。

なお今回,好録音度を五つ星に改めています。
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エンリコ・オノフリ~バロック・ヴァイオリンの奥義
驚愕のバロック・ヴァイオリン独奏曲集
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Baroque Violin)
2009年6月22日~25日 イタリア,クレマ "Cascina Giardino"
UZCL-1003 (P)(C)2010 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
実に怪しげな邦題ですが,原題は“THE SECRETS OF THE BAROQUE VIOLIN”です。

オノフリ氏はイル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサート・マスターで,「世界最高のバロック・ヴァイオリニスト」と評されると,HMV Onlineに記載がありました。

演奏者の編曲によるバッハの「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」のヴァイオリン独奏版,タルティーニのソナタのヴァイオリン独奏版やテレマン,ビーバー等のヴァイオリン独奏曲を集めた意欲的な選曲です(曲目はHMV Onlineを参照ください)。

このディスク,一時期,いろいろなオーディオ誌にも優秀録音盤として取り上げられていました。これは聴いてみる必要がある,と思って入手しましたが,確かに「優秀録音」なのかもしれませんが,残念ながら「好録音」には程遠いものでした。

とにかく残響過多。間接音成分が支配的でヴァイオリンの生の音色,質感がほとんど感じられません。残響成分によって録音会場の雰囲気,空間性は感じられるのかもしれませんが,音色は変に色づけされ妙にキンキンしていますし,バロックヴァイオリン独特の質感も失われています。せっかくの素晴らしい音楽が台無しです。オーディオ的には音もなめらかですしきめも細かくそのクオリティが高いのは認めますが,肝心の中身がこれでは...

このディスクが優秀録音として取り上げられる悲しい現実...
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第十四番 嬰ハ短調 作品131
シューベルト:弦楽四重奏曲第十四番 ニ短調 D.810 「死と乙女」
ジュリアード四重奏団(Juilliard String Quartet)
1960年3月28日 & 4月1,4日 RCAスタジオ B,ニューヨーク市(Beethoven)
1959年2月5,6日 & 5月27日 アカデミー・オブ・アーツ & レターズ,ニューヨーク市(Schubert)
SBT 1373 (P)(C)2005 TESTAMENT (輸入盤)
好録音度:★★★★★(ベートーヴェン),★★★★(シューベルト)
参考url: HMV OnlineiconTower RecordsAmazon.co.jp(←これだと思いますが違ったらごめんなさい)

クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])のNo.66に,ジュリアード弦楽四重奏団演奏のシューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」が載っています。本で紹介されているのはRCAのLPレコードですが,このTESTAMENTの復刻CDと録音日が同じなので(実は微妙に違うのだが...),録音自体は同じものと思われます。ただし,LPレコードとCDの差,復刻による差など,著者と聴いている音質はかなり違うかもしれません。氏はこの録音をライナー/シカゴ交響楽団の一連の録音で有名なルイス・レイトンが手がけた貴重な室内楽録音で,「室内楽録音の頂点を極める美しさ」としています。

私はこのCDについて過去2回取り上げています(好録音探求CD試聴記の編集日録2005年10月5日)。その中ではいずれもベートーヴェンだけを取り上げ,シューベルトは取り上げていませんでした。ベートーヴェンの録音があまりにも私にとって衝撃的だったので,それに比べてあまりにも真っ当で少々音のヌケが悪かったシューベルトの録音が霞んでしまったと言えます。

今改めて冷静にこのシューベルトを聴いてみると,残響を抑えて楽器の音をしっかりと収めているということに気がつきました。このTESTAMENTの復刻では単純に高域が足らず曇って聴こえるために損をしているだけで,帯域の伸びとバランスの良さがあればかなりの好録音と言えたかもしれません。ただ,ベートーヴェンの録音に比べると,あまりにも完成度が高すぎるのか商品として演出されていて現実感が希薄なのです。

今またこのCDを聴いて,(シューベルトではなく)このベートーヴェンはやっぱり最高の好録音だと改めて感動している次第です。何度も申し上げますが,オーディオクオリティはその時代相応ですので,この点は期待してはいけません。この録音は,好録音というものがそういったクオリティを超えて別の次元で決まるものだということを示す最高の事例だと思うのです。(とはいえ,クオリティはやっぱりある一定水準をクリアしていることが条件になりますが)

現代のオーディオクオリティでこのような好録音が現れることを切に願っています。ぜひ聴いてみたい!

このエントリーを書きながら,室内楽,器楽曲の録音に関して,過去に書いた「私は自宅のリスニングルームでコンサートホールの音響を再現したいとは全く思いません。」という一文を思い出しました(CD試聴記 編集日録 2005年10月5日10月7日もぜひご参照ください)。この思いは今でも変わりません。これはオーディオ再生のことを言っているのではなく,録音はコンサートホールや教会で行うものだという既成概念から脱却しませんか,ということを言っています。このベートーヴェンを聴いていただければ,少しはその思いがわかっていただけるのではないかという気がしています。

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