好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
私にとって理想的な録音を多く提供してくれるNPR Music Tiny Desk Concertでバリー・ダグラスの演奏がアップされていたので紹介します。演奏曲目は下記の通りです。

"The Coolin (arr. Douglas)"
"Planxty Dillon (arr. Douglas)'"
"The Raggle Taggle Gypsy (arr. Douglas)"
"My Lagan Love (arr. Douglas)"



アップライトピアノの音を極めて明瞭に,クリアに聴かせてくれます。ちょっとマイクポイントが近いかなとも思いますが,それでも私にとってはかなり理想的なピアノ録音です。
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
Henry Wood Hall, London, on 28 August - 1 September 1999
CDA67305 (P)2000 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
2015年12月14日~17日 キリスト教会(オーバシェーネヴァイデ,ベルリン)
CDA68146 (P)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アンジェラ・ヒューイットのゴルトベルク変奏曲の1999年の録音は名盤としての地位を獲得していると思いますが,それから16年,同じハイペリオン・レーベルでの再録音盤が発売されました。

彼女の演奏は,全体として控え目で落ち着いた上品さが美点だと思っています。そしてピアノという楽器の特徴を活かした細やかで豊かな表情。各声部がそれぞれ別の表情を持ちながら絡み合っていくところが素晴らしく思いました。旧録音と新録音は,演奏の基本的な解釈や表現のスタイルは大きく変わっていないと思います。ちょっと聴くと,あれっ?すごく似ているなと。しかし,まるで個々の指が個別の意志を持っているかのごとく,一つ一つの音の弾き分けがより細やかにコントロールされ,より深みのある音楽へと進化しているように感じられました。16年の積み重ねがこういったところに顕れているのでしょう。

さて録音ですが,旧録音の方は残響の被りですこしモヤッとした不明瞭さが気になるものの,それでも比較的すっきりとした音響でまとめられていると思います。対して新録音の方は,ピアノの音をより豊潤に,濃い音で捉えています。残響も多めに入っているために音色が少しぼってりとしつこい感じがします。いずれも一長一短であり,もっとすっきりとクリアに透明感のあるヌケの良い音色で録って欲しいものです。せっかくの素晴らしい演奏が,この録音では最大限には活きてこないと思います。惜しいです。

最後にリピートですが,新録音も旧録音も最後のAria da capo以外は実行されていて,この点でも全く問題ありません。新録音は収録時間が82分を越えていますね。最近は82分越えも当たり前になってきたように思います。私の環境では再生に全く問題はありませんでした。

演奏時間 約79分(1999年録音) 82分14秒(2015年録音)
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
ルドルフ・ブッフビンダー Rudolf Buchbinder (Piano)
2010年9月19日~2011年3月27日 ドレスデン,ゼンパーオパー
88697875102 (P)(C)2011 Sony Music Entertainment Austria (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はピアノ曲は特定の曲を除いてほとんど聴いてきませんでした。ベートーヴェンのピアノ・ソナタもほとんど聴いてこなかった曲に入ります。特に理由はないのですが,ここらでちょっと聴いてみようかと思い(^^;,Apple Musicで新しめの録音で,演奏も録音も良さそうな全集を物色して選んだのがこの全集です。最近のApple Musicは曲名で検索しても対象が全ては出てこず,限られた中での選択でしたので,特に録音に関して満足が得られるものを選べたかというと必ずしもそうではないのが少々残念なところではあるのですが。まあ価格も安い部類に入るので良しとしました。

この全集は,およそ半年にわたって7回に分けて行われた全曲演奏会のライヴ録音とのことです。まだ全てを聴けてはいないのですが,テクニックのキレが素晴らしく,また比較的速いテンポで甘さを廃した淀みのない音楽が私の好みには合いそうでした。

そして肝心の録音なのですが,少し癖のあるホールの響きが付帯音としてまとわりつき音色に影響を与えてはいるものの,その影響は少なめで,芯のあるピアノの音色が良く伝わってきます。正直言うともう少し近めでクリアで透明感ある音で録って欲しかったところですが,まあストレスなく聴けるので許容範囲に入るかなとは思います。少し甘い評価ですが四つ星半です。7回に渡る演奏会のライヴということですが,統一感は確保されています。

探せばもっと気に入るものはあるだろうとは思いつつ,まずは曲をよく知るところからということで,この全集をしっかりと聴いてみようと思います。
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」,第14番「月光」,第23番「熱情」
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1966年(第8番),1967年(第14番,第23番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10199 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:間奏曲集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1959年, 1960年 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10204 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ワーグナー:グレン・グールド編によるピアノ・トランスクリプションズ
ワーグナー:ジークフリート牧歌(オリジナル編成による演奏)(*)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
グレン・グールド指揮/トロント交響楽団員(*)
1973年 トロント・イートン・オーディトリアム,1982年 トロント,セントローレンス・ホール(*)
SICC 10205 (P)1990 (C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先日紹介したモーツアルト:ピアノ・ソナタ全集バッハ録音と同じシリーズです。バッハは2012年の発売でしたが,こちらはモーツァルトと同じ2014年の発売でした。

ブラームスが1959年から1960年,ベートーヴェンが1966年から1967年,ワーグナー編曲が1973年の録音と,上記3枚の録音時期は離れていますが,今までの紹介でも触れてきたように,録音のポリシーは一貫しており,全てスタジオでの録音,残響は全くなくピアノの音色を極めて明瞭に捉えた私にとって最高のピアノ録音です。さすがにブラームスはクオリティ面で若干落ちますが,ほとんど気になりませんし,ワーグナー編曲の録音はもう全くクオリティ面で問題ありません。

グールドは一部のバッハ録音以外はあまり聴いてこなかったので,じっくりと楽しませてもらおうと思います。
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テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア
ファビオ・ビオンディ Fabio Biondi (Violin)
2015年6月18-20日 サンテウヴァミーア教会(ニゴリネ・ディ・コルテ・フランカ,イタリア)
Glossa GCD 923406 (P)(C)2016 note 1 music gmbh (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 かなり自由に装飾や編曲を入れた演奏です。 大胆に変化に富んだ表現を即興的に次々に繰り出してくるところが聴きものです。 技術的にも大変上手く,音色も綺麗だと思います。 ただし,録音の影響でそれが満足に楽しめないのが残念なところです。

録音ですが,残響が多く残響時間も長く,楽器音への被りがかなりあって音色は大きく影響を受け, 明瞭感に乏しく,細部も聴き取りにくく,ヌケも良くありません。 ただ,オーディオ的なクオリティは良く,音は滑らかであり, 残響が許せる方であれば優秀録音なのかもしれません。 ただやはりこれは好録音ではありません。
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1964年3月18,19日 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10168 (P)1964 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:平均律クラヴィーア曲集(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
[第1巻]1962, 63, 65年,[第2巻]1966, 67, 69年 ニューヨーク,30丁目スタジオ/1971年 トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10162-5 (P)1972 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:パルティータ(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1957年(第5番,第6番),1959年(第1番,第2番),1962年(第3番),1962, 63年(第4番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10166-7 (P)1969 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:イギリス組曲(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第2番),1973年(第1番),1974年(第3番),1974, 76年(第4番,第5番),1975,76年(第6番) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10169-70 (P)1977 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:フランス組曲(全曲),フランス風序曲
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第6番),1972年(第1番,第2番),1972, 73年(第3番),1973年(第4番),1971, 73年(第5番,フランス風序曲) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10171-2 (P)1982 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先に紹介したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集と同じ企画盤です。これが発売された2012年は,グレン・グールド生誕80年,没後30年ということでの日本独自の企画盤とのことです。SACDであることに加え,音匠仕様レーベル・コートが採用されています。

これらのバッハの録音は,1957年から1976年という長期にわたって録音をされています。録音機材の進歩に従って音質は徐々に向上しているのはもちろんですが,録音のポリシーは当初からほぼ一貫しているので,聴いた印象がぶれません。1960年代前半までの録音は,さすがに古くて歪み感が気になるものもありますが,1960年代後半以降の録音はクオリティ面でもほぼ不満がありません。

何度も申し上げているとおり,グールドの録音はスタジオで全く残響のない環境でピアノの音色をストレートに克明に質感高く録った超好録音と言えるものです。これらの一貫した録音はグールドが録音に拘り直接コントロールしていたからこそ実現したんですよね。素晴らしい演奏が最高の状態で残されたことに本当に感謝したいと思います。

なぜこのような録り方をする人が出てこないのかほんと不思議でなりません。
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グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造
- ZENPH RE-PERFORMANCE

September 25-26, 2006 at Glenn Gould Studio, Tronto, Ontario, Canada
SICC 10043 (P)(C)2007 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

グレン・グールドの有名なデビュー盤,1955年のバッハ:ゴルトベルク変奏曲の演奏を自動演奏で再現したもの。ちょっと古いディスクですが,久しぶりにグールドのディスクを引っ張り出してきた中にあったので,この機会に取り上げたいと思います。

「ゼンフによる“再演”とは?」ということで,次のように説明が書かれています。

グレン・グールド・スタジオに腰を下ろし,グールドが1955年に録音した「ゴールドベルク変奏曲」の名演を目の前で聴いている自分を想像してみよう。ゼンフの“再演(Re-Performance)”による本作は,そのような状態をサラウンド・サウンド,ステレオ,またはヘッドホンで体験できるよう工夫を特別に凝らした新録音である。

ゼンフZENPHは録音時の音を精緻に再現することにより,録音物を生演奏へと還元する。ソフトウェア・ベースのこのプロセスは,一つ一つの音符に関し,音量,アーティキュレーション,ペダルの動きなど,演奏時の詳細を抽出し記号化する。その記号化された音を高性能のコンピューターやハードウェアを搭載したアコースティックなグランド・ピアノで再生すると,もとの録音が行われた部屋で聴いているかのような音を体験することができる。この“再演”は最新鋭の録音技術により,当時の様子を改めて録音したものである。その結果,20世紀を象徴する録音を音響的に再発見することができるのだ。

使用されたピアノは,ヤマハのDisklavier Proというグランド・ピアノで,家庭用Disklavierの10倍の精度で再生することが出来るとのことです。ソフトの開発は米の音楽系テクノロジー企業,ゼンフ・スタジオで,ピアノ演奏の録音を解析することによって得られる音楽的属性(音程,音符の長さ,打鍵や離鍵の速度など)を周りの雑音と分離し,その属性をデジタル処理でエンコーディングしたということです。

そしてこのディスクはSACDハイブリッドで,SACD層にはステレオと5.1chマルチ,CD層にはステレオとバイノーラル録音が連続して収録されています。録音にも拘りがみられますね。

それで演奏なのですが,これ本当に自動演奏?というほどオリジナルの演奏をよくトレースしていると思います。何も知らせられずに聴いたら自動演奏とは思わないのではないでしょうか。しかし,グールド自身が残した録音と比較して聴いてみると,やっぱりどこか生気に乏しいというか生き生きとしていないというか,自動演奏の限界も感じてしまいます。多分に先入観もあるとは思いますが,人間特有のゆらぎが表現しきれていないのではないかという気がします。また,やっぱり機械であらかじめ決められたタッチでしか再現できないというのもあるのかもしれません。試みは面白いと思いますし,今後の技術の進化とプログラマの創造力で,“再演”ではなく,グールドを超える架空のピアニストをデビューさせたりといったことが可能になるかもしれないですしね。

さて肝心の録音なのですが,スタジオで録音されているにもかかわらず,なぜか音の濁り・曇りがひどくて全く冴えない音色なのです。スタジオでどうやったらこんな録音になるのか不思議です。グールドが残した数々の録音の方がよっぽど鮮明で音に輝きがあります。グールドが聴いたらきっと許さないに違いない,と思ってしまいます。この企画は録音でこれを提供するというなら録音が命のはずなのに。残念でなりません。
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モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1965-1974年 ニューヨーク,30丁目スタジオおよびトロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10200-3 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

いまさら感が強いのですが...(^^;,グールドは演奏も録音も基本的には好きなので,聴きたい曲については出来るだけ良い状態のものを手に入れておきたいということで,日本独自企画のSACD(Hybrid)をいくつか入手していました。レビューし損ねていたので,この機会に触れておきたいと思います。

解説書によると,グールドは最初期の録音(つまり有名なゴルトベルク変奏曲1955年)から録音に深く関わり,常に最新の録音技術(テクノロジー)を取り入れながら一貫性のある録音をしてきたようです。実際に,1957年あたりの録音からすでに録音のポリシーが確立しており,録音機材の進歩によってクオリティは徐々に向上しているものの,録り方は一貫していて年代による変化はほとんど見られません。グールドの数々の素敵な録音は,グールド自身が築き上げてきたものだったのですね。

このモーツァルトの全集録音は,1965年から1974年という時間をかけて完結されたものですが,1965年にはすでに一定水準以上のクオリティでの録音が可能となっていたためか,全体を聴き通しても録音のクオリティで気になるところはほとんどありません。

全てスタジオでの録音であり,残響は全くなく,音色も極めてクリアで自然であり,帯域感も必要十分,ピアノの粒立ちが素晴らしく,鑑賞を邪魔する要素が全くない,私にとっては完璧なピアノ録音です。

こんな素晴らしいピアノ録音なのに,追随してこのような録り方する人が全くゼロというのは残念でなりません。
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ショパン:12の練習曲作品10・作品25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
UCCG-51087 (P)1972 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

言わずとしれた名盤中の名盤。すでにこのブログでも取り上げていました(→こちら)。このディスクが私にとって特別な存在であることは繰り返し述べてきた通りです。今所有しているディスクがだいぶ古く,少し前から最新のマスタリングのものに買い換えたいと思っていたのですが,買いそびれていました。

たまたま昨日立ち寄ったタワーレコードで,発売日当日のこのディスクを見つけ,これは何かの縁と思って購入しました。DSDマスターということなので,私が持っているものより新しいマスタリングであることは間違いありません。

よく見てみると,SHM-CDというのはまあいいとして,HR(High Resolution)カッティングという聞き慣れない原盤の作り方?をしているようで,DSDマスターから一旦176.4kHz/24bitのマスターを作り,そこからダイレクトに?原盤を作っているようです。どういうことかさっぱり理解できませんが(^^;。

肝心の音質ですが,旧ディスクに比べると,わずかに鮮明さが増し,うっすらとかかっていたベールが取り払われたような音質の向上が感じられました。とはいってもそれはわずかであり,もっと劇的な改善を期待していたのですが,そこまでではなかったです。過剰に期待しすぎました(^^;。とはいえ,音質改善はあったので買い換えて良かったと思います。

なお,前回レビューでは好録音度は三つ星半としていましたが,少し辛すぎたと思い,今回四つ星にしています。やや音質が硬く癖のある音質なのですが,邪魔になる残響等はわずかであり,それほど悪くはないなと再評価しました。

ちなみに,これはユニバーサルミュージックのドイツ・グラモフォン ベスト100 Premiunの中の一枚で,クライバーのベートーヴェン第5番・第7番ムラヴィンスキーのチャイコフスキー第5番フリッチャイのチャイコフスキー第6番なども聴いてみようと今手配しているところです。名盤揃いなので,もっと手を出してしまいそうです(^^;。入手したらまたレポートしたいと思います。
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
マハン・エスファハニ Mahan Esfahani (Cembalo)
録音 2016年4月, 5月
479 5929 (P)(C)2016 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

エスファハニ氏は1984年生まれということですので,現在32歳,まだまだ若いチェンバロ奏者ですね。この演奏,装飾やリズムの崩し方に色々と斬新な仕掛けがありなかなか面白いと思います。演奏者の様々な創意工夫とチャレンジ精神を楽しめる演奏です。繰り返し聴きたくなる演奏かどうかはちょっと微妙かと思いますが...

そして録音ですが,わずかに録音会場の響きが気になるものの,楽器そのものの豊潤な響きを濃厚に質感豊かに捉えたHi-Fi調の好録音ですね。ちょっと濃すぎてもう少しすっきりと録って欲しいと思うところもありますが,これはこれで良いと思います。

最後にリピートですが,全て実行されていました。完璧です。

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
alexis_weissenberg_bach_goldberg_variations_1981.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
アレクシス・ワイセンベルク Alexis Weissenberg (Piano)
1981年6月1-4日 パリ,サル・ワグラム
6387222 (P)1982 EMI Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecoredsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Barで紹介されていたディスク。全くノーマークでした。強靱なタッチ,正確無比で抜群のキレを誇るテクニック,そしてこの自由奔放さ! 颯爽としたテンポで駆け抜けていく爽快さ! これは強烈な演奏者の個性を楽しむディスクだと思います。グールドの2回目と同じ年に録音されたという同氏2回目の録音,面白いですね! バッハらしくないかもしれませんが,これはアリでしょう。今の時代,このような演奏はなかなか聴けないんじゃないでしょうか。

そして録音ですが,残響感はそれほどなく,楽器音を中心に明瞭に捉えているのはすごく良いのですが... 音色に少し癖がのり,そして硬いです。このあたりはさすがEMI録音,というところでしょうか。基本的に悪くないと思うのですが,この硬質な音色ちょっと残念なところです。

最後にリピートについてですが,完璧にすべて行っていますね。文句なしです。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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ショパン:練習曲全集
小菅 優 Yu Kosuge (Piano)
August 1999 at Stadthalle Braunschweig
SICC 754 (P)1999 (C)2007 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

小菅さん16歳の時の録音で,「小菅優の才能を認めた指揮者が自身のレーベルramに録音させたもの」であり,「ヨーロッパの権威ある最大の音楽専門誌フォノフォルムで5つ星をもらった記念碑的アルバム」とのことです。2007年にSony Musicから発売されました。作品10,作品25に加え,“3つの新しい練習曲”を含む練習曲全集です。

ショパンの練習曲集というと,私がクラシック音楽の世界に足を踏み入れるきっかけとなったポリーニの名盤で耳が出来上がってしまっていて,他の演奏者の演奏がなかなか受け付けられないのですが,この小菅さんの演奏は,そんな私にもすんなりと聴くことの出来る演奏でした。裏を返すと,あくまで個人的な印象ですが,ポリーニの演奏にかなり近いと思います。細部までコントロールが行き届き,まったく淀みなく,力強く突き進んでいく音楽が爽快です。16歳にしてこの完成度の高さ,素晴らしいです。今の小菅さんならもっと違う表現をされるのではないかと思いますが,16歳の小菅さんの無垢でストレートな演奏が残されたことをうれしく思います。

さて録音ですが,演出感の少ない素直な録音なので基本的には印象は悪くないのですが,わずかな残響というか響きによって音色がモワッと曇ってスカッとしておらず(こんな言い方ですみません(^^;),質感やニュアンスが感じ取りにくくなっているのは残念です。ピアノの録音としては標準的で悪くないとは思いますが,惜しいと思います。
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ハイドン:ピアノ・ソナタ集
エイナフ・ヤルデン Einav Yarden (Piano)
2015年12月3-5日 オランダ,スキーダム,ウエストフェスト教会
CC72742 (P)2016 Challenge Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているハイドン音盤倉庫で紹介されていたディスク(有り難うございます!)。録音が良いとのコメントに釣られて聴いてみました。演奏についてはハイドン音盤倉庫をご参考にしていただければと思います。収録曲は下記の通りです。

ピアノ・ソナタ第44番 ヘ長調 Hob.XVI:29
ピアノ・ソナタ第39番 ニ長調 Hob.XVI:24
ピアノ・ソナタ第40番 変ホ長調 Hob.XVI:25
ピアノ・ソナタ第41番 イ長調 Hob.XVI:26
ピアノ・ソナタ第46番 ホ長調 Hob.XVI:31
ピアノ・ソナタ第47番 ロ短調 Hob.XVI:32

ということで,今回は録音についてのコメントです。ピアノの楽器自体の響きを適切な距離感で明瞭に捉えた好録音です。残響感はほとんどなく,録音会場の響きが少しのっていて音色にわずかな色を付けていますが,気になるほどではありません。個人的にはもう一歩寄って録音会場の響きの比率を抑え,明瞭感と質感をもう少し強くして欲しかったとは思いますが。一般的にはこれくらいが受け入れられやすいのではないかと思います。

ということで,ピアノの美しい響きを楽しませてもらおうと思います。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第3番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第5番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
III 2015, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553346 (P)(C)2016 Deutschlandradio/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 抑制の効いた演奏ながら,緩急強弱を巧みに活かした表情豊かな演奏です。 透明感の高い音色の美しさ,和音の溶け合った響きの美しさ,隅々まで神経の行き届いた完成度の高さは本当に素晴らしいです。 これぞモダン楽器の表現力をフルに活用した,現代的に洗練された演奏と言えるのではないかと思います。 全集の完成が楽しみです。

録音ですが,わずかに残響を伴いながらも楽器音を邪魔するほどではなく, 明瞭さ,音色の自然さ,透明感などどれをとっても満足できるレベルで仕上げられています。 もう少し質感を強調しても良いかとは思いますが,これでも十分良いと思います。 第1弾の録音よりもずっと良いと思います。

本ディスクは,バッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作の第2弾。 以下に,2014年12月23日の第1弾のレビューを併記しておきます。

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番,第2番
アンティエ・ヴァイトハース Antje Weithaas (Violin)
X 2012, Köln, Deutschlandfunk Kammermusiksaal
Avi Music 8553320 (P)(C)2014 Deutschlandradio/Avi-Service for music (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

音楽の流れが極めてスムーズで,和音の響きも大変美しく,フレージングもきめ細やかにコントロールされています。 卓越した技術と表現力で完成度の高い音楽に仕上げています。 主張の強い演奏ではありませんが,誇張のない自然さが魅力の素晴らしい演奏だと思います。

録音ですが,残響はやや多めで,音色を損なっていて,音楽性にあまり寄与していません。 それでも高域の伸び感はあり,まあ何とか我慢の範囲内ではあるのですが, 中低域の充実感がなく,実在感が希薄で質感に乏しいこぢんまりとした録音になってしまっています。 悪くはないものの,美しい音色を活かす透明感のある録音でないのが本当に残念でなりません。

ヴァイトハース氏は,アルカント四重奏団の第1ヴァイオリン奏者。 バッハとイザイの無伴奏曲を収める三部作の第1弾とのこと。 完結が楽しみです。

(記2014/12/23)
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番,パルティータ第2番,第3番
エドゥアルド・メルクス Eduard Melkus (Violin)
Karlskirche, Vienna, August 1975
(C)2015 Particleboard Productions (輸入盤)
好録音度:★★☆
参考: MARAIS MUSIC STUDIO

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 1975年のライヴ録音。 あと,ソナタ第3番から第3楽章 Largoも収録されています。

ライヴらしい勢いのある演奏であり,その勢いに身を委ねているというか, 赴くままに即興的に表現を展開していっているような演奏です。 一方で,細部にこだわらない粗削りな演奏なので,つきつめたような完成度はありません。 これもライヴならではの1回限りの演奏を楽しむ,というところでしょう。 シャコンヌの演奏時間が10:26というところからもその勢いが想像できると思います。

録音ですが,残響が多い上に,まるでラジカセで録ったような音であり, 環境ノイズもかなり多く,全く録音状態は良くありません。 中低域が薄く帯域バランスも大きく崩れています。 高域がまずまず出ているので曇りは少なく,この点だけは救いと言えますが, 商用の音源としては全くもって不足と言わざるを得ません。 同氏の貴重な演奏の記録として捉えるべき録音なのでしょうね。

あと,カップリングとして,フーガの技法からCONTRAPUNCTIS XIV (Completion - Eduard Melkus)も収録されています。 このディスクはMARAIS MUSIC STUDIOというサイトで販売されているのを見つけました。 ほとんど自主制作のような感じです。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,他
“BACH to TANGO”より
キャロライン・アドメイト Caroline Adomeit (Violin)
録音不明
(P)2011 Caroline Adomeit (輸入盤) *Apple Musicより
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp(MP3)Apple Music
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他
“BACH to JAZZ”より
キャロライン・アドメイト Caroline Adomeit (Violin)
October 2 & 3, 2011, at Großer Konzertsaal, Hochschule für Musik und Theater, München
(P)2011 (C)2012 OehmsClassics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。“BACH to TANGO”,“BACH to JAZZ”と題されたアルバムからで,バッハはそれぞれ1曲ずつ収録されています。バッハのみコメントします。他の曲については上記の参考に挙げたURLをご参照ください。

モダン楽器による演奏。 淀みのない軽快なテンポで進行する気持ちのよい演奏。 技術的にもキレがあり安定しています。 表現自体は高いレベルでバランスが取れており,ノーマルで癖がなく聴きやすいのですが, ごく標準的な感じなので少し印象には残りにくいかなと思います。

録音ですが,少し残響が多めですが,直接音もしっかりと捉えられているので明瞭感はあり,印象は悪くありません。 もう少し残響を抑えて透明感のある音で録ってくれていれば良かったのですが,これでも十分許容範囲でしょう。 屋外の車の往来のノイズが少し気になります。 鑑賞の邪魔になるほどではありませんが,外来ノイズにはもう少し気を遣って欲しいところです。

公式Webサイトがあります。キャロライン・アドメイトはドイツ系の英国人で,ハンブルクとミュンヘンに留学,オランダでは名手ヘルマン・クレバースから教えを受けたとのことです。

それにしても...何だろう...この健康的お色気は...アメリカ人かと思ってしまいました(失礼 (^^;)。
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チョン・キョンファ(鄭京和)のバッハ無伴奏ヴァイオリン,待望の全曲盤リリース?! Amazon.co.jpによると9月2日の発売。レーベルはワーナーミュージックジャパン。これは楽しみです!

Tower Recordsにも情報が載っていました。2016年4月にワーナーとの録音契約を締結,第1弾としてバッハ無伴奏ヴァイオリンの全曲をリリース,録音はブリストルのセント・ジョージ教会,とのことです。

HMV Onlineiconのカタログにも載りました。2015年のセッション録音とあります。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番よりラルゴ
伊藤亜美 Ami Ito (Violin)
2015年10月26-27日 聖ヨハネ ネポムク教会(ウィーン)
TCR2016A (C)2016 TC Records (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。コメントはパルティータ第2番に対してのものです。

モダン楽器による演奏。 端正で大変美しい。 自然体であり,伸び伸びとした表現が気持ちの良い好演奏です。 技術的にも上手く,隅々まで気配りが行き届き,高いレベルで仕上げているのはさすが日本人演奏家と言いたいです。 今後のご活躍にも期待します。 是非全曲録音を。

さて録音ですが,教会で録音されているということもあり,ものすごく残響時間が長いです。 ここまで残響時間が長いのも滅多にないと思います。 しかし,直接音が比較的きちんと捉えられているので, これだけの残響がありながら残響の被りによる音色への影響は少なめで,私の感覚でもぎりぎり許容範囲です。

しかしながら,やはり楽器音へのまとわりつきが鬱陶しく,本来の音色の伸びやかさが阻害されていると思いますし, あまりに残響時間が長いため,過去の響きが混じり合って混沌とし,これは音楽的にどうなんだ?という気もします。 実際にその会場で聴くには良いにしても,録音にした場合には「過ぎたるは及ばざるがごとし」ではないかと。 確かに雰囲気はありますし,残響の取り入れ方としては良くできている方だと思いますが, 私は楽器から放出される音をもっとストレートに聴きたい!と強く思います。

アルバムのタイトルは「A」(バッハ バルトーク ヴァイオリン無伴奏作品集)。 併録曲として,バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタSz.117と, バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番から第3楽章ラルゴが収録されています。

なお,このラルゴだけは東京の紀尾井町スタジオで録音されたものですが,教会で録音されたようなものすごい残響が付加されています。 他の収録曲と印象を揃えるために人工的に残響を付加したものと想像します(違ったらごめんなさい)。 実際,ちょっと聴いた印象ではかなり似た音響になっています。 しかし,この響きは教会の響きとは全く異なり,ものすごく演出色が強く,また中高域の成分が不自然に多めで極めて不快です。 この演出はこのアルバムの品位,価値を著しく貶めています。 こういうのは本当にやめていただきたい。

伊藤亜美さんの公式Webサイトがあります。 昨年ご結婚され,2016年よりアーティスト名を「尾池亜美」から「伊藤亜美」に変更して活動されているとのことです。

なお本ディスクは,いつも参考にさせていただいているクラシック音楽CDの雑談で知りました。いつもいつも有り難うございます!
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
マーク・キャプラン Mark Kaplan (Violin)
The American Academy of Arts and Letters, December 10-12 and 16-18, 2011
BRIDGE 9460A/B (P)(C)2016 Bridge Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

キャプラン氏のほぼ10年ぶりとなる2回目の全集録音。 演奏の基本的な解釈は1回目からあまり変わっていないように思います。 そして,技術力の高さ,キレの良さはそのままに,細やかな緩急強弱によって, 柔らかくそして深みのある陰影に富んだ音楽に進化しています。 1回目のストレートな演奏も大変魅力的でしたが, この演奏も大変素晴らしいです。

録音ですが,わずかに残響感があるものの,楽器音をしっかりと捉えているので印象は悪くありません。 ただ少し高域の伸びが不足してモゴモゴしているのが惜しいです。 1回目の録音と今回の録音の中間くらいの録音が良かったのですが。

キャプラン氏は2005年からインディアナ大学ジェイコブズ音楽院の教授とのことです。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
マーク・キャプラン Mark Kaplan (Violin)
Recorded at Concordia College: 1/1991, 6/1991, 1/1992
MMM 14630-2 (C)1995 Mitch Miller Music (輸入盤)
好録音度:★★★★

CD試聴記」からの転載記事です。本ディスクは2004年に一度レビューしており,今回少し改訂しております。

一聴しただけで情感溢れる表現に魅了されてしまいました。 技術力の高さ,抜群の切れ味にも脱帽! 奇を衒わないストレートな表現と相俟って,この曲の造形的美しさをくっきりと浮き彫りにしています。 気持ち良いくらいにシャープなのに,緊張感よりもむしろ暖かさを感じる, そんな豊かな表現力が本当に素晴らしい。 細身で透明感ある音色もとても美しいです。 感動しました!

録音ですが,残響感はあるものの,直接音が主であり,残響の被りの影響は少ないです。 明瞭感,解像感が高く,演奏の細部までしっかりと聴こえてきて好印象です。 帯域バランスが高域に偏っていて音色のバランスがやや崩れているのは惜しいところですが, 残響による音色への影響は最小限で,全体として良いとは言えませんが,これならまあ納得できます。

キャプラン氏は2004年のレビュー当時はUCLAの教授とのことでした。レビュー当時にはすでに廃盤で入手が困難で,残念ながら今も入手しづらい状況に変わりはないようです。
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無伴奏リコーダーによる6つの編曲集 Six Transcriptions
フランシス・コルプロン Francis Colpron (Recorder)
2013年4月 ケベック,ミラベル,サン・トギュスタン教会
ACD22677 (P)2014 ATMA Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考; Tower RecordsAmazonHMV Onlineicone-onkyoApple Music

無伴奏ヴァイオリンのための作品,ほかをリコーダーに編曲したものとのことで,以下の曲を収録しています。

パガニーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのカプリース第24番
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア第8番
マラン・マレ:スペインのフォリアによる変奏曲
バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータBWV.1013
タルティーニ:コレッリの主題による変奏曲Op.5-10
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア第4番

リコーダーというと私はほとんどミカラ・ペトリしか聴いたことがなかったのですが(あと栗コーダー・カルテットくらい(^^;),この人もとても上手いですね。キレのある発音,透明感のある音色,リコーダーという楽器の表現力の幅広さに感心します。私としてはヴァイオリンで聴き慣れたテレマンのファンタジアが特に良かったです。

そして録音なのですが,残響が多く残響時間も長く,楽器音への影響はかなりあるものの,直接音もしっかりと捉えられていて,楽器そのものの透明感ある音色が上手く録られていると思います。私としてはもちろん残響をもっと抑えてクリアに録って欲しいとは思いますが,残響の質も取り入れ方もこれなら悪くないと思いますし,響きの心地よさも幾分あるかなと。残響を取り入れるなら一つの好例ではないかと思います。私の望む録音とは方向が違いますが,五つ星評価です。
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テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア
エルファ・ルーン・クリスティンスドティル Elfa Rún Kristinsdóttir (Violin)
録音不明
品番なし (C)2014 Elfa Rún Kristinsdóttir (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Apple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 透明感のある,伸びのあるトーンと,キレの良い発音でコントラストのはっきりした, 美しくまた溌剌とした音楽に仕上げています。 バロック楽器ながらモダン楽器のようなスマートさを持ち合わせているところが良いと思います。

録音ですが,残響が多く,また,残響時間がながいため,まとわりつきと音色への影響が気になります。 なんとか楽器の音色の透明さは感じられるのと,くすんではいるものの音色の伸びは感じられるので, ぎりぎり許容範囲です。 せっかくの美しい音色をもっとすっきりと透明感をもって録って欲しいとは思いますが。

公式Webサイトがあります。音楽配信のみでディスクでの販売はないようです。今回はApple Musicでの試聴です。CD BabyというサイトではMP3 320kbpsとFLACで販売されているようです。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番
アニコ・コヴァーチュ Anikó Kovács (Violin)
録音不明
品番なし (C)2008 TON 4 RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考; Apple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 無骨で不器用なくらい生真面目な印象を受ける演奏で,少し一本調子な気がします。 決して技術的に下手ではないのですが,ちょっとキレに欠けるかな思うところが散見されます。 カップリングのイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタが意欲的な演奏で, それに比べるとバッハは少しかしこまり過ぎのように思います。

録音ですが,残響感がほとんどなく,演出感もほとんどない生録的な録音で, 目の前で(しかし適切な距離感で)弾いているような生々しい感じがすごく良いです。 細かいニュアンスまで聴き取れる,私の好きな録音です。 ただ,オーディオ的なクオリティが良くなく,特にパルティータ第2番ではブツブツといったノイズが乗ることがあったり, 編集の痕ではないかと思われるような不自然な音のつながりがあったりします。 これはとても残念です。

“Masterpieces for Solo Violin”と題されたアルバムで,イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番,第3番がカップリングされています。 今回はApple Musicでの試聴であり,ディスクの発売があるかどうかは確認できませんでした。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集
エルファ・ルーン・クリスティンスドティル Elfa Rún Kristinsdóttir (Violin)
録音不明
品番なし (C)2016 Elfa Rún Kristinsdóttir (輸入盤) ※自主制作?
好録音度:★★★★
参考; Amazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

バロック楽器による演奏。 すっきりとしたスムーズな表現が良いと思います。 技術的にも上手いですし,細やかで神経が行き届いた整った演奏です。 音色も透明感があり美しいです。 インパクトの強い演奏ではありませんので印象が残りにくいですが, そつなく上手くまとめた佳演だと思います。

録音ですが,やや残響が多めで残響時間も長め,まとわりつきが気になり, 音色も少しくすんでしまっていますが,ヌケが悪いところまでは行かず,ぎりぎり許容範囲というところです。 残響が許せる方なら問題ないと思います。 もちろん私としてはもっと残響を抑えてすっきりと録って欲しかったと思いますが。

公式Webサイトがあります。 今のところ配信のみでディスクでの販売はないようです。 私はAmazonで入手しました。MP3 256kbps(VBR)でした。なお,CD BabyというサイトからはMP3 320kbpsまたはFLACでダウンロード購入できるようです。
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ヴィルトゥオーソ〜ヴァイオリン小品集
レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos (Violin)
エンリコ・パーチェ Enrico Pace (Piano)
2015年5月28-31日 メガロン,アテネ・コンサート・ホール
478 9377 (P)(C)2016 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazonHMV Onlineicone-onkyoApple Music

最近注目しているヴァイオリニスト,レオニダス・カヴァコスが弾くヴィルトゥオーソ・ヴァイオリン小品集。この類の曲はあまり好きではないので普段聴かないのですが,カヴァコスが弾くならと聴いてみました。技術的に上手いのはもちろんですが,こういった小品でも全力投球,そしてセンス良く仕上げていますね。さすがです。これならもう少しじっくりと聴いてみようかという気になります。

そして録音ですが,残響感は少しあるものの,楽器の音をすっきりと捉えた好録音と言えます。少し演出がかっているのでもう少し生々しく,質感豊かに録って欲しかったところですが,ヴァイオリン独奏の録音としては標準的で合格点だと思います。
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ショパン:前奏曲集
ユンディ・リ Yundi Li (Piano)
録音 2015年6月
4811910 (P)2015 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

ピアノ曲は元々あまり聴かないのですが,ショパンの前奏曲集はポリーニのディスクを持っていたものの,曲の掴み所がよくわからず結局あまり聴かないまま今に至っていました。先日のらららクラシックで「雨だれ」を特集していたのを観て聴いてみたくなり,せっかくなので違うのをとApple Musicで物色して選んだのがこのユンディ・リの演奏です。

演奏についてはもう少し聴き込まないと何とも言えないのですが,Apple Musicで聴いた中ではこれが一番録音の印象が良かった,というのが選んだ理由です。正直なところ,私の聴きたいピアノの録音とは少し方向性がだいぶ違います。ピアノ自体の響きに加えて録音会場の響きも結構取り込まれていますし,演出色もかなり強いというのも好みではありません。それでもピアノ自体の音色の魅力がそれなりに保たれていて,それが心地よく感じられるからです。

本当は先日紹介したグルダのディアベリ変奏曲のような録音で聴いてみたいと思うのですけどね... 今の時代,特にメジャーレーベルであのような録音は全く期待できないですから...

さて,これで前奏曲集が好きになれるであろうか...
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ集
ミドリ・ザイラー Midori Seiler (Violin)
Johann-Sebastian-Bach-Saal from September 26-28, 2015
Berlin Classics 0300721BC (P)(C)2016 Edel Germany GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

緩徐楽章はじっくりと,フーガと終楽章は快活に,緩急強弱を駆使して彫りの深い音楽に仕上げています。 これはパルティータ集と同じなのですが, ソナタ第3番だけはフーガも終楽章もリズム感というかビート感が希薄で, なんでこの表現を選択されたのか疑問符が付きます。 ここだけが少し残念なところです。

録音ですが,残響が多めでかつ直接音よりも残響音の方がやや勝っているため, 明瞭感が落ち,音色がくすんでしまっています。 パルティータ集よりも少し悪いように思います。

ミドリ・ザイラーは,ベルリン古楽アカデミーやアニマ・エテルナでソリストやコンサート・ミストレスとして活躍するヴァイオリニスト。 母が日本人,父がドイツ人で,生まれが大阪,ザルツブルグ育ち,とのこと。

パルティータ集から6年を経てのソナタ集の録音で全集となりました。 以下に,パルティータ集のレビュー記事(記2011/06/16)を併記しておきます。

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集
ミドリ・ザイラー Midori Seiler (Violin)
09-12.11.2009, Johann-Sebastian-Bach-Saal im Schloss Kothen
Berlin Classics 0016722BC (P)(C)2011 Edel Germany GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

バロックヴァイオリンでの演奏。 緩急強弱が激しく非常にダイナミックで意欲的です。 しかしそれが自然な呼吸感の中で行われているため,不自然さも嫌みも感じることなくすんなりと受け入れられます。 この人の音楽性の高さ,センスの良さを示していると思います。

録音ですが,残響は多めに取り入れられていますが,直接音主体で明瞭感と音の伸びがあって好印象です。 やや高域がきつめですが,近めで録っているためであって自然さを失うものではなくまったく問題ありません。 もちろん私としてはもっと残響を抑えてすっきりと録って欲しかったとは思いますが,十分良好と言えます。
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ベートーヴェン:ディアベリの主題による33の変奏曲作品120
フリードリヒ・グルダ Friedrich Gulda (Piano)
1970年2月 ドイツ,フィリンゲン,MPSスタジオ
0300723MSW (P)1970 MPS Records (C)2016 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

バッハ:平均律クラヴィーア曲集全曲が素晴らしかったグルダのMPS録音。その第2弾のリリースです。ディアベリ変奏曲は初めて聴く曲なのでコメント出来ないのですが,とにかくこの録音が素晴らしいのです。残響が皆無で鑑賞の妨げとなる余計な付帯音が過剰と思えるくらいそぎ落とされ,ピアノの音が極めてクリアに粒立ちが美しく録られています。クラシックのピアノ録音としてはデッド過ぎるかもしれませんが,私にとってはほぼ理想的と言って良いです。こういう録音でもっといろいろな曲を聴いてみたいものです。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
レイチェル・バートン・パイン Rachel Barton Pine (Violin)
16-18 April, 28-30 May, 29 & 31 August 2015, St. Pauls United church of Christ, Chicago
AV2360 (P)(C)2016 RBP Music, LLC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏。 淡々としていますが,現代的,クールで洗練された美しさを感じます。 曲によっては装飾も積極的かつ大胆に取り入れ,変化に富んでいます。 技術的にも大変上手く,隅々まで神経が行き届いており,ニュアンスの豊かで爽やかな音楽に仕上がっています。 素晴らしい出来です。

録音ですが,背景にふわっと広がる残響が取り入れられていますが, 直接音主体に明瞭感と透明感ある自然な音色で捉えられています。 残響のまとわりつきがわずかに気になるものの,楽器の質感も良く感じられる好録音です。

レイチェル・バートン・パインは米国のヴァイオリニスト。 公式Webサイトがあります。 2004年にソナタ第1番とパルティータ第2番のディスクをリリースしています。 この録音の時にはバロック仕様のヴァイオリンを使用されていました。
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バッハ:無伴奏チェロ全曲
フィリップ・ハイアム Philip Higham (Cello)
2014年8月2-4日,11月19-21日,2015年2月2日 セント・ジョージ・ザ・エヴァンゲリスト教会(アッパー・ノーウッド,ロンドン)
DCD 34150 (P)(C)2015 Delphian Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

モダン・チェロによる正統派の演奏。 技術的にも大変上手く,丁寧かつニュアンスが豊かです。 しかし,あまりに真っ当で整いすぎた感があり,かえって印象が薄くなってしまうという, ちょっと損をしているかもしれないと思ってしまう演奏です。 ただ,そんな中で第3番だけがどうしたことかとても意欲的な生命感溢れる演奏で素晴らしく, 全集の中で浮いた存在となっています。 全曲がこのアプローチだったら文句なしだったのですが...惜しいです。

録音ですが,少し残響感があり,また残響が楽器音に被って音色を少しくすませていて正直ちょっと冴えないです。 そんなに悪くはないのですが,もっとクリアーに抜けよく,質感高く録って欲しいところです。

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