好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
ジル・コリャール Gilles Colliard (Violin)
トゥールーズ室内管弦楽団
Studio Elixir du 28 au 30 octobre 2009
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

ハイドンのヴァイオリン協奏曲も,見つけると手を出してしまう大好きな曲です(^^;。

バックを務めるトゥールーズ室内管弦楽団の弦楽器の編成は[3-3-2-2-1]と少人数です。ソロを務めるジル・コリャールは2004年から音楽監督とのことです。

モダン楽器による演奏と思われますが,バックを含めてピリオド奏法を取り入れているのではないかと思います。躍動感があり,溌剌としていて気持ちの良い演奏です。技術的にも問題ありません。ニュアンスが豊かで,また,前向きで推進力があるところが良いと思います。バックのアンサンブルも引き締まっていてこの点でも好印象です。

録音ですが,残響は控え目であり,演出感のない生録的な親近感のあるリアルな雰囲気が好印象です。直接音主体に分離感も良く,明瞭感もあるのですが,なぜか若干高域の帯域が狭く感じられます。バランスの問題だと思うのですが,わずかにヌケが悪く感じられるのが本当に惜しいと思います。バックも個々の楽器の質感が感じられ,また,ステージの広がりも感じられます。繰り返しになりますが,帯域感の不足だけが残念でなりません。私としては好きな録音です。

ディスクは入手困難ではありませんが,少々入手しづらい状況です。Apple Musicでも見あたりませんが,Amazonの音楽配信での扱いはありました。

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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
ジョルト・カッロー Zsolt Kalló (Violin)
ニコラス・マクーギガン指揮/カペラ・サヴァリア
April 18-19, 2015 at Bartók Concert Hall, Szombathely, Hungary
Hungaroton HCD 3271 (P)(C)2015 Fotexnet Kft. (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

ピリオド楽器による演奏。実に素直。曲を変にいじることなくストレートに表現しているのが好印象です。音色の美しさも特筆できます。ピリオド色が薄く聴きやすいです。技術的にものすごくキレるわけではありませんが,全く不足なし。好演奏。

そして録音なのですが,ソロはわずかに響きを伴いながらも適度な距離感の直接音主体の捉え方で,オーケストラよりも一段浮き上がって聴こえます。誇張された録音ではありますが,協奏曲の録音として好ましいと思います。ソロの音色がクリアで美しくニュアンス豊かなのは本当にうれしいです。私にとっては音場の自然さよりも断然優先されますので。ちょっとオマケですが五つ星としました。Hungarotonの録音は私の好みに合うものが多いと思います。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
浦川 宜也 Takaya Urakawa (Violin)
マルギット・ハイダー Margit Haider (Pianoforte)
ヘルマン・デヒャント指揮/コレギウム・フラガ・アウレア
Studio of the Czech States Opera, 8/1997
fontec FOCD3423 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ヴァイオリン協奏曲ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4の3曲と,ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ヘ長調Hob XVIIIを収録しています。ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ではフォルテピアノ(ハンマーフリューゲル)が用いられています。また,Hob VIIa:3ではオーケストラが弦楽合奏だけでなく管楽器の入る編成の版を用いているようです。

浦川氏のヴァイオリンがは旧世代に属すると思います。失礼ながら技術的なキレも今ひとつのところがあります。しかし,氏のヴァイオリンの音色は艶やかで味わい深くどこか懐かしく感じます。フォルテピアノのポキポキした音色も愛嬌があって聴きものです。そして小気味よいオーケストラがこの演奏をしっかりと支えています。全体として大健闘の演奏と思います。

録音ですが,残響は多くはありませんが,ソロも含めて全体に薄っすらと残響が乗っていて明瞭度と音色に影響を与えていますが,ソロはオーケストラに対してフォーカスされていますし,残響の質も悪くはないので,全体の印象としてはまずまずといったところです。

浦川氏はまだまだ現役で活躍されておられるようで,この精力的な活動には頭が下がります。このハイドンのディスクはすでに廃盤で残念ながら入手性は良くありません。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ミドリ・ザイラー Midori Seiler (Violin)
コンチェルト・ケルン Concerto Köln
02.-05.05.2013, Deutschlandfunk Kammermusiksaal, Köln
Berlin Classics 0300550BC (P)(C)2014 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ピリオド楽器によるピリオド楽器らしい演奏。ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4の3曲を収録しています。アクセントを極端に抑制したり,のばす音で大きくふくらみを持たせたり,起伏に富んでいます。また,リズムも積極的に崩して変化を持たせています。ただし崩し方が演歌調で後ろに後ろに引っ張られるので,推進感があまりありません。上手いとは思うのですが,私が苦手に感じる弾き方であまり楽しめませんでした。残念。

録音ですが,残響が多めに取り入れられているものの,ソロもオーケストラも比較的直接音成分が多いこと,生録的なリアルさがあり,個々の奏者の存在が比較的感じられることから,印象はまずまず良いです。もう少し残響を抑えて明瞭さ,音色の透明さを出して欲しかったところですが。残響が許せる方ならなかなか良い録音と言えるかもしれません。
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ハイドン:協奏曲集
アデリーナ・オプレアン Adelina Oprean (Violin)
ジャスティン・オプレアン Justin Oprean (Piano)
ヨーロピアン・ユニオン室内管弦楽団]
録音 1988年10月2日
helios CDH55007 (P)1989 (C)1999 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ヴァイオリン協奏曲2曲(ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4)とヴァイオリンとピアノと弦楽のための協奏曲ヘ長調Hob XVIII:6を収録しています。ピアノで弾いているのは初めて聴きました。ヴァイオリンが繊細で伸びやか,気品も備わっていてなかなか良いと思います。音色も美しくて聴き入ってしまいました。カデンツァは演奏者のオリジナルのようです。

録音ですが,残響時間が長く残響量もかなり多いのですが,楽器音とは比較的分離されているので音色のくすみは最小限で何とか高域の美しさを保っています。ですがやはりこれだけ響くとまとわりつきがかなり鬱陶しく感じられます。また,この響きが人工的なにおい強いです。もう少し抑えてすっきりと録って欲しかったと思います。残響が許せる方なら問題ないかもしれませんが。

以下蛇足です... カデンツァで「とぉ~れとれぴぃ~ちぴちかに料理~♪」をここでやるんかい!と思わせるようなフレーズが出てきて思わず笑ってしまいました(ちょっと(だいぶ?)違うんですけどね...(^^;)。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ヤン・スティグマー Jan Stigmer (Violin)
クリスティアンサンド室内管弦楽団
"Aladdin", Kristiansand, Norway, May and August 2002
IMCD 083 (P)(C)2003 Intim Musik AB (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4の3曲を収録。スティグマー氏はスウェーデンのヴァイオリニスト。技術的にも上手く整った美しい演奏なのですが,真面目すぎて遊びがなく教科書的。やや面白味に欠けるのが残念です。

録音ですが,残響が多いという感じではないのですが,オーケストラもソロも響きで雑味が多く濁ってしまっています。響きが全く音楽に寄与していない典型例です。せっかくの美しい演奏が台無しになっています。もったいないです。透明感を失わない録り方をして欲しいものです。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
アルベルト・リジィ Alberto Lysy (Violin)
カメラータ・リジィ・グスタード Camerata Lysy Gstaad
Kirche Saanen-Gstaad, November 1979 and February 1983
CD 50-8303 (P)(C)1986 Claves Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4の3曲を収録しています。リジィ氏はアルゼンチン出身のヴァイオリニストのようです。四角四面と言いますか,まだピリオド奏法が広まる前の世代の演奏です。キチッと生真面目に,力を込めて弾いていますし,ビブラートもしっかりとかけています。時代を感じさせるこの演奏,今となっては逆に貴重かもしれないですね。

録音は中域にやや強い癖を感じ,音色もすこし古くさいのですが,ソロを明瞭に捉えていてこの点では悪くないと思います。しかしやはりこの中域盛り上がりの癖の強い音作りには抵抗を感じます。ちょっともったいないです。3曲目は録音時期が異なるのか,傾向が異なり,残響感がやや多くもう少し印象が落ちます。1979年と1983年の録音ならもう少しすっきりとクオリティ良く録って欲しかったところです。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲第1番,第4番
メンデルスゾーン:八重奏曲作品20
ギル・シャハム(Violin)/セジョン・ソロイスツ
2009年9月6-7日,2009年6月16-18日
CC08 (P)(C)2010 Canary Classics LLC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
かなり自由に気の赴くまま弾いているように思います。肩肘張らない気楽さが良いです(元々そういう曲ですが)。気楽と言ってもこの人の技術は大変キレが良く隙がありません。そして素晴らしい美音の持ち主ですね。モダン楽器を活かした好演奏だと思います。

メンデルスゾーンも底抜けに明るく快活で理屈抜きに楽しめます。

録音ですが,ソロにきっちりと明瞭にフォーカスしてバックから浮き立たせ美しい音色を堪能できるよう録っています。ややあざとい感じがしないわけではありませんが,曇ったり引っ込んだりするよりずっと良いです。好き嫌いは分かれそうですが,私としては協奏曲を存分に楽しめる好録音だと思っています。

メンデルスゾーンの方もまるでヴァイオリン協奏曲のように録られていて,これはこれで面白いので私は好きですが,やはりこれもやや不自然に誇張された感じはあります。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
フレデリック・ペラシー Frédéric Pélassy (Violin)
ジャック・フランシス・マンツォーネ指揮/チェコ弦楽アンサンブル
録音:1992年9月
BNL 112834 (P)(C)1993 SCAM/BNL (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: 公式WebサイトCD試聴記ファンページamazon.fr
ハイドンのヴァイオリン協奏曲集というと,個人的にはこれを外すことができない,という思い入れのあるディスクです。フレデリック・ペラシー氏はフランスのヴァイオリニストで,その音楽性,美しい音色に魅了されて,ディスクを全て集め,ファンページまで作りました。そしてハイドンのヴァイオリン協奏曲の楽しさを教えてくれたのがこのディスクでした。このディスクに出会わなければ,未だにこの曲の素晴らしさに気づくことなく過ごしていたことでしょう。

以下,ほぼ10年前のレビューを転載します。今改めて聴いてみても基本的には感想は変わりません。良くも悪くも若さに溢れていて気持ちの良い演奏だなぁと思いますね。



なんと瑞々しい演奏であることか! 第一楽章,第三楽章の若々しくびのびとした,溌剌とした表現,緩徐楽章のしっとりとした表現, ペラシー氏の美しい音色が活かされ,どこを取っても本当に清々しいです。 弦楽アンサンブルの伴奏(第三番はオーボエ2,ホルン2を追加)もソロに負けず劣らず清々しい演奏を聴かせてくれます。

ペラシー氏の個性がいかんなく発揮された演奏なのに,彼の個性が前面に出てくるのではなく, 純粋にハイドンの音楽そのものが聴き手に届いて来る,そしてペラシー氏と我々聴き手との間でこのハイドンの楽しい音楽を共有している, まさにそういった感じがします。 これぞ音楽の原点! 素晴らしい。 こういう好演がモダン楽器から生み出されたことを本当にうれしく思います。

録音は,各パートの音が明瞭に捉えられ,さらにその上にソロがくっきりと浮き出ており,小編成の協奏曲として非常に好ましい録音です。 各楽器の音の捉え方,音色,ソロとオーケストラのバランス,どれを取っても水準以上だと思います。 一点不満を述べるとすれば,音像がやや右チャネルに偏っており,ヘッドホンでの聴取でわずかに違和感を感じることくらいでしょうか。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
マルク・デストリュベ Marc Destrubé (Violin)
パシフィック・バロック・オーケストラ Pacific Baroque Orchestra
November 26-28 2001, St. Philip's Anglican Church, Vancouver
ATMA Classique ACD 2 2287 (P)(C)2002 (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
いつも参考にさせていただいている「ハイドン音盤倉庫」で絶賛されていたディスク。このジャケット写真は強烈なので見覚えが...確か持っていたはず...と,聴かないまま奥にしまい込んでしまっていたディスクを発掘してきました。

ハイドン音盤倉庫の記事でも書かれているとおり,ヴァイオリニストのマルク・デストリュベ氏は,ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラの副コンサートマスターを務めたり,ラルキブデッリに参加したりと,この古楽器の世界ではかなり活躍されている方のようです。

演奏は...おぉぉ,これは確かになかなかいいですなぁ。自然体で素朴な魅力に満ちた温かい好演奏。押しつけがましさが全くなく,ハイドンのヴァイオリン協奏曲のそのものの魅力を存分に伝えてくれます。前記のブログで絶賛されていたのもわかります。なお,古楽器の鮮烈な演奏を求めて聴くと肩すかしを食らいますので,念のため。

さて録音ですが,教会での録音で,教会の響きかなり勝ってしまっています。楽器音もそれなりにしっかりと捉えられているものの,響きの付帯音が多すぎて煩い感じがします。録音会場の雰囲気は十分に出ていると思いますが,私としてはもっとすっきりと見通しよく録音して欲しかったと思います。残響が気にならない(残響を好む)方なら全く問題ないとは思いますが。

なお,私の中では,ハイドンのヴァイオリン協奏曲といえば,モダン楽器のカトリーン・ショルツ盤エリナ・ヴァハラ盤が双璧,次いでピリオド楽器のジュリアーノ・カルミニョーラ盤というところなのですが,その順位は変わりませんでした。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
ジュリアーノ・カルミニョーラ/シャンゼリゼ管弦楽団
2011年2月3日 グスタフ・マーラー・ザール
Archiv 477 8774 (P)(C)2012 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
ピリオド楽器による演奏。ピッチはA=430Hz。切れ込みの鋭さと伸びやかな美音が素晴らしい躍動感あふれる秀演。ピリオド楽器ながらそれをことさら強調することのない自然な表現も好印象です。同曲の演奏の中でもトップクラスの出来と言えるのではないでしょうか。もう何も言うことはありません。

録音ですが,残響時間は長くありませんがまとわりつきが気になります。ただ,比較的オンマイクで楽器音が支配的,ボディ感たっぷりに太い音で録られているため印象は悪くありません。やや濃い録音ですが,この<力>のみなぎるサウンドは大変魅力的です。私の考える好録音とは少し方向性が異なりますが,これは良いと思います。オーディオクオリティも良好で優秀録音と言えるかもしれません。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集,チェロ協奏曲集
ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
チェロ協奏曲 チェロ協奏曲 ハ長調 Hob. VIIb:1,ニ長調 Hob. VIIb:2(*)
ヴァイオリンとハープシコードのための協奏曲 ヘ長調 Hob. XVIII:6(**)
サルヴァトーレ・アッカルド(Salvatore Accardo)(Violin)
クリスティーナ・ワレフスカ(Christine Walevska)(Cello)(*)
ブルーノ・カニーノ(Bruno Canino)(Harpsichord)(**)
エド・デ・ワールト指揮(Edo de Waart)(Conductor)(*)
イギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)
UK, 1/1972(Cello Concertos); 5/1980(Violin Concertos)
438 797-2 (P)1993 Philips Classics Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Onlineicon別盤icon

まず録音について。ソロもオーケストラも個々の楽器をとても明瞭に分離良く捉えています(チェンバロの音もはっきり聴こえてきます)。ソロとオーケストラのバランスも,ソロが若干大きめでちょうど良いと思います。残響はうっすらとありますがほとんど意識されません。弦楽器の質感も良く捉えています。一昔前のフィリップスらしい好録音ではないでしょうか。

こういう録音は私は好きなのですが,若干誇張された不自然さがあるのと,最近の音場を重視する録音とはアプローチが全く異なるため,この録音をどう思うかは聴き手が録音に何を期待しているか次第だとは思いますが,こういう風に録音されるものがほとんどなくなってしまったのは残念でなりません。

なお録音はヴァイオリン協奏曲が1980年,チェロ協奏曲が1972年と時期に開きがありますが,どちらも同傾向です。

演奏は,どちらの協奏曲も一昔前のモダン楽器によるオーソドックスなものだと思います。特にヴァイオリン協奏曲のカデンツァなど技巧が凝らされていて,ハイドンの協奏曲にふさわしいかどうかは置いておいて,なかなか聴き応えがあります。当然今流行のピリオドアプローチ的なところはありませんが,明るく快活で素直な好演奏だと思います。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲,チェロ協奏曲
ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
チェロ協奏曲 チェロ協奏曲 ハ長調 Hob. VIIb:1,ニ長調 Hob. VIIb:2(*)
クリスティアン・テツラフ(Christian Tetzlaff)(Violin)
ハインリヒ・シフ指揮(Heinrich Schiff)(Conductor)
ノーザン・シンフォニア(Northern Sinfonia)
トゥルルス・モルク(Truls Mork)(Cello)(*)
アイオナ・ブラウン指揮(Iona Brown)(Conductor)(*)
ノルウェイ室内管弦楽団(The Norwegian Chamber Orchestra)(*)
All Saints Church, Newcastle upon Tyne, XII.1990 & II.1991
Uranienborg Church, Oslo, 25-28.IX.1991(*)
7243 4 82115 2 1 (P)(C)2005 EMI records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Onlineicon

テツラフのヴァイオリン協奏曲の演奏,ブラームスのヴァイオリン協奏曲でも書きましたが,今ひとつ私に合わないというか,しっくりきません。このハイドンに関してはなぜそうなのかもよくわかりません。普通に良い演奏だと頭では思いつつ,でもなぜかグッとくるところがないのです。単にやっぱり「合わない」としか言いようがありません。

モルクのチェロ協奏曲は明るく溌剌としていてすごく良いと思います。たっぷりとニュアンス豊かに歌いつつも重くなったり大げさになったりしないあたりはこの人の上手いところなんでしょうね。

録音はどちらも同傾向で,残響を豊潤に取り入れつつも音が曇ることがなくまずまず聴きやすく仕上がっています。ソロについてはヴァイオリン協奏曲の方は若干引っ込み気味,チェロ協奏曲の方がソロをしっかり捉えていて聴きやすいと思います。良くも悪くも標準的,私としてはもっとすっきりと見通しよく明瞭に捉えられている方が好きなので優良可で言えば「可」くらいでしょうか。客観的にはそんなに悪くないかもしれません。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
アウグスティン・ハーデリッヒ(Augustin Hadelich)(Violin)
ヘルムート・ミュラー=ブリュール指揮(Helmut Müller-Brühl)(Concductor)
ケルン室内管弦楽団(Cologne Chamber Orchestra)
2007年5月15-17日 ドイツ,ケルン,ドイツ放送室内楽ザール
8.570483 (P)2007 (C)2008 Naxos Rights International Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

ハイドンの協奏曲はどちらかといえばチェロ協奏曲の方が有名だと思いますが,今のところはヴァイオリン協奏曲の方が気に入って聴いています。もっと聴かれても良い曲だと思うのですが。

で,この演奏,モダン楽器らしい歯切れの良さ,切れ込みの鋭さがあり,カデンツァも技巧的,ハイドンらしいかは別としてその潔さが気に入りました。ピリオド的に傾いていないのも私としては○です。

録音は,オーケストラが残響多めなのですが嫌な響き方をしていないので許容範囲,ソロはもう少しフォーカスされていて楽器の質感も感じられるので印象は悪くないです。オーケストラがもう少しすっきりとしていればもっと良かったのですが,ソロとのバランスも悪くなく,まあいいかという感じです。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4
モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調 K.364
レイチェル・ポッジャー(Rachel Podger)(Violin)
パヴロ・ベズノシウク(Pavlo Beznosiuk)(Viola)
エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団(Orchestra of the Age of Enlightenment)
2009年3月(ハイドン),2009年7月(モーツァルト),オール・セインツ教会(イギリス)
CCS SA 29309 (P)(C)2009 Channel Classics Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

モーツァルトの協奏交響曲では,ヴァイオリン,ヴィオラともロンドンの王立音楽院から貸与されたピリオド仕様のストラディヴァリウスが使われているということです(ハイドンは違うようです)。

で,この演奏,いいですねぇ,感激しました! 彼女のヴァイオリンからは純真な美しさ,天真爛漫な子供のような無邪気さ,明るさが溢れ出ています。透き通るようであってかつ輝きのある音色が何とも言えません。特にハイドンが良かったです。Hob VIIa:3が収録されていないのが惜しまれます。一方モーツァルトは,ヴィオラとのユニゾンの完璧に溶け合った響きにおぉっと思うのですが,ヴィオラのソロになった途端にリズムが重くなって引っ張られる感じになってしまっています。

録音は,残響を多めに取り込んでいるものの,癖のある響きにはならず,また直接音比率を高めにとっているため,残響が多い割にはなかなか良い感じです。オーケストラの音も同傾向です。私の好きな音の捉え方ではありませんが,これなら十分我慢できますし,一般的には優秀録音として通用するかもしれません。

[ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4,協奏交響曲(Vn,Vc,Ob,Fg)
ライナー・キュッヒル(Rainer Küchl)(Violin)
アダム・フィッシャー(Adam Fischer)(Conductor)
オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団(Austro-Hungarian Haydn Orchestra)
10-12 September 1990, 25-27 September 1988, Haydnsaal, Esterhazy Palace, Eisenstadt, Austria
NI 5518 (P)(C)1998 Nimbus Communications International Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

溌剌とした活気のある威勢の良い演奏,ビブラートをたっぷりかけたコクのある音色て歌う,バリバリのモダン楽器流儀です。技巧を凝らした華麗なカデンツァにも圧倒されます。今まで聴いたハイドンの協奏曲の中でもかなり異質です。もちろん上手いんだけど...ちょっと馴染めないかなというのが正直なところです。

録音ですが,残響がやや多めで,楽器音をしっかりと捉えているものの,音色のくすみが感じられてあまり良い感じがしません。どちらかというと協奏交響曲の方がクリアで,せめてヴァイオリン協奏曲もこれくらいの録音をしていてくれたらもう少し印象も違ったろうにと少々残念に思います。

Hob VIIa:3が収録されていないのも残念です。

[ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
ジャン・ジャック・カントロフ(Jean-Jacques Kantorow)(Violin)
クリスチャン・ベンダ(Christian Benda)(Conductor)
シュトゥットガルト室内管弦楽団(Stuttgarter Kammerorchester)
Ludwigsburg, 01.95
CASCAVELLE VEL 1953 (P)(C)1995 Cascavelle SA (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: amazon.com

これはカントロフ氏の個性を楽しむディスクですね。自由闊達で(というか,かなり好き勝手に)のびのびと自分の流儀を通してたようなところが良いです。ハイドンらしいかは別として,活気があって生き生きとしているのは間違いありません。

録音ですが,残響過多で中域に癖が感じられ,高域の伸びがなくなって鮮明さ,透明感が少しが失われています。ソロだけでももう少し残響を抑えてすっきりとした録音にして欲しかったところです。

[ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
フェデリコ・グリエルモ(Federico Guglielmo)(Violin)
ラルテ・デラルコ(L'Arte dell'Arco)
Recording: 4, 7 & 8 August 2008, Studio Magister (Preganziol-Treviso, Italy)
Brilliant Classics 94003 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

グリエルモ氏はイタリアのヴァイオリニスト。この人のヴァイオリンは初めて聴くように思うのですが,解説書によるとすでに130ものCDがあるということで,もしかしたら耳にしたことがあるかもしれません。カデンツァは自作のようです。ピリオド楽器による演奏ですが,ストレートで歯切れのよい表現はモダン楽器的で,癖が少なく聴きやすくなじみやすい演奏です。

録音ですが,うーん,単に楽団の前にポンとマイクを置いて録音したような素人っぽい音づくりですねぇ。妙にリアルです。こういう録音はあまりお目にかかりません。でも私はこういう録音はどちらかといえば好きです。スタジオでの録音であまり響きがないのも好印象です。ただ,マイク位置が少し遠めなのか,いまいち鮮明さ,透明さに欠けるのが非常に残念です。惜しい録音です。

[ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3,ト長調 Hob VIIa:4
ソニグ・チャケリアン(Sonig Tchakerian)(Violin)
パドヴァ・ヴェネト管弦楽団(Orchestra di Padova e del Veneto)
Auditorium Pollint, Padova - (Italy) - 2 - 2001
ARTS 47611-2 (P)(C)2002 ARTS MUSIC (輸入盤)
好録音度:★★★
参考url: HMV Onlineicon

1980年の第27回パガニーニ国際コンクール第三位,1988年のミュンヘン国際音楽コンクール第三位という実績をお持ちのようです。確かに上手いのですが,私の聴きたいハイドンとはちょっと違うように思いました。変に力強いというか,力が入りすぎているというか... 緩徐楽章はのびのびと歌っていて良いと思うのですが。バックまでつられてその弾き方に合わせてしまっているように思います。

(Side Bからの移行記事) [ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4, イ長調 Hob VIIa:3
サイモン・スタンデイジ(Simon Standage)(Violin)
トレヴァー・ピノック指揮(Trevor Pinnock)(Conductor)
イングリッシュ・コンサート(The English Concert)
Recording: London, Henry Wood Hall, 11/1987
ARCHIV 472 316-2 (P)1989 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★

スタンデイジ氏のヴァイオリンはちょっと線が細くソロとしての主張が弱いのですが,音は大変美しく,また,バロック楽器らしすぎず,どちらかというとモダン楽器の方が肌に合う私でも楽しんで聴けます。録音も嫌な響きはほとんどなくすっきりしていて好印象です。

このCDは残念ながら現在廃盤のようです。amazon.co.ukのマーケットプレイスにはいくつか出ているようです。

(Side Bからの移行記事) [ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, イ長調 Hob VIIa:3, ト長調 Hob VIIa:4
イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)(Violin)
クリストフ・ポッペン(Christoph Poppen)(Conductor)
ミュンヘン室内管弦楽団(Münchener Kammerorchester)
Recorded at Schloss Elmau - Grosser Saal 4/97
pan classics 510 102 (P)(C)1998 Sound Arts AG, Switzerland (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

さすがに上手い。でもちょっと硬く力が入りすぎていませんか。ハイドンなんだからもっと気楽に楽しくやってくれればいいんですが。

録音もそんなに悪くはないのですが,比較的初期の反射音のレベルが高めでダブって聴こえるというか,音が濁ってしまって透明感がないのが残念なところです。

[ハイドン][協奏曲][ヴァイオリン]
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ト長調 Hob VIIa:4, イ長調 Hob VIIa:3, ハ長調 Hob VIIa:1
エリナ・ヴァハラ(Elina Vähälä)
ヴィルトゥオージ・ディ・クフモ(Virtuosi di Kuhmo)
Recorded at Hattula Church, Finland on 7-9 July 2008
ALBA ABCD 272 (P)2009 (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★
参考url: 公式WebサイトHMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

ヴァハラ氏はアメリカ生まれ,フィンランド育ちのヴァイオリニストとのこと。透明で艶やかな音色が非常に美しく,伸びやで活気にあふれた清々しい演奏をされています。バックのオーケストラも切れよくリズムを際立たせなかなか良いアンサンブルを聴かせてくれます。モダン楽器の良さがフルに発揮された,現代的で洗練された出色の好演奏だと思います。

さて肝心の録音ですが,教会での録音ということで残響時間がすごく長いのですが,直接音比率の方がわずかに高く,音の濁りも最小限なので,印象は悪くありません。響き自体は美しいので,残響を許容できるなら良いと思いますし,優秀録音としても通用するかもしれません。ソロにも残響が被り気味でやや奥に引っ込みがちで鮮明さに欠けるのが残念なところです。直接音比率を高くして明瞭度を上げ,もう少し前に出るようにしてくれれば文句はなかったのですが。

ソロは別として,これだけの残響を取り入れていながら印象が悪くないのは,直接音の比率を残響よりも高く保っているからに他なりません。残響を取り入れるなら,最低限これくらいのバランスにして欲しいものです。もちろん私としては残響音をもっと抑えて鮮明に録るべきだと思っていますが。
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ハイドン:ヴァイオリン協奏曲集
ハ長調 Hob VIIa:1, ト長調 Hob VIIa:4, イ長調 Hob VIIa:3
カトリーン・ショルツ(Katrin Scholz)(Violin and direction)
ベルリン室内管弦楽団(Kammerorchester Berlin)
Jesus-Chistus-Kirche, Berlin-Dahlem, 30.06./01.07.2003
BERLIN Classics 0017652BC (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

ヴァイオリンの音色がものすごく魅力的! 惚れ込んでしまいました。清らかでふくよかで甘美だけど品を失わない...モダン楽器の魅力がいかんなく発揮されています。バックのオーケストラも引き締まっていてアンサンブルも良いと思います。

録音がこれまた良くて,多少の響きを伴っていますが,ほとんど楽器音を濁していません。美しいヴァイオリンの音が全く自然に伝わってきます。響きを取り入れるならこういう風にやって欲しいと思います(個人的にはもう少し響きを抑えて欲しかったとは思っています)。オーケストラもすっきりとしており,ソロとのバランスもよく,この点も協奏曲の録音として好ましく思います。

演奏の美しさ,録音の良さから,ハイドンのヴァイオリン協奏曲集の中で最も気に入った一枚になりました。

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