好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏編曲版)
セバスティアン・シュレル Sébastien Surel (Violin)
ポール・ラデ Paul Radais (Viola)
オレリアン・サブレ Aurélien Sabouret (Cello)
2015年4月 Au Théâtre Saint Bonnet, Bourges
LP16-01 PolyChrone (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

見つけるとついつい手を出してしまうシトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版です。室内楽の演奏で良く思うのは,優秀なアンサンブルが求められるのは当然ながら,個々の奏者がどれだけそれぞれの魅力を発しているかが成否の鍵を握っているということで,この三重奏ではそれが見事なバランスで達成されていると思います。最近リリースされた同曲同編曲版のなかでも出色の出来ではないでしょうか。歌心に溢れ,テンポも良く楽しく聴くことが出来ました。

さて肝心の録音なのですが,残響はあまり取り込まれておらず,それぞれの楽器の捉え方もほぼ適正な感じなのですが,高域の伸びがなく少し音が曇ってモゴモゴしています。基本的な録り方は悪くないと思うので,この音質はすごく残念です。本当に惜しいと思います。

最後にリピートですが,ゆったりと演奏されることの多い第13変奏,第25変奏の後半のリピートと最後のAria da capoで省略されていますが,まあこれなら許容範囲です。ディスク1枚に収めるためにやむなくカットされたのかなと思います。

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○× Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

演奏者はパリ・オペラ座管弦楽団やフランス国立管弦楽団等で活躍しており,いずれもパリ国立高等音楽院の出身で卒業当初から共演を重ねられているとのことです。

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽三重奏編曲版)
ハルトムート・シル Hartmut Schill (Violin)
マティアス・ヴォルム Matthias Worm (Viola)
ティルマン・トゥルディンガー Tilman Trüdinger (Cello)
2016年 ケムニッツ,グンツェンハウザー美術館
as-c 5078-2000 (C)2016 auris Subtilis (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

シトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版。おっとりした演奏で,良く言えばのんびりとのどか,しかし正直なところ,音楽が全然弾まずワクワクしません。奏者それぞれの技量はあるとは思うのですが,音色に魅力がないところもそう思ってしまう一つの要因だと思います。う~ん,これはちょっと残念です。

録音ですが,すこし距離感がありこぢんまりとしており,残響は多くないものの中途半端に被ってヌケの悪い冴えない音になってしまっています。音色に魅力を感じられないのは録音のせいかもしれません。そういう意味からも録音はとても大切ですね。


最後にリピート表です。リピートの省略が多く,またどういう考え方で省略しているのかもよくわかりません。これだけ省略が多いのは本当に残念です。

演奏時間 約74分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ×× Var.05 ○× Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ○×
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○×
Var.19 ○○ Var.20 ○× Var.21 ○×
Var.22 ○× Var.23 ○× Var.24 ○○
Var.25 ○× Var.26 ○× Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○× Var.30 ××
Aria da capo ××

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(バロックアンサンブル編曲版)
パルナッシ・ムジチ Parnassi Musici
2000年11月12日 フライブルク,コンツェルトハウス
MVC 005-012 (P)(C)SWR 2000 & 2005 MV Cremona (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

今では珍しくなくなったゴルトベルク変奏曲の編曲版,これは2000年の録音とのことでまだ少なかった頃ですね。Tower Recordsでは2006年からの取り扱いがあったようですがHMV Onlineiconは2017年からの取り扱いです。先日取り上げたベッカー:ソナタと組曲で団体をしり,それをきっかけにこのディスクを見つけました。

最後に拍手の入るライヴ録音。バロックアンサンブルということで,編成は,フラウト・トラヴェルソ,ヴァイオリン×2,ヴィオラ,チェロ,ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオローネ,リュート,チェンバロ/オルガン,総勢8名です。変奏により編成が変わります。通奏低音が加わる曲もあれば,ソロだけで演奏される曲もあり,変化に富んでいます。個々の奏者の技術も上手く,多彩な奏法を駆使して広がりのある音楽を作り上げています。多声の旋律が異なる楽器で演奏されることが多いこと,通奏低音が加わることなどから,原曲の持つ面白さが少なくなっているところもありますが,室内楽と割り切って聴けば,これはこれで面白いと思います。

録音ですが,ヴァイオリンやフラウト・トラヴェルソはクリアーで高域の伸びもあり良い状態ですが,低音楽器はやや奥で鳴っている感じであり,残響の被りが多めになって明瞭さが劣っています。バロックアンサンブルなのでこれでも良いのですが,多声の一部を担う楽器くらいはもう少しヴァイオリン等と対等になるように録って欲しいところです。全体的にはそんなに悪くないのですが。

最後にリピート表です。ゆっくりした変奏の2つでリピートの省略がありましたが,そのほかはすべて実行されていました。まあ許容範囲です。(ディスク1枚に収めるために編集カットされたのかもしれません)

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ××
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ××
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

タグ : [室内楽曲]

ramin_bahrami_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ラミン・バーラミ Ramin Bahrami (Piano)
録音不明
4762820 (P)2004 DECCA (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。これがバッハの演奏なのか?と思うほど力強くたたきつけるようなタッチに驚くのですが,まるでAIが弾いているのかと思うほど高速でメカニカルな正確さにも目を見張りますし,奇妙な装飾にもニヤッとしてしまいます。そして第26変奏以降のラストに向けて一気にたたみかけるモーレツな演奏! 好きかどうかは別として,間違いなく楽しめます。ここまでぶっ飛んだ演奏はそうないと思います。

さて録音ですが,残響控え目でピアノの音をしっかりと捉えていますが,ちょっと音が硬質です。そしてこれはApple Musicだからかもしれませんが,エンコード歪みっぽいノイズが時折気になり,やや品質が良くないように思います。これはCDで確かめてみたいところなのですが...

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

蛇足ですが,このディスクをある中古ショップで見かけたのですが,そのときは別に欲しいものがあり見送りました。こんなに面白いとわかっていたら入手していたのに! ちょっと後悔。
michie_koyama_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
小山実稚恵 Michie Koyama (Piano)
2017年2月7-10日 軽井沢大賀ホール
SICC 19032 (P)(C)2017 Sony Music Japan International (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

2017年はアルバム・デビューから30周年で,通算30枚目のアルバムで,初の全曲バッハ,とのことです。私自身は小山さんのディスクはおそらく初めて聴きます。情緒的表現,感情移入は極力抑え,音は短く歯切れ良くはっきりと,上品ですがどちらかといえばストイックに淡々と弾いているように思います。この点,先日取り上げたベアトリーチェ・ラナの演奏とは対照的です。そのせいもあってか,バッハの曲の構造が浮き彫りのようにはっきりと見えてくるようです。気に入りました。

録音ですが,残響は控え目で楽器の音を明瞭に捉えている点は良いのですが,うっすらとベールが被ったようにわずかに音色がくすみ,すっきりと伸びと透明感ある音になっておらず,また,少し音が硬いのが不満です。マイナスポイントが少ないので四つ星半としましたが,正直言うともう少し何とかならなかったのかととても惜しく思います。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約75分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ジャズギター編曲版)
Andy Fite
(P)2011 Andrew J Fite
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

Apple Musicでの試聴です。メディアでの販売があるのかどうかはわかりませんでした。ゴルトベルク変奏曲のジャズギター編曲版で,一人で多重録音しているものと思われます。

ジャズ風に拍子を変えたりリズム・パターンを変えたり,難しいところは原曲をとどめないほど編曲したり...(^^;。技術面含めてまぁいろいろと難のある演奏ですが,終始ニヤニヤしながら楽しませていただきました。これに関してはリピートを省略しすぎているとかそんな野暮なことは言いません。演奏者の挑戦に拍手!

録音ですが,このようなジャンルは普通に録れば普通にこれくらいのレベルの録音になります。特に優れているということはありませんが,録音にストレスを感じることなく楽しめるという点で普通に良い録音だと思います。
beatrice_rana_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ベアトリーチェ・ラナ Beatrice Rana (Piano)
2016年11月 ベルリン,テルデックス・スタジオ
Warner Classics 9029588018 (P)(C)2017 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

とても評判の良い演奏なので聴いてみました。明瞭なタッチと流れるようなスムーズなフレージング,そして,自然な強弱のうねりなど,モダンピアノの特性を最大限に生かした現代的で洗練された演奏でした。何より感心したのは細かい音型の正確さと淀みのなさで,ここまで滑らかでビシッとテンポにはまった演奏はそんなにないと思います。一方,ゆっくりした変奏でのリズムの意図的な崩しは自然な呼吸感から外れていてちょっと生理的に受け付けないなぁと思うところもありました。とはいえ,これは出色の出来ですね。久しぶりにワクワクする演奏に出会いました。

録音ですが,比較的楽器音をしっかりと捉えているのですが,音色が今ひとつモヤッとしていて立ち上がりの明瞭さ,透明感にやや欠けます。十分許容範囲だとは思うのですが,もう少し付帯音のないクリアな音で録って欲しいものです。惜しいです。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
angela_hewitt_bach_goldberg_variations_1999.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
Henry Wood Hall, London, on 28 August - 1 September 1999
CDA67305 (P)2000 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

angela_hewitt_bach_goldberg_variations_2015.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt (Piano)
2015年12月14日~17日 キリスト教会(オーバシェーネヴァイデ,ベルリン)
CDA68146 (P)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アンジェラ・ヒューイットのゴルトベルク変奏曲の1999年の録音は名盤としての地位を獲得していると思いますが,それから16年,同じハイペリオン・レーベルでの再録音盤が発売されました。

彼女の演奏は,全体として控え目で落ち着いた上品さが美点だと思っています。そしてピアノという楽器の特徴を活かした細やかで豊かな表情。各声部がそれぞれ別の表情を持ちながら絡み合っていくところが素晴らしく思いました。旧録音と新録音は,演奏の基本的な解釈や表現のスタイルは大きく変わっていないと思います。ちょっと聴くと,あれっ?すごく似ているなと。しかし,まるで個々の指が個別の意志を持っているかのごとく,一つ一つの音の弾き分けがより細やかにコントロールされ,より深みのある音楽へと進化しているように感じられました。16年の積み重ねがこういったところに顕れているのでしょう。

さて録音ですが,旧録音の方は残響の被りですこしモヤッとした不明瞭さが気になるものの,それでも比較的すっきりとした音響でまとめられていると思います。対して新録音の方は,ピアノの音をより豊潤に,濃い音で捉えています。残響も多めに入っているために音色が少しぼってりとしつこい感じがします。いずれも一長一短であり,もっとすっきりとクリアに透明感のあるヌケの良い音色で録って欲しいものです。せっかくの素晴らしい演奏が,この録音では最大限には活きてこないと思います。惜しいです。

最後にリピートですが,新録音も旧録音も最後のAria da capo以外は実行されていて,この点でも全く問題ありません。新録音は収録時間が82分を越えていますね。最近は82分越えも当たり前になってきたように思います。私の環境では再生に全く問題はありませんでした。

演奏時間 約79分(1999年録音) 82分14秒(2015年録音)
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
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グレン・グールド/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(1955年)の再創造
- ZENPH RE-PERFORMANCE

September 25-26, 2006 at Glenn Gould Studio, Tronto, Ontario, Canada
SICC 10043 (P)(C)2007 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

グレン・グールドの有名なデビュー盤,1955年のバッハ:ゴルトベルク変奏曲の演奏を自動演奏で再現したもの。ちょっと古いディスクですが,久しぶりにグールドのディスクを引っ張り出してきた中にあったので,この機会に取り上げたいと思います。

「ゼンフによる“再演”とは?」ということで,次のように説明が書かれています。

グレン・グールド・スタジオに腰を下ろし,グールドが1955年に録音した「ゴールドベルク変奏曲」の名演を目の前で聴いている自分を想像してみよう。ゼンフの“再演(Re-Performance)”による本作は,そのような状態をサラウンド・サウンド,ステレオ,またはヘッドホンで体験できるよう工夫を特別に凝らした新録音である。

ゼンフZENPHは録音時の音を精緻に再現することにより,録音物を生演奏へと還元する。ソフトウェア・ベースのこのプロセスは,一つ一つの音符に関し,音量,アーティキュレーション,ペダルの動きなど,演奏時の詳細を抽出し記号化する。その記号化された音を高性能のコンピューターやハードウェアを搭載したアコースティックなグランド・ピアノで再生すると,もとの録音が行われた部屋で聴いているかのような音を体験することができる。この“再演”は最新鋭の録音技術により,当時の様子を改めて録音したものである。その結果,20世紀を象徴する録音を音響的に再発見することができるのだ。

使用されたピアノは,ヤマハのDisklavier Proというグランド・ピアノで,家庭用Disklavierの10倍の精度で再生することが出来るとのことです。ソフトの開発は米の音楽系テクノロジー企業,ゼンフ・スタジオで,ピアノ演奏の録音を解析することによって得られる音楽的属性(音程,音符の長さ,打鍵や離鍵の速度など)を周りの雑音と分離し,その属性をデジタル処理でエンコーディングしたということです。

そしてこのディスクはSACDハイブリッドで,SACD層にはステレオと5.1chマルチ,CD層にはステレオとバイノーラル録音が連続して収録されています。録音にも拘りがみられますね。

それで演奏なのですが,これ本当に自動演奏?というほどオリジナルの演奏をよくトレースしていると思います。何も知らせられずに聴いたら自動演奏とは思わないのではないでしょうか。しかし,グールド自身が残した録音と比較して聴いてみると,やっぱりどこか生気に乏しいというか生き生きとしていないというか,自動演奏の限界も感じてしまいます。多分に先入観もあるとは思いますが,人間特有のゆらぎが表現しきれていないのではないかという気がします。また,やっぱり機械であらかじめ決められたタッチでしか再現できないというのもあるのかもしれません。試みは面白いと思いますし,今後の技術の進化とプログラマの創造力で,“再演”ではなく,グールドを超える架空のピアニストをデビューさせたりといったことが可能になるかもしれないですしね。

さて肝心の録音なのですが,スタジオで録音されているにもかかわらず,なぜか音の濁り・曇りがひどくて全く冴えない音色なのです。スタジオでどうやったらこんな録音になるのか不思議です。グールドが残した数々の録音の方がよっぽど鮮明で音に輝きがあります。グールドが聴いたらきっと許さないに違いない,と思ってしまいます。この企画は録音でこれを提供するというなら録音が命のはずなのに。残念でなりません。
mahan_esfahani_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
マハン・エスファハニ Mahan Esfahani (Cembalo)
録音 2016年4月, 5月
479 5929 (P)(C)2016 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

エスファハニ氏は1984年生まれということですので,現在32歳,まだまだ若いチェンバロ奏者ですね。この演奏,装飾やリズムの崩し方に色々と斬新な仕掛けがありなかなか面白いと思います。演奏者の様々な創意工夫とチャレンジ精神を楽しめる演奏です。繰り返し聴きたくなる演奏かどうかはちょっと微妙かと思いますが...

そして録音ですが,わずかに録音会場の響きが気になるものの,楽器そのものの豊潤な響きを濃厚に質感豊かに捉えたHi-Fi調の好録音ですね。ちょっと濃すぎてもう少しすっきりと録って欲しいと思うところもありますが,これはこれで良いと思います。

最後にリピートですが,全て実行されていました。完璧です。

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
alexis_weissenberg_bach_goldberg_variations_1981.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
アレクシス・ワイセンベルク Alexis Weissenberg (Piano)
1981年6月1-4日 パリ,サル・ワグラム
6387222 (P)1982 EMI Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecoredsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

いつも参考にさせていただいているFeFeFe's Barで紹介されていたディスク。全くノーマークでした。強靱なタッチ,正確無比で抜群のキレを誇るテクニック,そしてこの自由奔放さ! 颯爽としたテンポで駆け抜けていく爽快さ! これは強烈な演奏者の個性を楽しむディスクだと思います。グールドの2回目と同じ年に録音されたという同氏2回目の録音,面白いですね! バッハらしくないかもしれませんが,これはアリでしょう。今の時代,このような演奏はなかなか聴けないんじゃないでしょうか。

そして録音ですが,残響感はそれほどなく,楽器音を中心に明瞭に捉えているのはすごく良いのですが... 音色に少し癖がのり,そして硬いです。このあたりはさすがEMI録音,というところでしょうか。基本的に悪くないと思うのですが,この硬質な音色ちょっと残念なところです。

最後にリピートについてですが,完璧にすべて行っていますね。文句なしです。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(シトコヴェツキー編曲 弦楽合奏版)
シュトゥットガルト室内管弦楽団 Stuttgart Chamber Orchestra
録音不明(明記なし)
KICC 341 (P)2001 King Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

私の記憶では弦楽合奏版としては元祖のニュー・ヨーロピアン・ストリングス(NES)盤に続いて2つめの録音だと思います(違ったらごめんなさい)。編成は不明ですが,解説書の写真を見ると18名で,NESよりも4名ほど多いくらいなので,中規模の弦楽合奏ですね。なお,こちらの演奏ではハープシコードが加わっておらず純粋に弦楽器のみです。

こちらの演奏はNESに比べると随分と真面目できっちりと落ち着いており,躍動感や自由闊達さはあまりないものの,緻密なアンサンブルから生まれる柔らかく温かい響きはさすが名門というところです。NESとはかなり方向性が異なりますが,このような演奏もモダン楽器の弦楽オーケストラらしくて素敵ですね。

リピートはきっちり全部やっているかと思いきや,第13変奏の後半だけ省略されていました。おそらくCD 1枚に収めるために泣く泣くカットしたのではないかと思いますが,何とも惜しいことです。

録音ですが,少し残響を少し取り込んでいますが,残響というか収録場所の空間を感じさせるような音響で少し癖があります。ソロはまだ良く合奏の方が気になります。決して悪くはなく残響や響きが気にならない方にとっては問題ないレベルだとは思いますが,もう少しすっきりと抜けよく録ってくれれば良かったのにと少々残念です。

演奏時間 約79分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

さてこのディスク,廃盤となってから久しいようで,入手困難ではないようですが入手しづらいようです。良質な演奏だと思いますので,復刻して欲しいところですね。タワーレコードの出番だと思うのですが(^^; いかがでしょうか?>タワーレコード様。
dmitry_sitkovetsky_nesco_bach_goldberg_variations_strings.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(シトコヴェツキー編曲 弦楽合奏版)
ニュー・ヨーロピアン・ストリングス NES Chamber Orchestra
ドミトリ・シトコヴェツキー Dmitry Sitkovetsky (コンサートマスター)
1993年10月 ハンブルク,フリードリヒ・エーベルト・ホール
WPCS-5004 (P)(C)1995 Nonesuch Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

シトコヴェツキー編曲の弦楽合奏版も今では何種類かの録音がありますが,これが元祖ですね。編成は[4-4-3-2-1]で,ハープシコードが加わっています。変奏毎に合奏になったり,パートトップによるソロになったり,繰り返しで編成を変えたりと変化に富んでいます。この演奏の良いところは何といっても音楽が生き生きとして喜びに溢れているところです。個々の演奏者の自発性・積極性がそのまま音楽に反映されているように感じられます。これがこの演奏の素晴らしいところですね。リピートの省略が多いのが少し残念なところです。

録音ですが,弦楽合奏の録音としては標準的ですが,個々の奏者の集合体としてサウンドが構築されているというのがわかるような,小編成の良さを活かす録り方は好感が持てます。残響は控え目に抑えられているものの,少し楽器音への被りがあってモゴモゴとして精彩がないのが本当に惜しいところです。

演奏時間 約60分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○× Var.03 ○×
Var.04 ○○ Var.05 ○× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ○× Var.09 ○×
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ○○ Var.15 ○×
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○×
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○×
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ○× Var.29 ○× Var.30 ○○
Aria da capo ××

このディスクはまだ現役盤として入手が可能のようです。
labadie_les_violons_du_roy_bach_goldberg_variations_strings_and_continuo.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽と通奏低音のための編曲版)
ベルナルド・ラバディ指揮/Les Violons Du Roy
録音 1999年9月
ACD2 2723 (P)2000 Sono Luminus (P)2015 Disques ATMA inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(弦楽と通奏低音のための編曲版)
ベルナルド・ラバディ指揮/Les Violons Du Roy
録音 1999年9月
xCD-90281 (P)(C)2000 Dorian Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jp

指揮者のラバディ氏の編曲による演奏で,ヴァイオリン(3), ヴィオラ(1), チェロ(1), ハープシコード(1), テオルボ(1)という編成です。そして,変奏毎に様々な編成(組み合わせ)で演奏されています。シトコヴェツキー編曲版ではヴァイオリン,ヴィオラ,チェロが対等な関係で演奏されますが,この編曲では通奏低音が入るため,声部の関係が主旋律主体となっているように感じられ,曲の印象が少し違って聴こえます。シトコヴェツキー編曲版とはまた違う面白さがあってなかなか楽しめます。ただそんなにバロック的ではありません。

演奏は全体に速めのテンポで気持ちよく流れていくのですが,どちらかといえば遊びは少なく手堅くまとめられている印象です。技術的にも問題ありませんし,アンサンブルも良いと思います。

録音ですが,残響は少し多めで少しモゴモゴした感じはありますが,それでもそれぞれの楽器が分離良く比較的明瞭に聴き取れるのでまずまず良好な録音と言えます。ただ,編成の関係もあるのか,通奏低音的な扱いにされてしまっているのか,ヴィオラとチェロの存在感が希薄で,これは録り方もしくはミキシングが今ひとつ良くないと思います。この点は少々残念です。

さて,上記二つのディスクは基本的に同じ内容なのですが,たった一つ違う点がありました。最後のAria da capoが,DORIAN盤はフルにリピートしているのに,あとに再発売されたATMA盤は前半も後半もリピートが省略されています。DORIAN盤の収録時間はおそらく80分を越えているので,ATMA盤では越えないようにしたのかもしれませんが,ここはリピートありで収録しておいて欲しかったですね。

あとリピートに関しては第25変奏だけ後半のリピートが省略されていました。CD 1枚に収めるためだと思いますが,何とも惜しいことです。

演奏時間 約78分(ATMA盤) 約80分(DORIAN盤)
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○× Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××(ATMA盤) ○○(DORIAN盤)

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(D. シトコヴェツキー編曲 弦楽三重奏版)
Pacificmodern
山下美音理(Violin),佐々木友子(Viola),山下いずる(Cello)
Recorded at Sengawa avenue hall "ve quanto ho.....", 3-4 January 2013
HPM-8501(P)(C)2013 Pacificmodern (国内盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp

見つけるとついつい手を出してしまうゴルトベルク変奏曲のシトコヴェツキー編曲弦楽三重奏版。とても真面目できっちりした演奏です。技術的にも優れていますし,細部まで丁寧に美しく仕上げています。このあたりはさすがと思います。欲を言うならばもう少し歌心,遊び心,そしてノリの良さとワクワク感が欲しいというところでしょうか。教科書的というか模範演奏的なんですよね。

リピートですが,ゆっくりした変奏はリピートが省略され,さらにいくつか省略されています。結構ちゃんとリピートをしている方なのですが,ここまでやったのなら全部やって欲しかった...

演奏時間 約71分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ×× Var.14 ○○ Var.15 ××
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ××
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ××
Var.25 ×× Var.26 ○○ Var.27 ××
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

録音ですが,ディスク紹介の中で「日本を代表するエンジニア,オノセイゲン氏によるマスタリングが施されています。オノセイゲン氏の耳と,24bit/96kHzを越える圧倒的な高音質を誇るDSDによるマスタリングが弦楽三重奏の響きをより美しく際立たせています。」とあります。確かに録音自体のクオリティは高いかもしれません。しかし,残響はあまりないものの部屋の響きが勝ちすぎて楽器の音色がものすごく濁って透明感が全くありません。楽器本来の美しい音色が大きく損なわれています。録音のクオリティ以前の問題です。響きが音色を損なう悪影響だけで全く音楽的に貢献しない典型例です。これは本当に残念でなりません。

公式Webサイトがあります。Pacificmodernはヴァイオリンの山下美音理とチェロの山下いずるの姉弟を中心に活動するグループとのことです。

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ギター二重奏版)
デュオ・メリサンド Duo Mélisande
2013年録音
PARATY113215 (P)2014 Paraty (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。演奏者自身の編曲によるギター二重奏版。ギター1本だと何かと無理が生じて音楽としてなかなか楽しめる内容に至らないケースが多いのですが,2本以上だと,一人で多重録音したカート・ラダーマーの演奏のように無理なく音楽的にも満足できる演奏になるのではないかと期待して聴きました。

演奏は...かなり安全運転ですねぇ。「無理なく」には違いなく,ゆっくりしたテンポで極めて丁寧に,一つ一つの音に神経を行き届かせた落ち着いた演奏で,これはこれで良い仕上がりなのですが...個人的にはもう少しワクワクする,躍動感のある演奏だったら良かったのに,と思います。せっかくの二重奏なのですからそれが可能になると思うのですけどね。

録音ですが,やや残響感はあるものの直接音主体に明瞭感のある音で捉えています。生録的な自然な雰囲気であり,演出感がないのも好印象です。そんなに特徴のないどちらかといえば地味な感じのする録音ですが,欠点が少なく気持ちよく聴くことが出来ます。

最後にリピートですが,残念ながら全て省略されていました。

演奏時間 約52分
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ×× Var.03 ××
Var.04 ×× Var.05 ×× Var.06 ××
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ××
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ×× Var.17 ×× Var.18 ××
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ××
Var.22 ×× Var.23 ×× Var.24 ××
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ××
Aria da capo ××
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽三重奏版/D. シトコヴェツキー編)
フーベルト・ビュッフベルガー Hubert Buchberger (Violin)
ヴァレンティン・アイヒラー Valentin Eichler (Viola)
ルイーゼ・ビュッフベルガー Luise Buchberger (Cello)
2008年4月24-26日 ドイツ,ロシュバッハ,ニーデルロシュパッハ,ブルク教会
klanglogo KL1504 (P)(C)2013 Rondeau Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

見つけると買ってしまうシトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版。モダン楽器のピリオド・アプローチによる演奏。速めのテンポでキレが良く,また,淀みなく流れていく音楽が気持ち良いです。ピリオド・アプローチということで,ノン・ヴィブラートでアクセントを抑えた膨らみのある発音が美しい響きを出しています。ただ,ピリオド・アプローチといってもそれくらいであって,響きが美しくても音色に今ひとつ魅力がないのが惜しいところです。とても残念!

録音ですが,残響はそれほどありませんが,会場の雰囲気を感じさせてくれる響きは取り入れられています。そういう意味での自然さ,リアルさはあるのですが,響きが楽器音を濁していて本来の輝きを失っています。楽器の音色が何よりも大切と思っている私としては,この録り方は歓迎できません。録音も惜しいです。

最後にリピートの確認結果ですが,最後のAria da capo以外は全てリピートを実行していました。完璧です。

演奏時間 約80分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(D. シトコヴェツキー編 弦楽三重奏版)
トリオ・エクナトン Trio Echnaton
Germany, 7/2000
COV 50101 (P)(C)2007 Coviello Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
見つけると買ってしまうシトコヴェツキー編曲の弦楽三重奏版。見つけたときに記憶のないジャケットだったので持ってないと思ってしまったのですが,以前に買っていたものと同じものということに今気がついて少しショックを受けています(^^;。ジャケットが違うので気がつきませんでした... ディスクの管理を諦めてから久しいのですが,最近この手の事故が急増してます(^^;。

気負わない自由闊達な気楽な感じの演奏が楽しいです。技術的にも上手いですし,アンサンブルも良好です。もう少し個々のプレーヤーの音色に魅力があればなお良かったと思いますが,それでも十分に楽しめる演奏でした。リピートの省略が多いのが少々残念です。

録音ですが,残響感が少しあり若干音色をくすませていますが,明瞭感はまずまず良好で,それぞれの楽器の質感も保たれています。マイク距離が少し遠いのか,やや分離感は落ちます。生録的で演出感が少ない点は良いと思います。もう少しすっきりと見通し良く録って欲しかったですね。

演奏時間 約68分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ○○
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ×× Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ×× Var.24 ○○
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ○○
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ○○
Aria da capo ××

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴァイオリン&ピアノ版)
ゾーイ・ブラック Zoë Black (Violin)
ジョー・チンダモ Joe Chindamo (Piano)
2013/7/2-3 メルボルン,イワキ・オーディトリアム,ABCスタジオ
ALFI15002 (P)2015 Alfi Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
ジョー・チンダモはオーストラリアのジャズ・ピアニスト。チンダモの編曲によるヴァイオリンとピアノによるゴルトベルク変奏曲。“The New Goldberg Variations”というタイトルです。ピアノは楽譜通りに近いのですが,その上でゾーイ・ブラックのヴァイオリンがオブリガートのように装飾をふんだんに取り入れた即興的で自由な旋律を奏でます。ゴルトベルク変奏曲原曲の旋律が薄まり,自由気ままなヴァイオリンの旋律が前に出てくるので,ゴルトベルク変奏曲を聴いているという感じではなくなってきますね。まあこれは堅いこと言わずに素直に楽しめばいいかなと思います。

録音ですが,わずかに残響感があり,音色に癖のある色がついているようにも感じられます。ややピアノの音の捉え方がバランス的に弱い気がします。スタジオで録音しているにしては少しキレがなく焦点の甘い録音のように思います。クリアさ,透明感ももう少し欲しいところです。と少々辛口に書きましたが,まあ許容範囲ですかね。

蛇足ですが,Apple Musicでも配信されていますが,Aria da capoのトラックを再生すると,第30変奏がもう一度再生されます。Aria da capoが抜けてますね。私だけかもしれませんが,音楽配信でのこういうミスの遭遇確率が結構高いです。ほんといい加減ですね。アーティスト側もチェックしてないんですかね?こういうのが放置されているというのが不思議でなりません。

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
キース・ジャレット Keith Jarrett (Harpsichord)
January 1989 Yatsugatake Kohgen Ongakudoh, Japan
ECM 1395 (P)(C)1989 ECM Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
キース・ジャレットがクラシック音楽を演奏したディスクは以前にも聴いたことがありますが,ジャズ的な演奏を期待すると肩すかしを食らうというのはこの演奏でも同じで,全くスウィング感はなく,どんなクラシック演奏家よりもクラシック音楽家的だと思えるほどのリズム感で演奏されています。キッチリと生真面目で遊びの要素はほとんどありませんが,ゆったりしたテンポで一音一音を丁寧に心を込めて弾いているのがよくわかる味わい深い演奏です。彼がジャズ・ピアニストだということを忘れて聴かなければなりませんね。リピートの省略が多いのは残念なところです。

録音ですが,ホールの箱鳴り感が被っているのが少し気になりますが,直接音が支配的であり,音の芯,輪郭がはっきりしていて明瞭感のある録音となっています。楽器自体の豊潤な響きも質感もよく捉えています。私としては先に述べた箱鳴り感による音色への影響が少々不満として残るものの,これなら好録音と言えると思います。少しおまけですが四つ星半です。

演奏時間 約62分
リピート表
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ×× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○○
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ××
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ○○
Var.22 ×× Var.23 ×× Var.24 ××
Var.25 ○○ Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
ラルス・フォークト Lars Vogt (Piano)
2014年3月24-26日 ケルン,ドイツ放送カンマームジークザール
ODE1273 (P)(C)2015 Ondine (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
ジャケット写真の風貌から受ける印象とは全く異なる(^^;,アクセントを控えた柔らかいタッチの優しい演奏に少々面食らいます。テンポは決して遅くないのですが,細かい音型でも裏拍までキッチリと丁寧に弾き,響きをなめらかにつなげていくスタイルが独特のテンポ感を生んでいます。推進力も躍動感も希薄で音楽があくまでマイペースで進んできます。先日取り上げたイングリッド・マルゾーナーの演奏とは対極にあるような演奏です。好みが分かれるのではないでしょうか。私はちょっとこのヌルヌルした感じが苦手かなと思います(^^;。なお,リピートはAria da capo含めて全て実行されていて完璧です。

録音ですが,残響が少しありますが,楽器音を濁すだけの質の悪い響きであり,音色もこれで変に色がついてしまっていて全く良くありません。明瞭感も今ひとつです。残念です。

演奏時間 約77分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
イングリッド・マルゾーナー Ingrid Marsoner (Piano)
October 2009, at Lehár Theater, Bad Ischl, Upper Austria
Gramola 98846 (P)(C)2010 Gramola (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
速めのテンポで歯切れの良い弾き方(ノンペダル?)が気持ちの良い快活な演奏です。速めといっても表現はごくごく自然でテンポの揺れや「ため」も最小限,違和感なくすんなりと耳に入ってきます。Aria da capo以外,全てリピートを実行しているのも二重丸です。技術的にも上手いと思います。

そして録音がまた良いのです。ピアノの音を邪魔する間接音が一切ないドライな録音で,明瞭かつ自然な音色でこの歯切れの良い演奏を一層引き立てています。マイク距離もほぼ適正,あざとさもなく,むしろ地味に感じるくらいで,もう少し音に輝きがあって欲しいくらいです。優秀録音ではないかもしれませんし,万人受けするとは思えませんが,間違いなく好録音です。

演奏も録音も好みで私にとっては大当たりの掘り出し物でした。グールド2回目イッサカーゼに続く愛聴盤候補として急浮上です(^^)。

演奏時間 約73分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××
sitkovetsky_kioi_sinfonietta_tokyo.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲(シトコヴェツキー編 弦楽合奏版)
ドミトリー・シトコヴェツキー指揮・独奏
紀尾井シンフォニエッタ東京

Kioi Hall, Tokyo, 12th-14th February 2015
MM-3051 (P)(C)2015 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ドミトリー・シトコヴェツキー編曲による弦楽合奏版。そして,そのシトコヴェツキーが指揮と独奏を務める。紀尾井シンフォニエッタ東京の編成は,8-7-6-4-2+チェンバロ。シトコヴェツキーは1984年に弦楽三重奏版を録音し,1993年にはニュー・ヨーロピアン・ストリングスと弦楽合奏版を録音しています。これは彼自身の3枚目のディスクだと思います。

弦楽合奏版といってもトップ奏者による室内楽的な部分も組み合わされた多彩な編曲内容になっています。シトコヴェツキーがリードする演奏は自由闊達で,弦楽合奏という演奏形態を存分に生かしたものになっています。原曲がバッハのチェンバロ曲であることを忘れてしまうくらい楽しい仕上がりだと思います。いくつかの変奏はグールドの演奏のように連続的に演奏されます。唯一残念なのは,第20変奏が原曲のイメージとだいぶ異なる編曲のまま今回も改訂されなかったことですね。

弦楽によるゴルトベルク変奏曲の演奏をここまで普及させ,独自の地位を獲得した彼の功績の大きさを改めて感じます。

リピートの実施ですが,次の通り変奏にによってバラバラです。

リピート表 (演奏時間 約59分)
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ×× Var.03 ××
Var.04 ○○ Var.05 ○× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○×
Var.10 ○○ Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ○× Var.15 ○×
Var.16 ○○ Var.17 ×× Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○× Var.21 ○×
Var.22 ○○ Var.23 ○× Var.24 ○×
Var.25 ×× Var.26 ○× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ○× Var.30 ○○
Aria da capo ××

さて録音ですが...残響の多い録音ではないのですが,ホールの空間を感じさせる響きが多く,明瞭感を落とし,ヌケの悪いモゴモゴした音質になってしまっています。会場の雰囲気は感じられるとはいえ,この響きは音質を劣化させているだけで音楽性にも心地よさにも全く寄与していません。せっかくの楽しい演奏が台無しで残念でなりません。

やっぱりマイスターミュージックの録音は私には全く合わないです...

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽五重奏版 松原勝也編)
松原勝也(Vn),山崎貴子(Vn),柳瀬省太(Va),菊池知也(Vc),吉田秀(Cb)
2012年10月15日 品川区民文化センター(セッション録音)
LIVE NOTES WWCC-7724 ナミ・レコード (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
解説書には礒山雅氏による次のような文が書かれています。「(前略)3声ではカバーできない音ももれなく拾い,重なり合う音型を多彩に配分し,コントラバスの参与によって通奏低音に基づく合奏の効果を再現するなど,種々の工夫が盛り込まれた新機軸の編曲である。」そして,「リズムを優先することの多いピアノによる《ゴルトベルク》に対し,本CDに聴かれる演奏は,弦楽器の美感を生かしながら作品の旋律性をていねいに引き立てている点で,異彩を放っている。(後略)」。

演奏を聴いてみて,実際その通りでした。良くも悪くもユル~イ演奏ですねぇ。確かに全曲を通してリズミカルに演奏される変奏はただの一つもありませんでした。酔っぱらいがヨロヨロよたっているように崩して演奏される変奏もあります(もちろん意図的な崩しだと思いますが)。また,リピートや前半から後半に移行するときに,必ず休止が入って「うっ!」となります。身体でリズムを感じようとしたり,呼吸を合わせて聴こうというのは困難で,そんな風に聴こうとすると呼吸が乱されて息苦しく胸が痛くなり,苦痛でとても音楽を楽しむどころではありません(→自分)。私には<生理的に>受け付けられませんでした。とても残念です。

なお,アリアは全てリピート実行,変奏は前半のみリピートあり,で統一されていました。

録音ですが,ホールでのセッション録音のようですが,残響はあまりなく,演出色のない生録的な素朴で素直な音作りでこの点は好感が持てます。録音会場の空間を意識させるような閉空間の響き(残響ではない)がわずかにあってこれが音色を少し濁しているのが残念です。ドライで潤いがないと思われる方もおられると思いますが,私はどちらかといえば好ましく思っています。

演奏時間 約76分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○× Var.02 ○× Var.03 ○×
Var.04 ○× Var.05 ○× Var.06 ○×
Var.07 ○× Var.08 ○× Var.09 ○×
Var.10 ○× Var.11 ○× Var.12 ○×
Var.13 ○× Var.14 ○× Var.15 ○×
Var.16 ○× Var.17 ○× Var.18 ○×
Var.19 ○× Var.20 ○× Var.21 ○×
Var.22 ○× Var.23 ○× Var.24 ○×
Var.25 ○× Var.26 ○× Var.27 ○×
Var.28 ○× Var.29 ○× Var.30 ○×
Aria da capo ○○

タグ : [室内楽曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ピアノ)
アンドレイ・ガヴリーロフ (Piano)
1992年9月 ヴィースバーデン
UCCG-5074(435 4362) (P)1993 Deutsche Grammophone (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
言わずと知れた名盤なので今更なのですが...とにかくものすごい勢いに圧倒されますね。しかもものすごい速さで弾いているにも関わらず,一音たりともおろそかにすることなく全ての音を正確無比に弾ききっているのが痛快です。しかもリピートをAria da capoも含めて全て行うという完璧さ! Var.13が一般的な演奏の倍速くらい速かったり,Var.25を11分以上かけたり,Var.29は頭拍を見失うほどの勢いだったり,いろいろと面食らうところもありますが,いろんな意味で楽しめる演奏だと思います。

録音ですが,やや残響を多めに取り入れているためにピアノの音色がくすみ,ぼやけていますが,まあ普通のピアノ録音の部類に入ると思います。ただ,やはりこれだけのキレの良い演奏なので,残響なしで超クリアに録ってくれていたらもっと良かったのにと思いますね。

演奏時間 約75分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽四重奏編曲版)
グレン・グールド:弦楽四重奏曲 作品1
カタリスト四重奏団 The Catalyst Quartet
録音データなし
ACD-71300 Azica Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
ゴルトベルク変奏曲の弦楽編曲版は見つけると買ってしまいます。これは弦楽四重奏への編曲で,この四重奏団自身が編曲しているようです。シトコヴェツキー版は弦楽三重奏ですが,こちらはヴァイオリンがもう一本多いため,旋律の受け渡しがもっと自由に柔軟に細かい単位でされていて,オリジナルの鍵盤楽器や弦楽三重奏にはない効果を生み出していて興味深いです(少しやり過ぎ感もありますが)。

演奏も小気味よく淀みなくスピーディで,気持ちよく音楽が展開していきます。アンサンブルもしっかりしていますし個々の奏者の技術も優れています。全体のまとまりを重視しているのか,それぞれの奏者の主張は控えめで上品に仕上がっています。せっかくの弦楽四重奏版なので,もう少しぶつかり合いがあっても良いかと思うくらいです。

それにしても残念なのは,リピートが全て省略されていることです。塚谷水無子さんのディスクのレビューでも述べた通り,私にとっては致命的で,ゴルトベルク変奏曲を心から楽しむための最低限の要件を満たしません。本当に残念でなりません。

リピート表 - 演奏時間 約41分
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ×× Var.03 ××
Var.04 ×× Var.05 ×× Var.06 ××
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ××
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ×× Var.17 ×× Var.18 ××
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ××
Var.22 ×× Var.23 ×× Var.24 ××
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ××
Aria da capo ××

このディスクにはグレン・グールドの弦楽四重奏曲 作品1も収められていますが,残念ながらこれは興味が沸きませんでした。それよりもリピートをキッチリと行って欲しかったですね。

録音ですが,残響が少し多めに取り入れられていて,明瞭感と音色に影響しています。室内楽の録音としては標準的でそんなに悪くないと思いますが,もっとクリアに抜けよく録って欲しいですね。
minako_tsukatani_bach_goldberg_variations_positev_organ.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ポジティフ・オルガン)
塚谷水無子 Minako Tsukatani (Organ)
May 4, 5 & 6, 2013 at Kusakari Organ Kobo, Kobuchizawa
PCD-1305 (P)(C)2013 Pooh's Hoop (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
パイプオルガンによる演奏。使われているのはポジティフ(ポジティブ)オルガンといって,ホールなどに据え付けられている大きなオルガンとは違い,ケースに入っていていくつかの部分に分解すれば移動可能なオルガンのことだそうです。膝載せ(卓上)のオルガンよりは大きく本格的な演奏にも使えるようですが,大きさは据え付け型の大きなものよりもずっと小さいため,出る音は軽く可愛らしいと言えます。このディスクではオルガン製作者の草苅徹夫氏が2004年に製作されたものが使われています。

この演奏は,このポジティフオルガンの可愛らしい音色の特徴をフルに生かし,曲に応じて低い音から相当高い音まで自在に使い分けられ,様々な表情が付けられていてとても魅力的な音楽に仕上がっています。個人的には大きなオルガンよりもこのような小さなオルガンの音色が好きなので,この演奏はとても嬉しいです。

しかし! この演奏には私にとって2つの大きな問題があります。一つ目は,こともあろうか全てのリピートが省略されているのです。正直言って私には致命的欠陥です。ゴルトベルク変奏曲を心から楽しむための最低限の要件を満たしていません。従ってリピート表は全て綺麗に×です。これは本当に残念でなりません。

リピート表 演奏時間 約42分
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ×× Var.03 ××
Var.04 ×× Var.05 ×× Var.06 ××
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ××
Var.10 ×× Var.11 ×× Var.12 ××
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ×× Var.17 ×× Var.18 ××
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ××
Var.22 ×× Var.23 ×× Var.24 ××
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ××
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ××
Aria da capo ××

そして二つ目は,リズムの崩れです。もちろん意図的に崩していると思うのですが,ビートを身体で感じ,演奏者と呼吸と合わせようとするのですが,これがことごとく外されるため全く音楽を身体で感じることが出来ず,呼吸を合わせることが出来ず,ものすごく息苦しく,胸が痛くなります。生理的に身体が受け付けません。西山まりえさんの演奏に比べればまだマシですが,それでも苦痛を感じます。ゴルトベルク変奏曲を聴いて苦痛を感じるとは!!

音色が好きなだけに,本当に残念でなりません。

そして録音ですが,あまり演出臭さのない自然な音の捉え方は好感を持つのですが,やや録音場所の空間を意識させる反射音が多めに入っていて,これが自然で素朴な雰囲気を出しているものの,音の輝きを失わせる原因になっていると思います。悪くはないのですが,もう少し楽器音のみをクリアに録って欲しかったものです。惜しいです。

塚谷さんは大オルガンでのゴルトベルク変奏曲の録音もされており(→Amazon.co.jp),また,“バッハを知る バロックに出会う「ゴルトベルク変奏曲」を聴こう!”という著書もあります(→HMV Onlineicon)。著書の方は先日入手したので,これはこれでじっくり読もうと思っています。
britten_sinfonia_bach_goldberg_variations[1]
バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽合奏版)
ブリテン・シンフォニア Britten Sinfonia
April 2014 at All Hallows' Church, Gospel Ork, London
HMU 807633 (P)(C)2015 harmonia mundi usa (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ドミトリー・シトコヴェツキー編曲の弦楽合奏版による演奏。弦楽合奏版ですが,ソロと合奏が効果的に組み合わされています。弦楽三重奏版に比べるとさらに原曲のイメージからは離れていくかもしれませんが,編曲版という枠を超えて独立した別物の作品と言えるくらい良くできた編曲だと思います。ディスクの数がまだまだ少ないのが残念です。

それでこの演奏なのですが,飛ばし弓を多用しているためか,音離れ?が良く大変小気味の良い躍動的な音楽に仕上がっています。アンサンブル蒙昧ですし,ソロを担当する奏者の技量もなかなかのもので,この弦楽によるゴルトベルク変奏曲の世界を存分に楽しむことが出来ました。一点だけ,第20変奏は原曲に近い編曲に戻して欲しかったかな...

録音ですが,やや残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが,楽器音自体は結構しっかりと捉えられていますので,残響量の割には印象は悪くありません。楽器の質感もそれなりにあって,弦楽器の魅力をうまく引き出していると思います。ソロも少しフォーカスしていますので聴きやすいです。残響をもう少し抑え気味にしてくれていたら文句なしだったのですが。惜しいです。まあ,残響の質も悪くなく,これなら優秀録音だと思う方もいらっしゃるかもしれません。

最後にリピート有無です。

Aria ○×
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○× Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○× Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○×

演奏時間 約1時間13分

ここまでリピートをしていてくれるのでまず不満はないのですが,ここまでしておいてなんで最初のアリアの後半のリピートを省略するの?と,これだけがほんと惜しいです。
marco_salcito_bach_goldberg_variations_guitar.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ギター独奏編曲版)
マルコ・サルチート Marco Salcito (Guitar)
P.I.M.S. Studios di Vasto, March 2014
CDS 7699/1-2 (P)(C)2014 DYNAMIC (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
演奏者自身の編曲によるギター独奏版。ギター1本でここまで出来るのか!と本当に驚きの演奏です。音域や運指上の都合で音型が変えられたり,リズムが若干崩れたりするところがあるのは仕方ないにしても,多声部の動きがギターの演奏であることを忘れさせるくらい違和感がなく緻密に再現されています。さらにギターらしい装飾を加える余裕さえ見せています(いや,余裕はないかな...(^^;)。

リピートも最後のAria da capo以外は省略されておらず,1時間50分にもわたる長大な演奏にも関わらず,テンポが遅いと感じるところも冗長だと感じるところもなく,全く退屈することなく聴き通すことが出来ました。私がギター編曲版が好きであるということもありますが,編曲にも演奏にも優れ,私が漠然と抱いていたギターという楽器の限界を完全に打ち破る驚きの連続の演奏であった,ということが大きいと思います。

録音ですが,残響がほとんどなく,ギターの音を誇張なく色づけなく極めて自然に捉えており,聴きやすい好録音でした。優秀録音というわけではありませんし,特徴のある録音でもない,どちらかといえば地味な印象の録音ですが,こういうのが良いのです。

素晴らしい演奏が好録音で残されたことに感謝!

リピート有無は以下の通り。完璧です。

Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ××

演奏時間 1時間50分
matthias_strings_bach_goldberg_variations.jpg
バッハ:ゴルトベルク変奏曲
(弦楽三重奏版/D. シトコヴェツキー編)

マティアス・ストリングス Matthias Strings
Recorded at Kimitsu Shimin Bunka Hall, Chiba, 22nd July 2014.
MM-3031 (P)(C)2014 Meister Music (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
マティアス・ストリングスは,齋藤真知亜(Vn),坂口弦太郎(Va),桑田歩(Vc)の三名で構成されています(団体名は真知亜'sをもじったものでしょうか?まさか違いますよね?)。

シトコヴェツキー編のゴルトベルク変奏曲弦楽三重奏版は,見つけると買ってしまう曲なのですが,かなり多くのディスクが発売されてきました。編曲ものということもあってか,ピリオド楽器での演奏もピリオドアプローチの演奏も私の記憶の中にはなく,バッハの音楽でありながらピリオドに浸食されていない(されそうもない)私にとっては貴重で有り難い状況にある楽曲です(^^;。

このマティアス・ストリングスによる演奏もそういったピリオドを全く意識しないモダン語法で,極めて真面目にキッチリと演奏されています。裏拍まで一つ一つの音の音価を等しく扱うような丁寧な弾き方ですね。安心して聴ける一方でちょっと大人しすぎるというかノリに乏しいところが,もう少し快活な方が好きなんですけどね。

録音ですが,やや残響が多めでしかも空間性の再現に寄与せず楽器音に被って濁すだけの響きなので,明瞭感に乏しくもわっとしたところにもどかしさを感じるのですが,それでも音色の曇りは何とか許容範囲かなと思います。もっとクリアにシャキッとした音で録音して欲しいものです。

最後にリピートについて。全て確認したところ下記の通りでした。前半・後半のリピートの有無をそれぞれ○×で示しています。○はリピートあり,×はリピート省略です。

Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ○× Var.03 ○×
Var.04 ○× Var.05 ×× Var.06 ○○
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○×
Var.10 ○× Var.11 ×× Var.12 ○×
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ××
Var.16 ×○ Var.17 ×× Var.18 ○×
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ○×
Var.22 ○× Var.23 ×× Var.24 ○×
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ○×
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ○○
Aria da capo ××

演奏時間 約55分

Var.07は最後に半端にリフレインのようなフレーズが入ります。また,Var.18は後半のリピートをする振りをして同様にリフレインのようなフレーズが入ります。

リピートの省略が多いのがやっぱり残念ですね。

タグ : [室内楽曲]

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