好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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ハイドン:弦楽四重奏曲全集
フェシュテティーチ四重奏団 Quatuor Festetics
(C)2014 Arcana
参考: e-onkyo

当ブログの読者から情報をいただきました。有り難うございます! 以前,分売のCDを取り上げていたのですが(→こちら),e-onkyoで破格の値段で出ているとのことでした。

私は分売で入手したのですが,その後全集としてCD 19枚組で発売されていました。1万円以上していましたが,e-onkyoでは税込2,500円です。フォーマットは44.1kHz/24bitのハイレゾです。これは持っていて損はないと思い,購入しました。これで場所を取っていた分売CDを手放してもいいかなと思いました。これは本当に助かります。

演奏と録音の感想は以前の記事を参考にしていただければ幸いです。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品76「エルデーディ四重奏曲」第1番~第3番
エルデーディ四重奏団
2002年4月 東京都下三鷹市 風のホール
PAU-0001 (P)2002 PAU CD (国内盤)
好録音度:★★★
参考: 公式Webサイト

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品76「エルデーディ四重奏曲」第4番~第6番
エルデーディ四重奏団
2004年2月25~27日 山梨県牧丘町文化ホール
PAU-0002 (P)2002? PAU CD (国内盤)
好録音度:★★★
参考: 公式Webサイト

おぉ!これは驚くほど完成度が高いですねぇ!一音たりともおろそかにせず,細部に至るまで神経を行き届かせ,整然と,きっちりと仕上げていますね。オーソドックスで特徴的なところはそんないないのですが,ここまで極められると「お見事!」と言うしかありません。生真面目な日本人の美質が活かされた素晴らしい演奏だと思います。

しかし,この録音はいけません。残響が多く,また直接音よりも残響が支配的なために,音色は大きくくすみ,全く冴えません。ニュアンスもかなり失われ,楽器の質感も感じ取りにくいです。残響が音楽的にまったくプラスに働かず,鑑賞の邪魔にしかなっていません。せっかくの素晴らしい演奏を台無しにしています。少々厳しめですが抗議の意味を込めて三つ星評価です。

録音が良ければ間違いなく愛聴盤になっていたと思うのですが...残念でなりません。

エルデーディ弦楽四重奏団は1989年に東京芸術大学の卒業生で結成された弦楽四重奏団とのことです。メンバーは蒲生克郷(Vn),花崎淳生(Vn),桐山建志(Va),花崎薫(Vc)。

このディスクは一般には市販されていないのか,店頭や通販ショップでも見かけません。公式Webサイトからメールで注文して購入します。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Concert Hall, Wyastone Estate, Monmouth, on 25-30 June 2012
CDA67955 (P)(C)2013 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品50
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Potton Hall, Dunwich, Suffolk, on 24-28 October 2014
CDA68122 (P)(C)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品54, 作品55
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
Potton Hall, Dunwich, Suffolk, on 5-10 November 2015
CDA68160 (P)(C)2017 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

少し前に作品9,作品17,作品20を取り上げた続きです。全集に向けて録音されているのかはわからないのですが,現在作品番号順に作品55まで発売されています。演奏スタイルはこれまでの録音と変わらず一貫していますが,より大胆に変化を付ける表現が増えているようには思います。技術的にも上手いですし,響きの美しさも特筆できますし,ハイドンとしてはロマンティックで,かつ素直な表現にも好感を持ちました。今後の録音が楽しみです。

録音ですが,作品33と作品50は少し残響が気になるものの,音の透明感,輝き,伸びが感じられ,ストレスなく聴くことが出来る好録音です。一方作品54, 55はややマイクポイントが遠く,音色がくすみがちで楽器の質感も失われてしまっていますし,音場の広がり感も少し希薄です。そんなに悪くはないのですが,作品33, 50と同じ録音で統一して欲しかったところです。惜しいです。今後の録音が元に戻されることを切に希望します。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品9
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
St Paul's Church, Deptford, on 28-31 January and 2 February 2007
CDA67611 (P)(C)2007 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品17
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
St George's Brandon Hill, on 6-11 August 2008
CDA67722 (P)(C)2009 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品20「太陽四重奏曲集」
ロンドン・ハイドン四重奏団 The London Haydn Quartet
All Saints' Church, East Finchley, London on 6-10 September 2010
CDA67877 (P)(C)2011 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピリオド楽器での演奏。急速楽章は快活ですが,全体としては柔らかいタッチが印象に残ります。そして美しくロマンティックな節回し。気負いなく素直に表現していて好感が持てます。私の初期の弦楽四重奏曲のイメージを大きく塗り替えてくれました。特に作品17がこんなに魅力的な曲集だったのか!とちょっとうれしくなりました。おそらく全集を目指して作品9から順番に録音をしているのだと思いますが(2017年2月時点で作品55までリリース済み),これは楽しみです。

録音ですが,それぞれ異なる場所で録音されています。作品17が最も良く,残響を控え目に透明感ある美しい音で楽器音を捉えています。次いで作品9で,やや残響感は多めですが,直接音が主体で曇りのない音で録られています。作品20はやや残響が多めでマイクポイントも遠めであり,音色が少し曇っています。許容範囲ですが,作品17のように録ってくれなかったのが残念です。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33「ロシア四重奏曲」第1番~第3番
The London Fox Players
録音不明
好録音度:★★★☆
(P)2006 Classic Fox Records
参考: Amazon.co.jpApple Music

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ハイドン:弦楽四重奏曲作品33「ロシア四重奏曲」第4番~第6番
The London Fox Players
録音不明
(P)2006 Classic Fox Records
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

ディスクでの販売は見あたりません。配信のみと思われます。詳細がよくわかりません。The London Fox Playersという団体も全く情報が見つけられませんでした。弦楽四重奏団なのかどうかさえわかりません。モダン楽器による演奏のようです。技術的にはかなり巧いと思いますが,淡泊です。あまり曲をいじることなく素直にすっきり表現していて嫌いではありません。むしろ他の弦楽四重奏団の演奏にはない独特の味を出しているとも言えるかもしれません。あまり評価される演奏ではないかもしれませんが,私は楽しめました。

さて肝心の録音ですが,少々残響過多で演出が過ぎるように思います。明瞭感に乏しく音色も残響による影響で色がついてしまっています。もっとすっきりと見通しよく録ってほしいものです。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品33「ロシア四重奏曲」
アポーニー四重奏団 Appónyi Quartet
May 1993, DLF Köln, Sendesaal
ARS MUSICI 232160 (P)1993 Freiburger Musik Forum (C)2009 M.A.T. Music Theme Licensing Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

フライブルク・バロック管弦楽団のトップ奏者で編成されたアポーニー四重奏団によるハイドンのロシア史重奏曲集です。ボッケリーニの弦楽四重奏曲集が良かったので,このハイドンも聴いてみることにしました。バロック楽器による演奏です。

快活で明るく音楽の喜びに溢れた演奏ですね。技術的にも申し分なく,透明感のある美しい響きが素晴らしいと思います。

そして録音なのですが,わずかに残響を伴っているものの,直接音を主体にすっきりと響きを美しく捉えています。もう一歩寄って楽器の質感を強めに録ってくれていたら完璧だったと思うのですが,これでも十分に好録音です。

私が探した限りでは,アポーニー四重奏団の演奏はボッケリーニとこのハイドンしか見つけられませんでした。もう少し多くの録音を残してくれたら良かったのに,と少々残念です。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76より「五度」「皇帝」「日の出」
ザ・サンライズ・クヮルテット The Sunrise Quartet
1998年3月13,14日 Xavier Chapel, Melbourne, Australia
PRCD-5282 (P)(C)1998 VICTOR ENTERTAINMENT (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records

ザ・サンライズ・クヮルテットは,オーケストラ・アンサンブル金沢の名誉コンサートマスター,マイケル・ダウスが率い,坂本久仁雄(2nd Vn),石黒靖典(Va),大澤明(Vc)が参加しています。きっちりした安定感,安心感のあるアンサンブルはさすがというところですが,音楽作りとしてはちょっと守りに入っているような気がします。緩徐楽章の歌心ある叙情的な表現は良いのですが,両端楽章はあっさりとしていてもうひと味欲しいのと,テンポが落ちつきすぎてワクワク感に欠けます。上手いんですけどね。オーケストラと違ってもう少し個々の楽器の魅力が強く聴こえてきて欲しいですね。

録音ですが,残響は低域の響きを中心に少し多めに取り入れられていますが,直接音がそれなりに感じられるので,ぎりぎり許容範囲というところです。音像が全体にこぢんまりとしていて分離感がなく,もう少し左右の広がりを持たせて分離感とスケール感を持たせて欲しいところです。音色と雰囲気の自然さはあるので惜しいと思います。

この団体,今でもまだ活動を続けておられるのか,よくわかりませんでした。また余談ですが,サンフランシスコ交響楽団のメンバーで構成されるSunrise String Quartetという全く別の団体がありますね...
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品20 Nos 1-3
キアロスクーロ四重奏団 Chiaroscuro Quartet
February 2015 at hte Sendesaal Bremen, Germany
BIS-2158 (P)(C)2016 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アリーナ・イブラギモヴァ率いるキアロスクーロ四重奏団のハイドン弦楽四重奏曲集となれば聴かざるを得ません(^^;。このカルテットは,ピリオド奏法を現代的な感覚で取り入れた演奏が特徴ではないかと思っているのですが,それがこのハイドンでも遺憾なく発揮されています。ただあまりにも流麗で美しすぎるこの演奏はハイドンを聴いているという感じではなく,ちょっと違うかなという印象です。あくまで個人的嗜好で,それがこの演奏の良さでもあるとは思うのですが。

さて録音なのですが,ややオフマイクで残響豊かに録っていて,直接音比率が低めで明瞭感が低く,また音色も残響の影響で冴えず曇りがちです。せっかくの美しい演奏がこれでは台無しです。そんなに悪くはないと思うのですが,このカルテットの魅力を半減させています。もったいないです。BISへの初めての録音とのことですが,BISはこういう録音が多くあまり好きなレーベルではなく,これでは先が思いやられます。

全くの余談ですが,“Chiaroscuro”というと,ブルーグラスの大御所,フィドラーのダロル・アンガーとマンドリン奏者のマイク・マーシャルが1985年にウィンダム・ヒル・レーベルから発表したニューエイジの名盤のタイトルが“Chiaroscuro”でした。私にとって“Chiaroscuro”というとこちらの印象が強いです。Apple Musicでも聴くことができますので,よろしければ一度聴いてみてください(^^)。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76 「エルデーディ四重奏曲」 No.1-3
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
録音不明
(P)1993 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpApple Music

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76 「エルデーディ四重奏曲」 No.4-6
パノハ四重奏団 Panocha Quartet
録音不明
(P)1989 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

Apple Musicでの試聴です。

いつも参考にさせていただいてるハイドン音盤倉庫パノハ四重奏団のハイドン弦楽四重奏曲集作品55が取り上げられていて,ちょっと聴いてみようとApple Musicで検索してみたところ,作品76も録音されていることがわかり,まずこちらを聴いてみることにしました。

速めのテンポで音楽が全く淀みなく流麗に前に前に流れていくのが良いですね(前のめりすぎる?)。技術的なキレもあります。あまりにもあっさりと音楽が進んでいくのが逆に物足りなく感じられなくもないのですが,変に溜めが入ったり,いじくり回されたりしていない潔さが良いとも言えますね。結構気に入りました。他の演奏も聴いてみたくなります。

さて録音ですが,No.1-3とNo.4-6で少し差があります。前者の方は少し残響が多めでわずかながら音色がくすんでいて明瞭感,音の伸びが劣ります。一方後者は残響が控えめで前者よりもずっと音色がクリアで伸びがあり自然です。音像はどちらも少しこぢんまりしているので,もう少し左右の広がり感,立体感が欲しいところです。質感もほんのわずかに強めだったらなと思います。惜しい面もありますが,少なくとも後者は十分好録音です。スプラフォンは好きな録音が多いのですが,ちょっとばらつきがありますね。

これらのディスクはすでに廃盤になっているのか,少し入手しづらいようです。もったいないですね。Apple MusicやAmazonなどの音楽配信で聴けるのは有り難いことですね。
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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 No.2, 3, 5 (フルート四重奏版)
モードゥス四重奏団 Quartett Modus
STR33874 (P)2010 Stradivarius (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 No.1, 4, 6 (フルート四重奏版)
モードゥス四重奏団 Quartett Modus
STR37019 (P)2015 Stradivarius (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ハイドンのエルデーディ四重奏曲のフルート四重奏版で,ヴァイオリン1本がフルートに置き換わっています。フルートという楽器の制約上,音型が変更されていたり,重音のところを分散和音にしたりと編曲がなされていますが,意外と違和感がなく楽しむことが出来ました。フルートのさわやかな響きが良いですね。

しかし,録音が今ひとつ良くありません。残響過多でモワモワと浮ついています。明瞭感が良くなく,楽器の質感も感じ取りにくいです。そしてなぜか歪みっぽいです。せっかくの楽しい演奏なのにこの録音では存分に楽しめませんね...残念です。
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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2015年6月12日-13日, 7月26日-28日 ポットン・ホール(サフォーク)
CHAN 10886 (P)(C)2016 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

見つけると買ってしまうハイドンのエルデーディ四重奏曲集です。こっ,これはなかなかに曲者の熱い演奏ですねぇ。伝統的な演奏にとらわれず,好き勝手に楽しんで演奏しています(^^;。遊び心満載のワクワクする演奏です。大胆にデフォルメしたり,突然内声が普通やらない奏法で主張し出したり,結構いっぱい仕掛けがあって面白いです。モダン楽器の表現力をフルに活かしています。技術的にも上手いです。リピートもきっちりとやっているようです(たぶん...)。好き嫌いが分かれると思いますが私は気に入りました。

録音ですが,残響は控えめですが,少し録音会場の響きが被っているように感じられます。そのためか第一印象は冴えない録音のように感じられるのですが,脚色の少ない自然な音色であり,楽器の質感も悪くありません。ドライで地味な印象を受ける録音ですが,残響の影響がほとんど気にならない好録音だと思います。
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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」Vol. 1
アルベルニ四重奏団 Alberni Quartet
録音不明
(P)2012 Collins Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Apple Music

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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」Vol. 2
アルベルニ四重奏団 Alberni Quartet
録音不明
(P)2011 Collins Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Apple Music

Apple Musicでの試聴。モダン楽器の流麗さが気持ちの良い好演奏。古典であることを思わず忘れてしまいそうな歌心がいいですね。全てかどうかは未確認ですが,普通省略されることの多いリピートを結構ちゃんとやっていそうで,その点でも好感を持ちました。

録音ですが,少し残響を多めに取り入れていて音色に影響はあるものの,それほど楽器音を濁しておらず許容範囲です。残響が気にならない方には良いかもしれません。私としてはもう少し残響を抑えて楽器そのものの美しい音色を聴かせて欲しかったとは思いますが。

このディスクは,いつも参考にさせていただいているハイドン音盤倉庫の記事で知りました。有り難うございます。この記事が掲載されたころはAmazon.co.jpのマーケットプレイスで約6,000円で出品されていたのですが,どうしようか躊躇している間に売れちゃいました(^^;。このApple Musicの演奏とおそらく同じものですね。

Apple Musicでは,“Alberni Quartet”で検索してもVol. 1しか出てこず,なぜだろうと相当悩みましたが,Vol. 2は“Alberini Quartet”と誤った団体名で登録されていたせいでした。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品76-1, 50-1, 77-1
モディリアーニ四重奏団 Quatuor Modigliani
2013年4月21-24日 ラ・グランジュ,エヴィアン=レ=バン
MIR231 (P)2013 mirare
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
ドビュッシー,ラヴェル,サン=サーンスの弦楽四重奏曲集が良かったモディリアーニ四重奏団のハイドンです。ここでもその実力が遺憾なく発揮され,モダンで洒落た演奏をしています。いいですねぇ,楽しいです。ハイドンの演奏には圧倒的技術的余裕が必要だなと思わせますね。

録音は,やや誇張された感のあったドビュッシー他の録音に比べると,演出感がなくなり随分と自然な印象の録音になっています。その分,各楽器の明瞭感と分離感は薄まっていますが,残響がほぼ影響のない程度に抑えられているため音色のくすみも少なく,透明感のある綺麗な音で録られています。やや地味で控えめな感じのする録音ですが楽器の音を大切にした誠実な?好録音です。

彼らのハイドンは2作目で,1作目は作品54-1, 74-3「騎手」, 76-4「日の出」でした。個人的には作品番号でまとめて録音して欲しいんですけどね(特にエルデーディ四重奏曲)。そういう気はないようですね...
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ハイドン:弦楽四重奏曲Op.64-4,Op.74-3「騎士」,Op.76-5
ミネッティ・クァルテット Minetti Quartett
Feb./Oct./Dec. 2008, Lisztzentrum Raiding, Burgenland, Austria
CD 98.589 (P)(C)2009 hänssler CLASSIC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
いつも参考にさせていただいているハイドン音盤倉庫で絶賛されていたディスクです(有り難うございます!)。先に紹介したベートーヴェンと同時に入手していました。

同クァルテットの最初のCDです。個々の奏者の高い技量と抜群のアンサンブル力が遺憾なく発揮された素晴らしい演奏。モダン楽器の特質を活かした美しい音色で奏でられるフレッシュな音楽に感動します。この中では騎士の終楽章に最もこのクァルテットの良さが出ていると思います。一方Op.76-5は少し軽めの表情付けで,終楽章はスリリングな演奏を期待したのですが,すごく丁寧な演奏でした。もう少し攻めの演奏が聴きたいところですが,これはちょっと贅沢な要求かもしれません。

録音ですが,比較的オンマイクで大きな音像なのですが,残響が多くヌケが悪くなり音色が損なわれてしまっているのは残念です。このクァルテットの演奏はクリアーにすっきり録ってこそ活きてくると思うので,この録音は少し残念に思います。とはいえ,客観的にはそんなに悪くないと思いますけどね。

最近の若手の四重奏団は優秀な団体が多いと思いますが,この四重奏団はそんな中でも特に注目に値する実力を持っているように思います。今後の録音にも注目していきたいですね。ハイドンではエルデーディ四重奏曲Op.76を全曲まとめて録音して欲しいところです。
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ハイドン:弦楽四重奏曲ニ長調作品76-5
スールベリ:弦楽四重奏曲ロ短調
グリーグ:弦楽四重奏曲
エンゲゴール四重奏団 Engegårdkvartetten
2007年10月 ヤール教会(オスロ,ノルウェー)
2L53SACD (P)(C)2008 Lindberg Lyd AS (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo
北欧の高音質レーベル2Lのディスクをさらにもう一つ。このディスクはSACDハイブリッドです。この他にe-onkyoでハイレゾ音源の配信もされています。この録音も先に紹介したモーツァルトのヴァイオリン協奏曲と同様大変素晴らしいです。残響は結構ありますが,全くと言っていいほど邪魔になりませんし(まあ本音を言うともう少し抑えて欲しいとは思いますが(^^;),距離感も適切で楽器の質感を解像感高く,透明感をもって捉えています。各楽器の分離の良さ,見通しの良さも申し分ありません。全体に高域よりのバランスで低域はやや弱いですが,締まっているのでマイナスには思いません。オーディオ的なクオリティを含めて文句なしの五つ星です。

演奏もスピード感のあるキレの良さが痛快,緻密で隙のないアンサンブルが素晴らしいです。こういう現代的なハイドンは大歓迎。ハイドン,モーツァルト,ベートーヴェンなどをもう少しまとめて録音してくれるとうれしいのですが...

このディスクもリファレンス音源候補となりました。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品76「エルデーディ四重奏曲」
ジョヴァンヌ・クァルテット・イタリアーノ Giovane Quartetto Italiano
1990年 ミラノ
(P)1995 Claves ※iTunes Music Storeにてダウンロード購入
好録音度:★★★★★
参考: Amazon.co.jpAmazon.co.jp(MP3)
いつも参考にさせていただいている「ハイドン音盤倉庫」で知ったディスクです。有り難うございます。このブログで絶賛されていましたのでiTunes Music Storeで試聴してみたところ,演奏も良さそうだったのですが,録音も良さそうだったので,ダウンロード購入しました。本当はオリジナルのディスクを入手したかったのですが,Amazon.co.jpでは少し高価であり,その他で見つけられなかったので...

演奏に関してはハイドン音盤倉庫で述べられているとおりです。伸びやかで明るく溌剌とした演奏がハイドンにピッタリと合っています。技術的にもしっかりしています。

そして録音ですが,オンマイクで極めて明瞭に各楽器を捉えています。オンマイクといっても適切な距離感があり,ドライになりすぎない程度に控えめに響きが取り入れられています。若干中域に癖を感じるものの,自然さを失うほどではありません。オーディオ的観点からは少し不満が残るかもしれないので優秀録音とは言いませんが,間違いなく好録音です。

この弦楽四重奏団は,Giovane Quartetto Italiano から Nuovo Quartetto Italiano と楽団名が変わっているようです。ハイドン音盤倉庫のコメントでもあるように「若手イタリア四重奏団」から「新イタリア四重奏団」となったというところでしょうか。このハイドンは,配信はあるものの,ディスクは現役盤ではないようです。演奏も録音も良いので残念です。

なお,iTunes Music Storeで購入したものはAAC 256kbpsでエンコードされたものでDRMフリーでした。価格は\1,800です。
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ハイドン・トータル haydn total ハイドン:弦楽四重奏曲全集
東京藝術大学音楽学部室内楽科とウィーン音楽演劇大学ヨゼフ・ハイドン室内楽研究所との共同プロジェクト
2008年~2012年
東京藝術大学出版会 (P)(C)haydn total project (国内盤)
好録音度:★★★☆~★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jp
2008年の初めから2012年にかけて,ハイドンの弦楽四重奏曲68曲を,東京藝術大学音楽学部室内楽科とウィーン音楽演劇大学ヨゼフ・ハイドン室内楽研究所の両大学で分担し録音されたもの。演奏は両大学の現役学生と卒業生で,名前のついている弦楽四重奏団が27団体,このプロジェクトのために編成された“4 for Haydn”が10団体参加しています。すでに国際的に活躍している団体もあるようですが,大多数がこのプロジェクトのために編成されたとのことです。

また,録音指導と録音技師の養成もこのプロジェクトの重要な要素であったとのことで,多くの録音プロデューサとバランスエンジニアが名を連ねています。

収録曲は,最新の研究の成果を反映して,Opp.1 & 2, Op.9, Op.17, Op.20, Op.33, Op.42, Op50, Opp.54 & 55, Op.64, Opp.71 & 74, Op.76, Op.77, Op.103の計68曲で,十字架上の七言は編曲ものということで省かれています。

というような企画なので,いったいどんな演奏が聴けるのだろうかと半ば不安に思いながら聴き始めましたが,多くの団体が分担しているにも関わらず,全体としての統一感があり,水準も高いことに驚かされました。指導が行き届いているのでしょう。演奏者の“個性”は抑えられている感がありますが,逆にそれが功を奏し,ハイドンの音楽の素朴さ,楽しさが浮き彫りになっているように思いますし,またこの統一感が全集としての価値を上げているとも思います。

さて,期待の録音ですが...う~ん,私としてはちょっと期待はずれでした。残響はそれほど多くないのですが,初期反射音と残響との間くらいの反響音が多く,これが楽器音の明瞭感を奪い,音色を大きく曇らせる原因になっています。この反響音は残念ながら音楽的には何の役にも立っていません。楽器の質感を,鮮度を,精彩を奪っているだけです。演出臭はあまりなく生録的な素朴な録音で場の雰囲気はある程度伝わってくるのですが。

多少のばらつきはありますが,録音も概ね全体的には揃っています。この録音で揃ってしまっているというのは本当に残念なのですが...

余談ですが,この箱のでかさには閉口します。存在感ありすぎです。80枚組くらいかと思ってしまいました(22枚組です)。保管場所の確保が大変ですし,持ちにくいですし,箱も開けにくいですし,ディスクも取り出しにくいですし...力を入れたい気持ちはわかるんですけどね。
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ハイドン:弦楽四重奏曲全集
エンジェルス四重奏団 Angeles String Quartet
参考: HMV OnlineTower Records

エンジェルス四重奏団のハイドン弦楽四重奏曲全集は以前に取り上げました(2010年11月6日のエントリー)。録音はあまり感心しなかったものの,全集がこの価格(6~7,000円)で買えるのであればかなりお買い得ですね。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76「エルデーディ四重奏曲」より「五度」「皇帝」「日の出」
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
2009年11月4~6日 マリエンミュンスター修道院
MDG 307 1683-2 (P)(C)2011 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
ライプツィヒ四重奏団は,ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者による四重奏団で,現在ハイドン弦楽四重奏曲全集が進行中,これが第3弾ということです。

演奏は流麗で香り高く上品。アクセントを抑制したなめらかな旋律が心地よく響きます。しかもそれでいて小気味よさを失っていません。強い個性があるわけではありませんが,これはなかなかいいですね。全集に向けた今後の録音が楽しみです。

録音ですが,残響の楽器音への被りがやや多く明瞭感と音色が少し損なわれています。残響の質もあまり良いとは思いません。それでも何とか高域の伸びが確保されて曇った感じは少ないので何とか許容範囲というところです。音自体はきめが細かくなめらかでオーディオ品質は良好です。残響が気にならない人には良い録音かもしれません。まあそんなに悪くはないのですが,私としてはもう少し残響を抑えてすっきりと明瞭に録って欲しかったと少し残念に思います。演奏が上質なだけに...う~ん,もったいない...
cover picture (a)Op.71 cover picture (b)Op.74

ハイドン:弦楽四重奏曲 作品71, 74「アポニー四重奏曲集」
タカーチ四重奏団 Takács Quartet
2010年11月15-17日,2011年1月30日-2月2日 ワイアストン・コンサート・ホール
(a)CDA67793 (b)CDA67781 (P)2011 hyperion (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online(Op.71Op.74),Amazon.co.jp(Op.71, Op.74)

モダン楽器(ピリオド・アプローチでない(^^;)によるハイドン演奏。力の入った演奏で生真面目で丁寧ですが,躍動的でもあります。技術的にも冴え渡りアンサンブルも完璧,さすがです。楽しい演奏を目指しているという感じではなくハイドンらしくないようにも思いますが,かえってこれが微笑ましく感じられたりもします。一流の演奏でこういうハイドンが聴けるのがうれしいですね。

録音ですが,やや残響感があるものの,楽器音の明瞭さ,音の伸びは良好で好印象です。距離感も適切です。オーディオ品質も高いと思います。私の望む録音とは少し違うものの,弦楽四重奏の録音として良い部類に入ると思います。硬めのカチッとした音質はこの四重奏団のキレの良い演奏に合っています。
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ハイドン:弦楽四重奏曲作品20「太陽四重奏曲集」
ハーゲン四重奏団 Hagen Quartet
München, Residenz, Max-Joseph-Saal, 11/1992 (No. 3) & 5/1993 (Nos.1 ,5 , 6); Rapperswil, Schloß, Rittersaal, 1/1993 (Nos. 2 & 4)
439 920-2 (P)1994 Deutsche Grammophon GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Amazon.co.jpAmazon.co.uk

モーツァルトの弦楽四重奏曲の演奏と同様に,現代的で洗練されたハイドンの演奏はさすがと言えると思います。キレの良さ,スピード感,ダイナミックレンジの大きさ,他の四重奏団ではなかなか味わえません。元々あまり進んで聴かない作品20ですが,この曲の新しい魅力を発見した気がします。

録音ですが,No.1, 5, 6は残響が多めで明瞭感が悪く音もくすみがちです。残りの曲はそれに比べると少し良好ですが,それでももう少しすっきりと透明感のある音で録音して欲しかったと思います。ちょっと厳しめですが三つ星半ですね。

このディスク,以前から注目していたのですが廃盤でAmazon.co.ukなどではプレミア価格が付いていて手が出なかったのですが,先日久しぶりにチェックしてみると,£9.91で出ているではないですか! すかさず注文しました。送料込みでも日本円で1,700円弱,盤の状態も良好でラッキーでした。

それにしても,なんでエルデーディ四重奏曲を録音してくれないんでしょうね!
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ハイドン:弦楽四重奏曲全集
コダーイ四重奏団(Kodály Quartet)
録音:1989年-2000年
8.502400 (P)1989-2003 (C)2008 Naxos Rights International Ltd. (輸入盤) (CD 25枚組)
好録音度:★★★★☆(Op.54のみ),★★★★(Op.55のみ),★★★☆(その他)
参考: HMV Online

この演奏,どちらかといえばモダン楽器による旧世代的な印象を受けます。生真面目で遊びの要素がほとんど感じられません。インテンポで淡々と引き締まった音楽を作り上げていきます。ハイドンでこれはどうかなと思いながら聴いていたのですが,なんのなんの,この潔さがある種の爽快感を生み出しているのです。ピリオド的要素を取り入れた最近の演奏に慣れつつある耳にはかえって新鮮に聴こえてきます。こんなハイドンも良いじゃないですか。技術的にも優れています。気に入りました。

録音ですが,残響はそれほど多くないものの,音色が曇りがちです。ディスク毎にばらつきはあるものの,総じてあまり良い印象ではありません。中では唯一作品54のディスクだけが良好,全部がこの録音で統一されていたらすごく良い全集になったのに,と残念でなりません。

なお,この全集には偽作とされる作品3も含まれています。
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ハイドン:弦楽四重奏曲全集
ブッフベルガー四重奏団(Buchberger Quartet)
2002-2008, Evangelische Burgkirche Nieder-Rosbach, Germany
Brilliant Classics 93889 (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Online

時折ピリオド的な響きが聴こえたり,装飾の付け方が変わっていたりと,個性的な表現が垣間見えます。といっても行き過ぎた表現はなく,自己主張というよりハイドンの楽しみ方のヴァリエーションの一つくらいの感じなので嫌みに感じることはありません(正直に言うと最初は少し鼻につく感じでしたが何度も聴いているとだんだんこれが楽しく感じられるようになってきました)。全集としてそれなりに納得できる内容です。技術力も十分あり安心感もあります。

録音ですが,残響は抑えめで明瞭感,質感はまずまず良いのですが,響き(おそらく初期反射音)のレベルが高く中域にすごく強い癖が乗ってしまっています。これはいただけません。解説書のレコーディング風景の写真から会場は少し小さめの教会のように見えます。奏者毎に2本ずつ比較的近い距離にマイクが設置されているので録り方は悪くないと思いますが,恐らく奥と左右の壁面のからの反射が高いレベルで遅延時間もそれほどなく入ってきているのではないかと思います。録音会場の選択ミスとも言えるのではないかと。これはちょっともったいない録音です。この癖がなければかなり良いと言えるところだったのですが。

buchberger_quartet_haydn_recording_120.jpg レコーディング風景(クリックで拡大)

なお,この全集も偽作が除かれているので作品3は収録されていません。
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ハイドン:弦楽四重奏曲全集
エンジェルス四重奏団(The Angeles String Quartet)
St. Stephen's Episcopal Church, Belvedere, California, between April 1994 and June 1999.
464 650-2 (C)2000 Philips Classics (P)2000 The Joseph Haydn Society Incorporated (輸入盤) (CD 21枚組)
好録音度:★★★
参考: HMV Online

モダンでスマート,ハイドンとしては格好良すぎてもう少し愛嬌があってもいいんじゃないの?と思うほど。技術的にも優れていますし,全体としてもレベルの高い全集だと思います。癖もなく安心して聴くことが出来ます。

録音ですが,オーディオ品質はかなり良く,音がすごくなめらかで綺麗です。しかし,それ以前の問題として,肝心の中身の音の録り方が良くありません。直接音よりも間接音成分が支配的で明瞭感,透明感に乏しくヌケも悪く全く冴えない音です。響きの質というか取り入れ方が根本的に良くないと思います。もっと直接音主体ににして,その周囲に直接音を邪魔しないようにふわっと残響を取り入れるべきです。器が良くても中身が伴わなければ意味がありません。演奏が良いだけにこの録音には落胆しました。

HMV Onlineのレビューを見ていると,録音も概ね優秀と捉えられているようです。オーディオ品質の高さ,そしてそれなりの雰囲気があることは認めますが,私はこの録音を肯定したくありません。(あえて辛めの三つ星...)

なお,偽作とされるOp.3と『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』は含まれていません。
cover picture (a) cover picture (b)

(a) ハイドン:弦楽四重奏曲全集
録音:1972年~1977年1月 St. John's Smith Square, London/St. George the Martyr Holborn, London(Op.71 & 74 only)
使用楽譜:レジナルド・バレット-エイルズとH.C.ロビンス・ランドンの共同編集による批判版
KICC 6001-24 キング・レコード (国内盤) (CD 24枚組)

(b)ハイドン:弦楽四重奏曲全集
478 1267 (P)(C)2009 Decca Music Group Limited (輸入盤) (CD 22枚組)
※録音データ記載なし (HMV Onlineでは「1972~76年、ロンドン(ステレオ)」と記載)
参考: HMV Onlineicon

エオリアン四重奏団(Aeolian Quartet)
好録音度:★★★★☆,★★★(Op.71,74のみ)

(a)の全集が発売された当時私はまだ独身で薄給でしたが,ちょうどボーナス時期だったこともあり,これは買うしかないと思って清水の舞台から飛び降りるような気持ちで(大げさな...(^^;)購入した記憶があります。定価49,800円でした。しかし,購入して聴いてみると,今ひとつパッとしない演奏だなぁと思ってろくに聴かずに長い間お蔵入りしていました。きっと当時はアマデウス四重奏団の演奏に心酔していたからではないかと思います。

今改めて聴いてみると,音程に若干の不満があったりと(稀にです)技術的には超一流の四重奏団には及ばないものの,とても真面目で真っ当であり,快活でありながらどことなく微笑ましさも感じさせる独特の良さを持っているということがわかりました。全集として高い水準で揃っていると思います。長い間お蔵入りさせてしまっていたのを今更ながら後悔しています。

で,この全集の良いところは録音も素晴らしいことです。残響は少なくありませんが,あくまで直接音主体で明瞭感があり,また弦楽器の質感もよく捉えています。そして録音の質にほとんどばらつきがないのも好印象です。ただし,違う場所で録音されたOp.71と74は残響の被りが大きく明瞭感,音色を損なっていて良くありません。これだけが残念なところです。

最近になって(b)のボックスセットが発売されています。立派な解説書が付属しているのに録音データが明記されていないのですが,(a)と同一のものと思われます。HMV Onlineiconによると「偽作」は除かれているということで,具体的には(a)のセットに含まれていたOp.3が含まれていません。なので(a)より2枚少なくなっています。あの有名な「セレナーデ」が含まれていないのはちょっと残念です。

さらに(b)ではリマスタリングされているのか,(a)に比べてかなり鮮度が上がっている印象です。波形を見てみると2~3dBくらい高く,また,スペクトル比較では15kHz以上の成分がかなり多くなっていることがわかりました。単にボックス化しただけでなくちゃんと音質改善されていました。

(a)のセットがものすごくかさばるので省スペースのために買い換えようということで買ったのですが,音質も良くなっていたので本当に買った意味がありました。でもOp.3が含まれないので(a)が処分できなくなってしまいました...(^^;

それにしても,HMV Onlineiconではマルチバイという条件ながら5,000円を切る値段で購入できるとは...1/10以下の値段ですね。良い世の中になったものです。
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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品76より「五度」「皇帝」「日の出」
ゲヴァントハウス四重奏団(Gewandhaus-Quartett)
October 2004, Leipzig-Markkleeberg, Rathaussaal
NCA 60148-210 (P)(C)2005 Membran Music Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

作品76から代表的な3曲をセレクトして収めています。技術的に優れていることに加え,この豊かな歌心! 楽しい演奏はたくさんありますが,こんなに生き生きと歌うハイドンの演奏はそうないと思います。しかも素直で嫌みがなく,そしてどこか現代的なスマートさも感じます。この3曲しか録音していないのはとても残念です。

録音ですが,非常にきめが細かくなめらか,シルクのような肌触りとでも言いましょうか。オーディオクオリティは素晴らしいです。響きが多めに取り入れられていますが,あくまで直接音主体に質感よく捉えていて良い感じです。私としては残響をもっと抑えて楽器の質感をもっとよく捉えて欲しかったということで四つ星にしましたが,客観的には優秀録音の部類にはいるかもしれません。
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第1集 作品9
1998年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 411 (P)1999 (C)2009 (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

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第2集 作品17
1993,94年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 412 (P)1994/2000 (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

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第3集 作品20 太陽四重奏曲
2005年 ブダペスト,ハンガリー国立フィルハーモニーホール練習室
Arcana A 413 (P)2006 (輸入盤) 輸入販売元:株式会社マーキュリー
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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第4集 作品33 ロシア四重奏曲, 作品42
2006年 ブダペスト,ハンガリー国立フィルハーモニーホール練習室
Arcana A 414 (P)(C)2009 (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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第5集 作品50 プロシア四重奏曲
1999年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 415 (P)2001 (C)2009 (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

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第6集 作品54 第1トスト四重奏曲,作品55 第2トスト四重奏曲
2001年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 416 (P)2002 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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第7集 作品64 第3トスト四重奏曲
2002年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 417 (P)2003 (C)2009 (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

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第8集 作品71 第1アポニー四重奏曲,作品74 第2アポニー四重奏曲
1994,95年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 418 (P)1995 (C)2009 (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

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第9集 作品76 エルデーディ四重奏曲,作品77 ロブコヴィッツ四重奏曲,作品103
1996,97年 ブダペスト技術産業大学図書館
Arcana A 419 (P)1998 (輸入盤) 輸入販売元:株式会社マーキュリー
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

フェシュテティーチ四重奏団(Quatuor Festetics)

2009年末に第3集,第4集,第9集の記事を載せましたが,全部揃いましたので,情報を追加して再掲します。演奏についての感想はほぼ変わりません。

ピリオド楽器による演奏でピッチはA=421Hz,ガット弦の素朴な音色が独特の魅力を放っていますが,ピリオド楽器だよと言われなければ気がつかないほど自然です。テンポを揺らしたりリズムを崩したりするようなことはほとんどなく,そのためもあってか縦の線が綺麗に合っています。16分音符が連続するようなところでも一つ一つの音をちゃんと意識できるほどに見事にアンサンブルが決まっています。それでいて,とても表情が豊かでどこかほのぼのとしたところも感じさせるのがとてもいいですね。充実感のある素晴らしい演奏だと思います。

録音ですが,1993年から2006年という長い期間をかけて完成されていますが,どれも良い録音です。特に2005年,2006年にハンガリー国立フィルハーモニーホール練習室で録音された第3集,第4集が最高です。残響はほとんどと言っていいほどなく,全く演出臭のない,自然で親近感のある,室内楽としてはこれ以上望めないんじゃないかと思うくらい文句なしの録音です。これら二つでも少し差があり,第4集の方が若干すっきりした印象です。

その他のセットはブダペスト技術産業大学図書館で録音されており,これも録音会場の響きはほとんどありませんが,ほんの僅かに曇った感じがあって,練習室で録音された上記のセットの素晴らしさには及びません。とはいえ,基本コンセプトは変わらず,これも室内楽の録音としては良い出来だと思います。この中で第6集だけ少し録音状態が異なり,録音レベルが少し高いものの少し響きが多めに入っていて音色の濁りが感じられ,他のセットと比べると少し落ちます。これらも練習室と同じような録音であればよかったのに,と少し残念に思います。

それにしても,この素晴らしい演奏と録音で全集が揃うというのが本当にうれしいのですが,安くないのと保管にすごく場所を取るのがちょっとなぁ...と思います。

なお,団体名は“フェステティチ四重奏団”と表記されることもあるようです。HMV Onlineではそう表記されていました。
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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
タカーチ四重奏団(Takács Quartet)
Schubertsaal, Konzerthaus, Vienna, August 1987 (No.1-3), St Barnabas Church, London, September 1988 (No.4-6)
475 6213 (P)1988,89 (C)2004 Decca Music Group Limited (輸入盤)
好録音度:★★☆(No.1-3)~★★★☆(No.4-6)
参考url: HMV Onlineicon

硬派な演奏ですねぇ。推進力もすごくあります。すごく技術力があって余裕でこなしている感じです。この余裕が直球勝負の演奏にも関わらず懐の深さを感じさせる要因になっているのでしょう。

録音ですが,前半3曲がひどいです。どこの銭湯で録音したんだ?と思ってしまうほど残響過多もいいところです。残響まみれで明瞭感がなく,細部が埋もれ,質感が大きく失われています。それに対して後半3曲はかなりマシで,これならまあ十分許せます。後半の録音で統一されていたら愛聴盤になったかもしれないのに...残念です。
cover picture Vol.1 cover picture Vol.2

ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
リンゼイ四重奏団(リンジーズ)(The Linseys)
Holy Trinity Church, Wentworth, 29-30 September 1998, 11-14 January 1999
CD DCA 1076/1077 (P)(C)2000 ASV Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Online Vol.1iconVol.2icon

これはすごく楽しい演奏ですねぇ。元気があって活き活きしています。「日の出」...太陽が昇ったと思ったらもう早朝から全開ですか...うれしくて思わず笑いがこみ上げてきます(^^;。素直にハイドンの楽しさを表現していますし,聴かせるツボを押さえるのが上手いと思います。気に入りました。

録音ですが,少し残響が多めで多少音色にも影響があるので私の好みではありませんが,それでもこの楽しい演奏をまずまず良く伝えてくれますので,まあ悪くはありません。もっとすっきりと録ってくれていればなお良かったのですが。
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ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76 「エルデーディ四重奏曲」
カルミナ四重奏団(Carmina Quartet)
1993年12月,1995年1月 スイス,ラ・ショード・フォン,ムジカ・テアトル
DENON COCO-70790-1 (P)2005 COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENT, INC. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

この四重奏団はすごく上手いですね。穏やかな表現から張り詰めた表現まで,いろんな表現をこのハイドンに持ち込んできます。アンサンブルも抜群,縦の線はもちろんのこと,うねるようなダイナミックな強弱までビシッと合わせてきます。そしてその多彩な表現力を駆使してスマートに仕上げてくる,見事としか言いようがありません。素晴らしい出来だと思います。

しかし,これが好きか?といわれると微妙です。あまりにも賢すぎるハイドンに親しみ難さも感じます。また,時折あらわれる「うっ」とくる微妙な『ため』があるのも私には辛いところです。もっと素直で無邪気なハイドンが聴きたい,というのは贅沢な不満でしょうか?

録音ですが,やや残響が多めで中域より少し高めの帯域に独特の癖があり,うるさい感じがします。その音色の癖を除けばまずまず良好なので,ちょっと残念です。前半の3曲と後半の3曲で録音期間があいていますが,録音の傾向はほぼ揃っています。

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