好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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シベリウス:交響曲全集
渡邉暁雄指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
1981年 習志野文化ホール(No. 3, 6),昭和女子大学人見記念講堂(No. 1, 2, 4, 5, 7)
COCO-80410-413 (P)1996 NIPPON COLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jp

1981年のレコード芸術誌のレコードアカデミー賞受賞盤。1962年にステレオ・レコードによる世界初の全集を完成させていましたが,これは同じオーケストラによる約20年ぶりの2回目の全集録音となります。

2回目の全集ということで前回の少し粗削りの印象のあった演奏に比べると,随分と洗練され,テンポ取りも現在の多くの演奏に近いものになっています。オーソドックスで完成度の高い演奏であり,レコードアカデミー賞受賞も頷けます。

一方録音の方なのですが,アナログからデジタルに変わる最初期のデジタル録音だと思います。残響は控え目で演出色のほとんどない素直な生録風録音は好感が持てるのですが,音色は精彩に乏しく地味でモノトーン的であり,また音自体の力強さも感じられず,この演奏本来の魅力を伝えきれていないのではないかと思います。少々残念な録音です。

この全集は発売後何度か再発売をされたようですが,現在は現役盤ではないようです。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団
1960年3月 ロンドン、キングズウェイ・ホール
WPCS12684 ワーナーミュージックジャパン (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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シベリウス:交響曲第5番変ホ長調作品82
シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/フィルハーモニア管弦楽団
1960年9月,1959年1月 ロンドン、キングズウェイ・ホール
WPCS12685 ワーナーミュージックジャパン (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。カラヤン没後25年記念発売盤として発売された20枚のSACDのうちの2枚と元は同じ音源ではないかと思っています(違ったらごめんなさい)。1960年前後のEMI録音ということで,レンジ感や音像感の狭さは仕方がないとはいえ,思ったほど音色に癖はなく聴きやすい録音です。

後のベルリン・フィルとの録音ほどの圧倒的な迫力はないものの,スタンダードな路線でスケールの大きな音楽を構築する技量はこの時期からすでに備えていたことがよくわかる録音だと思います。ベルリン・フィルとの演奏とはまた違うカラヤンの姿をうかがい知ることが出来るディスクですね。良いと思います。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲第1番
シベリウス:「カレリア」組曲作品11
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1981年1月 Philharmonie, Berlin
WPCS-12825 (P)(C)1981 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年12月 Philharmonie, Berlin
WPCS-12826 (P)(C)1981 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第4番
シベリウス:交響詩「タピオラ」作品112
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1976年12月 Philharmonie, Berlin
WPCS-12827 (P)(C)1977 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第5番
シベリウス:交響詩「伝説(エン・サガ)」作品9(*)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1976年9,10月, 1976年12月(*) Philharmonie, Berlin
WPCS-12828 (P)(C)1977 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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シベリウス:交響曲第6番ニ短調作品104
シベリウス:悲しきワルツ作品44-1
シベリウス:「カレリア」組曲作品11(*)
シベリウス:交響詩「伝説(エン・サガ)」作品9(**)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1980年11月, 1981年1月(*), 1976年12月(**) Philharmonie, Berlin
WPCS-12828 (P)(C)1977 Warner Classics (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

第2番は先日取り上げたものと同じ演奏です。解説書によると,「当ディスクには,2013年に旧EMIミュージック・ジャパンが,SACDシングルレイヤー盤を発売する際に,新たにマスタリングした音源が使用されている。」とのことで,第2番を旧ディスクと比べてみると,確かに鮮度が向上し,情報量が増え音の厚みも増している印象を受けました。交響曲5曲でディスク5枚というのはいささか効率が悪いように思いますが,初出時のLPのカップリングを再現しているものと思われます(なので,カレリア組曲とエン・サガのダブりもそのまま再現されたようです)。

解説書では,カラヤンがどのようなスタンスでシベリウスの音楽を取り上げ,録音してきたか,そして,これらのディスクの初出時のレコード芸術誌での評について触れられていて,興味深く読ませていただきました。カラヤンが第4番から第7番を好んで取り上げ,第1番~第3番をほとんど取り上げてこなかったというのは何となく知っていたのですが,第2番は演奏会では一度も取り上げられていないないというのは意外でした。

これらの中ではやっぱり第2番と第5番がカラヤン/ベルリン・フィルの本領が全開で発揮された演奏だと思いました。他の曲はそれと比べると少し抑制された感があり,また,第6番はちょっと聴きたい演奏とは違うかなというところですね。

そして肝心の音質ですが,上記の通りリマスタリングで鮮明さが増しているためか,EMIの録音としてはかなり印象が良いです。あの独特の曇った感じはかなり緩和されているのではないかと思います。そして弦楽器をサウンドの中心に据えていることも良い印象の要因になります。リマスタリングの是非はあると思いますが,これはうまく出来ているのではないでしょうか。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
シベリウス:組曲「カレリア」作品11
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1980年11月,1981年1月
TOCE-7018 東芝EMI (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

カラヤンという指揮者は,ベルリン・フィルの実力を最大限に引き出す技術に長けていたんだなと再認識させられました。このダイナミックでスケールの大きな音楽には本当に圧倒されます。シベリウスらしいかどうかはわかりませんが,もうそういうことを遙かに超えた次元で鳴っている感じです。久しぶりにカラヤン/ベルリン・フィルを聴いて大いに感激してしまいました(^^)。

録音ですが,EMIの録音とは思えないボディ感たっぷりの楽器の鳴りを捉えた録音で,特に弦楽器をしっかりと質感良く聴かせてくれるところが良いと思いました。一方でやはりEMI的音色のくすみは少し感じられて,すごく惜しいなぁと思います。

このディスクそのものはすでに廃盤だと思いますが,一連のシベリウスの録音は2013年のリマスタリングで再発売されているようなので,現在調達中です。入手出来たら聴き比べてまたレポートしたいと思います。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲全集
クルト・ザンデルリンク指揮/ベルリン交響楽団
1970-77年録音
Berlin Classics 0020592BC (C)1997 edelGesellschaft (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

このザンデルリンク指揮/ベルリン交響楽団のシベリウスの全集は以前取り上げていました(→こちら)。実は友人のご厚意で聴かせていただいたディスクだったのですが,演奏も録音も良かったので手に入れたいと思いながら買いそびれていました。先日立ち寄った中古店で安価に販売されているのを見つけ,ようやく念願かなって入手した次第です。

感想に関しては前回の記事を参照していただきたいのですが,特に録音に関しては,クオリティも今の水準からすると少し物足りないところもあり,ちょっと過大評価かなと思いつつも,改めて聴いてみてオーケストラの魅力をきちんと伝えてくれる好録音には違いないということで,五つ星は変えません。

この全集が現役盤でないというのはやっぱり残念ですが,第2番,第4番,第7番はつい先日キングレコードから国内盤がリリースされているようですね(多分同じ演奏だと思います)。
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シベリウス:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲,他
レイフ・セーゲルスタム指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
ペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto (Violin)
1996年(Violin Concerto), 2002~04年(Symphonies) Finlandia Hall, Helsinki
ODE 1075-2Q (P)2005 Ondine Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

セーゲルスタムは1990年代前半にデンマーク国立交響楽団と全集を録音していました(→こちら)。2回目の全集と思われます。前回の全集同様スケール感のある雄大なシベリウスですが,同時に繊細さも兼ね備え,全体の印象としては随分とオーソドックスにまとめたように思いました。私の聴きたいシベリウスの音楽が見事に再現されており,何の抵抗もなくすんなりと受け入れられました。オーケストラもベルグルンドの全集に比べると精度が上がっているように思いました。良い意味で裏切られた感があります。良い全集だと思います。

録音ですが,残響はあるものの控え目であり,そこそこ楽器の質感も感じられ,音色も自然で伸びがあります。すごく良いということはありませんが,欠点が少なく,鑑賞を阻害する要素もほとんどなく,オーケストラの録音としてまずまず良好だと思います。

この全集にはペッカ・クーシストがソロを務めるヴァイオリン協奏曲が併録されています。これについてはまた機会を改めて。
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シベリウス:交響曲第1番,第4番
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団
May/June 2012 at Orchestra Hall, Minneapolis, USA
BIS-1996 (P)(C)2013 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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シベリウス:交響曲第2番,第5番
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団
June 2011 at Orchestra Hall, Minneapolis, USA
BIS-1986 (P)(C)2011 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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シベリウス:交響曲第3番,第6番,第7番
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団
May/June 2015 at Orchestra Hall, Minneapolis, USA
BIS-2006 (P)(C)2016 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

20年ぶり2回目の全集とのことです(1回目はラハティ交響楽団)。今年3枚目が発売され,完結しました。とてもダイナミックで壮大な音楽を聴かせてくれます。第1番は今まで聴いたことのないようなスピード感で疾走し少々面食らいます。どちらかというと地味な第3番も力があり,雄大に表現しています。第2番,第5番も同様ですが,こちらはやや抑え気味。第6番は第1楽章で中だるみするのが惜しい。緩徐楽章はどれも情緒感豊かですね。全体として出来に少々ムラを感じ統一感もあまりないのですが,なかなかユニークな全集で聴き応えが十分にあります。

さて録音ですが,残響は適度であり,音色のバランスも整い,低域から高域までレンジ感も十分にあり,歪み感のない綺麗な音が印象的なのですが,一枚薄いベールが被ったようでわずかにモゴモゴした感じであり,手が届きそうで届かない微妙な質感にもどかしさを感じます。もう少し生々しい質感,鮮明さ,分離感が欲しかったところで,とても惜しいと思います。3枚の中では,第1番・第4番が若干悪く,それ以外がもう少し良好で差があります。評価四つ星はちょっと厳しめです(四つ星半と少し迷いました)。BISの録音は概して残響が多めで好みではないことが多いのですが,これは比較的良かったと思います。

余談ですが,第3番・第6番・第7番のディスクはトータルタイムが82分ジャストで,CDスペックをオーバーしています。1枚に収めるために無理矢理突っ込んだ感じですね。特に再生上問題はありませんでしたが。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲第2番,第5番
ジョルジュ・プレートル指揮/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1967年録音
TWCL-2009 TOWER RECORDS RCA Precious Selection 1000 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records

タワーレコードの企画盤。残念ながらすでに廃盤です。それにしてもこの演奏はものすごく雄壮ですね。特にパワフルな金管,力強く高らかに鳴り響きます。今どきのシベリウスとはだいぶ印象が異なりますが,この2曲ならこのような演奏もアリだと思わせる説得力があります。

録音ですが,残響は抑え気味で各楽器を明瞭に分離良く捉えていて好印象です。フォルテシモで少し飽和感があること,品質としてはその時代なりでやや落ちるのが惜しいところですが,鑑賞には支障がありません。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲第1番,第3番
ピエタリ・インキネン指揮/ニュージーランド交響楽団
2009年3月3-5日 マイケル・ファウラー・センター,ウェリントン(ニュージーランド)
8.572305 (P)(C)2010 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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シベリウス:交響曲第2番
ピエタリ・インキネン指揮/ニュージーランド交響楽団
2008年10月16-18日(交響曲),2010年7月27日(カレリア組曲)
マイケル・ファウラー・センター,ウェリントン(ニュージーランド)
8.572704 (P)(C)2011 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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シベリウス:交響曲第4番,第5番
ピエタリ・インキネン指揮/ニュージーランド交響楽団
2009年9月21-23日(第4番),2008年10月16-18日(第5番)
マイケル・ファウラー・センター,ウェリントン(ニュージーランド)
8.572227 (P)(C)2011 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
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シベリウス:交響曲第6番,第7番
ピエタリ・インキネン指揮/ニュージーランド交響楽団
2009年9月21-23日(交響曲),2010年7月27日(フィンランディア)
マイケル・ファウラー・センター,ウェリントン(ニュージーランド)
8.572705 (P)(C)2011 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

インキネンは2013年に日本フィルハーモニー交響楽団との全集を録音していますが,これらはそれより前の2008年から2010年にかけて録音されたものです。基本的な解釈というか骨格は通ずるものを感じるのですが,仕上がった音楽はだいぶ印象がことなります。日本フィルとの全集はどちらかといえば寒色系でストイックあったのに対し,こちらは暖色系で情緒的。オーケストラの特質もあるのかもしれませんが,それぞれの全集を違った方向性で統一して描き分けているのは面白いと思います。いずれも弦楽器が中心となって全体の基礎を固めているところが気にいっています。オーケストラの技量的に日本フィルに及ばずややフォーカスが甘い点はあるにせよ,うまくまとめていると思います。

録音ですが,残響感はあるものの,個々の楽器を比較的明瞭に捉えていて質感豊かです。もう少しヌケの良いサウンドだと良かったのですが,まあ許容範囲内です。オーディオ的なクオリティは特に良いとは思いませんがまあ普通です。少しオマケですが四つ星半です。
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シベリウス:交響曲全集
ハンヌ・リントゥ指揮/フィンランド放送交響楽団
2015年 ヘルシンキ・ミュージック・センター
101796 (C)2015 Arthaus Musik (輸入盤) *DVD 5枚組
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

シベリウス生誕150周年を記念して制作された映像作品。詳しくは上記の参考に挙げたサイトでご確認いただければと思いますが,コンサート映像のほか,各曲30分程度のリントゥによる曲目解説とドキュメンタリー,シベリウスのバイオグラフィ映像作品など,盛りだくさんの内容です。輸入盤でも日本語の字幕が付いているので助かります。Blu-ray版とDVD版が用意されています(私はDVD版を入手)。

映像を観ながらの鑑賞となるので印象が映像に引っ張られているとは思うのですが,颯爽としていて明快なリントゥの指揮から紡ぎ出される音楽は無駄も誇張もなくすっきりと整い,そのサウンドは力強く引き締まっています。自国の音楽に対する敬愛の念を感じるとともに,誇りをもって演奏されているのが伝わってくるようで大変感銘を受けました。

そして録音なのですが,残響が多めに取り入れられてるとはいえ,直接音が支配的であり,またその残響音も直接音を濁さず比率も適切で取り入れ方としては好ましく思います。また,残響も低域に偏ることなくバランスが取れており,全体のサウンドも締まっている点も良いと思います。個々の楽器の質感も感じ取りやすく,分離感もまずまず良好です。もう少し精彩が欲しいところですが,これでも十分に好録音と言えると思います。

このボックスセットは演奏も録音も良く当たりでした。しばらく楽しませてもらおうと思います。ただ,このばかでかいパッケージには閉口します。充実した中身に価値観のあるボックスは満足度を上げるためだと思うのですが...もっとコンパクトにならんもんかと思いますね(私にとっては不要な分厚いカタログも入っているし...)。
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シベリウス:交響曲全集
サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
December 2014 - February 2015, Berlin Philharmonie
BPHR 150071 (P)(C)2015 Berlin Phil Media GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

今回は録音についてのみコメントします。パッケージの内容は下記の通りです。

(1) 4 CD

(2) Pure Audio Blu-ray Disc
 2.0 PCM Stereo 24-bit/96kHz
 5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit/96kHz

(3) Video Blu-ray Disc
 Full HD 1080/60i - 16:9
 2.0 PCM Stereo
 5.0 DTS-HD Master Audio

(4) High-Resolution Audio Download Code
 Surround 24-bit/96kHz WAV
 Surround 24-bit/96kHz FLAC
 Surround 24-bit/192kHz FLAC
 Stereo 24-bit/96kHz WAV
 Stereo 24-bit/96kHz FLAC
 Stereo 24-bit/192kHz WAV
 Stereo 24-bit/192kHz FLAC
 ※全てのファイルを何度でもダウンロード可能

CDは平均の音圧レベルがかなり低めに設定されています。そのため,CDは一般のCDよりも再生機の音量をだいぶ上げないと楽しめません。おそらく,出来るだけダイナミックレンジの操作をせず,全7曲のピークに合わせて全曲のレベルを統一しているのではないかと想像します。ハイレゾ音源の場合はこれでも問題ありませんが,CDの場合は16bitという限られたビット数の中に入れなければなりませんので,平均音圧の低さはCDの場合は音質的には好ましくありません。実際にハイレゾ音源と聴きくらべてみると,CDの音質は少し劣るように感じられました。

このパッケージでは24bitのBlu-ray Audioディスクが付属していますし,ハイレゾ音源もダウンロードできるのでまだ救われますが,もしCDだけだとしたら少し残念なセットになってしまったでしょう。

録音の音質についてですが,ややホールの響きを重視した音作りになっています。楽器音に残響が被り気味で,明瞭感や音色に影響しており,私としてはもう少しくっきりと透明感のある音で生々しく楽器音を捉えて欲しかったと思いますが,楽器の質感と高域のヌケを失わないぎりぎりのところに設定されているので,何とか許容範囲です。

大型のオーディオシステムで,少し大きめの音量(実際のホールで聴くくらいの音量)で鳴らすような聴き方に向いた録音なのかもしれません。ハイレゾのビット方向の深さを活かした録音と言えると思います。こぢんまりとしたシステムであまり音量を上げずに聴くには向かない気がしました。

そう思うと,せっかくダウンロードでいろいろな音源をダウンロードできる環境を整えているのですから,小規模なシステムで小さめの音量でも楽しめるような別のマスタリング音源も作って提供してくれたら良いのに,と思いますね。まぁ制作コストは余計にかかりますが。

このセットにはビデオも含まれるので,普段あまり観ることの出来ないマイナーな交響曲の演奏の映像が観られるのはうれしいですね。しかし,盛りだくさんなセットなだけに価格も高価...ちとつらいです。パッケージもばかでかくて収納に困りますし...

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲全集,管弦楽曲集(7CD)
ネーメ・ヤルヴィ指揮 Neeme Järvi
エーテボリ交響楽団 Gothenburg Symphony Orchestra
1992-1996年(管弦楽曲),2002-2005年(交響曲)
00289 477 6654 (P)2007 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

長い間気になっていたのになかなか手を出せていなかったディスクをようやく入手しました。ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団の2度目の交響曲全集と管弦楽曲を組み合わせたシベリウス没後50年?!企画盤。

さすがに手慣れているだけあってオーソドックスでそつなく高い水準でまとめているように思います。オーケストラの精度がわずかに気になる瞬間はあるものの,ほぼ問題ありません。全く違和感なくすんなりと聴けるのはさすがです。そこが安心感につながり,また,少し物足りなく感じるところでもあります。最近立て続けに優れた演奏に触れたので,どうしてもそれらと比べてしまって...良い全集だと思いますよ。

録音ですが,これは良くも悪くもドイツ・グラモフォンのオーケストラ録音だなぁと思います。残響は多めですが,直接音とのバランスは上手く取られているので欠点が少なく悪くありません。個人的にはもう少し楽器の質感を強めに,生々しさ,鮮明さを出して欲しかったなと思います。惜しいところです。
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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
シベリウス:交響詩「トゥオネラの白鳥」作品22-2
シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
小林研一郎指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1995年2月22-25日 プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホール
PCCL-00277 (P)(C)1995 Pony Canyon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

この演奏はすごく牧歌的で南欧の温暖な田園地帯を思い起こさせます。ゆったりと,そして,蕩々と流れる弦楽器の旋律がドラマティックです。こんなシベリウスもなかなk良いかもしれないと思いますね。

録音ですが,低域の豊かな響きの支えの上に中高域が綺麗に乗りスケールの大きな音響を構成しています。残響が多めなのですが,個々の楽器が埋もれることなく質感豊に録られているので印象は悪くありません。個人的にはもう少し残響を押さえてすっきりした録音にしてほしかったとは思いますが,この録音が上記のような温かさにつながっているとも言えると思いますので,まあ良しとするか,というところです。客観的には優秀な方ではないかと思います。

ポニーキャニオンからリリースされていた本ディスクは,今はEXTONからSACDでリリースされているようです。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43,他
マリス・ヤンソンス指揮/オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1992年5月
TOCE-13183 (P)2005 東芝EMI株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

交響曲第2番のほかに,トゥオネラの白鳥,悲しきワルツ,祝祭アンダンテ,が収録されています。

スケールが大きく,前向きでダイナミックにスピード感を持って展開していく演奏が実に気持ちが良いです。情緒感をたっぷり出しながらも決して流れない,引き締まった演奏であるところが良いと思います。第2番の伝統的スタイルを極めたように感じられます。これはこれで魅力的で聴き応えがあり素晴らしいと思います。

録音ですが,残響が適度に抑えられ,重厚ながら締まった音響であり,音色のバランスも崩れていませんし,高域の曇りもほとんど感じられません。EMIにしてはかなり良好です。もう少し各楽器の分離感,見通しの良さがあればなお良かったと思うのですが,一般的には十分受け入れられる録音でしょう。

ヤンソンス/オスロ・フィルのシベリウスの交響曲は,第1番,第2番,第3番,第5番の4曲が録音されたようです。何とかまだ入手可能なようです。第6番,第7番が録音されていたらどのような演奏が聴けたのだろう,と思います。録音されなかったのが残念です。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲全集
オッコ・カム指揮/ラハティ交響楽団
2012年~2014年 フィンランド,ラハティ,シベリウス・ホール
BIS-2076 (P)(C)2015 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

シベリウスの音楽を克明に描き出す,透明感のある素晴らしい演奏。オーケストラから最も美しい表現を引き出しすくい取って組み立てられた音楽。北欧的な情緒感がことさら強調されることはなく,シベリウスの純粋で普遍的な音楽だけが静かに響くように感じられます。特に第1番,第2番がこのように演奏されると全く印象が変わってきますね。ここにまた新たな名盤が生まれたのではないでしょうか。

そして録音ですが,残響は控えめであり,楽器の音は透明さを保って伝わってきます。楽器の質感は若干弱めで,どちらかといえば控えめにまとめられています。音楽を純粋にありのまま伝えようとする黒衣に徹した録音。欠点の少なさがこの録音の美点となっています。まずまずの好録音です。

BISのオーケストラ録音は今まであまり良い印象を持ったことがないのでこの全集を手に入れるかさんざん迷ったのですが,手に入れて大正解でした。
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シベリウス:交響曲全集
渡邉暁雄指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
1962年 東京文化会館,杉並公会堂,文京公会堂
TWCO-29-32 (P)2012 NIPPON COLUMBIA
(タワーレコード企画盤 COLUMBIA×TOWER RECORDS)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records
これは,世界初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集であったとのことです。プロデューサは相澤昭八郎氏,録音は若林駿介氏。1981年に2回目の全集を同じ日本フィルと完成させているとのことで,これは1回目の録音になります。

それにしても50年以上前に,こんな立派な全集を完成させていたとは正直驚きました。今聴いても表現に違和感はなく,全く古びていません。演奏に粗さがないとは言えませんが,健闘していると思いますし,それらもこの素晴らしい音楽の前では全く問題ではありません。

そしてこの録音がこの全集の価値をさらに高めていると言っても良いのではないでしょうか。やはり50年以上前の録音ということで,機材やメディアのハンディがあり,音色のざらつき,フォルテシモでの飽和感と音の潰れ,高域の伸びの不足,など如何ともし難いところはあります。しかし,弦楽器の音を主体に構成され,生録的で演出感の全くない実在感のある音作り,個々の楽器の分離と質感の良さ,見通しの良さは,前記のハンデをカバーするに余りあります。

昨今の残響まみれ・過剰な演出で実在感の希薄な録音よりはるかに良いと思います。このような録音で聴くと音楽が何倍も楽しくなります。録音のクオリティが格段に上がっている現代でこそこのような録音で音楽をストレートに伝えて欲しいと思いますね。

なお,録音状態としては,杉並公会堂で録音された第2番,第7番が比較的良好,逆に,東京文化会館で録音された第1番,第3番,第4番は強奏部での飽和による音の潰れが散見され少し落ちるように思います。文京公会堂で録音された第5番と第6番はその中間くらいでしょうか。
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シベリウス:交響曲全集,クレルヴォ交響曲
コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団
2002年9月~2008年7月,バービカン・センター
LSO0191 (P)(C)2009 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(第3番,第7番),★★★★(それ以外)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
LSO Liveの録音をもう一つ。コリン・デイヴィスは1970年代にボストン交響楽団と,1990年代にロンドン交響楽団と全集録音を行ってきています。この3回目の全集は2回目とおなじロンドン交響楽団との共演で,ライヴでの全集となります。「シベリウスの演奏をライフワークと位置づけてきた」というだけあってきちんとツボを押さえたダイナミックな演奏で,さらにオーケストラの上手さもあって堅実でライヴながら傷もほとんどなく安心感があります。このあたりはさすがです。

そして注目の録音なのですが,時期とエンジニアがバラバラなので,録音の質にもばらつきがあります。第3番と第7番はやはりデッドでドライながら,楽器の質感がよく捉えられており,スケール感もあるLSO Liveらしい好録音です(録音時期は2003年)。次いで第6番。そしてその他の録音は同じくデッドなのですが,少し遠めで楽器の質感の捉え方が弱いため,こぢんまりしてやや冴えない印象を受けます。

LSO Liveは今まで何度も取り上げてきていますが,最近のものよりも2000年から2003年頃の録音の方がLSO Liveらしい良さが出ているように思います。機会があればもう少しいろいろと聴いてみたいと思います。
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シベリウス:交響曲全集
ピエタリ・インキネン指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
2013年3-4月 サントリーホール,横浜みなとみらいホール(第2番)
NYCC-27286-9 (P)(C)2015 Naxos Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
2013年春のシベリウス交響曲ツィクルスのライヴ録音。演奏後の拍手も収録されています。指揮者の意向で,第6番と第7番は拍手なしに続けて演奏されています。

遅めのテンポで丁寧に,克明に描かれるシベリウスの交響曲の世界。情緒や感情に流れず禁欲的。北欧の作曲家の音楽という側面は強調されず,より普遍的な価値を持つ音楽としてアプローチされているように思います(これは解説書にもそのようなことが書かれています)。個人的にはベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団の3度目の全集とそういう面で近い印象があります。そういうところが良いですし気に入りました。

そしてこの演奏を仔細に伝えてくれる録音がまた素晴らしい。残響はかなり控えめ。各楽器の生の質感が明瞭に分離良く自然な音色で伝わってきます。特に弦楽器の質感が大切に扱われていることに好感を持ちます。セッション録音のような演出感も全くありません。会場の雑音はゼロではありませんが気になりません。リアルなライヴ録音としてかなり上手く録れていると思います。ほぼ不満のない好録音です。

演奏も録音も良い素晴らしい全集で感激しました。愛聴盤候補です。しばらくじっくり聴き続けたいと思います。私の中では今ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団の全集と肩を並べる位置に来ています。録音が気に入っている分,こちらの方が好きになるかもしれません。
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シベリウス:交響曲第2番,第7番
Recorded live at Southbank Centre's Royal Festival Hall, London on 16 February 2005(No.2), 6 December 2003(No.7)
LPO-0005 (P)(C)2005 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(No.2),★★★★★(No.7)
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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シベリウス:交響曲第5番,第6番,他
Recorded live at Southbank Centre's Royal Festival Hall, London on 31 May 2003(No.5), 6 December 2003(No.6)
LPO-0065 (P)(C)2012 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
パーヴォ・ベルグルンド指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

第5番,第6番のディスクのレビューを先に行いましたが,第2番,第7番のディスクも手に入れましたので,追記します。感想は基本的には第5番,第6番と変わりません。録音に関しては,第2番がわずかに鮮明さに劣る感じがするのは最強音に合わせて録音レベルを少し低めに設定しているからかもしれません。第7番は第6番と同じ日に収録されているようで,音質も同等です。

このシリーズで全集になっていないのは残念ですが,第6番,第7番が収録されていたのは私にとっては幸いでした。以下,以前のレビューを引用します。


素晴らしい出来だったヨーロッパ室内管弦楽団とのクールな全集とはまたひと味違い,こちらはずっと情緒豊かで人間味に溢れています(これはライヴ録音ということが影響しているかもしれませんが)。でもやっぱり紛れもないベルグルンドのシベリウス! 違うオーケストラを振って違う味わいを出しながらも一貫した彼の音楽を感じるのは呼吸感が変わらないからなんだろうなと思います。ますますベルグルンド以外のシベリウスが受け入れられなくなっていく気が...(^^;。

そしてこの録音の素晴らしさ! 残響は皆無ではありませんが,無駄な響きは排除され,この演奏の美しい部分のエッセンスをうまくすくい取り,より実在感のある音,芯のしっかりした力強い音で収録しています。高域のヌケの良さ,音色の自然さにおいても優れていると思いますし,個々の楽器の質感も良く輪郭もはっきりし,見通しも良好です。何より演出感が薄く,生録的な風合い,リアルさが残っているのが気に入りました。人によっては平凡な録音に聴こえるかもしれませんし,そこは否定しませんが,この録音には私の心をグッと掴むものがあるのです。

このシリーズでは,これ以前に第2番と第7番のディスクがリリースされています。そちらも聴きたくなってきました。他の曲も録音されているならぜひリリースして欲しいですね。
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シベリウス:交響曲第4番~第7番
シベリウス:トゥオネラの白鳥,交響詩《タピオラ》
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1964年~1967年 ベルリン イエス・キリスト教会
POCG-30113/4 (P)1965,1968 Polydor International (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

とても美しい演奏だと思います。ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団の澄み切った透明感のある美しさとは全く異なります。色彩感と情感が豊かで,なおかつ繊細なのです。どちらかといえば地味なシベリウスの後期の交響曲の魅力を非常に大きなスケール感で引き出しています。カラヤン/ベルリン・フィルの表現力の高さをこの演奏は実証していると思います。ただ,やっぱり縦の線が曖昧になる瞬間が時々あるように思うんですけどねぇ...気のせいでしょうか?

録音は1960年代半ばなのでオーディオ品質面からすると現代の録音に及ばないところはやはりあるのですが,残響は適度で楽器音への被りを抑え,それぞれの楽器をくっきりと捉えていて意外に見通しが良く,音色も十分に自然であり,音楽のエッセンスを上手くこのパッケージの中に詰め込んでいると思います。古い録音であることを十分にカバーしています。好録音です。
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シベリウス:交響曲第5番,第6番,他
パーヴォ・ベルグルンド指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Recorded live at Southbank Centre's Royal Festival Hall, London on 31 May 2003(No.5), 6 December 2003(No.6)
LPO-0065 (P)(C)2012 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
素晴らしい出来だったヨーロッパ室内管弦楽団とのクールな全集とはまたひと味違い,こちらはずっと情緒豊かで人間味に溢れています(これはライヴ録音ということが影響しているかもしれませんが)。でもやっぱり紛れもないベルグルンドのシベリウス! 違うオーケストラを振って違う味わいを出しながらも一貫した彼の音楽を感じるのは呼吸感が変わらないからなんだろうなと思います。ますますベルグルンド以外のシベリウスが受け入れられなくなっていく気が...(^^;。

そしてこの録音の素晴らしさ! 残響は皆無ではありませんが,無駄な響きは排除され,この演奏の美しい部分のエッセンスをうまくすくい取り,より実在感のある音,芯のしっかりした力強い音で収録しています。高域のヌケの良さ,音色の自然さにおいても優れていると思いますし,個々の楽器の質感も良く輪郭もはっきりし,見通しも良好です。何より演出感が薄く,生録的な風合い,リアルさが残っているのが気に入りました。人によっては平凡な録音に聴こえるかもしれませんし,そこは否定しませんが,この録音には私の心をグッと掴むものがあるのです。

このシリーズでは,これ以前に第2番と第7番のディスクがリリースされています。そちらも聴きたくなってきました。他の曲も録音されているならぜひリリースして欲しいですね。
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シベリウス:交響曲全集
パーヴォ・ベルグルンド指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
WQCC-270/273 1995-1997年録音
参考: Tower Records
またまたタワーレコードがやってくれます。『タワレコ・オリジナル企画盤~ワーナー「デトゥール・コレクション」第6弾』で復刻されます。この好録音探求でも一度取り上げましたが(→こちら),これは本当に素晴らしい全集です。うれしいですねぇ!

同時にこのシリーズでバッハ無伴奏ヴァイオリンのセルジウ・ルカ盤も復刻されます(→Tower Records)。

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シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26(*)
シベリウス:「トゥオネラの白鳥」作品22-2(**)
レナード・バーンスタイン指揮(Leonard Bernstein)(Conductor)
ニューヨーク・フィルハーモニック(New York Philharmonic)
May 16, 1966, Philharmonic Hall, New York City
February 16, 1965, Manhattan Center, New York City(*)
March 8, 1973, 30th Street Studio, New York City(**)
SRCR 2019 (P)1968,1974,1981 Sony Music Entertainment Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

この第2番はバーンスタインがニューヨーク・フィルハーモニックと録音したシベリウスの交響曲全集の一部ではないかと思います。ドヴォルザークの第9番と同じく質実剛健的ですが,スケール感たっぷりに雄大に描き出すあたりはさすがです。

録音ですが,1966年の録音になるとオーディオクオリティはかなり改善されていて,多少の粗さはあるもののほぼ気にならないレベルになっています。この録音も弦楽器の質感の捉え方が良く,気持ちよく聴くことができます。もう少しヌケの良さがあれば文句なしです。バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニックの録音の中でも良い部類に入るのではないでしょうか。

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シベリウス:交響曲全集
モーリス・アブラヴァネル(Maurice Abravanel)(Conductor)
ユタ交響楽団(Utah Symphony Orchestra)
May 1977, Mormon Tabernacle, Salt Lake City, UT
Vanguard Classics ATM-CD-1201/1202 (P)(C)2003 Artemis Classics, LLC (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online (a)icon(b)icon

シベリウスの演奏としてはかなり特異なのではないかと思います。「アメリカ的」なんていう言葉で濁したくなかったのですが,やっぱりなんとなくアメリカンなんです。それもニューヨークやシカゴといった大都会の雰囲気ではなく,田舎町の垢抜けないネアカな感じですね。フレーズの節々に微笑ましい味を出しています。正直言ってあんまりシベリウスを聴いている感じがしません(特に第一番,第二番)。これはこれで面白いのですが。

録音ですが,ブラームスの交響曲同様,残響を抑え気味にして直接音主体に各パートを明瞭に捉えた好録音と言えます。やはり同様にオーディオクオリティは少し粗さが感じられますが,私としては十分に我慢の範囲です。

なお,(b)のディスク2にはエイドリアン・ボールト指揮ロンドン・フィルによる交響詩集(1956年録音)がカップリングされています。

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シベリウス:交響曲全集
交響曲第一番~第七番,ヴァイオリン協奏曲 作品47,セレナーデ 作品69-2,エン・サガ 作品9,トゥオネラの白鳥 作品22-3,カレリア組曲 作品11,悲しきワルツ 作品44-1,フィンランディア 作品26
ロリン・マゼール指揮(Lorin Maazel)(Conductor)
ジュリアン・ラクリン(Julian Rachlin)(Violin)
ピッツバーグ交響楽団(Pittsburgh Symphony Orchestra)
1990-1992年録音
SB5K 87882 (P)1994 (C)2002 Sony Music Entertainment Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Onlineicon

マゼール2回目の全集(1回目はウィーン・フィル)。それにしても...ピッツバーグ響はマゼールのロボットに徹していますねぇ。感情を廃して指揮者に命ぜられるがまま忠実に整然と音楽を形作っているという感じがします。フォルテであっても荒れる感じは全くなく抑制されていてとても美しく響きます。ある意味非常に成功していると思います。私は...もう少し生気のある音楽の方がいいかなとは思いますが。

次にラクリンのヴァイオリン協奏曲ですが,完全にマゼールに合わせてしまっています。「おいおい,なに一人で熱くなってんだ?」なんて言われたんじゃないでしょうか(^^;。若いのになに年寄り臭い音楽やってるんだと思ってしまうのですが,巨匠相手なので仕方ないのかもしれないですね。でも,とても上手いですね。完璧にマゼールの音楽に合わせ込んでいるあたりなどさすがです。

録音ですが,地味で最初は冴えない録音だなぁと思っていたのですが,よく聴くとオーディオ的にはとてもなめらかで緻密で上質であり,余計な音や邪魔な残響などもあまりなく,中身の充実したいい録音だということがわかってきました。もう少しヌケの良さがあれば文句なかったのですが,惜しいと思います。

このCD,国内で取り扱いがあったのかはわからないのですが(別のバージョンは廃盤ですね),amazon.comではまだあるようです。

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シベリウス:交響曲全集
レイフ・セーゲルスタム(Leif Segerstam)(Conductor)
デンマーク国立交響楽団(Danish National Symphony Orchestra)
1990-1992, Danish Radio Concert Hall, Copenhagen
8867 Brilliant Classics (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Onlineicon

ゆったりとしていてスケール感がものすごくあります。オーケストラを力強く存分に鳴らしながら,荒っぽくなることなく雄大な音楽を作り出しています。第一番,第二番だけでなく,第三番や第六番でもこんな感じなので,このあたりは好みが分かれるかもしれません。

録音ですが,残響が多くややくぐもっているのであまり良くないのですが,演奏の雰囲気には合っているかもしれません。私としてはやはり不満が残ります。

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シベリウス:交響曲全集
クルト・ザンデルリンク(Kurt Sanderling)(Conductor)
ベルリン交響楽団(Berliner Sinfonie-Orchestra)
1970-77年録音
Berlin Classics 0002342CCCより CD13-16 (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

“Kurt Sanderling Legendary recordings”という16枚組のセットのCD13~16がシベリウスの交響曲全集になっていて,聴いたのはこれになります。このセットに含まれる曲についてはtower.jpをご参照下さい(ただし取り扱い終了)。この中のシベリウスの交響曲に関してはBerlin Classicsから発売されている全集(→HMV Onlineicon)と同じものだと思います。

まだ十分に聴けていないのですが,北欧的な情緒感(ってどんなのか実はよくわかっていませんが)はあまりないかもしれません。どちらかといえば質実剛健で,ベルグルンドの演奏に親しんできた私としても全く違和感なくすんなりと耳に入ってくる癖のない引き締まった演奏という印象を受けました。基本的にこういう演奏は好きです。

そして録音ですが,残響は適切に抑えられていて明瞭感があり,各楽器の分離も良好,音色も自然,弦楽器の質感も良好,弦楽器と管楽器のバランスも絶妙,多少の誇張はあるかもしれませんが(だから良いとも言える),あらゆる点で極めてバランスの良い好録音と言えます。聴いていて全くストレスを感じません。ちょっとおまけの感はありますが五つ星を付けたいと思います。1970年代の録音で,録音時期も数年にわたっていますが,録音のばらつきはあまり感じられません。

近年の音場重視,まとまり重視の録音とはやはり根本的にアプローチの違いを感じます。なぜこういう録音が廃れてしまったのか,装置のクオリティの進化に沿っているのかもしれませんが,私としては納得がいきません。
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シベリウス:交響曲第六番,第七番,カレリア組曲,悲しきワルツ
ウラディーミル・アシュケナージ(Vladimir Ashkenazy)(Conductor)
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(Royal Stockholm Philharmonic Orchestra)
2006年11月8-11日,2007年1月30,31日,2月1-3日 ストックホルム・コンサートホール
OVCL-00293 (P)(C)2007 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

シベリウスの7曲の交響曲の中では第六番が一番好きなのですが,アシュケナージのこの第六番は,ベルグルンドに慣れた耳には少し落ち着きがなく聴こえてしまいます(特に終楽章)。他の楽章,他の曲はそれほど気にならないのですが,残念ながらこの終楽章の印象が全体を支配してしまいます。これは私の感じ方の問題ですね。

録音ですが,これはとても惜しいのですが,ところどころでヴァイオリンの魅力的な音色が聴けるので,ここだけ聴けばなかなか良いのですが,いかんせん,残響が少し多めでフォルテなどは混沌として細部や内声が聴き取りづらくなってしまいます。もう少しすっきりしていれば文句なかったと思うのですが。オーディオクオリティはさすがに悪くありません。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲全集
ロリン・マゼール(Lorin Maazel)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)
Sofiensaal, Vienna, September 1963(No.1), April 1964(No.2), March 1966(No.5,7), March-April 1968(No.3,4,5)
430 778-2 (P)1963,1964,1966,1968 (C)1996 The Decca Record Company Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jp


何ともパワフルで威勢の良い演奏ですねぇ。ツボにはまっているところはすごく良いのですが,ちょっとこれはやり過ぎではないかと思うところもあります。例えば第六番の終楽章などすごい推進力でちょっと違うんじゃないかと思ってしまいます。でも全体を見れば総合的には良いと思いますし,結構好きだったりします(でもこの第六番だけは勘弁して欲しい...)。

録音ですが,DECCAらしい音の捉え方でそつなくまとめた良い録音だと思います。古い録音のせいか,少しヌケの悪さも感じますが,嫌な響きも少なくすっきりしているので印象は悪くありません。

タグ : [交響曲]

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シベリウス:交響曲全集
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮(Herbert Blomstedt)(Conductor)
サンフランシスコ交響楽団(San Francisco Symphony)
Davies Symphony Hall, San Francisco, May & June 1989(No.4,5), May 1991(No.2), May 1993(No.7), May 1994(No.1), November 1994(No.3), March 1995(No.6)
475 7677 (P)1991,1992,1995,1996 (C)2006 Decca Music Group Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

私にはベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団と同じような指向の演奏に感じます。北欧の薫り(って?(^^;)のする演奏ではありませんし,派手さや個性を主張するようなところのないどちらかといえば少し地味な演奏かもしれませんが,端正で引き締まっていて,シベリウスの普遍的な魅力だけが凝縮されたような素晴らしさがあります。

録音も,響きが抑えられすっきりと見通しよく録られています。誇張のない自然さを持ちながら,弦楽器の艶やかさもしっかりと捉え,フォルテシモでも埋もれることなく,非常にバランス良く仕上げられています。不満をほとんど感じません。録音は数年にわたっていますが,かなりきちんと揃えられています。

ということで,演奏も録音もよいのでこれは間違いなくお薦め出来ます。

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