好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.1
収録曲: KV 80, 155, 159, 169, 170
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
20.06.-22.06.2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1975-2 (P)(C)2016 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集Vol.2
収録曲: KV 156, 157, 168, 173
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
21.11.-23.11.2016 Konzerthaus der Abtei Marienmünster
MDG 307 1976-2 (P)(C)2017 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

モーツァルトの初期の弦楽四重奏曲から9曲です。まだ4曲ありますのでVol.3が近いうちに出ると思いますが,とりあえずこの2枚のレビューです。ライプツィヒ弦楽四重奏団のモーツァルトはハイドン四重奏曲とプロシア王四重奏曲はすでに発売されています。ホフマイスターは第14番~第23番まで収録したセットには収録されているようでした(これは1枚ずつ買い揃えてきた者としては少々腹立たしいですが)。初期のVol.3がリリースされれば全集が完結すると思います。

この四重奏団は結成からの歴史も長く,常に安定したスタンダード路線の高水準の演奏を聴かせてくれていますが,この演奏も同じ路線であり,個性を主張するようなところはなく,曲そのものの魅力を誠実に,そしてサラッと爽やかに表現して聴かせてくれます。長く付き合えそうな演奏で私は好きですね。

そしてこの録音がまた良いのです。残響感はそれなりにあり音場感もありますが,直接音が主であり,クリアで透明感のある音色が堪能できます。過去リリースされてきたモーツァルトのディスクよりも一段良くなっています。室内楽の録音として標準的な印象であり,その中で上手くまとめた好録音だと思います。

Vol.3のリリースが楽しみです。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
ペーターセン四重奏団 Petersen Quartett
Funkhaus Berlin, 1990/91
08-10 605 (P)1992 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「プロシア王」
ペーターセン四重奏団 Petersen Quartett
録音不明
10 434 (P)1992 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Mujsic

ハイドン・セットはCDで,プロシア王はApple Mujsicで聴きました。ペーターセン四重奏団はベートーヴェンの弦楽四重奏曲も10曲録音しており,現代的で洗練された演奏がなかなか良かったのですが(→レビュー記事),その少し前に録音されたモーツァルトの作品も生き生きとした躍動感のある演奏で聴かせてくれます。有名な団体ではないと思いますが,侮れません。

録音ですが,直接音を主体に録ってはいるものの,残響が少し多めで現実感の希薄な演出された商品の録音になってしまっているのが惜しいです。悪くはないのですが,もう少し生々しさが欲しいと思いました。

ハイドン・セットの方は廃盤になって久しいようで,ディスクの入手は少々しづらいようです。プロシア王の方はまだ少し流通しています。いずれもApple Musicで聴けるのは有り難いことですね。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲K. 387, K.465
モーツァルト:アダージョとフーガK. 546
シネ・ノミネ四重奏団 Quatuor Sine Nomine
Claves CD 50-9903 (P)(C)1999 Claves Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpApple Music

シネ・ノミネ四重奏団のモーツァルトをもう一つ。ハイドンセットから2曲を収録しています。録音年は不明ですが,1990年代後半ではないかと思われます。Apple Musicでの試聴です。

活気があって情緒感豊かなのはベートーヴェンの中期弦楽四重奏曲集と同じです。演奏にキレがあり,アンサンブルも良いですね。この四重奏団の最も脂ののった充実した時期の録音の一つではないでしょうか。

そして録音なのですが,残響感がややあるものの,それぞれの楽器を質感良く捉えており,明瞭で音色も自然,高域の伸びもまずまず良好です。残響の影響で音色は少しくすんでいますが,十分許容範囲です。弦楽四重奏の録音としてかなり良い出来だと思います。

このディスク,廃盤になってから久しいようでやや入手しづらい盤です。Apple Musicで聴けるほか,Amazon.co.jpでもMP3で配信されています。このように廃盤のディスクが聴けるのは本当に有り難いことです。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番K387「春」,第17番K458「狩」
ハーゲン四重奏団 Hagen Quartet
録音 2014年12月
MYR017 (P)2014 (C)2015 myrios classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecoredsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ハーゲン四重奏団は2010年にmyriosレーベルに第16番K428を録音していました。このディスクは以前取り上げていました(→2012年1月4日の記事)。これを聴いて,モーツァルトに関しては,個人的には残念な方向に向かっていると思ったのですが,このディスクではその傾向がさらに進化してしまっています。やはり「ため」が多く(第14番の第1楽章が特に...),自然な呼吸感で聴けないために胸が苦しくなり痛くなります。私にとって生理的に受け付けられない音楽です。第14番の第2楽章以降はそれほどでもなかったので何とか聴き通せましたが,苦痛を感じながらであったことには変わりありません。残念ですがおそらくもう二度と聴かないと思います。

様々なアプローチや挑戦があるからこそクラシック音楽の聴き比べは楽しいのですし,そういったチャレンジ自体は歓迎すべきなのですが,ハーゲン四重奏団がこういうアプローチを選択したというのはとても残念に思います。

録音ですが,邪魔になる残響感はほとんどなく,彼らのシャープな演奏を克明に録った好録音と言えます。もう少し寄って質感と生々しさを強めに出しても良いんじゃないかと思いますが,それでもこれはなかなか良いと思います。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
カンビーニ・パリ四重奏団 Quatuor Cambini-Paris
2013/1 at the Théâtre Impérial de Compiègne, 2013/12 & 2014/1 at the Galerie dorée/Banque de France
AM213 (P)(C)2014 naïve/ambroisie (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.co.jp(MP3)
ピリオド楽器による演奏。カンビーニ・パリ四重奏団は2007年の結成で,結成からまだ日が浅いですが,メンバーは名だたる古楽の団体で活躍してきた強者揃いとのことです。チェロは日本人の酒井 敦氏が担当しています。

アクセントを微妙に抑制した柔らかで粘りのある音色に特徴があります。いかにもピリオド楽器らしいと言えます。豊潤でふくよかに,どちらかと言えばゆったりと音楽が流れていくのですが,アンサンブルがよく締まっているので沈滞することがありません。このあたりの上手さはさすが強者揃いというだけあります。おそらく全てのリピートを繰り返していて演奏時間が結構長いのですが(不協和音の第1楽章は15分を超える!),至福の時間があっという間に過ぎていく感じですね。後述する録音の良さも手伝って,ピリオド楽器が苦手な私でもこれは楽しめました。

そして,この録音がまた素晴らしいですね。残響は多めなのですが,それにも増して直接音がしっかりと捉えられているため,極めて明瞭に録られています。高域の伸びも申し分ありませんし,音色も自然,各楽器の分離感,立体感も良好です。かなりオンマイクのようで,演奏者の息づかいや演奏雑音なども聴こえてきますが,全く気になりません。音の捉え方がHi-Fi調でやや濃すぎるようにも思いますが,不明瞭になったり残響にまみれたりするよりずっと良いです。好録音であると同時に,優秀録音としても通用するのではないでしょうか。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番~第23番
モザイク四重奏団 quatuor mosaïques
録音 1990-2001年
E8889 (C)2003 NAIVE (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ハイドンセットが1990年から1993年,ホフマイスターとプロシア王が1998年から2001年の録音。気負いのないのびのびとした屈託のない演奏が素晴らしいです。ピリオド楽器による演奏ですが,それを意識させない自然なところも良いと思います。さらに,恐らく全てのリピートを実行している点も評価に値します。こんなところにリピートがあったんだ,と,世の中の多くの演奏で省略されてるんだな,ということがわかります。洗練された演奏でも完璧を目指した演奏でもないと思うので評価が分かれるかもしれませんが,こんな演奏も良いですね。

録音ですが,10年以上にわたって収録されているにも関わらず統一感があり,ばらつきが少ないです。残響がやや多めに取り入れられていますが,高域の音の伸び,ヌケの良さがあるので,印象は悪くありません。もう一歩寄って弦楽器の質感を強めに出していればなお良かったのですが,これでもまずまず良好と言えます。

現在すでにこの盤は廃盤になっており,入手がしづらい状態になっています。少し前にハイドンの弦楽四重奏曲がボックスセットで再発売されましたが,このモーツァルトも同様に復刻されたら良いのですが。

しかしそれにしてもこのジャケット写真はちょっと気色悪く,手に取るのを躊躇してしまいます...ジャポニカ学習帳の表紙から昆虫が消えた理由がわかる気がします(^^;。

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モーツァルト:弦楽四重奏曲 K.387 & K.421
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
January, 23-26, 2000, Rathaussaal Markkleeberg
MDG 307 1035-2 (P)(C)2001 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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モーツァルト:弦楽四重奏曲 K.458 & K.465
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
January, 23-26, 2000, Rathaussaal Markkleeberg
MDG 307 1107-2 (P)(C)2001 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
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モーツァルト:弦楽四重奏曲 K.428 & K.464
ライプツィヒ弦楽四重奏団 Leipziger Streichquartett
Rathaussaal Markkleeberg
MDG 307 1160-2 (P)(C)2003 MDG (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
このモーツァルトは強い印象を残すものではありませんが,流麗でしなやかに,上質の音楽に仕上がっています。躍動的で起伏に富んでいるのですが,表現が軟らかくアンサンブルが整い一体感があるのでそのように聴こえるのでしょう。安心して気持ちよく音楽に身をゆだねられる好演奏と言えると思います。モーツァルトはこの団体のキャラクターに合っていますね。

録音ですが,やや残響を多めに取り入れて,楽器音にまとわりついて微妙に色が付き質感が損なわれているのと,やや演出感があるのが気になりますが,音の濁りや曇りはそれほど感じられないので,まあ許容範囲で印象は悪くないです。残響が気にならない人であれば良好に聴こえるかもしれません。もう少しリアルさが欲しいところですけどね。

でもとても気持ちよく聴けたディスクでした。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458《狩》
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465《不協和音》
メロス四重奏団 Melos Quartet
1976年2月,1977年6月 シュトゥットガルト
UCCG-5072 (P)1977 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
メロス四重奏団集中鑑賞中です(^^;。メロス四重奏団は少なくともドイツ・グラモフォンにハイドン・セットとホフマイスター&プロシア王四重奏曲の録音があるようで,その中から表題付きの有名な2曲が選ばれて廉価盤で復刻されたものです。このモーツァルトもドビュッシー&ラヴェルと同様,ど真ん中のストレート,スタンダードな素晴らしい演奏です。あまりにも見本のような演奏なので面白くないと思われる方もおられるかもしれませんが,私はこの最高に充実した演奏がすごく気に入りました。

そしてこの録音も素晴らしいのです。少々あざとい感はあるかもしれませんが,各楽器を極めて明瞭に濃い質感で捉えています。音色のバランスも自然です。ちょっと密度感がありすぎるかもしれませんが,この明瞭きわまりない録音は好録音の鑑です。

残念ながらこの2006年にリリースされた廉価盤シリーズも廃盤のようです。プロシア王のセットは中古でプレミア価格が付いているような状況です。こうなってくるともうタワーレコードに期待するしかないですね(^^;。タワーレコードの企画盤として復刻してくれることを期待します。頼みますよ>タワーレコード様。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲全集
ターリヒ四重奏団 Talich Quartet
録音 1983年~1985年
LDV 100.6 (P)1983 Arpège-Calliope (C)2011 La Dolce Volta (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集が良かったターリヒ四重奏団の,音質の良かったLa Dolce Voltaレーベルのモーツァルトが出ていたので聴いてみました。演奏はやはり温かくどこかほのぼの感の漂う微笑ましいもので,こちらもなかなか良いと思いました。もちろん技術的にも優れていて安心して聴くことができます。

録音ですが,ベートーヴェンよりも後に録音されているものなので,基本的なクオリティは良いものの(もちろん最近の録音に比べればまだまだですが),中には残響が多めのものもあり,統一感に欠けるとともに,演出色が加わって全体的にはわずかながら印象が落ちます。とはいえ,楽器音をしっかり質感良く捉えている点はいいですね。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
30th Street Studios, New York City, May, 1962
SICC 825~7 (P)(C)1962 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Amazon.co.jpTower Records
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」(*)
モーツァルト:弦楽五重奏曲全集(**)
モーツァルト:クラリネット五重奏曲(***)
30th Street Studios, New York City, May, 1977(*), 1978(**), 1968(***)
88697884152 (C)2011 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

ジュリアード弦楽四重奏団 Juilliard String Quartet

ジュリアード弦楽四重奏団の演奏するモーツァルトのハイドン・セット。1962年と1977年の2種類の録音があります。

まず録音について。1962年の方が格段に良いです。もちろん古い録音なのでオーディオクオリティは劣りますし,「サー」というノイズがやはりあります。しかしそれはほとんど問題ではありません。響きはほんのわずかに背景的にふわっと感じる程度で楽器音に与える影響は全くありません。それぞれの楽器が極めて明瞭にかつ自然な音で捉えられており,分離も良く,高域のヌケも全く問題ありません。「おぉぉぉ,これこれ!これだ!」と思わず心の中で叫んでしまいました(^^;。好録音認定です(^^)。最高に気分良く聴くことが出来ました。

一方で1977年の録音ですが,同じスタジオでの録音ですが,響きが多めに含まれ,明らかに楽器音に被って明瞭感を損ない,音色を損ない,...1962年の録音に比べると雑味が多く平板です。ヌケが悪く何かベールを一枚まとったような感じですっきりせずもどかしいです。響きが音楽に何ら貢献していません。何のためのスタジオ録音なのか! 残念でなりません。実はそんなに悪くないとは思うのですが,1962年録音と比べてしまうので,ついつい文句を言いたくなってしまうのです。なんで退化してしまうのか不思議でなりません。

録音はオーディオクオリティも最低限の条件を満たしていることは大事ですが,それ以上に大切なことがあることを改めて思いました。

音楽は1962年の方が脂が乗っていて躍動的ですが,モーツァルトとしてはちょっと暑苦しいかもしれません。1977年の方が少し抑え気味な代わりに表現に幅が出て深みが増していると思います。こちらの方がやっぱりモーツァルトとしてはふさわしい気がします。どちらも素晴らしいのですけどね。

1977年の演奏が1962年の録音で残されていたらどんなに素晴らしかっただろうと思います。

1962年の方はhmv.co.jpでは見つけられませんでした。在庫限りなのでしょうか? 手に入りにくい状況だとすると本当にもったいない話だと思います。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドンセット」
ハーゲン四重奏団 Hagen Quartet
26 January 1998, Mozarteum (Grosser Saal), Vienna
medici arts 2072328 (C)1998 Unitel (C)2008 EuroArts (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
ハーゲン四重奏団のモーツァルト:ハイドンセットのCDは以前このブログで取り上げていました(→2009年11月12日の記事)。収録年からしてちょうどその当時のライヴ映像です。演奏の傾向は当然変わらずキレの良い現代的で流麗な演奏が素晴らしいのですが,何よりその演奏が映像として鑑賞できるのがうれしいですね。ライヴなのでセッション録音のCDに比べると少し音質の透明感やなめらかさといったオーディオ的な品質は劣りますが,それでも悪くありません。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」
モーツァルト:ディヴェルティメント ヘ長調K.138
エベーヌ四重奏団 Quatuor Ebène
Ferme de Villefavard en Limousin, France, 5-10.II.2011
50999 070922 2 0 (P)(C)2011 Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
以前「最近の若い弦楽四重奏団は本当に上手い」と書きましたが,このエベーヌ四重奏団もそういった四重奏団の一つに挙げられると思います。モダンで洗練されていて美しい。モダン楽器が好きな私としては,この傾向は非常にうれしいですねぇ。クラシックの分野でこういう方向に進化していっている唯一のジャンルという気がします。

どの曲も素晴らしいのですが,特にディベルティメントの第2楽章の美しい叙情的な表現が良かったです。今後の録音が本当に楽しみです。

録音ですが,少しオフ気味で録音会場の雰囲気が感じられるくらいの響きが入っています。やはり明瞭感や音色への影響があるります。まあ許容範囲で悪くありませんが,せっかくの透明感ある音色がわずかとはいえくすんでしまっているのは残念です。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲 No.14(K387), No.15(K421), No.19(K465)
カルミナ四重奏団(Carmina Quartett)
26-28 X 2005; Saal des Zuricher Kammerorchesters
Avi-music (P)(C)2006 Carmina Quartett (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:HMV Onlineicon公式Webサイト

これはすごくいいですねぇ。技術的に優れていてアンサンブルも素晴らしいのですが,明るくてちょっと茶目っ気があってとっても楽しいところが大変気に入りました。この表現力には脱帽です。ハイドンのエルデーディ四重奏曲集ではちょっと「賢すぎる」と感じましたが,これはそんなことは全くありません。一皮むけた感じがします。

録音もほとんど不満がありません。音の伸び,きめ細かさも問題なく,楽器の質感もそこそこ感じられます。残響は少しありますが,しっかりと直接音を捉えているので気になりません。この楽しい演奏が良好な録音で聴けることに感謝です。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン四重奏曲」
古典四重奏団(Quartetto Classico)
2003年11月(K464, K465), 2004年4月(K387, K421), 2004年6月(K428, 458) 神奈川県立相模湖交流センター
AVCL-25031-3 (P)(C)2004 AVEX INC. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

古典四重奏団という団体,国内の弦楽四重奏団としてはトップレベルなんだろうと思うのですが,CDを聴く度に上手いと思ったり思わなかったりで,私の中ではなかなか定まらないのですが,この団体の一つの売りになっているビブラートのコントロール(→Wikipedia 今ひとつしっくりこないビブラート控えめ奏法?)がその要因であり,他の団体とは一線を画すこの団体の重要な個性の一つになっていることは間違いないと思います。そして,そこからくる独特の素朴さが気に入っています。ちなみに,古典四重奏団という団体名からピリオド楽器による演奏かと思っていましたが,モダン楽器のようです(少なくともピッチはモダンピッチ)。

解説書によると楽譜は自筆総譜を使用しているとのことです。またリピートも全て実行されているように思います。思いがけないところでリピートされて(多くの演奏では省略されていると思われる),おぉっと思うところが何カ所かありました。

録音ですが,少し残響感はあるものの,明瞭で音色も自然,音も伸びやかです。距離感も適切で各楽器の質感も程良く感じられ,ほとんど文句ありません。

さてこのディスクですが,SACDハイブリッドなのですが,CD層はこともあろうかコピーコントロールCDです。コピーコントロールCDはご存じの通りとっくに廃れてしまいましたが,通常のCDに戻されることなくそのまま発売され続けています。

これがコピーコントロールCDとわかって購入するかどうかさんざん迷ったのですが,私と同じように迷ったあげく購入しなかった方がおられるのではないかと想像します。元々不正コピーを防ぎ,CD販売が伸びることを期待されての導入だったはずですが,結局ユーザー側だけでなく制作者側にも何のメリットももたらさなかったようです。そもそもこのようなマニアしか買わないようなCDが不正コピーで売り上げ減となることは考えにくく,それよりもコピーコントロールCDであることによって敬遠される影響の方がはるかに大きいことは容易に想像出来たはずなのに,なぜこのディスクでこれを採用したのか,全く理解に苦しみます。

単純に普通のCDに戻して価格を3000円台くらいにすれば,ずっと売り上げが上がると思うのですが(定価8,400円はいくらなんでも高すぎます!),もはやそんな気もないのですかね?

ついでにもう一点不満を。付属の解説書の文字が薄い黄緑色で非常に読みづらいです。読んで欲しいと本気で思っているならこんな視認性の悪い印刷にしないはずです。同団体のベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲集はもっとひどかったのですが,それにしてもこの団体のユーザビリティ意識はあまりに低すぎると思います。

後半は文句ばっかりになってしまいましたが,演奏も録音もかなり気に入っていますので,念のため付記しておきます。
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
タカーチ四重奏団(Takács Quartet)
21-25.11.1989; 27-30.5 and 6-7.8.1990
HCD 12983-85 (P)1991 HUNGAROTON (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

ハイドンの「エルデーディ四重奏曲」ですごくキレの良い演奏を聴かせてくれたタカーチ四重奏団のモーツァルトです。このハイドン・セットでは,技術の優秀さよりもどことなく漂う素朴さがこの演奏を特徴付けているのがちょっと意外でした。この気楽な雰囲気がこの演奏を楽しく味わい深いものにしていると思います。でもよく聴くとやっぱり技術的余裕があればこそと納得します。

録音ですが,少し残響のまとわりつきが鬱陶しく感じられるものの,作為的なところや演出臭いところがあまりない,楽器の質感を素直に捉えた録音なので印象は悪くありません。もちろんこの残響のまとわりつきがなければもっと良かったのですが。

あと残念なのがトラックマークが微妙にずれていることです。スキップ操作をすると曲の頭が微妙に切れますし,曲間のギャップレス再生に対応していない携帯プレーヤで聴くと曲の頭に僅かなギャップが入って不快です。CDプレーヤで連続的に聴く分には問題ないのですが。もう少し気をつけてマスタリングして欲しいものです。
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(a) モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
1998年4月(K.458 & 465)アーバーゼー,1999年4月(K.387)モンドゼー,1999年5月(K.428) & 2000年8月(K.464)ヴィースロホ,1995年4月(K.421)ラパスヴィール
DG UCCG-1072-4(471 024-2) (P)2001/1996 Deutsche Grammophon GmbH (国内盤)
好録音度:★★★★☆
(b) モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集
1988年6月(K.160,168,169), 1989年1月(K.155-157), 1989年11月(K.170-173), 1990年3月(K.80,159,136-138),ミュニッヒ,ヴィッセンシャフテン・プレナルザール(ドイツ)
DG POCG-1096/8(431 645-2) (P)1991 Polydor K.K. (国内盤)
好録音度:★★★☆
ハーゲン四重奏団(Hagen Quartet)
参考url: HMV Online ハイドン・セットicon全集icon

まずハイドン・セットの方ですが,ほとんどアマデウス四重奏団しか聴いていなかった頃に買い,こんな演奏もあるんだ!とショックを受けた演奏です。現代的かつ流麗で洗練されています。素直じゃない間合いの取り方に少々抵抗を感じつつも,やっぱりこれは上手いと感嘆します。

録音も残響を控えめにして彼らの美音をすっきりと捉えていて好印象です。少しマイク位置が遠めで私としてはもう少し生々しさというかリアルさが欲しかったところですが。

次に初期の方ですが,ハイドン・セット同様,流麗で洗練された演奏ではあるのですが,そんなに心躍らないのはなぜだろうと思います。初期の四重奏曲は楽しさが命だと思うのですが,その楽しさがあまり感じられないからかもしれません。なお,初期の中にはディベルティメントK.136-138が含まれています。同傾向の演奏ですが,これはなかなか楽しめました。

録音も残響が多めですっきりしませんし,距離感もあって細かなニュアンスが聴き取りづらく,もどかしさを感じてしまいます。実はそんなに悪くはないのですが,私の好みからするとちょっと残念な録音と言えます。

初期のセットはすでに廃盤のようですが,全集として手に入るようです(→HMV Onlineicon)。

[モーツァルト][室内楽曲][弦楽四重奏][愛聴盤]
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モーツァルト:弦楽四重奏曲全集
アマデウス四重奏団(Amadeus Quartet)
DG 423 300-2 (P)1964,1966,1967,1969,1977 Polydor International GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆~★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

一番最初に手に入れたモーツァルトの弦楽四重奏曲のCDがこの全集でした。長い間これだけを聴き続けてきたので,私の中では「モーツァルトの弦楽四重奏曲=アマデウス四重奏団の全集」という具合に染みついてしまっています。他の演奏をいくつか聴いてみた今でも私にとってのベストはやっぱりこの全集です。

この演奏の良さはハイドンの弦楽四重奏曲集と全く共通しています。演奏者自身が一所懸命にアンサンブルを楽しんでいる,この楽しさを共に感じることの出来る幸せ! これが良いんです。ハイドンの弦楽四重奏曲集のところで「キレのある演奏はしませんが」と書きましたが,それはとんでもない勘違いだったかもしれません。確かに表面的にはそう聴こえることもありますが,極めて濃密に絶妙に絡み合う充実度の高いアンサンブルはこの団体のポテンシャルの高さを如実に表しています。

この全集にはディベルティメントK.136-138も収録されているのですが,実はこれが一番好きだったりします。

録音年の詳細は省略しますが,ハイドンセットから以降の作品が1960年代の録音,それ以前の作品が1970年代の録音になります。最も録音状態がよいのは1974年に録音されたK.80とK.136-138で,音の捉え方は文句なし,オーディオクオリティもほぼ満足出来ます(★★★★☆)。次に1963年と1966年に録音されたハイドン・セットの5曲(K.464を除く)で,オーディオ的な粗さはありますが,音の捉え方はまずまずです(★★★★)。その他の曲は若干響きが楽器音に被って明瞭度が落ち気味です(★★★☆)。録音年代はばらついていますが,全体としてこれだけ揃っていれば,まずまずといって良いと思います。

このような名演奏が良好な録音で残されたことに感謝します。

[モーツァルト][室内楽曲][弦楽四重奏][愛聴盤]

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