好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
paavo_jarvi_nhk_so_r_strauss_don_quixote_till_etc.jpg
R. シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」作品35
R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
R. シュトラウス:「ばらの騎士」組曲
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団
2015年10月14,15日 東京,サントリーホール
SICC 19020 (P)2016 Sony Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ドン・キホーテのチェロはトルルス・モルク,ヴィオラは佐々木 亮が担当されています。P. ヤルヴィとN響のR. シュトラウス・ツィクルスは,ドン・ファン,英雄の生涯に続く第2弾ですね。R. シュトラウスはオーケストラの巧さが演奏の出来に直結すると思うのですが,そこはさすがN響です。ちょっと真面目すぎてもう少し茶目っ気があっても良いのかなとは思いますが,そこは指揮者の趣味ですかね(^^;。

録音ですが,ドン・ファン,英雄の生涯と同じ傾向の録音ではあるものの,今回の方が少し残響を抑えてすっきりとさせクリアになっているように思います。演出色が少なく音色も自然なところは好感が持てます。もう少し寄って質感を強めに出して欲しいというのと,ダイナミックレンジを広く取りすぎていて少し大きめの音量で聴かないと物足りなく感じられるというところでしょうか。基本的には良いと思うので,あと一歩頑張ってくれればと思います。次作にも期待!
honeck_pso_r_strauss_tone_poems.jpg
R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20
R. シュトラウス:交響詩「死と浄化」作品24
R. シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団
2012年6月8-10日 ピッツバーグ,ハインツ・ホール
FR707SACD (P)2013 Reference Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ホーネック指揮ピッツバーグ交響楽団のディスクをもう一つ。演奏と録音の傾向は先に取り上げたドヴォルザーク交響曲第8番と同じです。ゴージャスなサウンドで見事に本領が発揮されています。理屈抜きに楽しめます(^^。

タグ : [管弦楽曲]

paavo_jarvi_nhk_so_r_strauss_ein_heldenleben_don_juan.jpg
R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20
R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団
2015年2月18, 19日 サントリー・ホール
SICC 19003 (P)(C)2015 Sony Music (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
NHK交響楽団の第1804回定期公演Bプログラムのライヴ録音。N響の首席指揮者への就任を機に指導するプロジェクトの第1弾ということで,大注目,鳴り物入りでの登場ですね。指揮者の積極的なドライブに見事に応え,ダイナミックレンジの広さと精度の高さをハイレベルで両立した,実力を遺憾なく発揮した期待通りの演奏と言えるでしょう。指揮者がなぜN響との録音にR. シュトラウスを選んだのか,わかる気がします。

さて,肝心の録音ですが,響きを多く取り入れたホール音響再現重視の録音です。音のなめらかさ,緻密さなどオーディオ的なクオリティは良好,残響の量の割には音の濁りや曇りは少なく,その点は好感が持てます。ただ,全体の音のまとまりはあるものの,個々の楽器の質感,生の質感は希薄であり,分離感もあまりなく,細部が感じ取りにくいため,もどかしさがあります。また,残響の影響による若干のモゴモゴ感もあってすっきりしません。フォルテシモでの飽和感はないものの,混沌としてうるさく感じるのも音場偏重の音作りのためかと思います。

私としては上記の通り不満が残るのですが,おそらく雑誌等では優秀録音として取り上げられるであろうと予想します(もちろん私としては残念です(^^;)。

一点付け加えておくと,ヘッドホンで聴くと「英雄の生涯」のヴァイオリン・ソロが,位相がねじれたように不自然に聴こえ,かなり苦痛でした。ヘッドホンでの鑑賞はお勧めできません(ヴァイオリン・ソロだけなのですが...)。

また,いくつかのヘッドホンで聴き比べたのですが,例えばSennheiser HD650やbeyerdynamic T90のように音場が広いものよりも,Sennheiser HD25-1 IIのようにダイレクトに耳に入ってくるようなものの方が向いているようでした(あくまで個人の感想です(^^;)。

タグ : [管弦楽曲]

eiji_oue_minesota_r_strauss_ein_heldenleben.jpg
R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
R. シュトラウス:「影のない女」組曲 作品65
大植英次指揮/ミネソタ管弦楽団
10/1997, Orchestra Hall, Minneapolis, Minnesota
RR83 (P)(C)1998 Reference Recordings (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
HMV Onlineで特価で紹介されていたReference Recordingsicon,「キース・ジョンソン博士が30年以上もチーフ・ エンジニアを務めている高音質レーベル。」ということで興味が湧いたので,その中の一つを聴いてみました。今回は録音のみのコメントです。

まず自然な音色で誇張もなく演出感もない音作りに好感を持ちました。直接音が主体で明瞭であり,個々の楽器の分離もまずまず良好で,残響は少しありますがあまり気になりません(ヴァイオリンのソロは少し残響の影響が気になります)。そして一番感心したのはフォルテシモの鳴り方です。一般的な録音では飽和感がありやたらうるさく混沌とすることが多いのですが,この録音では大きな音量で鳴っているにも関わらず飽和感もありませんし,まったく破綻することなくそれぞれの楽器の音がしっかりと見通しよく存在感を持って鳴っているのです。

こういう録音にはなかなか出会いません。優秀録音といっても良いのではないでしょうか。18年くらい前の録音ですが,こんなに良い録音のお手本があるのです。見習って欲しいですね。
harding_sko_r_strauss_eine_alpensinfonie.jpg
R. シュトラウス:アルプス交響曲
ダニエル・ハーディング指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ
2012年8月23,25日 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
DECCA UCCD-1380 (P)2013 Saito Kinen Festival (国内盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
いくつかのレビュー記事を読んで,演奏の評判まもちろんのこと,録音の評価も高かったので気になっていました。輸入盤を待っていたのですが,いつまで経っても出ないのでしびれを切らして入手しました(入手した途端に輸入盤の案内が...)。

その録音ですが,ライヴ録音としてかなり自然で,ホールトーンも抑えられて音色に変な色づけもありません。低域から高域までバランス良く,締まりがあるのも良い点です。こういう広いダイナミックレンジを要求されるような曲でありながら,平均レベルを少し高めになるように録られているので聴きやすいのも私としては良いと思う点です。オーディオ的なクオリティも高く全く問題ありません。

しかし,あまりにも全体がまとまりすぎているというか,溶け合いすぎて,個々の楽器の分離感がなく質感が希薄で今ひとつ感じられないのが不満です。私にはワンポイント的なサウンドに聴こえ,これを好ましく感じる方もいらっしゃると思いますが,手が届きそうで届かないようなもどかしさがあります。ホールの後ろの方の席で聴いている感じとでも言いましょうか。

これは「優秀録音かもしれないが,好録音とはちょっと違う」録音の一例と言えるかもしれません。もう少し聴き込んで私の不満の正体を見極めておきたいところです。(評価は変わるかもしれません)
mehta_lapo_r_strauss_eine_alpensinfonie.jpg
R. シュトラウス:アルプス交響曲
ズービン・メータ指揮/ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
Royco Hall, UCLA, May 1975
417 717-2 (P)1976 (C)1987 The Decca Record Company (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
メータ/ロサンゼルス・フィルを続けます。

先に取り上げたドヴォルザーク交響曲第8番マーラー交響曲第5番と比べ響きは抑え気味で,個々の楽器の質感を大切にしている点は同じですが,これはさらに鮮度が上がり音の輝きが感じられる素晴らしい録音です。低域は少し抑え気味ですが,中高域への被りもなく,全体をキリッと引き締めています。

勢いのある躍動感に満ちた演奏と相まって,これは本当に良いディスクだと思います。とても充実感があります。こちらまで元気が出ますね。
cover picture
R. シュトラウス:ディヴェルティメント作品86
R. シュトラウス:組曲「町人貴族」作品60
オルフェウス室内管弦楽団
1991年4月
435 871-2 (P)1992 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpAmazon.com
リヒャルト・シュトラウスとしては小規模な管弦楽曲です。作品86はWikipediaによると「F. クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント」と書いてあり,曲名すら知りませんでした。バッハの管弦楽組曲,あるいはレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリアのイメージに近いという印象を持ちました。リヒャルト・シュトラウスの個性が出た作品かと言われると疑問も残りますが,私としてはこちらの方が楽しく聴くことが出来ました。

録音ですが,他のオルフェウス室内管弦楽団の録音と同様,すっきりと聴きやすい録音で,すごく良いわけではありませんがマイナス点もほとんどありません。もう少し各楽器の質感が強く出ていると完璧なのですが。

確か私はこのディスクをAmazon.co.ukのマーケットプレイスから購入しましたが,到着したものを見てびっくり,図書館落ちのもののようで,ディスクに直接“PHOENIX PUBLIC LIBRATY”と書いたシールと管理番号が書いたシールが貼ってあったり,解説書にスタンプが押してあったり(DISCARDEDというスタンプも押してありました)と,ひどいものでした。信号面は図書館落ちのディスクにしては綺麗でしたが,それでも大きな傷がいくつか付いていました。商品状態の記述にはなかったのでちょっと頭にきてクレームを付けようかとも思いましたが,何とか再生も出来るので我慢して聴くことにしましたが,時々こういうのがあるので気をつけないといけないですね。
R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」作品40
R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20
R. シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」作品59よりワルツ第1番,第2番 (*)
R. シュトラウス:歌劇「カプリッチョ」作品85より六重奏曲 (*)
R. シュトラウス:メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための)
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
サンフランシスコ交響楽団
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 (*)
1989~1996年録音
参考: HMV OnlineTower Records

前のエントリでも紹介したブロムシュテット指揮/サンフランシスコ交響楽団のR. シュトラウスがDouble Deccaで一部復活しました! 入手しづらかっただけにうれしい復活です。アルプス交響曲が入っていないのが残念ですが。発売日は4月30日頃のようです。

タグ : [管弦楽曲]

cover picture (a) cover picture (b) cover picture (c)

R. シュトラウス:ツァラトゥストラはこう語った 作品30
R. シュトラウス:死と変容 作品24
R. シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28
Davies Symphony Hall, San Francisco, November 1994
(a) 289 448 815-2 (P)(C)1998 The Decca Records Company Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpAmazon.comAmazon.co.uk

R. シュトラウス:アルプス交響曲 作品64
R. シュトラウス:ドン・ファン 作品20
Davies Symphony Hall, San Francisco, 31 May - 1 June 1988
(b) 421 815-2 (P)(C)1990 The Decca Record Company Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpAmazon.comAmazon.co.uk

R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
R. シュトラウス:メタモルフォーゼン AV142
Davies Symphony Hall, San Francisco, 21, 24, 25 February 1992
(c) 436 596-2 (P)(C)1994 The Decca Record Company Limited (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jpAmazon.comAmazon.co.uk

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 Herbert Blomstedt
サンフランシスコ交響楽団 San Francisco Symphony

シベリウスの交響曲全集が良かったブロムシュテット/サンフランシスコ交響楽団の演奏がふと聴きたくなって手に入れました。演奏については上手く言い表せないので録音について少しだけ。

広帯域でフラット,密度感がありながら濃くなく,インパクトはそれほどありませんが,素直で癖のない音で聴きやすいです。オーディオ品質も良く優秀録音と言えるかもしれません。もう少しそれぞれの楽器にフォーカスして質感を強めに捉えていればなお良かったと思うのですが(特に弦楽器),まあそれでもかなり良い部類に入ると思います。DECCAらしい録音です。

ブロムシュテット/サンフランシスコ交響楽団のディスクは現在は少し入手性が良くないのが残念ですね。

※(c)のディスクを追加しました(2012/04/05)
cover picture
R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30
R. シュトラウス:家庭交響曲作品53
ロリン・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1983年2月,9月,10月 ウィーン
UCCG-5059 (P)1983,1984 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
録音が良いからかもしれませんが,極めて明晰で見通しが良いです。今まで意識しなかったいろんな楽器の音が聴こえてきます。カラヤン/ベルリン・フィルのような壮麗さはありませんが,美しく引き締まったサウンドが素晴らしく思います。

録音も無駄な残響はあまり感じられず,伸びやかでかつ澄み切っています。もう一歩近寄って質感を強めに出してくれていればなお良かったのではないかと思いますが,この録音でも十分納得できます。
cover picture
R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30
マーラー:祭礼(交響曲第2番第1楽章の初期稿)
ピエール・ブーレーズ指揮/シカゴ交響楽団
1996年12月 シカゴ
UCCG-2040(457 6492) (P)1998 Deutsche Grammophon (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
確かにすっきりと淡々としすぎているかもしれません。こういうところは私は結構好きなのですが,弱奏部での音楽の緩み方が好きになれませんでした。録音も強奏部と弱奏部のコントラストが高すぎて平均音圧レベルが下がって聴き取りにくくなり,欲求不満になります。残響を抑えた明瞭感と透明感のある録音なのですが,この点で少し損をしていると思います。HMV Onlineのユーザーのコメントでもあまり良い評価ではありませんが,この録音も関係しているかもしれません。惜しいです。

タグ : [管弦楽曲]

cover picture (a) cover picture (b)

リヒャルト・シュトラウス:
交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30
交響詩「ドン・ファン」作品20
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
楽劇「サロメ」より「7つのヴェールの踊り」
Berlin, Jesus-Christus-Kirche, 1 & 3/1973
(a) 447 441-2 (P)1973/1974 Polydor International GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

リヒャルト・シュトラウス:
交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30
交響詩「ドン・ファン」作品20
1983年9月,2月,ベルリン
(b) 410 959-2 (P)1984 Polydor International GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ブロムシュテット/サンフランシスコ交響楽団のディスクを聴いていて,このディスクも聴きたくなってしまいました。演奏に関してはもう私がここで触れるまでもないと思いますが,カラヤン/ベルリン・フィルはこういう曲を演奏するとスケールの大きな演奏を展開して本当に素晴らしいですね。

旧録音(a)と新録音(b)を聴き比べてみると,録音に関しては,旧録音は少し残響が多めで雑味が感じられ,さらにフォルテシモが音量以上にやたらやかましく感じられます。一方新録音は旧録音に比べると残響が控えめで各楽器の音がくっきりとしていますし,低域までしっかりと伸びています。締まった低音なので中高域に被ることもありません。フォルテシモでもうるさくなく音楽としてちゃんと楽しめます。

録音だけ比べると新録音の方がずっと良いです。演奏面では旧録音も捨てがたいところがありますが,聴こうと手が伸びるのはやっぱり新録音の方です。
cover picture
リヒャルト・シュトラウス:管弦楽曲集
交響詩「英雄の生涯」作品40(+)
交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30(*)
交響詩「ドン・ファン」作品20(**)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28(*)
アルプス交響曲(#)
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(+)
シカゴ交響楽団(*)(**)
バイエルン放送交響楽団(#)
March 1977 & March 1978(+), May 1975(*), May 1973(**), September 1979(#)
POCL-3606(440 618-2) (P)1976-80 The Decca Record Company Limited (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

ショルティのディスクは録音が良いものが多いので好んで聴くことが多いのですが,このディスクは特に好きで以前からよく聴いています。私の好きなオーケストラ録音の代表格です。

邪魔な残響はほとんど気にならず,各楽器の音が明瞭かつ分離良く聴こえますし,質感も良好,弦楽器と管楽器のバランスも絶妙に取れています。フォルテシモでも弦楽器がかき消されてしまうようなこともありません。近年の全体の響きの自然さを優先する優秀録音に比べると,より各楽器にフォーカスしやや誇張された感じがしますが,録音で聴く場合はこれくらいがちょうど良くとても気分良く聴くことが出来ます。低域のレンジ感はやや控えめに感じますが,中高域に被って聴きづらくなるようなことがなくかえって好ましく思います。

オーディオ品質では近年のきめ細かな録音には及ばないかもしれませんが,年代相応であり決して悪くなくまったく問題ありません。
cover picture
R. シュトラウス:ツァラトゥストラはこう語った 作品30
R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
Recorded March 8, 1954(Op.30),March 6, 1954(Op.40)
RCA/BMG 8287661389 2 (P)(C)2004 BMG Music (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp(CD)
クラシック名録音106究極ガイド(嶋護[著])でも紹介されていますが,私もCD試聴記の編集日録2007年12月6日および2009年12月2日のエントリで紹介していました。何度聴いても衝撃を受けます。この50数年,録音の機材はものすごく進歩してきましたが,録音そのものはむしろ退化したんじゃないかとさえ思ってしまいます。この当時の録音の方が,明らかに個々の楽器の音,質感を大切に扱っています。多くが認めるこんなに素晴らしい録音が存在するのになぜ倣わないのでしょうか? 全く理解できません。

なお今回,好録音度を五つ星に改めています。
cover picture

R. シュトラウス:ツァラトゥストラはこう語った 作品30
R. シュトラウス:英雄の生涯 作品40
フリッツ・ライナー(Fritz Reiner)(Conductor)
シカゴ交響楽団(Chicago Symphony Orchestra)
Recorded March 8, 1954(ツァラトゥストラ),March 6, 1954(英雄の生涯)
RCA/BMG 8287661389 2 (P)(C)2004 BMG Music (輸入盤)
RCA LIVING STEREO ハイブリッドSACDシリーズ (SACD Surround/SACD Stereo/CD Stereo)
好録音度:★★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

編集日録 2007年12月6日の記事を転載します。転載にあたり聴き直してみましたが,その録音の素晴らしさに改めて驚嘆しました。これが本当に1954年の録音なのか! オーディオ的なクオリティもさることながら,音の捉え方は録音の基本を見る思いがします。


これには本当に仰天しました!HMVのユーザレビューで録音が驚異的とあったので,値段も安いので手に入れて聴いてみました。ユーザレビューの賛辞は本当でした。何という鮮明な録音!個々の楽器の音がそれぞれしっかりと艶やかに聴こえてきます。私が持っていた1950年代前半の録音のイメージを根底から覆されてしまいました。

最近の下手な録音よりも格段に良いと思いますし,私が持っているオーケストラ録音の中でもトップにランクできるほどの出来です。もちろん最新のデジタル録音に比べればテープのノイズもありますし,緻密さでも劣るのですが,帯域感も十分にありますし,歪み感も十分許容範囲で,1950年代にここまでのクオリティの録音が可能であったということが本当に驚きです。

また,それ以上に音の捉え方が素晴らしいです。HMVの解説によると,2本のマイクロホンによる2トラック録音だとか...最近の録音は,ホールの響き,雰囲気を大切にする録音が多いように思います。その結果,確かに雰囲気や自然さはあるかもしれませんが,不鮮明で抜けの悪い音になってしまっているものが多いと思います。一方この録音は,個々の楽器をいかに鮮明に捉えるかに主眼が置かれており,非常に鮮明で個々の楽器が分離良く聴こえてきます。 逆に,ホールで聴いたときのような雰囲気,自然さは薄いと言えます。

どちらが良いか。もちろん好みによりますが,私は断然後者が好きです。聴いていてすがすがしいですし,何者にも邪魔されることなく音楽にのめり込めます。最近,こういう音作りの録音はほとんど見かけません。演奏は良いのに録音がそれを台無しにしているように思えてなりません。とても音楽の神髄を伝えてくれるように思えないのです。いくら演奏が良くても,こういうCDにはどうしても手が伸びません。非常に残念なことです。

演奏自身には,今回は触れません(^^;;

(編集日録 2007年12月6日より転載) [R. シュトラウス][管弦楽曲]

 Copyright © 好録音探求 All rights reserved. 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ