好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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Eleven Small Rubbishes
南澤大介 Daisuke Minamizawa (Acoustic Guitar)
Big South Valley Music BSV-1182 (2003.01.21)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: Big South Valley MusicApple Music
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Milestone
南澤大介 Daisuke Minamizawa (Acoustic Guitar)
Big South Valley Music BSV-1138 (2005.06.05)
好録音度:★★★★☆
参考: Big South Valley MusicApple Music

少し前に2013年にリリースされたObedient Woodsというアルバムを紹介しました。これが良かったので,それ以前のアルバムのうち,Apple Musicで試聴出来るものを聴いてみました。それがここに紹介する2枚のアルバムです。

奇を衒わないベーシックなテクニックのみを使い,優しく温かい音楽が綴られていきます。強い印象を残す曲,ワクワクする曲はありませんが,心に響く佳作揃いです。作曲家・編曲家としてもご活躍ということで,曲作りの巧みさが渋く光っていると思います。一つ一つの曲をなかなか覚えられないのですが,何度も聴きたくなるアルバムです。

録音ですが,Eleven...の方は電気処理で演出されたものもあるものの,全体にアコースティック・ギターの生の響きを素直に捉えた好録音が多いです。Milestoneはほぼ全曲良好な録音です。何気ない録音ですが,これが良いのです。

最後に一つYoutube動画を。アルバムに収録されている曲ではなく,ビートルズのヒア・カムズ・ザ・サンのカバーですが,原曲のイメージそのままにギター曲に仕立てた良い編曲だと思います。原曲に対する尊敬と愛情が感じられますね。お気に入りです。

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Obedient Woods
南澤大介 Daisuke Minamizawa (Guitar)
2013年5月リリース
BSV-1202 Big South Valley Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Apple MusicBSV Studio

アコースティック・ソロ・ギターのアルバムをもう一つ紹介します。ディスクはBSV Studioから購入できそうだったのですが,Apple Musicでも聴くことが出来ましたので,まずはこちらで聴かせていただきました。

私は南澤大介さんを全く存じ上げないのですが,作曲家・編曲家として,また,ソロ・ギタリストとしてご活躍とのことで,今までに4枚のギターアルバムをリリースされているほか,ソロ・ギター関連の著作を多数出版されているベテランのギタリスト,音楽家とのことです。

このアルバムは2013年に8年ぶりに制作されたアルバムとのことです。今流行の,というか,近年開拓されたような技巧的な特殊奏法はほとんど用いられず,ほとんどベーシックな奏法で演奏されています。しかしその音楽は優しく大変味わいのある素敵な曲ばかりです。心躍ったり熱くなったりはしませんが,温かい気持ちになれる良質な音楽ですね。

録音ですが,録り方に若干のばらつきはあるものの,アコースティック・ギターの生の音色を活かした,演出感の少ない自然な録り方に好感が持てます。個人的にはもう少しHi-Fi調だともっと良かったのですが,これでも十分に良いと思います。
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アトリエ Atelier
川畑トモアキ Tomoaki Kawabata (Guitar)
SLCD-3019 (P)(C)2015 Slice of Life Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

今までも何度か取り上げていましたが,アコースティック・ソロ・ギターは私の大好きな音楽ジャンルの一つです。アコースティックであること,ソロであること,どちらも私にとっては重要な拘りポイントなのです。

ウィンダム・ヒルの創始者であるウィリアム・アッカーマン,特殊奏法の先駆者マイケル・ヘッジス,同じくウィンダム・ヒルで活躍したアレックス・デ・グラッシから始まり,細々ながら今に至るまで少しずつ聴き続けてきました。最近のお気に入りはオーストラリアのトミー・エマニュエルでこのブログでも何度か紹介してきました。

今まで海外のギタリスト中心に聴いてきて,日本のギタリストの音楽は全く聴いてこなかったのですが,アコースティック・ギター・ブック42(→Amazon.co.jp)の「総力特集ソロ・ギターのすべて」を見て日本のギタリストの音楽も聴いてみなければ!と思った次第です。そこで紹介されているギタリストのアルバムをいくつか購入して聴いてみました。これはその中の1枚です。

聴いてみたといってもまだまだごく限られたギタリストの限られた楽曲だけなのですが,傾向として一つ思ったのは,日本のギタリストの曲はJ-Pop的な印象を受ける曲が多いなぁということです。歌詞を付ければ歌えそうな親しみやすいメロディーラインを基軸に曲を構成していくところが何とも和風というか邦楽的イメージを醸し出していると思うのです。一方,先に挙げた海外のギタリストの曲は,もっと器楽曲的という印象を持っています。私はそういった曲を聴いて育ってきて,そういった曲が好きなので,日本のギタリストの曲には少し戸惑っているというのが正直なところで,同じアコースティック・ソロ・ギターといっても別ジャンルにも思えてしまいます。

そんな中で,この川畑トモアキさんの楽曲は,美しいメロディーラインと器楽的な要素が上手く組み合わされた折衷的なアプローチが良いと思いました。これは結構好きかなと。爽やかな明るい曲調の曲が特に良いですね。

録音ですが,確かにこれはアコースティック・ギターの音色なのですが,マイクではなくピックアップで拾ったような音で(違うかもしれませんが),うっすらと演出色がかかり,スカッと高域まで綺麗に音が伸びてくれません。生の透明感,輝きが失われアコースティックの質感がわずかに損なわれているのが残念です。悪くはないのですが,なぜか完全なアコースティックの音に聞こえないのです。せっかくのアコースティック・ギターなのにちょっともったいない気がします。個人的には演出色はいらないと思っています。

タグ : [ギター]

オーストラリアのアコースティック・ギタリスト,トミー・エマニュエル爺さんの最近よく観るお気に入りのYouTube動画の紹介です。

これは最近も紹介しました。“Only Elliot”元気の出るチャーミングな曲です。



そして,トミー・エマニュエル爺さんの最高傑作?!“Angelina”。良い曲です。

タグ : [YouTube]

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It's Never Too Late
トミー・エマニュエル Tommy Emmanuel (Guitar)
(C)2015 CGP Sounds (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
オーストラリアのアコースティック・ギタリスト,トミー・エマニュエル爺さん(といっても1955年生まれなのでまだ60歳ですが)の新譜です。ギター1本でがんばっています。トミー節全開!嬉しいですね。

YouTubeでニューアルバムのプロモーションビデオをいくつかアップしておられます。その中からアルバムトップを飾る“Only Elliot”を。素敵な曲です。


そして,2曲目に収められているタイトル曲“It's Never Too Late”。渋い!

タグ : [ギター] [YouTube]

少し前にトミー・エマニュエルのギター教則ビデオのYouTube動画を紹介しましたが,その中でも最近のお気に入りは“Waiting for a Plane”です。再掲します。こういう爽やかでかっこいい曲が良いですね。この曲は“Little by Little”というアルバムに含まれます(こちらはパーカッションが入る)。


タグ : [YouTube]

アコースティック・ギター奏者のトミー・エマニュエルのYouTubeビデオは以前から何度か紹介してきましたが,また新しい(新しくもないのだが)ビデオを見つけたので紹介します。どうやらTureFireというところから出ているギター教則ビデオのようです。模範演奏が公開されているほか,レッスンそのものも一部公開されているようです。非常にたくさんあって追い切れていませんが,お気に入りの曲である“Harfway Home”,“Locomotivation”,“Papa George”などが揃っていてうれしい限りです。

その中から“Locomotivation”を。



■リンク
[YouTube]トミー・エマニュエル教則ビデオ模範演奏17曲
[YouTube]Tommy Emmanuel - Halfway Home - Guitar Lesson
[YouTube]Tommy Emmanuel - Locomotivation - Guitar Lesson
[YouTube]Tommy Emmanuel - Waiting for a Plane - Guitar Lesson
[YouTube]Tommy Emmanuel - Papa George - Guitar Lesson

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ジューン・テイバーのYouTube動画でアコースティック・ギターを弾いていたマーティン・シンプソン(Marthin Simpson)のYouTube動画。タイトルが“Rosie Anderson/The Shearing's Not for You/Bogies's Bonny Belle”というメドレー曲です。この曲だけ特別に気に入っています。



いやぁ,いいですなぁ... 2:05あたりからのメロディーが泣かせますねぇ...

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オーストラリアのギタリスト,トミー・エマニュエル(Tommy Emmanuel)の新しい(といってもそんなにあたらしくもないのですが(^^;)YouTube動画がありました。本人のアカウントからアップされたと思われます。品質の高い動画は本当にうれしいですね。

大好きな曲の一つ,“Harfway Home”。


その他にもこのシリーズで計5本の動画がアップされていました。

Tommy Emmanuel - Halfway Home →これは上記の動画
Tommy Emmanuel - Close To You →カーペンターズの名曲ですね
Tommy Emmanuel - Classical Gas
Tommy Emmanuel - Lewis & Clark
Tommy Emmanuel - Train to Dusseldorf

タグ : [ギター] [YouTube]

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パッセージ Passage
ウィリアム・アッカーマン William Ackerman
D22Y5213(WH-1014) (P)(C)1981 Windham Hill Records (国内盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★
参考: 公式WebサイトAmazon.co.jp
ウィンダム・ヒル・レーベルの創始者,ウィリアム・アッカーマンの4枚目のアルバム。このアルバムには,最もシンプルで最も美しい彼の最高傑作「ブリックレイヤー家の美しい娘(The Bricklayer's Beautiful Daughter)」を始め,「無垢の心と誘惑の影(The Impending Death of the Virgin Spirit)」,「アンの詩(Anne's Song)」といった詩情豊かな彼の代表作が収められています。これらの曲は他のアルバムにも収録されていますが,このアルバムのテイクが最も純粋で完成度が高いように思います。彼のアルバムの中で最も気に入っている愛聴盤です。

私がアコースティック・ギターを聴くようになったきっかけを作ってくれた彼の2作目“It Takes A Year”にも「ブリックレイヤー家の美しい娘」や「無垢の心と誘惑の影」が収められていました。私にとってとても大切な曲です。

で,こともあろうかこの超名盤は国内では廃盤なのですね...

例によってYouTube映像をいくつか。音質も画質も良くありませんが,アッカーマンのギタープレイを見られるのはうれしいですね。

ブリックレイヤー家の美しい娘


無垢の心と誘惑の影(2:20くらいから始まります)


アンの詩

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センター・ステージ(Center Stage)
トミー・エマニュエル(Tommy Emmanuel)(Guitar)
Favored Nations Acoustic FNA5140-2 (P)(C)2008 Tommy Emmanuel (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

今日も脱線すみません。

2007年10月,カリフォルニア,シエラネヴァダでのライヴを収録したCDとのことです。後半でハーモニカのボブ・リテル(Bob Littell)と競演した曲が数曲含まれています。ライヴならではのテンションの高さとスタジオ録音と変わらぬテクニックの冴えは見事です。彼自身が一番楽しんでいるのではないでしょうか。でもそれってとても大切ですよね...根っからのエンターティナーであることがよくわかります。

同じオーストラリアのギタリストのジョー・ロビンソンは曲作りが渋く玄人好み。対して,このトミー・エマニュエルの曲はキャッチーで親しみやすく大衆的であるのが特徴ですね。どちらも気に入っています。

例によってYouTube動画から。ライヴの定番“Beatles Medley”。Here Comes The Sun ~ When I'm Sixty-four ~ Day Tripper ~ Lady Madonna と続きます。



ギターを打楽器として演奏する“Mombasa”。何も知らずに聴いたらこれがギターから繰り出されてくる音とは到底信じられないことでしょう。驚きです。

タグ : [ギター] [YouTube]

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リトル・バイ・リトル(Little By Little)
トミー・エマニュエル(Tommy Emmanuel)
8697802322 (P)(C)2010 Sony Music Entertainment (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★
参考: 公式WebサイトHMV OnlineAmazon.co.jpTower Records

また脱線します。すみません。

トミー・エマニュエルはジョー・ロビンソンと同じオーストラリアのアコースティック・ギタリスト。Wikipediaによると「アコギの神様」と呼ばれることもあるとか。その筋では非常に有名のようですが,恥ずかしながら全然知りませんでした(^^;。もう半世紀以上活躍している大大ベテランです。

それでとにかく一度聴いてみようと思い手に入れたのが最新のこのCD。基本的にネアカの音楽でとにかく明るく元気で勢いがある。人を喜ばせることに生き甲斐を感じる根っからの芸人だ。まさに芸人魂が炸裂している。この人のステージを一度見てみたいものです。「アコギの神様」と呼ばれるだけあってテクニックもすごいですね。もう少し他のディスクも聴いてみたくなりました。

録音は,若干リバーブ効果が入っているのが気になるものの,アコースティック・ギターの音を明瞭に綺麗に捉えていてまずまず良好です。

以下,YouTubeから。CD1の1曲目に収められている“Half Way Home”。なかなか洒落た曲で一番のお気に入りです。



次はCD1の3曲目“Locomotivation”。スピード感が気持ちいい曲です。



CD2の2曲目“Papa George”。ジョージ・ハリスンにインスパイアされて作った曲だとか。短いですがいい曲です。



最後にCD2の11曲目“Guitar Boogie”。これぞトミー・エマニュエル! すごいです。

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バードシード(Birdseed)
ジョー・ロビンソン(Joe Robinson)(Guitar)
Cat: 295 (P)(C)2007 Sunball Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: 公式WebサイトHMV OnlineAmazon.co.jpプー横丁

2作目のTime Jampin'がすごく良かったオーストラリア出身のギタリスト,ジョー・ロビンスンが15歳の時に録音したファースト・アルバム。2作目が素晴らしかったので,ぜひ1作目も聴きたいと思い手に入れました。

ソロもあればバンドでの演奏もあり,オリジナルもあればカバーもあり,バラエティに富んだアルバムですが... 私には「こんなことも出来ます」「あんなことも出来ます」というジョー・ロビンソンのサンプラー的な焦点の定まらない印象を受けました。

もし最初に購入したのが2作目ではなくこのアルバムだったら,きっと2作目も聴いてみたいとは思わなかっただろうと思います。最初に購入したのが2作目で本当に良かった,と心底そう思いました。音楽との出会いというのは本当に運というか偶然に支配されているよなぁと改めて感じました。今までにもちょっと聴いただけで「もういいや」と思ってしまったアーティストの中に実は...ということも多々あったに違いありません。でも縁がなかったと思うしかないですね。

タグ : [ギター]

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タイム・ジャンピン(Time Jumpin')
ジョー・ロビンソン(Joe Robinson)(Guitar)
ABC Music 2705977 (P)(C)2009 Joe Robinson (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★☆
参考: 公式WebサイトHMV OnlineAmazon.co.jpプー横丁

これは...ぶったまげました! とにかくすさまじいテクニック! 超高速パッセージも正確無比,一つ一つの音の粒が整然と聴こえてきます。ジミー・ペイジのように速いパッセージをなんとなくテキトーには弾いていません(^^;。全て狙って弾いています。こんな超絶テクニックを持ったギタリストがいたとは... しかもトリッキーなテクニックはほとんど使っていません。そこがまたすごい!

録音もギターの音をストレートに高解像に捉えたHi-Fi調の好録音です。文句ありません。

ジョー・ロビンソンはオーストラリアのギタリスト。15歳の時に録音したというデビューアルバムも聴いてみたい...

YouTubeに動画がアップされていましたので載せておきます。







その他のYouTube動画(YouTubeサイトへ)
Borsolino (Tommy Emmanuel)
Joe Robinson Plays Fleabites
Smokin Joe - Midnight In Nashville
Joe Robinson - Bergeson Fries
Joe Robinson - It's Not Easy
Dixie Maguire (Tommy Emmanuel) - Joe Robinson

Royal Flush - Joe Robinson
Fireflies - Joe Robinson

Joe Robinson - Daddy Longlicks
Joe Robinson - Its Not Easy
Joe Robinson - Misty
Joe Robinson - Bergeson Fries
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ブレックファスト・イン・ザ・フィールド(Breakfast in the Field)
マイケル・ヘッジズ(Michael Hedges)(Guitar)
BVCW-35101 (P)1981 Windham Hill Records (BMG Japan) (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

マイケル・ヘッジズは,アメリカのアコースティック・ギタリスト。ウィンダム・ヒル・レーベルの創始者であるウィリアム・アッカーマンが偶然聴いたライヴ・ハウスでの独創的な演奏に驚嘆し,その場で契約を交わしたと解説書にあります。そして生まれたのがこのファースト・アルバム。このアルバムとセカンド・アルバム「エアリアル・バンダリーズ」は当時のアコースティック・ギター界でも画期的な作品であったということです(→Wikipedia)。残念ながら1997年に自動車事故で43歳という若さで他界されました。

で,このファースト・アルバムの録音,アコースティック・ギターの音が極めてストレートに高解像で録られています(ピックアップが使われているのか?)。硬派の録音と言える超Hi-Fiの超優秀録音であり,もちろん好録音でもあります。音楽の良さもあり,以前から愛聴盤として,リファレンス音源として聴き続けてきました。特に1曲目のLayoverが音楽的にもサウンド的にも気に入っています。その他の曲も粒ぞろいで聴き応え十分です。

最近リマスター盤が出ていた事に気がつき,音が良くなったのか確かめてみました。まずすぐわかるのが録音レベルの改善。旧盤よりも明らかに大きく収録されています。波形を比べてみると2~3dB程度高いようでした。さらに中低域のエネルギー感がより増し,よりタイトな音になっているように感じられました。批判を受けることも多いリマスター盤ですが,このリマスターは成功しているように思います。買い直す価値はありました。

2作目以降,リバーブを取り入れた軟派路線の音作りになったのは残念です。
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スペイン
斎藤明子(Akiko Saito)(Guitar)
Recorded at DEN-EN HALL ELLORA in November 27-29, 1991
SRCR-8854 (P)(C)1992 Sony Music Entertainment(JAPAN), Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: 公式ブログSony Music Shop

ギタリスト斎藤明子さんのデビューCD。表題の通り,グラナドス,リョベート,マラッツ,アルベニス,タレガといったスペインの作曲家の作品が収録されています。私はあまりスペイン色の強い曲はそれほど好きではないのですが,この中ではリョベートの“14のカタロニア民謡”の中の“聖母の御子”や“盗賊の歌”などは,その色が濃くなく気に入っています。なかなかの名曲ですね。

録音ですが,少し残響が楽器音に被って音色が曇ってしまっていてヌケが悪く,残念ながらあまり良い印象ではありません。クラシックギターという楽器はそもそも元々の音色自体が地味ですし,それに輪をかけるように曇った音にする必要がどこにあるのか,私には理解できません。それよりも弦を弾く位置,爪の使い方による微妙な音色のニュアンスの変化をしっかりとクリアに捉えるべきと思います。

古い話ですが,1992年頃にNHK BS2で『セレナーデ(小夜曲)』という番組がありました。当時の若手女性演奏家の演奏を紹介する30分の音楽番組で,斎藤明子さんのほか,吉野直子さん,久保田巧さん,長谷川陽子さんなども出演されていました。

akiko_saito_serenade3.jpg NHK BS2 セレナーデ(小夜曲)より

この番組で演奏されたリョベートの曲がとても良かったのでこのCDを買ったのですが,放送された音声と比べて音質が今ひとつだったので,結局専らビデオの方ばかりを見ていました。このビデオは今でも私の宝物として楽しんでいますし,音声をCD化して聴いています。

上の写真のように,収録はスタジオで行われていて,マイクもそれなりに近くに設置され,比較的デッドな環境で響きを抑えて直接音主体に録音されているので,明瞭感も音のヌケもよく,演奏のニュアンスがストレートに伝わってきます。アナログビデオの音声なのでクオリティは良くありませんが,それでもCDよりもはるかに演奏をよく伝えてくれます。メディアのクオリティ以前に音源としての質がどれほど大切かということを痛感します。

なお,このCDはすでに廃盤になっているようです。

[器楽曲][ギター]
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ポートレイツ(Portraits)
村治佳織(Kaori Muraji)(Guitar)
2009年6月 イギリス,ポットン・ホール
UCCD-9763 (P)(C)2009 Decca Music Group Limited. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

このCDもカヴァティーナと同じくアンドリュー・ヨーク作曲の“サンバースト”を聴きたいがために買いました。11年を経てどんな演奏に変貌したかに注目です。なおこの演奏には本題に先立ってイントロダクションが付いています。

で,聴いてみての感想。なるほど,11年という年月はこういう風に演奏を変えたのか,とある意味納得。若さあふれる勢いは影を潜め,とんがりは丸くなり,より陰影のある味わい深い演奏になったという印象です。技術的にも派手さはなくなったものの,技術力をより深い音楽表現につなげていく方向に進歩したと実感できる出来だと思います。

しかし正直なところ,今の私はカヴァティーナの“サンバースト”の方が好きです。あのはち切れそうなピチピチしたところが好きなんです(^^;。こちらの方も良いのですが今ひとつ心躍らないというか... もしこちらの演奏に先に出会っていたら,ここまでこの曲を好きになっただろうか? もう少し歳を取ったらこちらの良さがわかってくるのでしょうか? それにしても,「円熟」という音楽的成長と引き替えに失われていくものも大きいとつくづく思います。

録音ですが,実はそんなに悪くないと思うのですが,響きが若干楽器音に被ってクリアさ,ヌケの良さが損なわれ,その結果,楽器の質感が大きく失われ,カヴァティーナに比べると一歩も二歩も譲ってしまう結果になってしまっています。元々,演奏自体が丸くなり,音からトゲがかなり抜かれているので気がつきにくいのですが,本来の音はもっとニュアンス豊か,質感豊かなはずです。この点でも残念と言わざるを得ません。

なおこのCDには,ショパンの夜想曲第2番のビデオ・クリップを収録したDVDが付属しているのですが,半分はアイドルのイメージビデオのようなシーンで占められており,肝心の演奏しているところをじっくりと鑑賞することができず,中途半端でちょっと落胆しました。私は彼女の『音楽』を楽しみたいのです。

[器楽曲][ギター]
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カヴァティーナ(Cavatina)
村治佳織(Kaori Muraji)(Guitar)
Recording in June 1998 at EGLISE NOTRE DAME DU BON SECOURS, paris and September 1998 at KUSATSU INTERNATIONAL CONCERT HALL
VICC-60134 (P)(C)1999 Victor Entertainment, INC. (国内盤)
 愛聴盤   リファレンス音源  好録音度:★★★★★
参考url: HMV Onlineicon

1曲目に収められているアンドリュー・ヨーク作曲の“サンバースト”,この1曲を聴きたいがためだけにこのCDを買いました。相当昔にレンタルCDで借りてこの曲を知り,もう何百回も聴いたんじゃないかというくらい気に入ったのでいつかCDを買おう買おうと思っていたのですが,結局今まで買いそびれていました。ということで,この曲だけコメントします。

テクニックが完璧で安定しきっていることは言うまでもありませんが,それでいてなおかつ弾けんばかりの若いエネルギーに満ちている,これは本当にすごい! 何度聴いても感動します。解説書によると,“サンバースト”とは雲間から強く照りつける太陽の光のことだそうですが,まさにそのイメージ通りの演奏です(そういえばギブソンのレス・ポールにもサンバーストモデルがありますが,これもそんなイメージですね)。次のフレーズに向かってなだれ込む,曲の最後に向かって勢いが増していく,この推進力は何とも言えません。ブリッジ寄りで弾く鋭くアタック感のある音色もすごくいいです。最高です。

それで録音ですが,余計な響きや付帯音を排除し,この素晴らしい演奏,楽器の鳴り,撥弦のニュアンスを余すことなく捉え,収めています。録音レベルも高く,めいっぱいに音楽情報を詰め込んでいる感じです。もうほとんど文句ありません。最高の演奏を最高の録音で収めた好録音盤です。

なお,私が手に入れたのはビクターのXrcd2盤です。これの効果がどの程度あるのかは比較していないのでわかりません。

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