好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」(花の章付き)
ウラディーミル・ユロフスキ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Royal Festival Hall, London, 4 December 2010
LPO-0070 (P)(C)2013 London Philharmonic Orchestra Ltd (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Online
最近ちょっとはまっているユロフスキ指揮ロンドン・フィルのライヴの中でも,チャイコフスキーの交響曲第4番と並んで録音が最も良かったのがこのマーラーの交響曲第1番。音色にほとんど色づけや付帯音がありません。各楽器が極めてクリアで分離が良く,見通しも良く,サウンドに締まりがあります。

残響があまりなくドライなので好みが分かれるとは思いますが,無味乾燥ということはなく色彩豊かで,私にとってはほぼ理想的と言って良い好録音です。

この録音とチャイコフスキーの交響曲第4番の録音との共通点はエンジニアがFloating EarthのMike Hatchという人だというところです。気に入った録音のエンジニアはチェックしておかなければ...
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マーラー:交響曲第5番
ズービン・メータ指揮/ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
Royce Hall, University of California, Los Angeles, April 1976
417 730-2 (P)1977 (C)1987 The Decca Record Company (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
マーラーはまだ私の守備範囲外なので録音のみコメントします(^^;。

この頃のメータ/ロサンゼルス・フィルの録音は,残響を取り入れつつも個々の楽器の質感を大切にしていて比較的分離良く聴こえてくるため,残響感の割には気持ちよく聴くことが出来ます。特に弦楽器の質感が良いことが好印象につながっています。この録音は先に取り上げたドヴォルザークの交響曲第8番よりも見通しが良く整理され,一方,スケール感は増していて,より良好な印象を受けます。おそらくそうしないとマーラーの場合はごちゃごちゃしすぎて聴いてられないからでしょう。

やはり現代のデジタル録音にはクオリティ面では及ばず,もう少しヌケの良さが欲しいところですが,音楽を十分に堪能できる好録音です。
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マーラー:交響曲第9番
カレル・アンチェル指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
Recorded at the Dvorak Hall of Rundolfinum, Prague, from 7 to 9 and on 12 and 15 April, 1966
SU 1954-2 011 (P)1966 Supraphon Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
アンチェルのディスクは,今までにドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」ブラームスの交響曲第1番,交響曲第2番を取り上げてきました。古い録音ですが,残響を取り入れながらも楽器の質感を明瞭に捉えた好録音でした。

このマーラーも例外ではなく,各楽器を自然に,すっきりと明瞭に捉えた好録音です。低域は少し弱めですが,かといって足りないというほどでもありません。私には映画音楽のようなそんなサウンドに聴こえます。このアンチェルのマーラーは名演として名高いですが,この好録音が支えている部分も大きいのではないかと思っています。
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マーラー:交響曲第9番
ベルナルト・ハイティンク指揮/バイエルン放送交響楽団
2011年12月15,16日 ミュンヘン,ガスタイク・フィルハーモニー
BR Klassik 900113 (P)(C)2012 BRmedia Service (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
いつもお世話になっている友人からご紹介いただいたディスクです。

これはライヴ録音ですが,ライヴ録音とは思えない(いや,ライヴ録音だからこそ出来るのかもしれない)私にとってオーケストラ録音としてほぼ理想的といえる出来です。各楽器の質感,音色の自然さ,高域のヌケの良さ,音のキレの良さ,不満な点がほとんど見つかりません。金管が咆哮するフォルテシモでも音がつぶれず,うるさくならず,汚くならず,美しく高らかに鳴り響きます。低域も伸びているのにブーミーになることなく極めてキレが良く引き締まっています。突出したところがあるわけでもなく,優秀録音として評価されるかどうかもわかりませんが,演出臭くない自然ですっきりした素直な好録音と言えると思います。少しオマケとは思いましたが五つ星としました。

なおマーラーは私の守備範囲外であまり聴かないのですが,録音がよいこのディスクは思わず聴き入ってしまいました。録音がよいということの大切さ(あまりなじみのない曲では特に!)を改めて認識しました。
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マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
マリス・ヤンソンス指揮/ロンドン交響楽団
2002年11月 ロンドン,バービカン・センター
LSO0038 (P)(C)2003 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
マーラーはまだまだよくわからないので録音のみコメントします(^^;。

ロンドン交響楽団の自主制作 LSO Liveのシリーズは,指揮者によらず,デッドでドライな録音が多いという印象で(たとえばハイティンクのベートーヴェン交響曲全集),このディスクも例外ではありません。各楽器の分離が良く曲の内部構造をえぐるように明瞭に聴こえてくるのが良い点ですが,潤いに欠け,高域が詰まったように聴こえるというこのシリーズの欠点も持ち合わせています。低域の伸びと締まり具合は良好,あとは高域をヌケ良くスカッとする音で録ってくれていれば文句なしなのですが。とはいえ,基本的には私の好みの録音なので四つ星半とします。本当に惜しいですねぇ,これは。
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マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
レナード・バーンスタイン指揮(Leonard Bernstein)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)
Wien, Musikverein, Grosser Saal, 9/1985
427 697-2 (P)1989 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

私はマーラーはあまり聴きませんが,そんな中で第6番は比較的よく聴く曲です。バーンスタインもCDはそれなりに持っているのですが,あまり聴きません。DG録音のバーンスタインは個性が強すぎるというか,バーンスタイン節にちょっとついていけない印象を持ったからです。しかし,このマーラーはその個性がすごくはまっていると思います(なので通して聴くとどっと疲れます)。もっともマーラー初心者の私が云々言うよりも皆さんの方がよっぽどこの演奏を良く知っておられるのではないかと思いますが...

録音ですが,DGらしい優等生的な印象を持ちました。ダイナミックレンジもぎりぎりまで広く取っていますし,楽器音と残響との比率も適切に取っています。いろんな面で破綻のないバランスの良い録音だと思います。私としてはもう少し楽器の質感を強調して明瞭感高く,分離良く録って欲しいとは思いますが,それでもまずまず納得できる録音です。

タグ : [交響曲]

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マーラー:交響曲第4番
エリアフ・インバル指揮(Eliahu Inbal)(Conductor)
フランクフルト放送交響楽団(Frankfurt Radio Symphony Orchestra)
1985年10月10,11日 フランクフルト,アルテ・オーパー
COCO-73123 (P)2010 Columbia Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online

B&K社の無指向性マイクを用いたワンポイント録音で一躍有名になったインバル/フランクフルト放送交響楽団のマーラー交響曲全集の中でもこの第4番は補助マイクなしの完全なワンポイント録音として特出しされることの多いディスクです。ワンポイント録音として理想的な録音の出来るマイク位置はホールの中で一カ所しかなく,そのマイク位置が録音の本番直前に奇跡的に見つかり,この録音が実現したということです。

また別エントリを起こして触れたいと思いますが,発売当時に聴いた印象があまり良くなかったので(確か第1番)ずっとこのマーラー録音は避けてきました(というよりもマーラーそのものを聴かなかったのですが)。レコード芸術2010年10月号の特集記事で何度も出てくるので改めて聴き直してみようとこれを入手しました。

なるほど,ワンポイント録音の自然さというのはこういうものなのかと,確かにマルチマイク録音と思われる多くの録音と決定的な差があることを再認識しました。しかし,もっと印象に残ったのは,直接音と響きとの絶妙なバランス,楽器の質感の良さ,締まった低域,ヌケの良い高域,フラットな帯域感,あらゆる要素がピンポイントを狙ったような素晴らしいバランスで収められているということです。裏を返せば極めて危ういバランスの上に成り立っていて,少しでも外れると崖を転がり落ちるようにバランスが崩れていくような不安定さも感じます。当時のDENONの録音技術陣がそのピンポイントをどれだけ真剣に探したか,その苦労を感じます。

なお,私がこの録音を認めるのはワンポイント録音の自然さも多少はあるのですが,それよりも直接音と響きのバランスがぎりぎりではあるものの直接音の方が支配的であり,明瞭感,音色の自然さ,ヌケの良さを保ち,また楽器の質感をしっかりと残しているからです。やや響きが多めで私の好みからすると少し外れますが,その響きがほとんどマイナス方向に働いていません。響きを取り入れるならこういう風に取り入れて欲しい,という一つの好例です。ただ一点だけ難点を言えば,ダイナミックレンジがやや広すぎて再生しづらいことでしょうか(最も音量の大きいところではわずかにクリップしていますし...)。

結局,私の好録音の観点ではワンポイントなのかマルチマイクなのかは重要な要素ではないということがこの録音ではっきりしました。
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マーラー:交響曲第一番ニ長調「巨人」
ピエール・ブーレーズ指揮(Pierre Boulez)(Conductor)
シカゴ交響楽団(Chicago Symphony Orchestra)
1998年5月 シカゴ
POCG-10142(459 610-2) (P)1998 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
発売元:ポリドール株式会社
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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マーラー:交響曲第四番
ピエール・ブーレーズ指揮(Pierre Boulez)(Conductor)
クリーヴランド管弦楽団(The Cleveland Orchestra)
Cleveland, Masonic Auditorium, 4/1998
463 257-2 (P)(C)2000 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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マーラー:交響曲第六番イ短調《悲劇的》(エルヴィン・ラッツによる改訂版)
ピエール・ブーレーズ指揮(Pierre Boulez)(Conductor)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)
1994年5月 ウィーン
POCG-1848(445 835-2) (P)1005 Polydor K.K. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

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マーラー:交響曲第七番
ピエール・ブーレーズ指揮(Pierre Boulez)(Conductor)
クリーヴランド管弦楽団(The Cleveland Orchestra)
Cleveland, Masonic Auditorium, 11/1994
447 756-2 (P)1996 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

第一番第四番は以前取り上げました。第六番,第七番を加えて一つのエントリにまとめます。

マーラーは今までほとんど聴いてこなかったため,演奏に関してはコメントできるほどわかりませんので,録音のみコメントします。

これら4枚はオーケストラも録音時期も録音場所も異なりますが,音質や音の捉え方はかなり似ています。これだけ統一感があればシリーズ物としては十分納得性があります。

残響はあまり感じられません。ダイナミックレンジ,周波数帯域ともに非常に大きいのが特徴です。帯域は特に低域側の伸びがすごく感じられます。残響が抑えられているためかドライな印象で,低域もこれだけ伸びているにもかかわらず締まっていてブーミーな感じはありません。

ダイナミックレンジが広いので平均レベルが若干低く抑えられていて少しゼネラルオーディオ向きではないかなと思います。それぞれの楽器の質感にもう少し生々しさが欲しいのと,少し遠くから聴いている感じで全体に団子になっているので,各楽器の分離感がもう少しあればと思います。しかし,いろいろな録音を聴いてもこれらを満足するものには滅多に出会いませんし,それ以外の不満はほとんどないので,オーケストラの録音としてはまずまず良好と言えるのではないでしょうか。

タグ : [交響曲]

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マーラー:交響曲第四番
ピエール・ブーレーズ指揮(Pierre Boulez)(Conductor)
クリーヴランド管弦楽団(The Cleveland Orchestra)
Cleveland, Masonic Auditorium, 4/1998
463 257-2 (P)(C)2000 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

シカゴ交響楽団との第一番と同様,今回も録音のみのコメントです。

録音の質は第一番とほぼ同じです。繰り返しになってしまいますが,残響感はほとんどなくクリアでドライな印象です。ダイナミックレンジ,周波数帯域ともに非常に大きいのも特徴です。低域もしまっていてブーミーさがなく,中高域への被りも感じられません。

オーケストラ録音としてほぼ不満のない好録音ですが,欲を言えばもう少し弦楽器に生々しい質感が欲しかったかなというところです。また,ダイナミックレンジ方向のスケール感はものすごくあるのですが,音の広がり方向のスケールは少しこぢんまりとまとまり過ぎかなと思います。少し遠くから聴いている感じで全体に団子になっているので,楽器の分離感ももう少し欲しいところです。

タグ : [交響曲]

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マーラー:交響曲第一番ニ長調「巨人」
ピエール・ブーレーズ指揮(Pierre Boulez)(Conductor)
シカゴ交響楽団(Chicago Symphony Orchestra)
1998年5月 シカゴ
POCG-10142(459 610-2) (P)1998 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
発売元:ポリドール株式会社
好録音度:★★★★
参考url: HMV Onlineicon

私はマーラーは今までほとんど聴いてきませんでした。CDも2, 3枚しか持っていなかった気がします。何となく避けてきたのですが,ちょっと聴いてみようという気になったので...ということで,今回は録音についてのみコメントします。

残響はあまり感じられません。ダイナミックレンジ,周波数帯域ともに非常に大きいのが特徴です。帯域は特に低域側の伸びがすごく感じられます。残響が抑えられているためかドライな印象で,低域もこれだけ伸びているにもかかわらず締まっていてブーミーな感じは全くありません。

ダイナミックレンジが広いので平均レベルが若干低く抑えられていて少しゼネラルオーディオ向きではないかなと思いますし,それぞれの楽器の質感にもう少し生々しさが欲しいかなとは思いますが,それ以外の不満はほとんどなく,オーケストラの録音としてはまずまず良いという印象です。

あと,ヘッドホンで聴くと少し位相が操作されているような感じがしました。許容範囲ですが。

タグ : [交響曲]

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