好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
1998年8月 バーデン=バーデン,祝祭劇場
UCCD 2120 ユニバーサルミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団
2015年6月16日,12月30日(くるみ割り人形) 2015年6月10日,9月29日(交響曲第4番)
MAR0593 (P)2016 State Academic Mariinsky Theatre (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ゲルギエフは1998年に全曲版を録音していましたが,17年ぶりに再録音されました。オーケストラは同じマリインスキー劇場管弦楽団。このくるみ割り人形はマリインスキー劇場の委嘱で作曲され,1892年に初演されたそうで,これはその125周年の記念として録音されたとのことです。

1998年の録音は全曲にも関わらずCD 1枚に収録されています。このテンポで本当にバレエが踊れるのだろうかというくらい速い曲もあり,全体にちょっと落ち着かない感じはあるものの,そういうことを抜きにして音楽そのものは推進力,勢いがあります。

一方今度の新しい録音はそれと比べると随分と落ち着いたテンポであり,音楽自体も角が取れて随分と柔らかく優しい印象を受けます。同じ指揮者,オーケストラの顔合わせとは思えないくらい変わっています。新しい録音の方が実際に踊るバレエ音楽として適切なんだろうな,と思います。実演を繰り返し積み重ねて作り上げられた音楽ということでしょうね。

さて録音ですが,1998年録音は残響控え目で個々の楽器の質感を比較的強めに捉え,明瞭でくっきりしています。質的には少し粗い気もしますし,やや音色が刺激的ですが,このような録り方なのでそう聴こえるのかもしれません。少し誇張された感はありますが,好録音です。

一方新しい録音の方ですが,ホールのちょうど中央あたりで聴いているような印象を受ける音場感を持った録音です(残響量はそれほど多くありません)。直接音と間接音のバランスが絶妙で,響きが音色に影響を与えているにも関わらず悪い印象を受けないのは,ホール感の自然さ故ではないかと。また音が滑らかで,いまどきの優秀録音という感じがします。録音レベルが少し低めであり,また,音場型の録音ということもあって,少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴けます。このような音場型録音は私の好みからは少し外れますし,音のヌケ,高域の伸びがもう少し欲しいとは思いますが,これならまあ良いのではないかと思います。

私の好みからすると演奏も録音も1998年の方が好きですかね。
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
チャイコフスキー:弦楽セレナーデハ長調作品48(*)
アンタル・ドラティ指揮
ロンドン交響楽団/フィルハーモニア・フンガリカ(*)
Recorded: 7/1962, Great Britain; 6/1958, Austria(*)
432 750-2 (P)1991 Mercury (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
先日プレトニョフ盤を取り上げましたが,このドラティ盤を持っていることをすっかり忘れていました(^^;。

ケース裏の紙に“An Original Stereophonic 35mm Magnetic Film Recording”と記載されています。これがどういうものかよく知らないのですが,映画のフィルムと同期して再生するための35mmの磁気テープに録音されたものではないかと思われます(自信なし...)。1962年の録音ということもあってか,音は少し歪みっぽいというか粗いというか,少しザラザラした感じがします。残念ながらオーディオ品質的にはあまり良くありません。ただし,音質のバランスはまずまず良好で音色の色づきも少なく自然で好感が持てます。

そして何といっても音の捉え方がいいのです。残響を抑え,各楽器を極めて明瞭に分離良くすっきりと録っています。全体としての不自然さはあるかもしれませんが,それぞれの楽器が見通しよく聴こえてくる快感がこの録音にはあります。こういう録音は今ではすっかり廃れてしまいました。でも私はやっぱり,もやもやした自然な録音よりくっきりすっきりした不自然な録音を採りたいです。音楽は何よりまず音そのものが命だと思うからです。

さて演奏ですが,男性的というか威勢の良さが前面に出ていて,可愛らしさや情緒的なところがあまり感じられません。ツボにはまる曲もあるのですが,もうちょっと表情豊かにやって欲しいと思うところが多いです。まるでやっつけ仕事をこなしているようにも聴こえてしまいます(決してそんなことはないと思うのですが)。オーケストラも何とか指揮者の棒についていっているという感じで余裕がなく,せかせかとした音楽になってしまっています。

好録音なのですが,オーディオ品質的の粗さと演奏の違和感があって忘れ去ってしまっていたのではないかと思います。なお,ドラティは後にコンセルトヘボウ管弦楽団と全曲の再録音をしています。こちらは未聴です。

弦楽セレナーデは,フィルハーモニア・フンガリカのアンサンブルの粗さが気になってあまり楽しめませんでした。好きな曲なのですが...
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71全曲
ミハイル・プレトニョフ指揮/ロシア・ナショナル管弦楽団
Moscow, Mosfilm Recording Studios, Studio 1, 3/2011
ODE 1180-2D (P)(C)2011 Ondine Oy, Helsinki (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
チャイコフスキーのくるみ割り人形は好きな曲で,作品71aの組曲版はショルティ/シカゴ交響楽団メータ指揮/イスラエル・フィルの演奏が気に入っていてよく聴きます。全曲版はプレヴィン指揮/ロイヤル・フィルのものを持っているのですが,今ひとつ好きになれずお蔵入りしていました(同じプレヴィン指揮でロンドン・フィル交響楽団のものもあるのに今気がつきました(^^;)。

録音が良さそうなものをずっと探していたのですが,なかなか買えずにいたところ,何かで録音がよいとの記事を読み(何か忘れてしまいました...)手に入れて聴いてみたところ,これがなかなか良かったのでここに取り上げることにしました。

残響が少しあるのですが,すっきりと見通しよく録られており,それぞれの楽器の質感も良好なところが気に入りました。まだ十分に聴けていないので一旦四つ星にしていますが,もう少し良い評価を付けても良いかも,と思っています。

演奏も楽しくかつダイナミックで躍動的で気に入りました。もう少しじっくりと聴き込んでいきたいと思っています。

タグ : [管弦楽曲]

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チャイコフスキー:序曲「1812年」作品49
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71a
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮(Sir Georg Solti)(Conductor)
シカゴ交響楽団(Chicago Symphony Orchestra)
Orchestra Hall, Chicago, January 1986
417 400-2 (P)(C)1987 The Decca Records Company Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Onlineicon

このCDはかなり昔に買ったと記憶しています。そして,ショルティの録音が私の好みに合うということを最初に意識したCDでもあります。この中では特にくるみ割り人形が気に入っています(曲自体も好きなので)。

録音ということではやはり1812年がすごいですね。大砲の音がショボかったり取って付けたような不自然なものが多いのですが,これはすごく締まったいい音で入っています(多少不自然さはあるかもしれませんが)。実は音の波形を見てみると盛大にクリップしているのですが,まあ所詮大砲の音ですので全く気になりません(というか気がつかない)。このすごさを除いても,残響を抑えて明瞭感とヌケの良さを確保した引き締まった良好な録音と言えます。

演奏に関しても明るく活気があって気に入っています。愛聴盤です。

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