好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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シューマン:交響曲全集
Stanislaw Skrowaczewski the complete oehmsclassics recordings - 90th birthday collectionより
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/ザールブリュッケン放送交響楽団
2007年3月20-23日, 11月 Großer Sendesaal des SR
OC 090 (P)(C)2013 OehmsClassics Musikproduktion (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これも出来心で手に入れてしまったボックスセット(^^;。このボックス発売当時はまだご存命で90歳を記念して制作されたようです。以下の曲が収録されています。28枚組です。

ブルックナー:交響曲全集(第00番,第0番を含む)(1991-2001年)
ベートーベン:交響曲全集(2005-2006年)
シューマン:交響曲全集(2007年)
ブラームス:交響曲全集(2011年)
バルトーク:管弦楽のための協奏曲,ディヴェルティメント(2002年)
ベルリオーズ:幻想交響曲作品14,ロメオとジュリエット作品17~愛の情景(2002-2003年)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番,第2番(ピアノ:エヴァ・クピエツ)(2003年)
スクロヴァチェフスキ:ミュージック・アット・ナイト,ファンタジー「夜の横笛」,シンフォニー(2005-2008年)

オーケストラはザールブリュッケン放送交響楽団ですが,2007年にカイザースラウテルン南西ドイツ放送交響楽団を吸収合併してザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団という長ったらしい名前になったそうです。シューマンとブラームスの全集は合併してから録音されました。

今回はこの中からシューマンの交響曲全集のコメントです。スクロヴァチェフスキのシューマンってあんまり想像がつかなかったのですが,聴いてみてなるほど!と思う明快で格好のよい男前な演奏でした(多分に先入観の影響はあると思いますが(^^;)。

そして録音なのですが,残響控え目で内声も聴き取りやすい見通しの良さ,音切れの良さを持っているものの,音色はややくすんで冴えず,広がり感,分離感も今ひとつです。ちょっと音づくりが古臭いように思います。楽器音の捉え方がまずまず良いだけに,この音質は2007年の録音としてはいささか残念でした。

タグ : [交響曲]

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シューマン:交響曲全集
ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団
2013年11月25日, 26日, 30日 & 12月1日-3日 パース・コンサート・ホール(イギリス)
CKD 450 (P)(C)2014 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

室内管弦楽団ならではの小回りの利いた躍動感ある小気味よい演奏ですね。アンサンブルも良いと思います。先日取り上げたサヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデンとは対極にあるように思います。こちらは今風に仕上げられていますね。

録音ですが,残響は控え目で低域もだらしなく響くことがありません。タイトでややドライな仕上げです。マイク位置が少し遠いのか,良く言えばまとまりのある,全体が良く溶けあった音なのですが,その代償としてやや楽器の質感が希薄になって力強さ,実在感は失われています。これでも十分好録音だと思うのですが,あえて言わせてもらえば,もう少し個々の楽器の質感を強めに捉え,もう少し存在感のある音で録っていればなお良かったと思います。
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シューマン:交響曲全集
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
1-12. IX, 1972, Lukaskirche, Dresden
0825646075942 (P)1973 (C)2015 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsHMV Onlineicon

この演奏は以前一度取り上げていました(→こちら)。シューマンでこれだけ豊潤で濃厚,スケールの大きな演奏を成り立たせているところに感心します。録音はちょっと残響が多すぎるのであまり好きではないのですが,これだけの残響を取り入れながらサウンドのバランスが大きく崩れることなくぎりぎりの明瞭感を保って聴こえるあたりは上手く録っていると思います。

現在発売されているものはARTリマスタリングのもののようですので買い直してみました。わずかながら鮮明さは改善されているように思いました。でもそこはやはり旧EMIの録音か... そして1972年の録音としてはマスターテープの保存状態があまり良くないような気もします。

それにしてもこの演奏のティンパニーの存在感はすごいですねぇ。何度聴いても惚れ惚れします。

タグ : [交響曲]

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シューマン:交響曲全集
サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2013年2月,11月 ベルリン・フィルハーモニー
KKC 9083(BPHR 140011) (P)(C)2014 Berlin Phil Media GmbH (国内流通仕様盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineiconベルリン・フィル・レコーディングス

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の自主制作レーベル“ベルリン・フィル・レコーディングス”から,すでにシベリウスの交響曲全集ベートーヴェンの交響曲全集,そしてシューベルトの交響曲全集を取り上げてきましたが,このシリーズの第1弾がこのシューマンの交響曲全集とのことです。

本パッケージは以下のものから構成されています。

(1) CD 2枚

(2) Blu-ray Disc 1枚
 Blu-ray Disc Audio
  2.0 PCM Stereo 24-bit/96kHz
  5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit/96kHz
 Blu-ray Disc Video
  Full HD 1080/60i 16:9
  2.0 PCM Stereo 24-bit/48kHz
  5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit/48kHz

(3) High-Resolution Audio Download Code
 Stereo 24-bit/192kHz WAV/FLAC
 Stereo 24-bit/96kHz WAV/FLAC
 5.0 Surround 24-bit/192kHz FLAC
 5.0 Surround 24-bit/96kHz WAV/FLAC
 ※全てのファイルを何度でもダウンロード可能

一連のシリーズを聴いていて思うのは,私が勝手に抱いていたベルリン・フィルのイメージとだいぶ違うな,ということで,このシューマンも同様。小編成かと思うほどの機動性を発揮,隅々までコントロールが行き届き,スリムかつ力強く俊敏な演奏を聴かせてくれます。特にこのシューマンではこの小気味よさが曲にとてもよくマッチしていると思います。

録音ですが,印象としてはほぼシューベルトの交響曲全集と同じで,むしろこちらの方がわずかに鮮度が高くさらに良い印象です。残響はあるものの,引き締まったタイトな楽器の響きで支配されているため好印象です。音色に癖がなく整っていますし,高域のヌケも悪くありません。欲を言えばもう少し弦楽器の質感を強めにし,音色に透明感と輝きを持たせてモゴモゴした感じをなくして欲しかったところです。しかし,やはりあらゆる要素でバランスの整った欠点の少ない録音だと思います。不満がゼロではありませんが,これも五つ星とします。

このディスクは演奏も録音も良いので,私の中ではシューマンの交響曲全集の決定盤になるかもしれません。これからもしばらく聴き続けて評価を固めていこうと思っています。

このベルリン・フィル・レコーディングスのシリーズ,今後も注目していきたいと思います。
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シューマン:交響曲全集
ジモン・ガウデンツ指揮/オーデンセ交響楽団
録音 2011年,2013年
777 925-2 (P)2015 CPO
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Music
いつも参考にさせていただいているクラシック音楽CDの雑談で取り上げられているのを見て聴いてみたくなったディスクです(有り難うございます)。演奏者に関しては同サイトをご参照いただきたく。

せっかちなくらい速いテンポで颯爽と駆け抜ける気持ちの良い演奏で,新しい時代を開く現代的でスマートな演奏だと思いました。速いからといって決して勢い任せにならず,明晰で細部まで克明に描き出す分析的な演奏でもあると思います。がんばって弾いているのに普通は聴こえてこないシューマンの<素直でない>ヴィオラまで(^^;聴こえてきたりする(聴こえる気がする?)のも面白いです。こういう演奏は大歓迎です。

そして録音なのですが,少し音像が遠めで楽器の質感は弱く,スケール感はやや小さいものの,響きの美しさ,楽器の音色の輝きが感じられる好録音です。低域は弱めですが締まっています。見通しもまずまずです。残響はあるもののウェットにならず,むしろカラッとしているのが良い結果につながっています。私としてはもう少し寄って生々しさと分離感を出して欲しかったと,私の望む録音とは少し方向が違うのですが,まあこの録音ならいいかなと思います。
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シューマン:交響曲第1番,第4番
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

1-12 September, 1972 Lukaskirche Dresden
CE28-5298 東芝EMI株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★
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シューマン:交響曲第2番,第3番
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

1-12 September, 1972 Lukaskirche Dresden
CE28-5299 東芝EMI株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:(第1番,第4番)HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
参考:(第2番,第3番)HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

シューマンの交響曲というと,最近はすっかり軽く爽やかで見通しの良い演奏を求め,この曲はそういうものだと勝手に思ってしまっていたのですが,これはその対極をいく演奏。フルオーケストラの豊潤な響きを最大限に生かした壮麗で格調高い演奏だと思います。かつてはこういう演奏が主流だったんだと逆に新鮮な思いで聴きました。

録音ですが,この残響はちょっとすごいです。多いを通り越してもう過剰としか言いようがありません。どこの洞窟で録音したんだろうと思ってしまいます(^^;。しかし,弦楽器の音の芯が輪郭を伴って,しかも音色のバランスがそれほど崩れずに聴こえるので,これだけの残響感があるにも関わらずそれほど印象が悪くないのです。もちろん私の好きな録音からは大きく外れますが,残響を取り入れ方の一つの参考になる録音ではないかと思います。こういう録音を薦めたいわけではないですが。

この演奏の評価が高いのは,オーケストラの濃厚な響きの魅力を助長し支えるこの録音も貢献しているに違いありません。

私の好みから言いますと,同じ顔合わせで録音されたシューベルトの交響曲全集の録音の方がずっと好きなのですが...

タグ : [交響曲]

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シューマン:交響曲全集
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1967年(No.3, 4),1969年(No.1, 2)
448 930-2 (P)1968,1970 (C)1999 The Decca Record (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
1970年前後のショルティのDECCA録音は好録音が多いので手に入れたディスク。それにしてもショルティのシューマンっていったいどんなんだ?と想像がつかなかったのでちょっと期待して聴いたのですが...いやぁ,期待を裏切りませんねぇ...ふふふっ...(^^;。デリカシーのかけらもないと言ったら言い過ぎか。こんなパワフルで吠えまくる,猛進するシューマンって...決してお薦めはしませんが,私は手許に置いておいて,時々取り出して一人ニヤニヤしながら聴いていそうな気が...それにしてもウィーン・フィルからこんなサウンドを引き出すとは,指揮者の統率力は大したものだと改めて思います。

で,肝心の録音ですが,サウンドの質感は期待通り,ただ,少し古くささがあり,鮮度がないというか,わずかながらすっきりしないところが残ります。1960年代後半ならもう少しスキッとした音で残して欲しかったところですが,仕方ないですかね。

タグ : [交響曲]

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シューマン:交響曲第1番「春」,他
トマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
Recorded in August 2007 at the Orebro Concert Hall, Sweden
BIS-SACD-1569 (P)(C)2007 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
小編成の室内楽団によるシューマンの交響曲第1番「春」。他に,歌劇「ゲノヴェーヴァ」Op.81,序曲「メッシーナの花嫁」Op.100,序曲ツヴィッカウ交響曲(第1楽章),序曲・スケルツォとフィナーレといった曲が収められています。聴いたことのない曲ばかりです。

先日紹介した同楽団のベートーヴェン交響曲第3番「英雄」同様のキレの良い演奏。大胆な表情付けで小編成でありながらダイナミックな演奏を展開しています。管楽器,打楽器が優位なためか,フォルテでは勇壮さが強く出ていて,今まで聴いてきたシューマンとはまたひと味違う感じがします。印象としては,ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルの演奏に近いように思います。聴いていてワクワクする演奏です。いいですねぇ,これは。

録音ですが,残響をそれなりに取り入れつつも,音色が曇っていないので印象としてはなかなか良いです。しかし,やはり弦楽器の質感の捉え方が弱く,私としては不満の残る部分もあります。全体のサウンドとしては締まりもあって印象が良く,オーディオ的にもとてもなめらかで高品位に思うのですが,少しオフマイク気味でスカッとしきらないところがあり,好録音というには何か物足りなさも感じます。惜しいです。音は綺麗なんですけどね。

同顔合わせによるシューマンの交響曲は全集が完成しています。第4番は原典版と改訂版の両方が収録されています。そのため全部で3枚になっていますね(第2番・第4番(原典版)→HMV Online,第3番&第4番(改訂版)→HMV Online)。

タグ : [交響曲]

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シューマン:交響曲第1番変ロ長調作品38「春」
シューマン:交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
パーヴォ・ヤルヴィ指揮(Paavo Järvi)(Conductor)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(The Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)
2009年12月20-22日(第3番),2010年4月9-11日(第1番),ベルリン,フンクハウス・ケーベニック
SICC 10102 (P)(C)2010 Sony Music Japan International Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

室内管弦楽団によるシューマン。弦楽器の編成は 10-8-6-6-3 なので中編成というところでしょうか。解説書によれば,このシューマンの演奏ではピリオド楽器は用いていないということですが,「弦楽奏者は,高い方の2線でガット弦を用いている」とあります。

またシューマンのオーケストレーションについては「シューマンのポリフォニーは,中世の教会音楽やバロック音楽に関する該博な知識に基づいたものです。彼のオーケストレーションには難点があるとよく言われますが,それは間違っている。オーケストラの編成規模を作曲当時の40名程度に準拠すれば,何ら問題はない。」と述べています。室内管弦楽団での演奏を選ばれたのもこのような背景に基づくものということです。

国内盤CDの帯には「未曾有の衝撃」などと大げさな宣伝文句が書かれているのですが,実際に聴いてみて,この表現はやっぱり大げさだと思うものの,今まで聴いてきたいくつかのシューマンの交響曲とは一線を画す,ひと味もふた味も違うと思うのも確かです。

端的にはやはりピリオドアプローチの延長線上にあると言えると思います。小さめの編成を活かした精密なアンサンブルで起伏に富んだ演奏を展開しています。しかし決して鮮烈路線ではなく,キリッとした極めて見通しのよいアンサンブルの中に微笑ましさというか素朴な味わいを上手く織り交ぜて新しいシューマンらしさを表現しているといった感じなのです。私としてはピリオド風味なのがちょっとなのですが,全体にはすごく気に入りました。

録音ですが,今時の優秀録音の典型ではないでしょうか。音のなめらかさ透明さ(雑味・歪み感のなさ)は申し分ありません。残響は控えめですが,ややオフマイク気味で全体としての音場の自然さ,まとまりを重視したバランスのいい録音だと思います。

ただ私としては,これが好録音かと問われると,ちょっと違うのです。確かに綺麗な録音なのですが,それぞれの楽器の質感が希薄で個々の奏者の顔が見えてこないのです。綺麗なんだけど遠くで鳴っていて実在感がなく,手が届かない,肌触りが感じられないもどかしさがあるのです。紙一重のところはあるのですが,ベートーヴェンの交響曲と同じくあえて厳しめの三つ星半としました。世評は「優秀録音」かもしれませんし,それを否定するものではありません...が,積極的に肯定したくないという意味を込めて。

タグ : [交響曲]

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