好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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シューマン:幻想曲作品17
シューマン:幻想小曲集作品12
マルタ・アルゲリッチ Martha Argerich (Piano)
録音 1976年
SICC 1843 (P)(C)1976 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私はシューマンのピアノ曲をほとんど聴かないのですが,唯一聴くのがこの幻想小曲集作品12です。誰の演奏だったのかは定かではないのですが,高校生の時にFMのエアチェック(もう死語か(^^;)でたまたまカセットテープに録音していた同曲を長い間聴いていました。シューマンの作品の中ではあまり顧みられない作品かもしれませんが,これが好きなんですよね。ものすごく久しぶりに聴きたくなり,Apple Musicで物色して見つけたのがこのディスクです。昔聴いていた曲のイメージとは少し異なり随分と力強くダイナミックなシューマンだよなぁと思いつつも,この曲の面白さを存分に楽しませてくれる演奏だと思いました。

録音ですが,この力強い演奏を柔らかい響きで包んで聴きやすくしているように思います。ただそのせいで音色がくすんで透明感が失われているのは惜しいと思います。また演出感も強いです。まあピアノの録音としては標準的で悪くはないと思うのですが,やっぱりもっとクリアにすっきりと録って欲しいと思いますね。
私にとって理想的な録音を多く提供してくれるNPR Music Tiny Desk Concertでバリー・ダグラスの演奏がアップされていたので紹介します。演奏曲目は下記の通りです。

"The Coolin (arr. Douglas)"
"Planxty Dillon (arr. Douglas)'"
"The Raggle Taggle Gypsy (arr. Douglas)"
"My Lagan Love (arr. Douglas)"



アップライトピアノの音を極めて明瞭に,クリアに聴かせてくれます。ちょっとマイクポイントが近いかなとも思いますが,それでも私にとってはかなり理想的なピアノ録音です。
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」,第14番「月光」,第23番「熱情」
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1966年(第8番),1967年(第14番,第23番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10199 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ブラームス:間奏曲集
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1959年, 1960年 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10204 (P)(C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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ワーグナー:グレン・グールド編によるピアノ・トランスクリプションズ
ワーグナー:ジークフリート牧歌(オリジナル編成による演奏)(*)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
グレン・グールド指揮/トロント交響楽団員(*)
1973年 トロント・イートン・オーディトリアム,1982年 トロント,セントローレンス・ホール(*)
SICC 10205 (P)1990 (C)2014 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先日紹介したモーツアルト:ピアノ・ソナタ全集バッハ録音と同じシリーズです。バッハは2012年の発売でしたが,こちらはモーツァルトと同じ2014年の発売でした。

ブラームスが1959年から1960年,ベートーヴェンが1966年から1967年,ワーグナー編曲が1973年の録音と,上記3枚の録音時期は離れていますが,今までの紹介でも触れてきたように,録音のポリシーは一貫しており,全てスタジオでの録音,残響は全くなくピアノの音色を極めて明瞭に捉えた私にとって最高のピアノ録音です。さすがにブラームスはクオリティ面で若干落ちますが,ほとんど気になりませんし,ワーグナー編曲の録音はもう全くクオリティ面で問題ありません。

グールドは一部のバッハ録音以外はあまり聴いてこなかったので,じっくりと楽しませてもらおうと思います。
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無伴奏リコーダーによる6つの編曲集 Six Transcriptions
フランシス・コルプロン Francis Colpron (Recorder)
2013年4月 ケベック,ミラベル,サン・トギュスタン教会
ACD22677 (P)2014 ATMA Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考; Tower RecordsAmazonHMV Onlineicone-onkyoApple Music

無伴奏ヴァイオリンのための作品,ほかをリコーダーに編曲したものとのことで,以下の曲を収録しています。

パガニーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのカプリース第24番
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア第8番
マラン・マレ:スペインのフォリアによる変奏曲
バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータBWV.1013
タルティーニ:コレッリの主題による変奏曲Op.5-10
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア第4番

リコーダーというと私はほとんどミカラ・ペトリしか聴いたことがなかったのですが(あと栗コーダー・カルテットくらい(^^;),この人もとても上手いですね。キレのある発音,透明感のある音色,リコーダーという楽器の表現力の幅広さに感心します。私としてはヴァイオリンで聴き慣れたテレマンのファンタジアが特に良かったです。

そして録音なのですが,残響が多く残響時間も長く,楽器音への影響はかなりあるものの,直接音もしっかりと捉えられていて,楽器そのものの透明感ある音色が上手く録られていると思います。私としてはもちろん残響をもっと抑えてクリアに録って欲しいとは思いますが,残響の質も取り入れ方もこれなら悪くないと思いますし,響きの心地よさも幾分あるかなと。残響を取り入れるなら一つの好例ではないかと思います。私の望む録音とは方向が違いますが,五つ星評価です。
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ヴィルトゥオーソ〜ヴァイオリン小品集
レオニダス・カヴァコス Leonidas Kavakos (Violin)
エンリコ・パーチェ Enrico Pace (Piano)
2015年5月28-31日 メガロン,アテネ・コンサート・ホール
478 9377 (P)(C)2016 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazonHMV Onlineicone-onkyoApple Music

最近注目しているヴァイオリニスト,レオニダス・カヴァコスが弾くヴィルトゥオーソ・ヴァイオリン小品集。この類の曲はあまり好きではないので普段聴かないのですが,カヴァコスが弾くならと聴いてみました。技術的に上手いのはもちろんですが,こういった小品でも全力投球,そしてセンス良く仕上げていますね。さすがです。これならもう少しじっくりと聴いてみようかという気になります。

そして録音ですが,残響感は少しあるものの,楽器の音をすっきりと捉えた好録音と言えます。少し演出がかっているのでもう少し生々しく,質感豊かに録って欲しかったところですが,ヴァイオリン独奏の録音としては標準的で合格点だと思います。
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タルティーニ:30の小さなソナタ集 第1集(Nos.1-6)
ピーター・シェパード・スケアヴェズ Peter Sheppard Skærved (Violin)
5 January 2011, St John the Baptist, Aldbury, Hertfordshire
TOCC 0146 (P)(C)2012 Toccata Classics, London (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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タルティーニ:30の小さなソナタ集 第2集(Nos.7-12)
ピーター・シェパード・スケアヴェズ Peter Sheppard Skærved (Violin)
5 January 2011, St John the Baptist, Aldbury, Hertfordshire
TOCC 0208 (P)(C)2012 Toccata Classics, London (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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タルティーニ:30の小さなソナタ集 第3集(Nos.13-18)
ピーター・シェパード・スケアヴェズ Peter Sheppard Skærved (Violin)
5 January 2011, St John the Baptist, Aldbury, Hertfordshire
TOCC 0297 (P)(C)2015 Toccata Classics, London (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

タルティーニというと「悪魔のトリル」くらいしか思い浮かばないのですが,125曲に及ぶヴァイオリン協奏曲(→HMV Onlineicon)を残していたりと,おびただしい数の未知の作品があるのではないかと思います。この無伴奏で演奏される「30の小さなソナタ集(30 Sonate piccole)」もそんな作品の1つ。HMV Onlineに記載されている解説では,元々「25のソナタ」として知られていた曲集だが,演奏者のスケアヴェズの独自の研究により,見過ごされていた作品などを追加して「30のソナタ」として演奏しているとのことです。

当然ながら30曲全曲の録音は世界初とのことで,このうち第18番までが発売されているようです。このペースで行けば,第4集,第5集が出て30曲完結ということになるのでしょうね。既発売のものは全て2011年1月5日に録音されているので,録音自体はすでに終わっていて発売のタイミングを待っているだけなのかもしれません。

初めて聴く曲ばかりなので何とも言えませんが,演奏自体は技術的にも安定していて安心して聴けます。表現はどちらかといえばオーソドックスに無理せず無難にまとめようとしているように感じられ,やや面白味には欠けますが,資料的な価値も考えると一つのあるべきアプローチなのでしょう。これはこれで良いと思います。

さて録音ですが,わずかに残響感があるものの,直接音が支配的であり,ヴァイオリンの音色が極めて明瞭に,質感高く,細部やニュアンスまではっきりと聴き取れるように録られています。音色の自然さ,音の伸びも良好で,綺麗で美しく透明感があります。やや高域寄りのバランスで腰高な印象なので,もう少しボディの鳴りを実在感を持って捉えてくれていると良かったと思いますが,これでも十分に良好です。文句なしの四つ星半です(五つ星にするかだいぶ迷いました...)。
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リュートのための古風な舞曲とアリア Ancient Airs and Dances
ポール・オデット Paul O'Dette (Lute)
ロジャー・コーヴィー=クランプ Rogers Covey-Crump (Tenor)
1986年8月28,29日
CDA66228 (P)1987 HYPERION RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
レスピーギの有名な「リュートのための古風な舞曲とアリア」の原曲を集めたディスク。曲順もほぼレスピーギの編曲に合わせて第1組曲から順に演奏されます。演奏者は上記の他に,ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン),ナイジェル・ノース(バス・リュート),クリステル・シールマン(バス・ヴィオール)がそれぞれ1曲ずつ参加しています。楽曲はリュート独奏が中心ですが,一部テノールとの共演,その他前記の楽器との共演の曲があります。選曲は特殊かもしれませんが内容は純古楽?です。

こうやってレスピーギ編曲の原曲をまとめて聴くことなど他では恐らくないので,これはある意味貴重なディスクかもしれません。普段リュートは聴かないのですが,レスピーギ編を知っているというだけでとても楽しく聴くことが出来ました。

録音もいたって普通で,残響が多すぎることもなく,極端に楽器の質感が強調されることもなく,明瞭で自然な感じの印象の良い録音です。特に優れているということはないですが,マイナス要素,欠点が少ないという点で好ましい録音だと思います。

かなり昔に発売されたディスクですでに廃盤になっていますが,これもヘリオスレーベルで復刻されています。

タグ : [器楽曲]

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イタリア・バロック・リコーダーソナタ集
ミカラ・ペトリ Michala Petri (Recorder)
ジョージ・マルコム George Malcolm (Harpsichord)
1984年6月16-18日 ロンドン,ヘンリーウッドホール
PHCP-3633 (C)Philips Classics (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
イタリアのバロック作曲家の作品を演奏しています。収録曲は以下の通りです。

ヴィヴァルディ:「忠実な羊飼い」作品13より ソナタ第6番 ト長調 RV58
コレッリ:ソナタ ハ長調 作品5-9
ビガグリア:ソナタ イ短調
ボノンチーニ:室内ディベルティメント第6番 ハ短調
G. サンマルティーニ:ソナタ ト長調 作品13-4
マルチェッロ:ソナタ ヘ長調 作品2-1

G. サンマルティーニとコレッリの作品が特に好きですね。ミカラ・ペトリの澄んだリコーダーの音色,溌剌と活き活きとした若々しい音楽がとても素敵です。

今まであまり意識していなかったのですが,私の認識ではペトリのリコーダーは「モダン」です。ペトリの録音では特に1980年代前半にアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズと残した多くのバロック・リコーダー協奏曲が,モダンの感性で新たな生命を吹き込んだものとして私の中で特別な存在となっています。このソナタ集もそれに加わるものとして長年愛聴しています。

そしてこのフィリップスの録音がまたペトリのリコーダーの長所を良く捉えていて秀逸ですね。残響を抑え適切な距離感で透明感ある音色で質感豊に録っています。ペトリの素晴らしいリコーダーがこのような良好な録音で残されたことを本当に嬉しく思います。

これらのフィリップス録音はオリジナルのものはすでに廃盤になっていますが,ボックスセット等で何とか生き残っていますね。

ペトリは現在も新譜をリリースしており,まだまだ現役で活躍されているのは嬉しい限りですが,録音に関して言うと,彼女の澄んだ音色をクリアに捉えているとは言えず,欲求不満が残るものが多くて残念でなりません。
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加羽沢美濃:24のプレリュード
加羽沢美濃 Mino Kabasawa (作曲, Piano)
2012年10月3-5日 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
COCQ-85003 (P)2013 Nippon Columbia (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
加羽沢美濃さんを知ったのはご多分に漏れずNHKの「ららら♪クラシック」で,作曲家ということでしたので一度作品を聴いてみたいと思っていました。過去にいろいろとディスクを出されていたようですが,今手に入る中で出来るだけ純クラシック的なのものをと思って選んだのがこのディスクです。

この「24のプレリュード」は,古今の大作曲家が名作を残すジャンル「24の調性全てを網羅した作品集」への挑戦とのことで,イ長調から始まり,全ての調性を巡った後,イ短調で終わる構成となっています。作品の印象は,一世を風靡したニューエイジとクラシックとの中間的な音楽に感じられます。詩情溢れる,優しい気持ちになれる作品です。曲自体のインパクトは強くありませんが,本当に詩集を読んでいるかのような錯覚さえ覚える,情緒的な音楽だと思います。クラシックという分野でこのような作品が評価されるのかどうかは私にはわかりませんが,評価されて欲しい,そして,もっとこんな作品が普通にたくさん生まれてくるクラシック界であって欲しいと思った次第です。そういう意味で(どういう意味だ?(^^;),あえてこのような古典的な形式の上に加羽沢さんの感性に彩られた作品が創られるとうれしいなと思っております。次の作品にも期待! 私は応援していますよ。

録音ですが,先にも書いたように録音においてもニューエイジ的な響きで演出されたピアノ,といった印象があります。悪くはないのですが,もう少しクリアで演出のない生音を活かした録音で聴かせて欲しいというのが私の希望です。このような演出はかえって作品を安っぽいものにしてしまいかねませんので。
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ロード:24のカプリース
オスカー・シュムスキー Oscar Shumsky (Violin)
November 1987 New York
ebs 6007 (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ヴァイオリンの練習曲集としては有名なロードの24のカプリースですが,全曲録音されたのはこれが初めてだったようです(と解説書表紙に書いてあります)。しかもロード自身が所有していたストラディヴァリウスを使用しての録音とのことです。

もう20年以上も前,通っていたヴァイオリンの先生にこのディスクを貸したところ,そのお嬢さんが「音程悪~い」と偉そうに言っていたと聞き,なんちゅう失礼な!と思ったことがありました(^^;。まあ独特の音程感はあるかもしれませんが...決して悪くないですよ,もちろん。懐かしい思い出です。当時から時々聴くディスクです。私にとってシュムスキーというと,バッハ無伴奏とこのロードが強くイメージされます。いまだ現役盤というのはうれしいことです。

録音は,ややマイクポイントが遠めで,残響感を多めに取り入れていて音色や明瞭度も影響を受けていますが,演奏のニュアンスは感じ取れるので,まあ許容範囲と言えます。一つの音楽作品として録音されているのだと思いますが,ヴァイオリン学習者向けにもっと生々しく録ってくれても良かったのにと思います。
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モシュコフスキー:20の小練習曲 作品91
藤原 亜美 (Piano)
14-15 Dec. 2011, Fujimi Culture Hall KIRARI☆FUJIMI
fontec EFCD4187 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
全音楽譜出版社刊の楽譜に準拠したピアノ教則CDシリーズ。音楽の鑑賞用ではなく音楽教育用として制作されたものです。数ヶ月前のレコード芸術誌の録音評で,デッドな録音という評価があったので,これは聴いてみなければと思い入手しました(^^;。

ほんの短い曲が20曲,合計で26分しかありません。教則本1冊につきCD1枚(1組)という企画なのでしょう。ちょっと割高な感じがしますが仕方ないですね。練習曲とはいえ愛らしい小曲が並んでいます。しかし,やっぱり練習曲,ショパンの練習曲のような感覚では聴けませんでした...まあ当たり前といえば当たり前,それを期待する方が間違っていますね...

それで肝心の録音なのですが...確かにデッドな録音ですが,わずかにホールの響きが付帯音としてまとわりつき音を濁しています。なんとも中途半端な感じです。でも基本的には良い...はずなのですが,なぜかいまひとつ冴えない音なのです。音に伸びと輝きが感じられず,詰まったような音になってしまって美しくないのです。なんでこんな音なんだろうと不思議に思います。楽器が良くないのか,マイクセッティングが良くないのか,どちらかだとは思うのですが。これはちょっと期待はずれでした。

あえてこういうデッドな録音を選んだのだろうと思います。それはそれで正解だと思います。しかし,この音はいただけません。教育用だからいいじゃないかと思われるかもしれませんが,教育用だからこそ音の美しさは大事だと思うのです。もちろんホールで綺麗な響きの中で録音して欲しいと言っているわけではありません。音楽の理解を手助けするという意味だけでなく,ピアノという楽器はこんな美しい音が出るんだという見本にもなるべきだと思うのです。感受性豊かな子供が聴くわけですから。そしてそれを聴いた子供のピアノタッチが変わると思いませんか?

私の理想に一番近いのは,イルマ・イッサカーゼのバッハ:ゴルトベルク変奏曲のディスクです。「教育用にはふさわしいが鑑賞には向かない」なんていうことはないと私は思っています。こういう録り方は,教育用としても観賞用としてもふさわしいと思います。
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エンリコ・オノフリ~バロック・ヴァイオリンの奥義
驚愕のバロック・ヴァイオリン独奏曲集
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri (Baroque Violin)
2009年6月22日~25日 イタリア,クレマ "Cascina Giardino"
UZCL-1003 (P)(C)2010 Anchor Records (国内盤)
好録音度:★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp
実に怪しげな邦題ですが,原題は“THE SECRETS OF THE BAROQUE VIOLIN”です。

オノフリ氏はイル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサート・マスターで,「世界最高のバロック・ヴァイオリニスト」と評されると,HMV Onlineに記載がありました。

演奏者の編曲によるバッハの「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」のヴァイオリン独奏版,タルティーニのソナタのヴァイオリン独奏版やテレマン,ビーバー等のヴァイオリン独奏曲を集めた意欲的な選曲です(曲目はHMV Onlineを参照ください)。

このディスク,一時期,いろいろなオーディオ誌にも優秀録音盤として取り上げられていました。これは聴いてみる必要がある,と思って入手しましたが,確かに「優秀録音」なのかもしれませんが,残念ながら「好録音」には程遠いものでした。

とにかく残響過多。間接音成分が支配的でヴァイオリンの生の音色,質感がほとんど感じられません。残響成分によって録音会場の雰囲気,空間性は感じられるのかもしれませんが,音色は変に色づけされ妙にキンキンしていますし,バロックヴァイオリン独特の質感も失われています。せっかくの素晴らしい音楽が台無しです。オーディオ的には音もなめらかですしきめも細かくそのクオリティが高いのは認めますが,肝心の中身がこれでは...

このディスクが優秀録音として取り上げられる悲しい現実...
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愛の挨拶/ワルツ・カプリース~ヴァイオリン名曲の花束
カトリーン・ショルツ Katrin Scholz (Violin)
アンナ・ナレット Anna Naretto (Piano)
Recorded at Siemensvilla, Berlin-Lankwitz on March 11-13, 2010
VICC-60768 (P)(C)2010 ビクターエンターテインメント株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

贔屓のヴァイオリニスト,カトリーン・ショルツのヴァイオリン名曲集(曲目はHMV Onlineをご参照ください)。陳腐な邦題が腹立たしいのですが,まあ許しましょう。

ショルツ氏は1989年の日本国際音楽コンクールで優勝,1991年のケルン・クーレンカンプ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝するなどの実力者で,1995年よりベルリン室内管弦楽団の音楽監督に就任,1998年よりドイツ・ブレーメン音楽大学の教授に就任しているとのことです。

こういう小品を弾かせてもやっぱり上手いです。過度に個性を主張することなくその曲の本質的な良さ,美しさを最大限に聴かせようとする特質はここでも変わりません。ちょっと真面目で堅すぎるかもしれませんが。これが彼女の良いところであり,また,あまりメジャーにならない理由かもしれません。

録音ですが,彼女の美しいヴァイオリンの音色をよく捉えています。残響は抑えられていて明瞭感があり,音色も自然で質感もそこそこ感じられます。ヴァイオリン独奏の録音として,これならほぼ文句ありません。

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