好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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シューベルト:交響曲全集
ニコラウス・アーノンクール指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
Recorded live at the Philharmonie Berlin, 2003-2006
BPHR 15006 (P)(C)2015 Berlin Phil Media GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineiconベルリン・フィル・レコーディングス

収録曲は,交響曲全集に加えて,ミサ曲第5番D 678,第6番D 950,歌劇「アルフォンゾとエストレッラ」D 732,が収録されています。本パッケージは以下のものから構成されています。

(1) CD 8枚

(2) Blu-ray Disc
 2.0 PCM Stereo 24-bit/48kHz
 5.0 DTS-HD Master Audio 24-bit

(3) High-Resolution Audio Download Code
 Stereo 24-bit/48kHz WAV/FLAC
 5.0 Surround 24-bit/48kHz WAV/FLAC
 ※全てのファイルを何度でもダウンロード可能

今回はパッケージの購入ではなく,ベルリン・フィル・レコーディングスからのダウンロード購入としました。€ 59.00でした。なお,以下,交響曲に関してのみのコメントです。

録音は2003年から2006年にかけて行われたもので,少し前の音源になりますが,アーノンクール氏70歳代の録音とのことです。ですが,この若々しく覇気に満ちた生命力溢れる音楽は本当に素晴らしい! 音楽の喜びがストレートに伝わってきます。それが勢い任せではなく細部まで神経が行き届いた細やかさをもって実現されているところが指揮者の統率力とオーケストラの技量の高さを示していると思います。

そして録音なのですが,残響が多めに取り込まれているものの,ウェットに傾きすぎることなく引き締まったサウンドで聴かせてくれます。残響は音色を濁すなど鑑賞の邪魔となる悪影響は最小で,むしろ潤いを持たせるプラス方向の効果の方が上回っています。音色の色づけや癖なども排除され,録音会場のキャラクターもほとんど前に出てきていない点も良いです。高度にバランスの取れた欠点の少ない万人向けの一つの理想を体現した録音として評価できると思います。正直なところ,もう少し残響によるモゴモゴ感を抑え,個々の楽器の質感を強めに出して音色に輝きを持たせ,スケール感と見通しの良さを出して欲しいとは思いますが,私の好きな録音とは方向が少し違うとはいえ,これは十分に納得のいく録音でした。少し甘い評価ですが五つ星です。

これは演奏も録音も素晴らしい全集でした。個人的には交響曲とその他の曲はパッケージを分けて,交響曲全集として入手しやすくして欲しかったです。
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シベリウス:交響曲全集,他
レナード・バーンスタイン指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック
録音 1960~1967年
88875026142 (P)(C)2015 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

1960年代,およそ50年前にバーンスタインがニューヨーク・フィルと録音したシベリウスのリマスター盤です。収録曲は下記の通りです。

シベリウス:交響曲全集
シベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70
シベリウス:ポヒョラの娘 作品49
シベリウス:フィンランディア 作品26
シベリウス:悲しきワルツ 作品44
シベリウス:トゥオネラの白鳥 作品22-3
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47 (*1)
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26 (*2)
グリーグ:ペール・ギュント第1組曲,第2組曲

*1 ジノ・フランチェスカッティ(Vn)
*2 トーマス・ジッパーズ指揮,ジノ・フランチェスカッティ(Vn)

交響曲のみのコメントですが,とても力強いダイナミックなシベリウスです。近年の多くの演奏と比べると随分と趣が異なります。シベリウス独特の情緒感は希薄で,指揮者の個性,オーケストラの個性が際立った演奏と言えるとは思いますが,こういう表現の仕方がごく普通だった時代の演奏という風に私は受け取りました。演奏スタイルの歴史を感じますね。この中では特に第6番が特徴的で,両端楽章の落ち着きのない速いテンポに面食らいますが,ちょっと他では聴けない演奏で結構楽しめました。

録音ですが,残響は控えめで各々の楽器を明瞭に分離感よく捉えたドライな好録音なのですが,音色が古臭く硬質でバランスが崩れてキンキンとやや耳障りであり,また,少々歪みっぽく粗いのも欠点です。誇張された音作りも時代を感じされる要因になっていますが,聴き取りやすく演出感もあまりないため印象は悪くないのですが。惜しいです。

タグ : [交響曲]

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シューベルト:交響曲第5番,第8番「未完成」,第9番「グレイト」
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Sofiensaal, Vienna, June 1981(No.9); September 1984(Nos 5 & 8)
448 927-2 (P)1982,1985 (C)1996 The Decca Record (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ショルティ/ウィーン・フィルのシューマン交響曲全集が思いのほか面白かったので,同じ顔合わせのシューベルトも聴いてみました。同じく今ひとつショルティのシューベルトって?と想像があまりつかなかったのですが,彼らしい引き締まった硬派の演奏ながら,シューマンよりはずっとウィーン・フィルの持ち味を活かしているなぁと,半ば残念な気持ちで聴きました(^^;。

録音ですが,残響もほどほどに抑えられ,個々の楽器の質感を良く捉えた明瞭感のある好録音で,突出したところはありませんが,マイナスポイントもほとんどない,普通に良い録音と言えると思います。中低域が締まっていてキレが良いのも特筆できるところです。
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シューベルト:交響曲第9番ハ長調「ザ・グレイト」
ブルーノ・ワルター指揮/コロムビア交響楽団
Recorded at American Legion Hall, Hollywood, California, 1959
MBK 44828 (C)1988 CBS Records Inc. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
雄大でおおらか,細部にこだわらないのびのびした音楽が良いですね。最近の演奏ではなかなか聴くことの出来ない良さがあります。

ワルター/コロムビア交響楽団の演奏は,今までにベートーヴェン交響曲全集やブラームス交響曲全集を取り上げてきましたが,いずれも好録音でした。この録音も同様に個々の楽器の質感を分離良くうまく捉えた好録音なのですが,いかんせんこの録音に関してはやや古さが先に立って少し印象が落ちます。1959年の録音なので仕方ありませんが,ベートーヴェンやブラームスが同年代であることを思うと,少し残念に思います。

タグ : [交響曲]

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シューベルト:交響曲第1番,第2番,第3番,第4番
録音年不明(1970年前後?) ドレスデン
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
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シューベルト:交響曲第5番,第6番,第8番,第9番
録音年不明(1970年前後?) ドレスデン
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン

シューベルトの交響曲はあまり聴かないので,ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンアバド/ヨーロッパ室内管弦楽団の演奏も録音も良い2つの全集で満足しているのですが,親しい友人からこの全集をお借りして聴く機会を得ました(ありがとうございます)。

演奏についてはきちっと真面目に仕上げていて,同じシュターツカペレ・ドレスデンでもブロムシュテットとは随分と趣が異なるように思いました。これはこれで好きですね。

そして録音ですが,おそらく1970年前後の録音なので,オーディオ品質的には現在の録音に比べれば劣るものの,アナログテープのヒスノイズが若干大きい程度であり,問題はありません。残響は控えめですっきりと見通しが良く,各々の楽器の分離感もあって,とても聴きやすいです。帯域バランス的に低域が弱いのも欠点になっていません。フォルテでも弦楽器が管楽器にかき消されることもなくしっかりと質感をもって聴くことができます。好録音と言えるでしょう。
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シューベルト:交響曲第9番ハ長調D944「ザ・グレイト」
ジェームズ・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団
Chicago, Orchestra Hall, 7/1983
429 983-2 (P)1984 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jp
これはレヴァインらしい明るく明快で力強い演奏ですねぇ。シューベルト特有のどこか病的な陰影がほとんど感じられません。ブロムシュテットやアバドの演奏とはまた違う魅力があります。

録音がこれまたなかなか良いですねぇ。残響も適正量に抑えられ,比較的すっきりとバランス良く捉えられています。低域の量はそれほど多くありませんが,引き締まっています。突出したところはありませんが,欠点の極めて少ない良好な録音と言えると思います。

レヴァインの録音は,好録音と言えるものが多いですが,これもその一つに入ると思います。このディスクは現在は廃盤のようで入手性が良くないのが残念です。
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シューベルト:交響曲全集
クラウディオ・アバド指揮/ヨーロッパ室内管弦楽団
1986-87年 ウォトフォード・タウンホール,ウィーン・コンツェルトハウス
00289 477 8687 (P)1988 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
前回のブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンに引き続き,今回はアバド/ヨーロッパ室内管弦楽団の全集です。HMV Onlineの解説によると,ベーレンライター版の録音ということです。ブロムシュテットの演奏よりもシャープでより現代的に洗練された演奏に聴こえました。ヨーロッパ室内管弦楽団らしい演奏と言えると思います。

録音ですが,残響が多めなのですが,音質のバランスとしては均整が取れていて,音色がくすんだり曇ったりせず,自然さが保たれ,比較的すっきりしています。私としてはやはりもう少し残響を抑えて見通しよくして欲しいと思うのですが,密度の高いサウンドは充実感があってまあ悪くはないかなと思いました。個々の楽器の質感もまずまず良好です。録音としてはブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンよりもこちらの方が私の好みには合います。

同じ顔合わせによるハイドンの交響曲集も素晴らしかったのですが,この全集も気に入りました。シューベルトの交響曲は,ブロムシュテット盤とこの全集があれば満足できそうです。
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シューベルト:交響曲全集
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
録音 1978-1981年 ドレスデン,ルカ教会
Berlin Classics 0300037BC (P)1982-1984 VEB Deutsche Schallplatten (輸入盤)
好録音度:★★★★~★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jpTower Records
ブロムシュテットのリヒャルト・シュトラウスのエントリーで読者の方からご紹介いただいたシュターツカペレ・ドレスデンとのシューベルトの交響曲全集を聴いてみました。シューベルトの交響曲は今まであまり聴いてこなかったのですが(辛うじて未完成とグレイトは聴いていましたが),そんな私でもこの全集は素晴らしいと思いました。渋くて豊潤な弦楽器の響きが良いですね。それでいて音楽が毅然としていて揺るぎがありません。良い全集をご紹介いただきました。有り難うございました。

録音ですが,残響が多めで,そのためにややくすんだ印象を受けるのですが,それぞれの楽器の質感がよく感じられて悪くはないです。オーケストラの魅力を十分に伝えてくれる録音ではあると思います。こういう録音が好きな方もきっと多いことでしょう。もちろん私の好みからは外れますがその点は認めたいと思います。

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