好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1964年3月18,19日 ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10168 (P)1964 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:平均律クラヴィーア曲集(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
[第1巻]1962, 63, 65年,[第2巻]1966, 67, 69年 ニューヨーク,30丁目スタジオ/1971年 トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10162-5 (P)1972 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆~★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:パルティータ(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1957年(第5番,第6番),1959年(第1番,第2番),1962年(第3番),1962, 63年(第4番) ニューヨーク,30丁目スタジオ
SICC 10166-7 (P)1969 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:イギリス組曲(全曲)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第2番),1973年(第1番),1974年(第3番),1974, 76年(第4番,第5番),1975,76年(第6番) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10169-70 (P)1977 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

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バッハ:フランス組曲(全曲),フランス風序曲
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1971年(第6番),1972年(第1番,第2番),1972, 73年(第3番),1973年(第4番),1971, 73年(第5番,フランス風序曲) トロント,イートン・オーディトリアム
SICC 10171-2 (P)1982 (C)2012 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

先に紹介したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集と同じ企画盤です。これが発売された2012年は,グレン・グールド生誕80年,没後30年ということでの日本独自の企画盤とのことです。SACDであることに加え,音匠仕様レーベル・コートが採用されています。

これらのバッハの録音は,1957年から1976年という長期にわたって録音をされています。録音機材の進歩に従って音質は徐々に向上しているのはもちろんですが,録音のポリシーは当初からほぼ一貫しているので,聴いた印象がぶれません。1960年代前半までの録音は,さすがに古くて歪み感が気になるものもありますが,1960年代後半以降の録音はクオリティ面でもほぼ不満がありません。

何度も申し上げているとおり,グールドの録音はスタジオで全く残響のない環境でピアノの音色をストレートに克明に質感高く録った超好録音と言えるものです。これらの一貫した録音はグールドが録音に拘り直接コントロールしていたからこそ実現したんですよね。素晴らしい演奏が最高の状態で残されたことに本当に感謝したいと思います。

なぜこのような録り方をする人が出てこないのかほんと不思議でなりません。
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バッハ:カンタータのシンフォニア,コンチェルト,ソナタ集
オッターヴィオ・ダントーネ指揮/アカデミア・ビザンティーナ
2011年1月 ラヴェンナ,聖ジローラモ教会
4782718 (P)(C)2011 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazonHMV Onlineicone-onkyoApple Music

私はカンタータは全く聴かないのですが,カンタータに含まれる器楽曲が集められているということで聴いてみました。無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番Preludio(#29),ブランデンブルク協奏曲第1番第1楽章(#52),同第3番第1楽章(#174)などの別編曲バージョン?やその他にも耳にしたことのある楽曲がいくつかありましたが,ほとんどは初めて聴く曲で興味深く聴かせていただきました。ダントーネの弾くオルガン・ソロも聴きものです。

そして録音なのですが,残響は控え目で整理された綺麗なサウンドが気に入りました。ちょっと綺麗にまとめ過ぎている気もしますし,もう少し生々しさが欲しいなと思うところもありますが,鑑賞を阻害する要素がほとんどない,欠点の少ない好録音だと思います。こういう録音はオーディオ的にはあまり評価されないかもしれませんが,私は好きです。
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア BWV 772 - 801
シャンタル・スティリアーニ Chantal Stigliani (Piano)
録音不明
CAL1211 (P)2012 Calliope
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpApple Music
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バッハ:インヴェンションとシンフォニア BWV 772 - 801
クリスティアーヌ・ジャコッテ Christiane Jaccottet (Harpsichord)
録音不明
(P)2009 Stradivari Classics
好録音度:★★★★★
参考: Apple Music

いずれもApple Musicでの試聴です。録音についてのコメントです。

この2盤とも,鑑賞の邪魔をする要素はほとんどありません。極めてクリアーで自然,何も足さず何も引かない,すっきりした音響が特徴です。特にジャコッテのハープシコードの音が良いですね。とかく響きで濃く雑味が加わりがちなハープシコードを綺麗な音で聴かせてくれます。スティリアーニのピアノの方はもう少しヌケの良い音だと最高なのですが...惜しいところです。

まあ優秀録音かどうかは微妙ですし,皆さんの賛同を得られるとはあまり思わないのですが,私にとっては間違いなく好録音。こういうのが好きなのです。ディスクは入手しづらいようなのが残念です。
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バッハ:半音階的幻想曲とフーガ,イタリア協奏曲,パルティータ第6番
セルゲイ・エデルマン Sergei Edelmann (Piano)
2008年10月7-9日,富山北アルプス文化センター
EXCL-21 (P)2009 EXTON/TRITON (国内盤) ※Apple Musicにて試聴
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music
レコード芸術誌2013年度第51回レコード・アカデミー賞特別部門録音受賞ディスクである小菅優さんのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第2巻「愛」のレビューのコメントで教えていただいたディスクです(ご紹介有り難うございます!)。Apple Musicでの試聴で失礼します。

それでその録音ですが,録音会場の響きをわずかに感じさせつつも,ピアノの音色に芯があり,また輪郭もくっきりとしていること,楽器自体の響きも豊かに捉えていることから,コメントをくださった方のおっしゃる通り「良く鳴っている」楽器の音響を上手くバランス良く録っていると思います。この録音であれば私もまずまず納得できますし,多くの方にとっても優秀な録音に入るのではないでしょうか。少なくとも上記の小菅さんの録音よりもピアノの音の素晴らしさをずっと良く伝えてくれると思います(小菅さん,ごめんなさい)。
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バッハ:平均律クラヴィーア曲集全曲
フリードリヒ・グルダ Friedrich Gulda (Piano)
1972年4月,1973年5月 ドイツ
0300650MSW (P)1972/73 MPS Records (C)2015 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
私は平均率クラヴィーア曲集はグールド盤しか持っておらず,それほどこの曲に関心を持っていたわけではなかったので,これが有名な演奏だとは知りませんでした。勝手な先入観で刺激的な演奏を期待していたのですが,どちらかというと多彩な音色と表情付けで曲毎にくっきりとコントラストを付けて描き分け,しかし揺るぎのない音楽をじっくり聴かせる演奏だなぁとちょっと意外に思いました(個人の感想です(^^;)。

そして何より素晴らしいのがこの録音! 印象としてはグールドのスタジオ録音に近いです(聴き比べると実際にはだいぶ違いますが)。ピアノ以外の響きが皆無,極めてクリアで粒立ちがとても綺麗。超Hi-Fi的な誇張や不自然さもない。ジャズでは良くある録り方かもしれませんが,クラシックではまずこんな録り方しないですね。一般的なクラシックのピアノ録音とはかけ離れているので好き嫌いが分かれると思いますが,私としてはほぼ理想に近い,こんなピアノの音が聴きたかったんだ!という録り方で本当に嬉しい限りです。MPSは西ドイツのジャズ・レーベルだそうで,それでこの録音が実現したのだと思います。感謝! なお,音質は第1巻の方が良く,第2巻は少し癖のある響きが感じられて少し落ちます。

あぁ,こんなピアノの録音でもっと聴けたらいいのに! こんな素晴らしい録音のお手本があるのになんで真似しないんですかね。こんな録音が増えたらもっとピアノが好きになるだろうに。なんでみなさんピアノの音を濁して録音するのか,私には全く理解できません。
様々なジャンルの良質な音楽を提供してくれる,そしてその音楽を私にとって理想的なコンサート形態と録音で聴かせてくれる NPR Tiny Desk Concert。最近時々チェックするようにしています。その中で見つけたのがこのディナースタインのバッハ。彼女のゴルトベルク変奏曲のディスクは演奏も録音もあまり好きではありませんでしたが,これは良いですね。



このピアノの録音も好きです。ゴルトベルク変奏曲もこのような録音で聴かせてくれていたら,きっと全然違う印象だっただろうと思います。
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バッハ:ヴァイオリンとピアノのための6つのソナタ
ミシェル・マカルスキ(Violin)/キース・ジャレット(Piano)
Recorded November 2010 at American Academy of Arts and Letters, New York
ECM 2230/31 (P)(C)2013 ECM Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
モダン楽器で録音されることが少なくなってしまった曲なので,大いに期待して聴きました。穏やかで気品溢れる香り高い演奏とでも言いましょうか,控えめながらニュアンスに富んだ演奏を聴かせてくれます。ピリオドに傾いているとは思いませんが,やはり意識の底にはそれがあるのか,バロック曲の演奏としては真っ当すぎるくらい真っ当ではないかと思いました。モダン楽器の特長を生かした時代の先端を走るモダンな演奏(っていったいどんなんだ?(^^;)を期待していた私としては少し肩すかしを食らった感じです。もちろんこれはこれで優れた演奏だと思うのですが,モダン楽器であるというところに過剰に期待を持ってしまったせいかもしれません。

録音ですが,控えめに残響を美しく取り入れているのはまあ良いとして,ややピアノが大きく(音像も大きい)ヴァイオリンが細くひ弱に聴こえます。バランスとしてもう少しヴァイオリンを大きめに質感を強めに出し,ピアノをもっとすっきりと録って欲しかったと思います。私にはヴァイオリンがだいぶ力負けしてしまっているように感じられます。そこを録音でもう少しカバーしても良かったのではないかと思います。ECMの録音は私の好みとは少し違うようです。
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バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとハープシコードのためのソナタ BWV1027-29
今井信子(Viola)/小林道夫(Harpsichord)
録音:1971年8月
EASTWORLD SAN-61 企画:(株)新星堂,制作:東芝EMI(株)
好録音度:★★★
ディスクの整理をしていて発掘されました(^^;。このディスクをもっていることもすっかり忘れていました。もう40年以上前,今井信子さんが20歳代後半に録音されたものです。モダン楽器での素直な演奏なので聴きやすいです。しかし...

録音ですが,残響があまり感じられない録音なのですが,音に精彩と伸びが全くなく,締め付けられるような息苦しさがあります。EMI原盤なのかどうかはよくわからないのですが,さすがEMIと言いたくなるような録音です。また,マスターテープが良くないのか,音が不安定に感じられることがあったり,歪みっぽく聴こえることがあったりと,全く良いところがありません。せっかくの今井信子さんの貴重な記録なのにこれでは音楽を気持ちよく楽しむことが出来ません。これは本当に残念です。
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バッハ:パルティータ集 BWV825-830
イルマ・イサカーゼ(Irma Issakadze)(Piano)
2010年3月21-23日,5月3-5日, バイエルン放送第2スタジオ
OC 781 (P)2010 (C)2011 OehmsClassics Musikproduktion GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

ゴルトベルク変奏曲の録音が最高に良かったイサカーゼのバッハとなれば,聴かざるをえません。今回もスタジオ録音。非常に期待して聴きました。

結論から言いますと,残念ながら全くの期待はずれでした。歯切れの良い粒立ちのはっきりした演奏はそのままなのですが,音に響きが被って音の輪郭が明らかにボケています。音色もくすんでいて鮮明さもなく全く良くありません。残響はあまりありませんのでゴルトベルク変奏曲と同じような印象を一瞬受けるのですが,雲泥の差があります。

なぜこのような音作りにしてしまったのか...残念でなりません。演奏自体は良い印象でしたので余計です。次のリリースに期待します。
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バッハ:平均律クラヴィーア曲集
(a) 第一巻 BWV846-869 (TACET 93)(録音 Frankfurt/Main, 1998-99)
(b) 第二巻 BWV870-893 (TACET 104)(録音 Frankfurt/Main, 2001)
エフゲニー・コロリオフ(Evgeni Koroliov)(Piano)
(P)(C)2000,2002 TACET (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Online (a)icon,(b)icon

「平均律」と日本語訳されていますが,オクターブを対数等分割したいわゆる現代の「平均律」ではなく,「ほどよく調律された」別の調律法のことであることを,恥ずかしながらつい最近知りました(なるほど,確かに原題は「平均律」とは書いていないですね...)。バッハの平均律,最初は面白さがわからなかったのですが,最近になって少しだけその楽しさがわかってきた気がします。こういう音楽に面白味を感じてきた自分がちょっとうれしかったりします(^^;。

平均律クラヴィーア曲集はグールドの第一巻を持っていただけで,それもあまり聴いてこなかったので,自分にとってまだまだ馴染みのない曲集です。演奏の善し悪しなどまだまだわかりませんが,コロリオフ氏の演奏は至極真っ当で癖がない印象で安心して聴けます。平均律は当面この1セットがあれば私としては十分という感じです。

録音はまずまず良好ですが,もう少し輪郭をはっきりとクリアーに捉えて欲しかったなと思います。このCDも優秀録音とのもっぱらの評判のようですが,私の好みとはちょっと異なります。TACETの録音のコンセプトは基本的には私には合わないようです。

(Side Bからの移行記事)[バッハ][器楽曲][ピアノ]

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