好録音探求

 『演奏者の存在を身近に感じられる録音』を求めて・・・
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ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ブラームス:アルト・ラプソディ作品53
ブラームス:運命の歌作品54
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮/シャンゼリゼ管弦楽団
LPH 025 (P)2016 (C)2017 OUTHERE (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

古楽器オーケストラによるブラームスの交響曲ですが,ものすごく層の厚い密度の高いサウンドで,まるで目の前に巨大な建造物がそびえ立つような音楽を築いています。そしてそのサウンドからは考えられないくらいの軽快さで音楽が流れていきます。これは今までにあまりない感じでなかなか良いと思います。今後の録音にも期待が持てます。

さて録音なのですが,上記の通りかなり濃い録り方をしているのですが,あまり息苦しい感じはありません。重心が低く,かつ高域の伸びも確保し,音色のバランスも整えて聴きやすくまとめた上手い録音だと思います。私としてはもう少しすっきりと見通しの良い録音が好きなのですが,これもまあアリかなと思います。

タグ : [交響曲]

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
ベアトリーチェ・ラナ Beatrice Rana (Piano)
2016年11月 ベルリン,テルデックス・スタジオ
Warner Classics 9029588018 (P)(C)2017 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

とても評判の良い演奏なので聴いてみました。明瞭なタッチと流れるようなスムーズなフレージング,そして,自然な強弱のうねりなど,モダンピアノの特性を最大限に生かした現代的で洗練された演奏でした。何より感心したのは細かい音型の正確さと淀みのなさで,ここまで滑らかでビシッとテンポにはまった演奏はそんなにないと思います。一方,ゆっくりした変奏でのリズムの意図的な崩しは自然な呼吸感から外れていてちょっと生理的に受け付けないなぁと思うところもありました。とはいえ,これは出色の出来ですね。久しぶりにワクワクする演奏に出会いました。

録音ですが,比較的楽器音をしっかりと捉えているのですが,音色が今ひとつモヤッとしていて立ち上がりの明瞭さ,透明感にやや欠けます。十分許容範囲だとは思うのですが,もう少し付帯音のないクリアな音で録って欲しいものです。惜しいです。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されていました。完璧です。

演奏時間 約78分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
五嶋みどり MIDORI (Violin)
2016年8月8日-11日 ドイツ,ケーテン城
Accentus Music ※NHK BSプレミアムでの放送
好録音度:★★★★☆(Sonata No. 2, 3, Partita No. 2)~★★★★★(Sonata No. 1, Partita No. 1, 3)

CD試聴記」からの転載記事です。

これは2017年の3月にNHK BSプレミアムで放送された番組の感想です。 本CD試聴記では放送番組は基本的には取り上げていないのですが,これは特別に感銘を受けたので取り上げることにしました。 ちょっとタイミングを逸した感はあるのですが...ご了承願います。

演奏自体は2013年の全集とほぼ変わらぬブレない一貫した素晴らしい演奏です。 この演奏を映像で鑑賞出来るのはまさに至福と言うほかありません。

そしてさらに特筆すべきはその録音です。 この曲集はバッハがケーテン宮廷楽長だった頃の作品ということで, 五嶋みどりさんがゆかりの地であるケーテン城を訪れ,城内の幾つかのフロアで録音をされています。 吹き抜けのやや容積のあるフロアでの録音もありますが,小さめの部屋での録音もあります。 コンサートホールやや教会の録音のような豊かな響きは全くありません。 これが好録音につながっています。

ソナタ第2番,第3番,パルティータ第2番はやや広めのフロアで録音されているためか,また, 少しマイクポイントが遠めなのか,部屋の響きが少し感じられますが, ソナタ第1番,パルティータ第1番,第3番はほとんど響きがなく,適正な距離感で極めて明瞭に録られています。 弓が弦に触れるときの微妙な音や左手の運指に伴う演奏雑音を含め,演奏者の発するあらゆる音が克明に聴こえてきます。 質感,音色,ヌケの良さ,どれも申し分ありません。

特に後者は私が理想とする好録音にかなり近いです(→「好録音について考える」をご参照ください)。 残響がないから鑑賞に向かない,音楽的に劣る,といったことは全くありません。 残響の有無と音楽性とは基本的に無関係であるということを,この録音は見事に証明してくれています。

ソナタ第3番とパルティータ第2番がARTE concertというサイトで公開されていました。 録音がベストの楽曲の方ではないので上記の感想が伝わらないかもしれませんが。

この人類の宝のような映像作品,ぜひディスクで発売して欲しいものです。
姉妹サイトの「CD試聴記」が開設15周年を迎えました。アクセス数も80万を越えました。変わらぬご支援に本当に感謝します。

本ブログも開設してからもうすぐ8年になります。更新に波があり,特に最近は滞り気味で申し訳なく思いますが,今後も少しずつではありますが更新を続けていきたいと思っておりますので,何とぞよろしくお願い致します。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他
イルジー・ヴォディチカ Jiří Vodička (Violin)
2014年2月10,11日,3月12,13日,4月1-3日 プラハ,マルティーネク・スタジオ
SU 4175-2 (P)(C)2014 Supraphon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。バッハのみのコメントです。バッハ以外の収録曲は下記の通りです。

パガニーニ:『うつろな心』による序奏と変奏曲作品38
クライスラー:レスタチーヴォとスケルツォ・カプリス
エルンスト:シューベルトの『魔王』による大奇想曲作品26
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ短調作品27
パガニーニ:24のカプリース作品1より 第5番,第15番,第24番
ハース:パガニーニの主題による小変奏曲

一聴しただけで技術力の高さがわかるほどキレのある,そして音色の透明さ,美しさのある演奏です。 ヴィブラートを少し強めにかけた演奏は少し古風な雰囲気もあるのですが, 軽やかで若者らしい爽やかさを感じる好演奏です。

録音ですが,やや残響のまとわりつきが気になるものの,直接音が主体であり, 明瞭感,音色の自然さ,ヌケの良さもそこそこ確保されていてまずまず良好と言える録音です。 一般的にも良い録音の部類に入るのではないかと思います。 私としてはもう少し残響を抑えてすっきり録って欲しかったと思いますが,十分許容範囲です。

ヴォディチカ氏は1988年生まれ,チェコ出身のヴァイオリニスト。 本ディスクは26歳頃の録音になると思います。 今後の活躍に期待。
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雨だれのプレリュード~ショパン名曲集
横山幸雄 Yukio Yokoyama
Ishibashi Memorial Hall on 29-30 August 2016
MECO-1036 (P)(C)2017 Muse Entertainment Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

横山氏のデビュー25周年記念アルバムとのことです。横山氏のピアノはあまり聴いたことがなく,一度聴いてみたいと思っていたところ,ショパンの比較的好きな曲が多く収録されていましたのでこの機会にと思い聴いてみました。収録曲は下記の通りです。

1. アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
2. バラード第1番
3. ノクターン第20番
4. ノクターン第2番
5. 華麗なる大円舞曲
6. 別れの曲
7. 革命のエチュード
8. マズルカ第13番
9. 幻想即興曲
10. 雨だれのプレリュード
11. マズルカ第32番
12. 小犬のワルツ
13. 英雄ポロネーズ
14. 別れの曲によるお別れの作品(2台ピアノによる8手連弾) 横山幸雄(編曲)

まあ想像通りというか,力強い男性的な演奏であり,ショパンの優美な面が希薄なのでちょっとイメージが違うかなと思いながらも,ストレートで明快な演奏を楽しませていただきました。

肝心の録音なのですが,オフマイク気味でホールトーンを豊かに取り入れているために直接音よりも間接音が主であり,演出感が強いです。当然ながらピアノの音色はくすみ気味でクリアさに欠け,ヌケもあまり良くなく,私の好きな録音ではありませんでした。ピアノ録音としては良くあるタイプでまあこんなところかとは思うのですが,個人的には少し残念に思います。
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ブラームス:弦楽六重奏曲第1番作品18,第2番作品36
ルノー・カプソン(Violin),クリストフ・コンツ(Violin),ジェラール・コセ(Viola),マリー・シレム(Viola),ゴーティエ・カプソン(Cello),クレメンス・ハーゲン(Cello)
Live from Aix-en-Provence Easter Festival 2016
Warner Erato 9029588837 (P)(C)2017 Parlophone Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

弦楽四重奏にヴィオラとチェロが加わるだけでこんなにサウンドが変わるんですね。響きの重心が下がりとても厚くなります。そして名手が顔を揃えた演奏ということもあって,室内楽のアンサンブルの妙に加えて個々人の技で曲が映えます。さらにライヴということもあって情熱あふれる演奏が繰り広げられています。ブラームスの若々しい楽曲がこのような優れた演奏で聴けるのは本当にうれしいことです。

さて録音なのですが,音楽祭でのライヴ録音ですが,少し残響を伴っていますが,個々の奏者の楽器音を的確に捉えていてバランス良くまとまっています。私としてはもう少し生々しく,またすっきりと見通しよく録って欲しかったところなのですが,それでもまずまず良く録れている方だと思います。

タグ : [室内楽曲]

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SKY
Butter Dogs
hatao(アイリッシュ・フルート),本岡トシ(バウロン),福江元太(ギター)
BD-001 (P)2006 Tokyo Irish Company (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ブログ読者の方からご紹介いただいたアイリッシュ・ミュージックのディスクです(有り難うございます)。すでに解散されたとのことですが,関西圏で活躍された日本のバンドとのことです。アイリッシュ・フルート,バウロン(アイルランドの片面太鼓),ギターの3人の構成で,本格的でかつ日本的に洗練されており,技術力も素晴らしくスリリングな演奏を聴かせてくれます。これほどの演奏ができる日本のバンドがあるとは!うれしくなります。

メンバーは皆さん現在もそれぞれ精力的に活動され,ご活躍されているようです。機会があれば聴いてみたいと思います。

hatao氏 Webサイトhatao & nami
本岡トシ氏 Webサイト(トシバウロン)
福江元太氏 Webサイト

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,パルティータ第2番
オレグ・クリサ Oleh Krysa (Violin)
2016年8月29日,11月28日 神奈川・相模湖交流センター
EXTON OVCL-00615 (P)(C)2017 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

往年の巨匠のごとく,古風なスタイルで格調高く奏でられた真面目で立派な演奏です。 年齢からくる技術の若干の衰えは感じるものの,極めて安定しており,含蓄のある演奏を聴かせてくれます。 モダン楽器ですが,バロック・ボウを使っているためか,厳しさの中にも柔らかな表情が見られるのも良いと思います。

録音ですが,やや距離感があり,残響が主で直接音がほとんど感じられず,音色は濁りバランスは崩れ, 本来もっているであろうニュアンスもかなり失われているように思います。 オーディオ品質は良いのかもしれませんが,楽器本来の音色がこんなに失われてしまっては意味がありません。 残念な録音です。

クリサ氏は1942年生まれ,ウクライナ出身で,ダヴィド・オイストラフの高弟とのことです。 1963年のパガニーニ国際コンクール優勝,1966年のチャイコフスキー国際コンクール第3位などの実績のある実力者で, ベートーヴェン弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンも務めたとのこと。 これは75歳くらいでの録音になりますが,20年くらい前に録音していてくれたらなぁと思ってしまいます。

なお,このディスクには併録曲としてバッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043が収録されています(第2ヴァイオリンは水野佐知香,オーケストラはヴィルトゥオーゾ横浜)。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番
アレクサンドラ・クルス Aleksandra Kuls (Violin)
The Concert Hall of the Krzysztof Penderecki European Centre for Music in Lusławice, Poland.
DUX 1145 (P)(C)2016 DUX (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon

CD試聴記」からの転載記事です。

併録曲は,ペンデレツキ:ラ・フォリア,プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ作品115,イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番。

オーソドックスで教科書的に整った演奏。 時折装飾が入るものの,どちらかといえば旧世代の様式を引き継いでいるように思います。 技術的にも優れ,隅々までコントロールが行き届いています。 まだまだ個性を発揮するまでにはなっていませんが,これを起点に伸ばしていけばよいと思います。 今後の成長と活躍に期待。

録音ですが,少し残響感があり音色に影響しているものの,音自体に伸びがあり,印象は悪くありません。 楽器の質感やニュアンスも感じられます。 ソロ・ヴァイオリンの録音としては標準的で,客観的にも良好な部類に入るように思います。

アレクサンドラ・クルスは1991年生まれ,ポーランド出身の若手ヴァイオリニスト。 ヨーゼフ・シゲティ国際コンクール等で優秀な成績を収めたようです。

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